中国の広東省にあるジェダイトの生産と取引の中心地
8月 14, 2014
広州と掲陽
広州は1660年代以来、ジェダイト取引の中心地です。 1880年台頃には、この主要な港湾都市にある労働部門は、原石の取引、カッティング、完成品の販売を行う特定のグループの人たちにより確立されていました。掲陽市にある楊梅村は、「中国のジェード·キャピタル」および「アジアのジェード·キャピタル」を誇っています。高品質から標準品質のジェダイト製品の製造と取引に特化しており、90%をここで扱っています。
四会
四会はジェダイトの製造と取引で世界的にも有名です。 この市単独でも、20万人以上の人がジェダイト業界で働いています。 四会に訪問中、お店だけでなく彫刻メーカやジュエリーメーカーを観察しました。 また、Sihui Jade Trade Association(四会翡翠貿易協会)の事務局長Tang Xiaodongにインタビューをしました。中国のジェダイト産業は清朝時代の西太后の治世下(1861年-1908年)に発達しました。 その時代、四会の職人が多く集まり、広州を中心にジェダイト彫刻が発達しました。 1980年代に経済改革が実施された後、多くの職人が四会に戻り、ジェダイト彫刻協同組合を結成しました。その結果、将来の世代までジェダイト取引が受け継がれ、地域が繁栄することになりました。 2005年以降、四会のジェダイト業界は急速に発展し、現在では例年1,000億元以上の売上を達成しています。
坪洲
坪洲では1980年の始めに近代的なジェダイト産業が始まり、2000年以降、急速に発展しました。 四会と同様、その成長は2005年以降、特にここ数年で加速しました。 10年前には1,000店舗だったのが、現在では3,000店舗以上存在します。 坪洲のジェード·ストリートに約100の製造企業が軒を連ね、掲陽と四会の商人が存在感を確立しています。 坪洲にある大型ジェダイト取引センターはCui Bao Yuan(「貴重なジェダイトで溢れた庭」)と呼ばれています。 建物は、取引と観光の両方を目的に設計されました。 雲南省の商人が、ダリの古代都市に似せて建てたものです。 このセンターは、偉大な彫刻職人の作品を展示するために造られた特別な庭園を特徴としています。坪洲Gemstone & Jade Association(ジェムストーン&ジェード協会)は2001年に設立されました。 協会は会員の利益を保護し、業界を管理しています。 協会は2003年にミャンマージェダイト入札フェアを行い、中国とビルマのトレーダーが公に取引を行うことができる場を確立しました。
ジェダイトバングル工場
坪洲はジェダイトバングル製造と取引の有名な拠点です。 滞在中、バングルブレスレットの専門生産工場を訪問しました。 過去8年間で、工場面積は10平方メートルから2000平方メートル以上に拡大しました。 そこでは製造工程全体を見学しました。まず、ジェダイトの巨礫からフラットスラブが切断されます。 種々のブレスレットサイズのアウトラインがジェダイトスラブの上に描かれます。 ボール盤で大方のラウンド形状をカットします。 ジェダイトディスクが形成されると、次に小さな丸のこビットでバングルの内径をくり抜きます。 工場労働者は様々なサイズの丸のこビットを使用して様々な手首サイズに合わせて内径を形成します。
この時点で、大方の形から丸みを帯びたトップと彫刻など様々なバングルブレスレットのスタイルが作成されます。 バングルにフラクチャーが見つかると価値を下げるため、それを薄く削る場合もあります。 バングルの形状およびスタイルが完了すると、研磨が行われます。
ジェダイト評価
坪洲におけるインタビューの中で、坪洲Jewelry and Jade Association(ジュエリーとジェード協会)の会長Liang Huanglin氏は、協会と業界の説明を行いました。 また、ジェダイト製品の評価や広深ジェード小物の重要性について議論しました。 「Guangshen(広深)」は彫刻をする前のジェダイトを指しますが、滑らかな高光沢面を有しています。 坪洲は高品質なGuangshen(広深)のバングルや小物で有名です。Liang氏は、西洋人には理解し難いかもしれないジェードの品質特性について話すことにより、評価プロセスと品質要因の説明を行いました。 それは 「Zhong(忠)」と呼ばれ、ジェダイトの作品の形成が完成したことを意味しています。 さらに形成が行われたジェダイトの品質はより高くなる傾向にあります。 「Shuitou(水頭)」は透明性を指し、「shuiduan」および「shuichang」(高い透明度)の間で分けられます。
質感も品質要因です。細かい質感であるほど高品質になります。 きめの細かいジェダイトは、一般的に充分な研磨加工することで高光沢を呈します。
Liang氏によると、最も高価なジェダイトの色は緑、続いて紫、無色、黄、赤です。 ジェダイトの価値は、透明性と色が相互に直接影響を与えます。 これは、20 - 30代の女性を中心に人気急上昇となった無色ジェダイトについては特に言えることです。 無色やほぼ透明色のジェダイトは、Huanglin氏が業界に入った1991年には、1キロあたり僅か3万元(約595,988円)でした。 これが2010年、1キロ当たり1000万元(約19,866万円)の最高値に達しました。 カラーゾーニングもパターンや色に応じて著しくジェダイトの価値を左右します。
外側から中を見る
西洋には殆ど知られていませんが、中国ジェード市場は好況産業の一つです。 時には劇的な浮き沈みがありましたが、長期的に見れば継続的に上昇しています。 そこには独自の言語、評価基準、複雑性、専門が存在します。 この業界は、カラージェムストーン市場とは異なり、他の宝石とは違うジェダイトを通して特別な文化の絆を共有する中国人に焦点を当てた特有な隙間市場です。
著者について
Tao Hsu 博士は Gems & Gemology(宝石と宝石学)の技術編集者です。 Andrew Lucasは、GIAカールズバッドでフィールド宝石学の教育マネジャーを務めています。
謝辞
地域産業リーダーへのご紹介や、一行がSihui(四会)や Pingzhou(坪洲)を訪問する際の交通手段の手配など、著者は、Guangdong Gemstones & Precious Metals Testing CenterのShumin Cao氏とMr. Qinghong Guo氏のご協力に心より感謝しております。 また、Mazu Jade(馬祖翡翠)のYutian Shanfang氏、Hanwuyuting氏にはこの記事の材料をご提供いただき感謝いたします。 特に、Pingzhou(広州)で通訳を務めていただいたGuangzhou Jewelry Chamber of Commerce(広州ジュエリー商工会議所)のKiki Ho氏に感謝申し上げます。