Lao Feng Xiang:
中国の老舗ジュエリー会社
10月 24, 2014
老鳳祥(ラオ・フェン・シン)ブランド
同社のイニシャルであるLFXはまた、lucky(幸運)、 fashionable(高級感がある)、 phoenix(フェニックス)を表します。 幸運を表すゴールドは中国文化で重要視されるため、 Lao Feng Xiangは長い間、自社ブランドに24K ゴールドジュエリーを取り入れてきました。1920年代から1930年代にかけて、Lao Feng Xiangは、中国当局や裕福な顧客に自社の24Kゴールドのジュエリー、装飾品、および特別行事用の贈り物を販売することで、宝飾業界に勢いよく参入しました。 今日では、 Lao Feng Xiangジュエリーを持つことが上海に住む大勢の人々にとっての大きな憧れになっています。
ブランドとビジネス
Lao Feng Xiangは、World Brand Lab(ワールド・ブランド・ラボ)が公表している「最も価値ある500の中国ブランド」のリストに入っています。 2012年には中国の主要ブランドにおける同社のランキングが197位から166位まで上昇しました。 そのフィリグリー技術は中国政府により同国の無形文化財に指定されています。Lao Feng Xiangの売上高は2012年に250億元(42.1億USドル)を超えるなど、中国のジュエリー小売業者の中でトップクラスを誇ります。 同社は過去12年間で着実に2桁の売上成長を果たし、そのブランドバリューは75億6,500万元(12億1,600万USドル)から116億7,200万元(18億7,600万USドル)にまで跳ね上がっています。 同社全体はダイアモンド製造施設、ジュエリー会社、ジュエリーリサーチ研究所、ジェダイト会社、ジェダイト彫刻工場、デザイン施設、ジュエリー製造工場、シルバージュエリー製品工場、土産品工場、質屋事業、オークション場から構成されています。 同社は上海株式市場に上場されている株式公開企業で、 当ブランドの存在感を与えつつ投資を引き出しながらさらなる企業拡大に努めています。
Lao Feng Xiangの本社は上海にあり、店舗数は上海だけでも70を超えます。 中国本土全体には、2,000店舗を超える小売店とブティックがあります。 Lao Feng Xiangは、世界市場で中国と中国特有のデザインに対する関心が高まりつつあることを意識しています。 そのため2012年、同社はオーストラリアのシドニーに初の海外店舗をオープンしました。 また今年の9月、マンハッタンに旗艦店をオープンする予定です。 Lao Feng Xiangは、エリート層や将来性のある社会層の顧客を意識した最高級のマーケティングを展開すると共に、特に若年層の顧客を対象にしたテレビショッピングやオンライン販売事業に乗り出しています。 同時に小売店と顧客満足度の向上にも注意を払っています。
Lao Feng Xiangは、若年層から古くからのジュエリーバイヤーである老年層まで、中国における幅広い層の顧客に販売活動を行っております。 様々な価格の商品を揃えているため、 同社は幅広い顧客層に営業活動を行うことができるのです。 価格競争を避けながら自社ブランド、品質、価値、顧客との関係を確立させることに重点的に取り組むことが同社の理念なのです。 Lao Feng Xiangは、消費者が最も安い商品を買うのではなく、ブランドの持つネームバリューに基づいてジュエリーを購入することを見抜いています。
中国では欧米と同じく、特に若年の消費者たちにとってジュエリーは高級品と考えられています。 同社の規模は国際的にも拡大してます。
製品とデザイン
ジュエリーデザイン
マーケティングマネージャーのEnsheng Wangによると、中国全体のジュエリー小売業界では消費者の趣向の変化を目の当たりにしているといいます。 主に純金ジュエリー販売を土台としながら築き上げられたLao Feng Xiangですが、素材の価値よりもデザインを重視したジュエリーの売上が好調に伸びています。 未だに純金がベストセラーの1つとして挙げられる一方、 同社は過去10年間でそのジュエリー製品の種類を 大幅に増やしてきました。 現在Lao Feng Xiangでは、ダイヤモンドジュエリー、カラーストーンジュエリー、土産品、そして宝石をはめ込んだ高級眼鏡まで取り扱っています。Lao Feng Xiangでは女性客を裕福な女性、プロの女性、そして若く流行感覚の優れた女性という、3つの層に分類しています。 若い女性たちは自らが購入するジュエリーの種類に対するこだわりはあまりなく、 むしろデザインやファッションという観点で品選びをする傾向があります。 ジュエリーには純金の他、カラットゴールド、ホワイトゴールド、ローズゴールド(北京や上海などの大都市で大人気)、プラチナ、そして、シルバーなどが使用されています。 またお好みに合わせてジェダイト、ダイヤモンド、カラーストーン、パールなどもお選びいただけます。
「The Glamour of Chinese Characters(グラマー・オブ・チャイニーズ・キャラクターズ)」はLao Feng Xiangが賞を受賞したデザインの1つです。 漢字は文化的に深い意味を持つ文字言語であり、受賞ジュエリーの一式にはその起源、発展、進化が反映されています。
Lao Feng Xiangのジュエリーデザインの一つ、「Elegant(エレガント)」が1980年代に国際的な賞を受賞しました。 このデザインは風にたなびくシルクのスカーフからアイデアを得ています。 国内で最年少の美術工芸品の達人の1人であるZhang Xinyiによるカラットゴールドとダイヤモンドで仕立てた作品が、中国の作品として初めて国際的な賞を受賞しました。
富と名誉を意味する「Hua Kai Fu Gui」も注目の作品です。 この作品は、2010年の「Tiangong Yiyuan」ブティックのジュエリーデザインコンテストで金賞を受賞しました。 繁栄と富の象徴として中国人から重宝されているシャクヤクからインスピレーションを得ています。 Lao Feng Xiangは、中国の伝統的な意味を持つ、流行の最高級ジュエリー作品に仕上げる目的で、大きなエメラルドを埋め込みました。
Lao Feng Xiangのデザイナーたちは、自作のデザインに伝統的要素を残すように努めています。 また、彼らはしばしば中国文化で好まれる赤を取り入れます。 この色効果を出すにあたり、ルビー、ルベライトトルマリン、赤サンゴ、または宝石以外の素材が使用されています。 例えば、伝統的な中国文化を強調し、世界的な注目を得るために、デザイナーたちは2008年の北京オリンピック開催に当り「China Red(チャイナレッド)」を製作しました。 別の傑作品として、古代中国の童話をモチーフにしたHarmonic Couple: Luan and Phoenix(ハーモニックカップル:ルアン&フェニックス)」があります。 ルアンとフェニックスは古代中国の伝統的な鳥であり、調和が取れた一対です。
工場
上海にはLao Feng Xiangのジュエリーデザインと製造工場もあります。 GIAチームはまず、そこのデザイナーが非常に自分の仕事に集中していたことに気づきました。 店舗は創造的なエネルギーと情熱に満ちていました。 デザイナーたちは自然、建築、大衆文化、中国の伝統などのテーマについても学んでいました。 手作業でデッサンやペインティングを行う一方で、コンピューター支援設計も採用していました。 宝石で溢れた最高級の作品だけでなく、幅広い市場を対象にした様々な価格のシンプルな作品のスケッチが数多くありました。製造部門では、宝石職人たちは手作りの他、ワックス彫刻および鋳造法により同社のデザインを製作していました。 デザイナーから送られてくるスケッチをそのまま使用して製造を行うことも多々ありました。 ワックスモデリングを集中的に行う作業台もあれば、手作業を行う作業台もありました。 また、石のセッティングを行う作業台もありました。
工場に入った直後に私たちを圧倒したのは、大勢の才能に恵まれた若い成人たちがデザインや製造に勤しむ姿でした。 店全体が情熱をもって作業に集中していました。 この若いアーティストたちの傍らで、彼らを指導する熟練工たちが作業をしていました。 これは、経験と才能が世代を超えて受け継がれていっているものの典型的な例でした。
要約
Lao Feng Xiang の小売店、本店、工場を巡る旅によって、豊富な伝統と歴史を持つ会社を理解することができました。この歴史は、近代的市場に見事に移行し、今、世界的な拡大を目指しています。 これは、中国の宝飾業界を明らかにした2013年の中国への遠征旅行に非常に類似しています。 消費者の現代的嗜好に合致した新製品の急成長に加え、伝統的なジュエリースタイルと実践の巧みな調和を目の当たりにしました。 Lao Feng Xiangは、中国文化に深く根差しつつ、変動し続ける中国を初めとする世界市場をうまく動かしているのです。
中国の宝飾品市場
著者について
Tao Hsu 博士は Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。 Andrew Lucasは、GIAカールズバッドでフィールド宝石学の教育マネジャーを務めています。
免責事項
GIAスタッフはリサーチを目的に、鉱山、 製造業者、 小売業者の他、 宝石および宝石業界に関わる場所や企業を頻繁に訪れ、市場を見極める見識を深めようと努めております。 GIAは訪問中に私たちを受入れて貴重な情報を提供してくださった皆様のご厚恩に心から感謝いたします。 これらの訪問や記事または出版物のいかなる内容も、そのまま利用したり、宣伝用に使用したりしないでください。
謝辞
インタビューと店内およびジュエリー製造施設での撮影を許可していただいた、Lao Feng Xiangと同社が上海に構えるNanjing Road(ナンジンロード)店の経営陣やスタッフの皆様方に心から厚く御礼申し上げます。 また、数多くの写真をご提供いただいたLao Feng XiangのカラーストーンマネジャーShuyun Zhang氏にも心からの謝意を述べさせていただきます。 旅行の手配や通訳をしていただいた Shouguo Guo教授とXiaobo Lang氏には特に感謝の意を表します。