周大福(Chow Tai Fook)への訪問
中国の佛山にあるダイヤモンドカット工場


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周大福(Chow Tai Fook)は、生産から小売まで垂直的に統合された宝石会社。 その価値連鎖の中に、最先端技術のダイヤモンドカットがある。 写真:Pedro Padua(ペドロ パドゥア), © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
周大福ジュエリーグループ有限会社(Chow Tai Fook Jewellery Group Limited)は、中国最大の宝石小売業者であると広く認められています。 不動産開発、ホテルとカジノ、交通、港、電気通信事業にも手を広げている、香港に本社を置く多角経営会社、周大福エンタープライズの一部です。

周大福ジュエリーグループ有限会社(Chow Tai Fook Jewellery Group Limited)は、2012年に74億米ドル(7兆4億円)の小売売上高で、7.3億ドル(7300億円)の利益を上げています。 同社は2011年12月以来、香港証券取引所のメインボードに上場されており、時価総額では世界最大の宝石商です。 周大福は、ハンセン中国企業株50指数とハンセン中国本土企業株100指数のメンバー企業です。

周大福宝飾品グループ有限会社は、アジアで最も有名な宝石会社の1つ。 同社の成功は世界的に知られている。
豊富な小売ネットワークに加えて、当社は原料調達、デザイン、ダイヤモンドのカット、宝飾品の製造、マーケティング、および販売を含むバリューチェーン全体を網羅しています。 その主な製品は、宝石がセットされたもの、ゴールドのジュエリー、プラチナのジュエリー、時計など、大衆市場とハイエンドの高級宝飾品です。

会社の歩み

周大福は、1929年に宝飾業界でのスタートを切りました。 1938年と1939年にそれぞれ、マカオと香港で初の小売店をオープンしました。 1956年に純度999.9のゴールドジュエリーのラインナップを発売しました。 この純度の保証は、お客様の信頼を得て忠実な顧客層を構築するのに非常に成功しました。

Foshan Yushunfu Jewellery and Diamond Company Limited(佛山ヤシュンフ ジュエリー & ダイヤモンド株式会社)は当時の同社の関連会社で、1988年に順徳で初のダイヤモンド加工・宝石製造工場を開設し、同社グループのビジネスモデルの垂直統合を強化しました。 Foshan Yushunfu(佛山ヤシュンフ)は、2011年に完全な子会社となりました。  南アフリカのヨハネスブルグにあるZlotowski’s Diamond Cutting Works (Proprietary) Ltd(ズロトウスキーズ ダイヤモンドカッティングワークス(土地興業)社)も、2011年に子会社となりました。

周大福は、同社のカット工場や小売店に供給するダイヤモンド原石の複数のルートを確保しています。 1993年、同社はダイヤモンドトレーディングカンパニー(DTC)のサイトホルダーとしての資格を取得しました。それにより、DTCから直接ダイヤモンド原石を調達する権限を得ました。 当時すでにDTCのサイトホルダーであったZlotowski(ズロトウスキー)社が加わったことにより、その地位を強化しました。 周大福は2009年には、Rio Tinto Diamonds(リオ ティント ダイヤモンド)の限定ダイヤモンド商になりました。 2012年には、ダイヤモンド原石の供給を調達するために、周大福はロシアのAlrosa(アルロサ)社との戦略的な2年間の契約を締結しました。

また、Rio Tinto(リオティント)も、周大福の店舗で同社のアーガイル鉱山のダイヤモンドを販売促進するために周大福と提携しています。 アーガイル鉱山のRio Tinto(リオティント)の新しい地下採鉱事業は、中国の中産階級の宝石のニーズに対応する小さなダイヤモンドのかなりの量を生産する可能性を秘めています。

すべてのダイヤモンドのメーカーと同様に、周大福は、厳しいグローバル市場での生産のニーズに合わせて原石の安定供給を確保する必要があった。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
1998年、周大福は中国本土で同社初の直営店を北京にオープンしました。 2003年には深センに本社を置いて、中国本土の業務を中央管理しました。 2010年までには、加盟店と直営店を含め、中国本土で千の小売店を持つようになりました。 周大福の小売ネットワークには現在、大中華圏、シンガポール、マレーシアにある400以上の都市の1800以上の店舗が含まれています。 また、成長している電子商取引にも存在を示しています。 周大福は、2020年までに中国本土で2000のチェーン店をオープンする計画を持っています。 

2013年6月、大規模な中国全土を回る旅行中に、GIAの代表は佛山にあるChow Tai Fook diamond-cutting factory(周大福ダイヤモンドカット工場)を訪問しました。 GIAの訪問チームは、各製造エリアや工程についての詳細な説明を受けながら、非常に有益な工場ツアーをしていただきました。

周大福の工場では、GIAチームは会社のダイヤモンド製造事業に関係する各部署の作業を詳細にわたり記録した。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.

ソーティング、プランニング、マーキング

ツアーはソーティング、プランニング、マーキングを行う部屋からスタートしました。 入荷したダイヤモンド原石はすべてこの部屋に届き、形状、サイズ、クラリティ、カラーにより仕分けされます。 ソーティングの後、原石ダイヤモンドの「カット」のプランニングが行われ、原石にマークが付けられます。 この工程は、 Helium M Box、Sarin Galaxy 1000、その他のSarin製の光学測定機器やマーキング機器類を利用して行われますが、従来の手作業によるマーキングも行われます。

今日では、光学機器がダイヤモンドのカットのプランニングにおいて重要な役割を果たしています。
機器を使うことによって、手作業でマークを付けるよりも、よりまっすぐなラインをより正確に引け、精密に原石をマーキングすることができます。 角度が1度でも違うと、1%の重量差が生じ、価格においてかなりの違いが生まれます。 これは、今日のダイヤモンドの厳しい利益率と近代的な工場から出荷される大量のダイヤモンドを考慮すると、非常に重要な点です。

インクルージョンのためにプランニングの段階で多くの注意を必要とする原石は、Helium M Boxに入れて、プランナーが顕微鏡を使用してインクルージョンの特性を詳細に検査することがよくあります。 インクルージョンを含む原石はSarin Galaxy 1000を用いても効率的に分析することができます。それにより、原石内でカット石をどのように配置するかプランを示し、多くのインクルージョンを避けることができます。

Sarin DiaMark-Zは、工場で最も一般的に使用される、光学を利用したプランニングおよびマーキング用機器で、「ノーマル商品」、つまり、SI1からIFのクラリティで標準的にソーイングが可能な形状の石に使用されます。

GIAチームはプランナーがDiaMark-Zを使用して、切断のためにダイヤモンド原石を分析してマーキングする作業を見ました。 最初のステップは、プランナーが原石の形状に基づいて最高の歩留まりと価値をもたらすダイヤモンドの形状は何かを決定することでした。 原石が長い場合、カット石の形状はおそらくペアシェイプやマーキスのようなものになります。

カット石の形状が選択された後に、カット石の大きさの最良の組合せを決定します。 ほとんどの八面体の原石では、一方のカット石が他方のカット石よりも大きくなるように、中心をはずれた部分で原石を切断します。 八面体の原石から得られる最良の形状とカットスタイルは、通常、ラウンドブリリアントです。 形状がより丸味を帯びている原石の場合は、2つの同じ大きさのダイヤモンドを製造するように切断する場合があります。

Sarin DiaMark-Zには、2つのラウンドブリリアントカット石を取るのに可能となるすべての組み合わせが即座に表示されます。価格の計算もソフトウェアに組み込まれています。 偏光器と呼ばれる簡単な機器は、偏光を利用して、原石の結晶に潜在的に破損を引き起こす歪みが含まれているかどうかを検査します。

偏光器と呼ばれる簡単な機器で、これらのダイヤモンドを、破損の原因になる可能性がある歪みがあるかどうかチェックする。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ), © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
Sarin Galaxy 1000は、多くのインクルージョンを含む、より困難な石にあるインクルージョンを、正確かつ自動的にマッピングするシステムです。 この装置は、ダイヤモンド原石の外部を走査してその寸法を記録します。 インクルージョンのマッピングは装置内で実行されるので、場合によってはインクルージョンをはっきりと見ることがむずかしくなります。 これは非常に細かいフェザーのエッジの場合に特に当てはまります。 しかし、Galaxy 1000は、大きな石によく使用されるHelium M Boxよりもはるかに高速です。

Sarin Galaxy 1000は、原石のダイヤモンドのインクルージョンをマッピングするための高速かつ効率的なシステムだ。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ), © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
GIAチームは、Sarin Galaxy 1000システムを使用して、困難な原石のプランニングを行う様子を見ました。 この機器は、すべてのインクルージョンをプロットし、そしてインクルージョンの大部分を排除して高度なクラリティ、より価値の高いダイヤモンドを生産しながら、石のどこからラウンドブリリアントを切り出すことができるかを示しました。 機器は、 I1からI3のクラリティグレードのインクルージョンを避けながら、原石から3個の石を切り出すことができると判断しました。 この機器は、原石内のすべてのインクルージョンを識別した後、プランニングのためにコンピュータモデルを表示しました。

この複雑な原石は、Sarin Galaxy 1000を用いて分析した。 結果は、価格をかなり低下させることになるインクルージョンを回避しながら、3個のダイヤモンドを得ることができることを示した。 写真:Pedro Padua(ペドロ パドゥア)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
原石のダイヤモンドはGalaxy 1000の内部で液体中に浸漬されることにより、透明に近く見えるようになり、インクルージョンがより正確に鑑別やマッピングできるようになります。 原石のダイヤモンドは白色で表示され、インクルージョンは暗く際立って、その位置と形状が分かりやすくなっています。 走査が完了すると、ファイルはコンピュータに転送され、すべてのインクルージョンは3Dモデルにプロットされます。 このモデルは同社のサーバーに保存されるため、ダイヤモンドのマーキング担当者はファイルを開いてダイヤモンドのカットをプランニングすることができます。

Sarin Galaxy 1000は、インクルージョンをマッピングすることにより原石の準備の一助となる。
Helium M Boxは、スキャナや顕微鏡と連動します。 まず、スキャナは原石の輪郭のマッピングを行います。 次に、原石は顕微鏡下に置かれて、インクルージョンがコンピュータを使ってプロットして入力されます。 その時点でシステムは、カット石のインクルージョンと潜在的なクラリティのグレードを考慮にいれて、カットを計画することができます。

顕微鏡の倍率は150X以上に達することができます。 プロセスには時間がかかり、1つの原石に2~3時間かかりますが、利点は、強力な顕微鏡を使用することで非常に正確になり、より多くのオプションが得られ、カット石のクラリティを改良し、最終的にその価値を向上することができることです。 チームは、この機器が、フェザーを除去して1つの石についてクラリティグレードを向上させながら、ある原石から5カラットのラウンドブリリアントと4カラットのラウンドブリリアントを石取りするよう示すのを見ました。

Helium M Boxでは、強力な顕微鏡をスキャナと一緒に使用し、インクルージョンの位置を突き止めて示す。 写真:Eric Welch(エリック ェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
Helium M Boxでは、非常に強力な顕微鏡を使用して、原石のインクルージョンをかなりの詳細にわたってマッピングします。 この機器では、細かいフェザーやピンポイントのようなマッピングすることが困難なインクルージョンでさえも簡単に検出できます。 Helium M Boxは、より大きな石を分析するためによく使用されています。 Galaxy 1000とHelium M Boxは、チームとして機能することがよくあります。 重要な石は、初期マッピングのために Galaxy 1000にかけられます。 最終的なマッピングは、顕微鏡とHelium M Boxで行います。

技術者は、 Helium M Boxと顕微鏡を使用して、緑色で印をつけたダイヤモンド原石の表面に達するフェザーをプロットした。 写真:Pedro Padua(ペドロ パドゥア)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
プランニングとマーキング部門のツアーの最後に、同社の専門ガイドであるSimon(サイモン)が、使用されている機材、Sarin DiaMark-Z、Sarin Galaxy 1000、およびHelium M Box systemについてまとめてくれました。 Sarin DiaMark-Zは、高速で使いやすく、かつ正確です。 一般的には、SI1以上のクラリティグレードの原石に使用されます。 この機器は、他の機器とは異なり、インクルージョンを多く含む原石を取り扱ったり、インクルージョンをマッピングしたり、または困難な原石の切断オプションを決定したりすることはできません。

ソーティング、プランニング、マーキングの後、原石の情報は周大福独自のソフトウェアシステムに入力され、それによって原石および製造プロセス全体を通じて行われる決定がすべて追跡されます。 記録される最初の情報は、原石の重量とプランニングにおけるカット石の重量です。 原石を包んでいる紙にはスキャン用のバーコードが付いており、原石が製造プロセスを経るごとにすべての情報を記録できる欄があります。 情報が入力されると、原石は次の段階であるソーイングに移動する準備完了です。

プランニングとマーキングの後、追跡のためにデータを入力することが重要となる。 写真:Pedro Padua(ペドロ パドゥア)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
周大福のソフトウェアシステムは、作業者の生産性と品質管理の追跡も行えます。 すべての生産段階で、各作業者の生産能力、すなわち1日および1週間で何個の石をこなすことができるかが記録されます。 そしてこの情報は、グラフにまとめられます。 作業者が生産基準を満たすことができない場合には、経営陣は彼らと一緒に生産性を向上させる方法を決定します。 この追跡システムは、Sarin systemにリンクされています。 給与は、生産性に直接リンクしています。

原石を2分割するソーイング

次に、GIAチームはダイヤモンド原石を2分割するためのソーイングのプロセスを観察しました。 チームが最初に観察したソーイング ステムは、 LMJ Laser Water Microjetでした。 この高度なレーザー切断工程には、熱からの破損を防止するためにダイヤモンド原石の表面を低温に保つように、水が連続的に流れるしくみが組み込まれています。 レーザビームは焦点が合わされ、切断する素材を正確に的を絞るために髪の毛ほどの細さの低圧ジェット水に導かれます。 レーザーは、実際に水を通り過ぎてダイヤモンドに到達します。 これは、従来式のドライレーザーを上回る重要な利点と考えられています。

この工場では、レーザー技術を使用してソーイングやブルーディングを行う。
ほとんどのレーザーは「V」字型のレーザーパターンでダイヤモンドを切断します。 レーザーウォーターマイクロジェットシステムでは、40ミクロ​​ンの開口部を持つ「I」字型のパターンを使用しています。 これにより、「V」型パターンよりも重量損失が少なくなります。1.5カラットを超えるダイヤモンド原石では損失が1%未満です。 LMJレーザーは古いグリーンレーザーモデルに比べると速度が2倍で、重量損失が50%ほど減少すると、サイモンは推定します。 「I」字型のレーザパターンは切り込みの上から下まで均一な開口をもたらします。 レーザーによるダイヤモンド切断において通常発生する熱い炭素蒸気は、水の流れによって排気されるので、表面はよりクリーンで滑らかになります。

周大福では、ダイヤモンドの切断にグリーンレーザーも使用します。 グリーンレーザーは、おそらくダイヤモンドのソーイングのための最も一般的なレーザです。 少ない重量損失、最小限の破損、および滑らかな切断表面のために尊重されています。 グリーンレーザーの切断マシンは、日中にカセットに入った複数のダイヤモンドを切断するようにプログラムされ、作業者が誰もいなくても一晩中動作します。

プロセスを設定するには、技術者がカセット内のすべてのダイヤモンドについて切断マークに画面を介して十字線の位置を合わせます。 その後、ダイヤモンドの寸法が機器のコンピュータの中にプログラムされ、ダイヤモンドは自動的に切断されます。

両方のシステムによるダイヤモンドの切断は、通常の午前6時から午後6時までの作業シフト中に行います。 そして、グリーンレーザが夜通し翌朝まで複数のダイヤモンドを切断するようにプログラムされます。翌朝には技術者が切り取られた石を組み合わせて適切なパーセルペーパーを作ります。

周大福では、ファンシーシェイプのダイヤモンドのほとんどについて、レーザーを用いて輪郭もカットします。 このプロセスは、ファンシーシェイプに対しては、従来のブルーティング方法より速く効率的です。

ブルーティングとコーニング

ツアーで次に訪れたのは、ブルーティング部門でした。ここでは、ソーイングの後に石の形状を丸くします。 ブルーティングマシンでは、ダイヤモンドは高速で回転しながら、ダイヤモンド砥粒と水を付着させた平らな表面のホイールに当てられます。 水が摩擦から生じる熱の温度を下げて、ダイヤモンドの損傷の可能性を軽減します。 1カラットの石で、ガードルをブルーティングおよびポリッシング(研磨)して形成するのに約10分かかります。 このプロセスは、0.50カラットのダイヤモンドで約6~7分、2カラットのダイヤモンドでは12~13分かかります。

ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドは、ダイヤモンド砥粒と流水でコーティングされた回転盤に当ててブルーティングされます。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
レーザーはファンシーシェイプを形成するのに効率的ですが、周大福では、ラウンドブリリアントカットのダイヤモンドのブルーティングにはレーザーを使用しません。 速度はダイヤモンド砥粒でのブルーティングとほぼ同じですが、レーザーによるブルーティングでは石の損傷のリスクが高くなります。

ブルーティングとコーニングにより、ガードルとパビリオンの基本的な形状が形成される。
ブルーティングで丸く形成するのを見学した後、パビリオンを形成するために使用される同様なプロセスである、コーニングと呼ばれる加工の部門を訪れました。 このプロセスは、従来のブロッキングよりもはるかに高速です。

目的のパビリオン角度が赤い線で描かれます。 パビリオンのブルーティングでは、赤い線に到達するまでダイヤモンド原石は研磨されます。 この方法では、従来のブロッキングで3時間必要であったのに比べ、約15分でパビリオンを形成できます。 パビリオンを形成するのに必要な時間は、原石の形状に大きく依存します。 ファンシーシェイプのパビリオンは、今でも研磨ホイールでブロッキングします。

ポリッシング前の品質管理

次に、GIAチームは品質管理部門を訪問しました。ここでは、各製造段階の後にダイヤモンドを検査し、次の工程に進む前にエラーがないことを確認します。 これは大きな労働力を要する最終研磨に行く前の、特に重要な工程です。

たとえば、ブルーはDTC社、パープルはアルロサ社といったように、原石の供給者を識別するために、色の異なるパーセルペーパーが使用されており、視覚的な管理システムも作り出しています。 ここでGIAチームは、すでにパビリオンが研磨されたダイヤモンドを、ドップ(棒)につけたままでポリッシュおよびシンメトリーのためにチェックする様子を観察しました。

パーセルペーパーは供給業者を識別するために色分けされている。 写真:Pedro Padua(ペドロ パドゥア)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
パビリオンのポリッシュとシンメトリーの質を、この段階で慎重にチェックする。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.

ポリッシング(研磨)

工場のダイヤモンドポリッシング部門では、GIAチームは研磨士の集中度の高さに特に気付かされました。 世界中のダイヤモンド切削工場への訪問で、研磨士がこれほど高度かつ強烈な集中力を注いでいるのを見たことはありません。

高度なスキルと精度を実証しながら、研磨士は常にルーペで研磨具合とファセットの位置を確認していました。 研磨工程を通して、彼らはダイヤモンドをスカイフに接触させ、その後すぐにまたダイヤモンドを持ち上げてルーペで確認することを繰り返していました。 パビリオンを研磨するため、タングにはパビリオンファセットに応じた爪(クリック)が付いています。 一つのファセット面の研磨が完了するごとに、研磨士は次のパビリオンファセットへ取り掛かるため爪をクリックします。 タングのつまみにより、角度の微調整が可能になります。 研磨士は、研磨具合とファセットの位置を確認しながら、常にこのつまみを調整します。

ポリッシングの最終段階は、長くて慎重なプロセスである。
研磨の速度は、原石の形状、表面グレインの存在、クラリティの考慮事項、および完成石の形状など、いくつかの要因に依存します。 典型的な八面体の問題がない切断が可能な原石の場合、1カラットのラウンドブリリアントを製造するために、パビリオンに1時間、クラウンに約1時間で総研磨時間が約2時間かかります。

最終的な品質管理

ポリッシング後、すべてのダイヤモンドは、最終的な品質管理のためにグレーディング部門に送られます。 カットは、グレーディングされる最初の品質要因です。 30ポイント以上の石はすべて、顕微鏡でグレーディングされます。 このサイズの石はグレーディングレポートのために宝石ラボに送られるので、それらのダイヤモンドが工場を離れる前に、ポリッシュおよびシンメトリーを慎重に確認することが不可欠です。 周大福では、彼らが受け取るレポートのカットグレードが、自分達の基準や顧客の要件に確実に見合うものとしたいと考えています。

30ポイント以上のダイヤモンドは顕微鏡でカットのグレーディングを行う。 30ポイント未満の石の場合、グレーダーはルーペを使用します。 写真:Eric Welch(エリック ウェルチ)、 © GIA、提供:Chow Tai Fook, Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co.
より小さい石の場合、グレーディングはルーペを使って行ないます。 グレーダーは、一般的なオーバーヘッド型の昼光色と同等の蛍光灯と、白のパッドを使用します。 彼らは品質により、または表に傷があったり研磨痕が残っていたりして再加工が必要な事項別に、ダイヤモンドを山分けします。

カットグレーディングの後は、ダイヤモンドはカラーをグレーディングされます。 グレーダーは昼光と同等の蛍光灯のオーバーヘッドライト、折り目のついた白いカード、およびマスターストーンを使用します。 周大福では、グレーダーの目による正確性がグレーディングマシンよりも好まれています。 断然、グレーダーのほとんどが女性です。 周大福では、グレーディングに関しては女性の方がより忍耐強く、集中力があり、細かい点に気が付き、かつ正確である傾向があることに気付きました。

ポリッシング後、すべてのダイヤモンドはグレーディング部門に移される。
グレーディングの最後は、クラリティです。 カットグレーディングと同様に、30ポイント以上の石では、顕微鏡を用いてクラリティのグレーディングが行われます。 より小さい石はルーペでグレーディングされます。 30ポイント未満の石の場合、クラリティグレーディングの分類はより区切りが広く、細かく別れてはいません。 これらのダイヤモンドをVVS、VS、SI、およびIグレードにグレーディングして、それらをさらにVVS1やVVS2に細分類することはしません。 これらの石のクラリティのグレーディングはとても速く、グレーダーがピンセットで石のガードルを挟み、クラウンファセット、次にパビリオンファセットと、素早く一見して行います。

おわりに

佛山を含む中国のPanyu地域は、宝石のカットと宝飾品の製造業の中心として世界中に知られており、それには正当な理由があります。 いくつかの要因がこの地域の産業の成功に貢献しています。 中国では、チャイナカットと呼ばれるキャンペーンで国のダイヤモンドカット工場の高品質を売りにしています。

人件費はアントワープ、ベルギーなどの地域より低いものの、周大福では研磨士はインドのスーラットの研磨士に比べて45%高い収入を稼いでいること、およびその人件費が年に約15%上昇していると報告しています。 周大福は、カットの質を高基準に維持し、世界的に最高品質のカットを販売しています。

このような注意深いプロセスと非常に多くの献身的な熟練労働者がいることから、周大福がそのダイヤモンドカットの専門性で世界的に知られているのは不思議ではありません。

Tao Hsu(タオ スー)博士は、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。 Andrew Lucas(アンドリュー ルーカス)は、GIAカールスバッドのコンテンツ戦略でフィールドジェモロジィのマネージャーを務めています。

著者らは、中国の佛山にあるChow Tai Fook(周大福)、Yueshun Fook Jewellery and Diamond Co、 中国のダイヤモンドカット工場に感謝したいと思います。 私たちの訪問中、Simon Hui(サイモン ホイ)とAlex Lo(アレックス ロー)は、非常に有益な工場見学を許可してくれました。 私達の工場見学を準備してくれたことに対して、Gems & Jewelry Trade Association of China (GAC)の副社長であるNali Sha(ナリ シャ)、National Gems & Jewelry Technology Administrative Center (NGTC)のShenzhenラボのディレクターであるTing Ding(ティン ディン)、周大福のYuan Yang Cai (ヤン ヤン カイ)に、特別に感謝します。 また、私達のチームのために地上交通機関を手配してくれたQingyuan Yu に非常に感謝しています。