ジェダイト彫刻の精神


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カボションは、典型的なジェダイトのカットである。 高品質のカボションカットジェダイトには、ひと財産もの価値がある。 写真:Eric Welch、©GIA、提供:Mazu Jade Articleco., LTD
ジェードは、よく中国と同義と考えられています。 ジェードに対する崇拝と感謝の意は、約8,000年前に遡ります。 ジェダイトが最初にミャンマーとの国境を越えて中国に輸入されるまで、ジェードよりネフライトが貿易の主流でした。 その正確な時期には議​​論の余地がありますが、一般には明朝(1475年前後)時代以前だと考えられています。

長い間、ジェダイトは主に宮殿の外で取引されていました。 西太后は、清王朝(1861 - 1908年)の終わりに中国で実権を握ってから、彼女自身の欲望を満たすために全国から高品質のジェダイトを収集し始めました。 ジェダイトは瞬く間に王室や上流階級全体に広まりました。 1908年までに、ジェダイトは北京の最も有名なアンティークマーケットのLiu Li Changで販売される最も高価なジェードになっていました。 以来、ジェダイトとネフライトが市場での高い地位を確立しています。

三次元ジェダイト彫刻:Shan Zi

ジェダイトは、ブレスレット、リング、カボションなど多くのジュエリースタイルに加工できることで知られていますが、中国ではこの材料をより大きいスケールの装飾に使用することもあります。 この装飾を中国語で「Shan Zi」と呼びます。 「Shan」はジェダイト原石の輪郭や​​形状に沿って彫刻された丘や山を意味します。 他の方法に比べると、おそらくShan Ziはジェダイト原石加工の最も自然な方法である一方で、最も高価で時間のかかるプロセスです。

ジェダイトの加工方法は他にもあります。 例えば、原石から薄いプレートをカットした後に、表面にカメオ彫刻を施します。 これにより同量の材料からより多くの完成品を作成でき、同様に透明性を高めることができます。

ディスプレイされたジェダイトペンダント、装飾品、バングル
小さなペンダントや装飾品、ブレスレットは、ジェダイト市場での代表的な製品だ。 撮影:Eric Welch、©GIA、協力:Mazu Jade Articleco., LTD
彫刻家はShan Zi 彫刻に、理想的なアウトラインを持つ比較的大きな材料を必要とします。 原石の発見と輸送は難しい上に、長時間にわたり複数の彫刻家が協力しながら各作品のデザインや彫刻の作業を行う必要がありました。 以前は、特に大型のShan Ziは王室や大富豪だけが手にするものでした。 そして、装飾として使用していたことから、Shan Ziは富と権力の象徴でありました。

ジェダイトの大規模な彫刻、Shan Zi
これは典型的な、ジェダイトのShan Zi である。 作品は、原石の元の形状と輪郭を残している。 Shan Ziは通常、3次元で彫刻される。 その大きなサイズは、遠くから見ても印象的である。 写真:Eric Welch、© GIA、協力:Mazu Jade Articleco., LTD
一般的なShan Ziのテーマは、美しい景色、植物、伝統的象徴、古代の有名な絵画などです。 テーマに選択は、原石の形状や輪郭に完全に依存しており、時には原石色も考慮します。 3次元彫刻のための計画プロセスおよびそれに必要な工具は、テーマの選択のように、ネフライト彫刻を元にしていました。

高品質なShan Zi (山子)ジェダイト彫刻の拡大画像
この3D彫刻には、高品質のジェダイトが用いられている。 詳細に見ると、個々の人物が精密に彫刻されているのがわかる。 撮影:Eric Welch、© GIA、協力:Mazu Jade Articleco., LTD

材料の入手

2013年6月、GIAスタッフメンバーのグループは、中国南部のジェダイト生産拠点を訪問しました。 四会において、著者らはMazu Jade Articleco., Ltd.社長のZheng氏と彼の親友Jingyu Mantangジェダイト彫刻工場の社長Fang氏に紹介されました。 彼らは私たちの訪問を温かく歓迎し、彫刻中の作品の一つを見せてくれました。

このを作業中のジェダイトは2004年にミャンマーの競売で入手したものです。 これはさらに大きなジェダイトの巨礫から切り出したものでした。 ミャンマーにある残りの半分は入手できませんでした。 持ち帰った巨礫は約8トン、それを2つにカットしました。 その一つは現在、巨大なShan Ziを作るのに彫刻されている最中です。 残り半分は、さらに3分割され、中国の神々Fu(福)、Lu(禄)、Shou(寿)が刻まれました。

ジェダイトの彫刻
労働者はガーナの川沿いのダイヤモンドを探します。 これと同時に、巨匠バイは公式の代表継承者として選ばれました。 2つめである象嵌細工では、完成品に石をセットして、貴金属を彫刻したり磨き上げたりします。 写真撮影:エリック·ウェルチ、©GIA、提供:Batar Jewelry Company
購入した原石には浅黒い表皮と小さいウィンドウがありました。 ジェダイト原石を持ち帰り、それをカットした時に、オークションギャンブルに勝利したと確信しました。 作品は全体的に紫と緑色に満ちています。 一片3トンの重さと彫刻家の作業に対応するために特別な作業板を構築しました。 それがジェダイトShan Zi に刻まれます。 彼らの知る限り、これはおそらくアジア最大のジェダイトShan ZiだとFang氏はいいます。
 
また、この材料でバングルを製造すればより多くの利益が上がるとFang氏は指摘します。通常、完全な緑色や紫色のバングルは1つ数百万元(数千万円)の価値があるからです。 この巨大な原石から多数のバングルを作ることができました。 Shan Zi にした理由は、Fang氏は芸術家として一生の間に傑作を仕上げることを夢見ていました。両氏は、これがその機会かもしれないと直感したのです。

インスピレーションと題材の選択

Fang氏は同作品のチーフデザイナーです。 他2人のデザイナーと6人の熟練した彫刻家と一緒に協力すれば、おそらく5 - 6年で完成するでしょう。

デザインのインスピレーションについて尋ねられると、 Fang氏は非常に胸を躍らせました。 設計の基となる適切な題材が見つからず、この原石は2004 - 2010年の間、工場に置かれていました。 2010年、彼が上海万博に参加した時です。 中国パビリオンで、Qingming Shanghe Tu (Along the River During the Qingming Festival)(清明上河図)と呼ばれる素晴らしい3次元のダイナミックな絵画を見ました。 3次元の絵画から刺激を受けたFang氏は四会に戻ったその日に、このテーマでジェダイト原石に取り掛かる計画をしました。

顔の表情まで表している彫刻の細部
原画にはたくさんの人々が描かれているため、彫刻細部の作業が非常に複雑になる部分もある。 完成作品には、各個人の顔の表情だけではなく、着ている服や身につけている宝飾品までが細かく刻まれる。 撮影:Eric Welch ©GIA 提供:Jingyu Mantang ジェダイト ワークショップ
オリジナルの絵画、Along the River During the Qingming Festival(清明上河図)は、北宋時代の画家Zhang Zeduanによって描かれました。 絵画のサイズは、長さ528cm、高さ24.8cmです。 北宋時代の首都 Bianjing(開封市)の活気ある町の生活場面が描かれています。 960-1279年までの間、中国は世界で最も発展し、かつ繁栄した国でした。 Fang氏は、愛するジェダイト原石に中国の歴史上最も繁栄した時代を表現することに夢中になりました。 オリジナルの絵画はこのジェダイトには長すぎたので、最も目を引く部分を使用することにしました。 主要場面の2つは、町の門と橋です。

訪問チームは、ジェダイトに描かれた鉛筆のスケッチと既に彫刻された部分を見せてもらいました。 Fang氏は、絵画が彫刻される原石の背面も見せてくれました。

工場の隣室では、同じ原石材料から作られた3つの神々であるFu、Lu、Shou(福、禄、寿)の彫刻が進んでいました。 第1回目の鉛筆描きのスケッチが終了しました。 Fang 氏はジェダイトの色分布が非常に複雑で、1cm未満に変化があるので、作業が進むにつれて所々デザインが変更される可能性があることを指摘しました。

中国市場についてのカカの理解
次にロドリゲスは、過剰な部分をトリミングし、ラフを通じて切断しました。 これらの珍しい石は一度は王族や裕福層のために確保されましたが、今日ではより幅広く広がった宝石市場でますます普及しています」とも言及しました。 写真撮影:エリック·ウェルチ、©GIA、提供:Batar Jewelry Company
中国文化では、Fu (福)は幸福と幸運の神で、Lu(禄)は幸運と社会階級の神で、Shou(寿)は長寿の神です。 3つの神の装飾は至る所で見られ、陶磁器や木材など多様な材料で作られています。 昔は、異なる形や素材からなる3神は殆どの家庭にありました。 しかし、Fang氏によるとこの大きさの神々の彫刻は非常にまれです。 また、材料は異常なほど高品質です。 これも彼が主要な彫刻と平行で作業している、夢のプロジェクトです。

ジェダイト原石に描かれた中国の神、「Lu」のスケッチ近接写真
神の一つ、Luは、幸運と社会階級の高さの象徴である。 スケッチには、完成品に組み込まれる予定の詳細がたくさん描かれている。 写真:Eric Welch、©GIA、協力:Jingyu Mantang Jadeite workshop

ジェダイト専門彫刻家

Fang氏のフルネームはXingchun Fangです。 彼は1975年、木材彫刻で有名な福建省Putian(ホ田市)に生まれました。 Fang氏は幼い頃に木彫りを学び始めました。 これは芸術に対する強固な基盤を作り、後にジェダイト彫刻の世界に彼を導きました。

1992年、Fang氏が17歳の時にSihui(四会市)に着きました。 彼は数多くの工場で働き、ジェダイト彫刻の経験を積みました。 ジェダイトの研磨技術と簡単な彫刻技術を、毎日練習しました。 多くの作業員は仕事があまりにも退屈で去りましたが、Fang氏は工場に残った数少ない作業員の一人でした。

そして1年ほど経ってから、販売店向けに小型ペンダントを彫刻する小さな会社を設立しました。 小型ペンダントは当時、市場の主流製品でしたが、それはFang氏が芸術家として作りたいものではなかったのです。 ついには、小規模な3次元のShan Zi 彫刻を作らせてもらうよう販売店を説得しました。 その製品の取引で販売店はかなりの利益を得ました。 それにより多くの販売店からFang氏に大きなジェダイト彫刻の作成依頼が舞い込みました。

事業が成長するに伴い、Fang氏は次第に自身でジェダイト原石を購入する購買力を得ました。 浮き沈みを経験した後、最終的に事業は軌道に乗り、 2003年には、Mazu(媽祖)のZheng氏と共同制作を始めました。 Fang氏はデザインを担当しました。 Fang氏とMazu(媽祖社)との共同作品は数々の賞を受賞し、Mazu(媽祖)はSihui(四会市)で一流ジェダイトの彫刻会社として名声と地位を獲得しました。

ジェダイトの彫刻アーティスト、Xingchun Fangと製作中の作品
Fangが、GIAの者に進行中のプロジェクトを説明している。 写真:Eric Welch、© GIA、協力:Jingyu Mantang ジェダイトワークショップ
Fang氏は自身の会社を設立するためにMazu(媽祖)を離れましたが、Jingyu Mantang氏とZheng氏との友情は続きました。 Fang氏は次の夢に向かっています:彼の会社を高級ジェダイト彫刻の博物館にし、全国から優秀な熟練彫刻家を集め一緒に制作することです。

若くして成功したジェダイト彫刻アーティストとして、Fang氏は常に偉大なジェダイト彫刻家になることを夢みてきました。そしてジェダイトと同じように人も強い特性を有するべきであると考えてきました。 また、彼とジェダイト、彼と同じ興味と情熱を共有する友人らとの間に神秘的な繋がりがあると信じています。

Dr. Tao Hsuは Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。 Andrew Lucasは、カールズバッドでフィールド宝石学の教育マネジャーを務めています。

著者は、Sihui(四会)滞在中に受けたWenshui Zheng氏とXingchun Fang氏のご協力とご支援に対し心より感謝しております。 また、地域産業リーダーのご紹介や、交通手段のご提供など、著者は、Guangdong Gemstones & Precious Metals Testing CenterのShumin Cao氏とQinghong Guo氏のご協力に心より感謝しております。 特に、Guangzhou(広州)で通訳を務めてくれたGuangzhou Jewelry Chamber of Commerce(広州ジュエリー商工会議所)のKiki Ho氏に感謝いたします。