Lao Feng Xiang:
中国の老舗ジュエリー会社


Lao Feng Xiang Jewelry(老鳳祥ジュエリー): 「似合いのつがい鸞鳥とフェニックス」
この「Harmonic Couple: Luan and Phoenix (ハーモニックカップル:ルアン&フェニックス)」というネックレスは、鮮やかな真紅色の珊瑚を特徴としている。 デザイナーはルべライト(紅電気石)をフェニックスの目に見立てている。 宝石のこの部分に様々な技術が使用されている。 中央で木の枝をつなぐ特殊なジョイントも特徴の1つである。 フェニックスはLao Feng Xiangのロゴであるため、この鳥に親近感を持ち、これをデザインに使用するデザイナーが同社には多くいる。 これはWen Huangによるデザインである。 写真提供:上海Lao Feng Xiang株式会社
Lao Feng Xiangは今も続く中国一の老舗ジュエリーブランドの1つです。 1878年の創業から現在に至るまでの166年間、その事業は継続しています。 同社は国内の宝飾業界と中国文化において深い伝統を持っており、それはブランドネームを確立、維持していくための貴重なモデルとして考えられています。 中国のジュエリー小売店名には創業者の名前にちなんだものがありますが、Lao Feng Xiangの名前は美しく縁起の良いフェニックスを象徴する中国の3つの特徴に由来しています。 中国文化においてフェニックスは、例えば灰の中から舞い上がるその姿が復活を象徴するなど、重要な意味を持っています。そして、当社の営業マンたちはすべてこの意味と物語についての教育を受けています。

老鳳祥(ラオ・フェン・シン)ブランド
166年の歴史を持つジュエリーブランドのLao Feng Xiangは、中国で確立したブランドの手本として考えられている。
同社のイニシャルであるLFXはまた、lucky(幸運)、 fashionable(高級感がある)、 phoenix(フェニックス)を表します。 幸運を表すゴールドは中国文化で重要視されるため、 Lao Feng Xiangは長い間、自社ブランドに24K ゴールドジュエリーを取り入れてきました。

1920年代から1930年代にかけて、Lao Feng Xiangは、中国当局や裕福な顧客に自社の24Kゴールドのジュエリー、装飾品、および特別行事用の贈り物を販売することで、宝飾業界に勢いよく参入しました。 今日では、 Lao Feng Xiangジュエリーを持つことが上海に住む大勢の人々にとっての大きな憧れになっています。

Lao Feng Xiangのニューヨーク主力店
老舗ジュエリー会社  

ブランドとビジネス

Lao Feng Xiangは、World Brand Lab(ワールド・ブランド・ラボ)が公表している「最も価値ある500の中国ブランド」のリストに入っています。 2012年には中国の主要ブランドにおける同社のランキングが197位から166位まで上昇しました。 そのフィリグリー技術は中国政府により同国の無形文化財に指定されています。

「八仙瓢箪」
2008年Jewerlers' Circular Keystone(ジュエラーズ・サーキュラー・キーストーン)ショーでのデビュー以来、「Eight Gods Calabash(八仙瓢箪)」はLao
Feng Xiangの財宝の1つとされている。 同社のフィリグリー技術は
中国の無形文化遺産として指定されている。 八仙については、
古代中国の童話に詳述されており、また道教にも取り込まれている。八仙全員が揃っている肖像画は非常に
人気のある中国芸術のテーマの1つである。 また、ひょうたんは幸運と富を象徴している。 この24K
の金瓢箪の装飾には繊細な純金アートが施してあり、
色のことなるジェダイトがちりばめられている。 4匹の動物が瓢箪を防護するように並んでいる。 写真上および写真左:Eric Welch/GIA。
写真提供:Lao Feng Xiang株式会社
Lao Feng Xiangの売上高は2012年に250億元(42.1億USドル)を超えるなど、中国のジュエリー小売業者の中でトップクラスを誇ります。 同社は過去12年間で着実に2桁の売上成長を果たし、そのブランドバリューは75億6,500万元(12億1,600万USドル)から116億7,200万元(18億7,600万USドル)にまで跳ね上がっています。 同社全体はダイアモンド製造施設、ジュエリー会社、ジュエリーリサーチ研究所、ジェダイト会社、ジェダイト彫刻工場、デザイン施設、ジュエリー製造工場、シルバージュエリー製品工場、土産品工場、質屋事業、オークション場から構成されています。 同社は上海株式市場に上場されている株式公開企業で、 当ブランドの存在感を与えつつ投資を引き出しながらさらなる企業拡大に努めています。

Lao Feng Xiangの本社は上海にあり、店舗数は上海だけでも70を超えます。 中国本土全体には、2,000店舗を超える小売店とブティックがあります。 Lao Feng Xiangは、世界市場で中国と中国特有のデザインに対する関心が高まりつつあることを意識しています。 そのため2012年、同社はオーストラリアのシドニーに初の海外店舗をオープンしました。 また今年の9月、マンハッタンに旗艦店をオープンする予定です。 Lao Feng Xiangは、エリート層や将来性のある社会層の顧客を意識した最高級のマーケティングを展開すると共に、特に若年層の顧客を対象にしたテレビショッピングやオンライン販売事業に乗り出しています。 同時に小売店と顧客満足度の向上にも注意を払っています。

ゴールドとレッドショールーム
上海の南京路上のストアが金や赤、中国文化が好む色で装飾されている。 24Kゴールドジュエリーは、ラオス風水翔の専門です。 写真:Eric Welch/GIA、提供:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd. ( 上海 Lao Feng Xiang有限公司)
Lao Feng Xiangは、若年層から古くからのジュエリーバイヤーである老年層まで、中国における幅広い層の顧客に販売活動を行っております。 様々な価格の商品を揃えているため、 同社は幅広い顧客層に営業活動を行うことができるのです。 価格競争を避けながら自社ブランド、品質、価値、顧客との関係を確立させることに重点的に取り組むことが同社の理念なのです。 Lao Feng Xiangは、消費者が最も安い商品を買うのではなく、ブランドの持つネームバリューに基づいてジュエリーを購入することを見抜いています。

中国では欧米と同じく、特に若年の消費者たちにとってジュエリーは高級品と考えられています。 同社の規模は国際的にも拡大してます。 

製品とデザイン


ジュエリーデザイン
Lao Feng Xiangにとってデザインはブランドの本質的価値の1つである。
マーケティングマネージャーのEnsheng Wangによると、中国全体のジュエリー小売業界では消費者の趣向の変化を目の当たりにしているといいます。 主に純金ジュエリー販売を土台としながら築き上げられたLao Feng Xiangですが、素材の価値よりもデザインを重視したジュエリーの売上が好調に伸びています。 未だに純金がベストセラーの1つとして挙げられる一方、 同社は過去10年間でそのジュエリー製品の種類を 大幅に増やしてきました。 現在Lao Feng Xiangでは、ダイヤモンドジュエリー、カラーストーンジュエリー、土産品、そして宝石をはめ込んだ高級眼鏡まで取り扱っています。

純金のジュエリー
ジュエリーの品種
Lao Feng Xiangでは女性客を裕福な女性、プロの女性、そして若く流行感覚の優れた女性という、3つの層に分類しています。 若い女性たちは自らが購入するジュエリーの種類に対するこだわりはあまりなく、 むしろデザインやファッションという観点で品選びをする傾向があります。 ジュエリーには純金の他、カラットゴールド、ホワイトゴールド、ローズゴールド(北京や上海などの大都市で大人気)、プラチナ、そして、シルバーなどが使用されています。 またお好みに合わせてジェダイト、ダイヤモンド、カラーストーン、パールなどもお選びいただけます。

"Remix"(リミックス)ジュエリーセット
このジュエリーセットは花々からアイディアを得られた"Remix" (リミックス)といわれたシリーズで、2013年に導入されました。 より若い消費者達をターゲットに、小さなダイヤモンドとピンクゴールドにを特色としたシリーズです。 デザイナーは、小さなダイヤモンドを使うことで、流行のダイヤモンドを限られた予算を持った消費者達が、購入しやすいものにしました。 このセットは、伝統的に中国で学者達の威厳、尊厳を象徴する蘭を特徴としています。 写真提供:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd. (上海 Lao Feng Xiang 有限公司)
「The Glamour of Chinese Characters(グラマー・オブ・チャイニーズ・キャラクターズ)」はLao Feng Xiangが賞を受賞したデザインの1つです。 漢字は文化的に深い意味を持つ文字言語であり、受賞ジュエリーの一式にはその起源、発展、進化が反映されています。

ジュエリーセット
このジュエリーセットは、第4回 金ジュエリーデザインコンテストで優勝しました。 デザイナーやメーカーは作品に木材や金を独創的に組み合わせています。 刻まれた漢字は、文字が絵のようだった時代の中国の初期の漢字です。 文字は景色を描いています。 写真提供:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd. ( 上海 Lao Feng Xiang 有限公司)
Lao Feng Xiangのジュエリーデザインの一つ、「Elegant(エレガント)」が1980年代に国際的な賞を受賞しました。 このデザインは風にたなびくシルクのスカーフからアイデアを得ています。 国内で最年少の美術工芸品の達人の1人であるZhang Xinyiによるカラットゴールドとダイヤモンドで仕立てた作品が、中国の作品として初めて国際的な賞を受賞しました。

"Elegant"(エレガント)シリーズジュエリーセットより、ネックレス
このネックレスは、"Elegant"(エレガント)シリーズよりのジュエリーセットの一部です。 そのデザインは、1980年代に非常に大胆でモダンであると考えられた。 写真:Eric Welch, 提供:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd. (上海 Lao Feng Xiang 有限公司) デザイン略図提供:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd ( 上海Lao Feng Xiang 有限公司)
富と名誉を意味する「Hua Kai Fu Gui」も注目の作品です。 この作品は、2010年の「Tiangong Yiyuan」ブティックのジュエリーデザインコンテストで金賞を受賞しました。 繁栄と富の象徴として中国人から重宝されているシャクヤクからインスピレーションを得ています。 Lao Feng Xiangは、中国の伝統的な意味を持つ、流行の最高級ジュエリー作品に仕上げる目的で、大きなエメラルドを埋め込みました。 

満開の牡丹
繁栄を象徴する牡丹は、中国のシンボルとして広く考えられている。 Wen Huangがデザインしたこの傑作は、2008年 JCKのジュエリーショーにて高く称賛された。 写真:Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd. ( 上海 Lao Feng Xiang社)
Lao Feng Xiangのデザイナーたちは、自作のデザインに伝統的要素を残すように努めています。 また、彼らはしばしば中国文化で好まれる赤を取り入れます。 この色効果を出すにあたり、ルビー、ルベライトトルマリン、赤サンゴ、または宝石以外の素材が使用されています。 例えば、伝統的な中国文化を強調し、世界的な注目を得るために、デザイナーたちは2008年の北京オリンピック開催に当り「China Red(チャイナレッド)」を製作しました。 別の傑作品として、古代中国の童話をモチーフにしたHarmonic Couple: Luan and Phoenix(ハーモニックカップル:ルアン&フェニックス)」があります。 ルアンとフェニックスは古代中国の伝統的な鳥であり、調和が取れた一対です。

Lao Feng Xiangのジュエリー:イヤリング
レッドテーマ

工場

上海にはLao Feng Xiangのジュエリーデザインと製造工場もあります。 GIAチームはまず、そこのデザイナーが非常に自分の仕事に集中していたことに気づきました。 店舗は創造的なエネルギーと情熱に満ちていました。 デザイナーたちは自然、建築、大衆文化、中国の伝統などのテーマについても学んでいました。 手作業でデッサンやペインティングを行う一方で、コンピューター支援設計も採用していました。 宝石で溢れた最高級の作品だけでなく、幅広い市場を対象にした様々な価格のシンプルな作品のスケッチが数多くありました。

製造部門では、宝石職人たちは手作りの他、ワックス彫刻および鋳造法により同社のデザインを製作していました。 デザイナーから送られてくるスケッチをそのまま使用して製造を行うことも多々ありました。 ワックスモデリングを集中的に行う作業台もあれば、手作業を行う作業台もありました。 また、石のセッティングを行う作業台もありました。 

デザインスケッチ
工場見学
工場に入った直後に私たちを圧倒したのは、大勢の才能に恵まれた若い成人たちがデザインや製造に勤しむ姿でした。 店全体が情熱をもって作業に集中していました。 この若いアーティストたちの傍らで、彼らを指導する熟練工たちが作業をしていました。 これは、経験と才能が世代を超えて受け継がれていっているものの典型的な例でした。

工場の職人達
工場での熟練した職人達は、次の世代へと彼らの技術を引き継がせることに力を入れています。 写真:Eric Welch/ GIA, 提供: Shanghai Lao Feng Xiang Co., Ltd.(上海 Lao Feng Xiang 有限公司)

要約

Lao Feng Xiang の小売店、本店、工場を巡る旅によって、豊富な伝統と歴史を持つ会社を理解することができました。この歴史は、近代的市場に見事に移行し、今、世界的な拡大を目指しています。 これは、中国の宝飾業界を明らかにした2013年の中国への遠征旅行に非常に類似しています。 消費者の現代的嗜好に合致した新製品の急成長に加え、伝統的なジュエリースタイルと実践の巧みな調和を目の当たりにしました。 Lao Feng Xiangは、中国文化に深く根差しつつ、変動し続ける中国を初めとする世界市場をうまく動かしているのです。

中国の宝飾品市場
Lao Feng Xiangのプロダクトマネジャー兼スポークスマンであるEnsheng Wangが、現代の宝石および宝飾品市場に関する情報を共有する。

Tao Hsu 博士は Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。 Andrew Lucasは、GIAカールズバッドでフィールド宝石学の教育マネジャーを務めています。

免責事項

GIAスタッフはリサーチを目的に、鉱山、 製造業者、 小売業者の他、 宝石および宝石業界に関わる場所や企業を頻繁に訪れ、市場を見極める見識を深めようと努めております。 GIAは訪問中に私たちを受入れて貴重な情報を提供してくださった皆様のご厚恩に心から感謝いたします。 これらの訪問や記事または出版物のいかなる内容も、そのまま利用したり、宣伝用に使用したりしないでください。

インタビューと店内およびジュエリー製造施設での撮影を許可していただいた、Lao Feng Xiangと同社が上海に構えるNanjing Road(ナンジンロード)店の経営陣やスタッフの皆様方に心から厚く御礼申し上げます。 また、数多くの写真をご提供いただいたLao Feng XiangのカラーストーンマネジャーShuyun Zhang氏にも心からの謝意を述べさせていただきます。 旅行の手配や通訳をしていただいた Shouguo Guo教授とXiaobo Lang氏には特に感謝の意を表します。