同窓会スポットライト

30年間海兵隊に務めた退役軍人が、フィールドジェモロジストになる夢を果たす


Diazはジャングルような土地を移動するときはバックパックを背負いながら身を低くする必要があります。 未踏の土地に行くときは、保護のためにブーツを履いて、手袋を着用します。
退役上級特務曹長でGGのManuel Diazは「世界中のジャングルのような環境」で得た豊かな経験が、フィールドジェモロジィの現場の厳しさにも対応するための役に立っていると話す。 ベトナムでCung Truoiスピネル鉱山の崖を登りながら、Diazはジャングルに覆われたカルストを横断する。 Diazは独立の宝石鑑別士で、2015年の春、GIAバンコクチームのフィールド遠征に参加した。 写真:Vincent Pardieu/GIA

マダガスカルのジャングルを探検していても、サンディエゴ郡の河川敷を探索していても、ニックネームでマニーと呼ばれるManuel Diazは、夢のような人生を送っていると言います。

彼の夢とはこれです。Diazは米国海兵隊に30年以上勤め、その間、20回も派遣された経験があり、引退後は長年の目標だったGIAのグラジュエイトジェモロジストのディプロマを取得し、独立フィールドジェモロジストとして働き始めたのです。

Diazにとって宝石や宝飾品の業界は単なる職業ではなく、まるで18歳の海兵隊員として自分を受け入れて指導してくれる家族のようなものです。  

「最初の海外任務で、私は保養休暇中に、オーストラリアのオパールを扱う宝石ブローカーに紹介されました。 親しみやすい方で、質問に気軽に答えてくれ、”鉱山から市場まで”と言う概念を私に初めて教えてくれ、その他にも様々なことを教えてくれました。 私は世界中のブローカー、鉱山労働者、カット技師、宝石商と親しくなり、バーレーン王室ご用達の真珠養殖の真珠採りの作業員とも仲良くなりました。」とDiazは語ります。

アメリカ国旗のついた迷彩服を着たDiazと13人の海兵隊員。
後列左から三番目のManuel Diazは、米国海兵隊に務めた30年以上の間に、20回も派遣先に赴いた経験がある。 2014年に海兵隊を退役直後、GIAグラジュエイトジェモロジストのディプロマを取得。写真はDiaz最後の配属となったアフガニスタンより。 写真提供:Manuel Diaz

Diazは軍と遠征するたびに、志を同じくするたくさんの宝石愛好家に会いました。 1987年にフィリピンに駐留しながら、宝石や鉱物に関して正規の教育を受ける方法を調べ始めました。

「参考書でGIAのことを読み、自分が海兵隊を退役したときは、彼らが提供するすべてのコースを受講することを誓ったのです」と彼は言いました。

Diazが宝石、鉱物およびサプライチェーンの実用的な知識を得ると、彼の情報が、軍事作戦にも有用であることが判明しました。 ある戦闘のために配備された場所では、いかに海兵隊が近くの大理石の採石場で起こる紛争を減らすことができるか、Diazが調査し助言するよう要請を受けたのです。 敵対勢力が採石場を奪い取り、収入や貿易による収益を正規の所有者から盗んでいたのです。

「ある人は、採石場を空から砲撃するようにとすぐさま言いました」と、Diazは述べます。 「しかし、採鉱について経験と知識を持つ私は、より長けたアプローチがあるのではと、その案を抑えたのです。 採石場はすぐに操業を開始し、採石場からの利益を搾取できないよう、敵対勢力を阻止しました。 それにより、敵対勢力の収益を低減し、先住民の収入を増加しました。」

Diazはまた、保養休暇中に探索に行くとき、仲間の海兵隊員も一緒に行きたがっていることに気づきました。

「旅行には10-20人を連れて行き、宝石について教えたり、彼らが個人的に購入するときに手伝ったりしたこともありました」と彼は言います。

正装用の軍服を着たManuel Diazが、マイクを持って引退式で群衆に話している。 アメリカの国旗と米国 海兵隊の旗が、他の旗や海兵隊員たちと一緒に後方に写っている。
2014年に行われたペンドルトンの海兵隊基地キャンプの退役式で群衆に向かって話すManuel Diaz。彼のキャリア転換について家族は誰も驚かなかったと言う。 彼が海外に配属されたとき、休日は、現地の宝石や宝飾品業界について調査したり学習するのに費やしていた。 写真提供:Manuel Diaz

Diazが2014年にペンドルトンの海兵隊ベースキャンプの第一海兵隊遠征軍上級曹長を引退したとき、そこはGIAの世界本社があるカールスバッドから車でわずか20分の場所でした。 彼は復員軍人援護法を使うことができ、 オンラインとキャンパスですぐに勉強を始め、同年末には、AJP、グラジュエイトパール、グラジュエイトジェモロジストのディプロマを取得しました。

Diazが学生のとき、バンコクに拠点をおくフィールドジェモロジストであるVincent Pardieuの講義に出席し、クラスの後、話をしに行きました。 やがてDiaz独立のフィールドジェモロジストとして最初の遠征に出て、GIAチームと一緒にベトナムに行ったのでした。 またDiazは、遠征の際の工学や、国際安全対策、緊急時の対応管理、軍事特殊業務などの経験が豊富だったので、 (米国国務省に務め、ギリシャのアテネやエチオピアのアディスアババの領事館や大使館の警備員支隊司令官として務めた経験を含めて)、フィールド遠征の厳しい環境にも対応する準備ができていたのです。

「私は遠征のために荷物をまとめたり、個人的に用具を準備するスキルを30年間磨いていたのです」と彼は言います。 「海兵隊では、軍事配属のための準備と実行の最高の経験と知識が学べます。 私たちの考え方は異なっており、人生を変えるような経験を生き抜いていない人には未知のことでしょう。

「私にとって目新しいものはない、と言っているわけではありません。でも場所や時間に関係無く、自分はいつでも準備万端なのです」と、マスター・スキューバダイバーのライセンスも持っているDiazは話します。 マダガスカルの「ルビーラッシュ」の遠征では、そこの状況には慣れていました。マダガスカルを訪れたのは初めてではなかったし、世界中のジャングルを歩いた経験が豊富にあったからです。」

ベトナムの宝石市場で宝石を見ながら、二人の女性と話すManuel。 3人は山分けされた宝石が乗った小さな木のテーブルの周りに腰かけている。
「己を知り、己の改善に務めること - 誰もあなたのためにはしてくれません」と、フィールドジェモロジストのManuel Diazは言う。写真はベトナムのYên Thế, Lục Yên、Yên Báiの朝の宝石市場から。 軍で30年以上のキャリアを積んだ後、Diazは宝石や宝飾品業界に携わるという長年の夢を追いかけた。 写真:Vincent Pardieu/GIA

経験が浅い人なら怖気てしまう過酷な地形や、敵対的な人たちや、命が危うい状況などでも、その準備万端な姿勢でもって、Diazは関係者にだけフォーカスすることができるのです。

「海兵隊のように、一緒にいる人や周りにいる人が大切なのです」と彼は言います。 「私にとって、フィールドジェモロジィで素晴らしいのは、出会う人々です。 宝石を見つけることが鍵となりますが、周りの人々を通して見つけるのです。それが私がそこにいる理由なのです。」

Diazは北サンディエゴ郡に家族と住んでおり、Fallbrook Gem and Mineral Society(フォールブルック・ジェム・アンド・ミネラル・ソサエティ)のガイドとしてボランティアも務め、近隣地区で宝石を探索をする個人を助けています。

「もしある家族が特定の種類のクォーツを探していたり、展示会や市場を探ってみたいというコレクターがいたり、若いカップルが宝石や宝飾品の買い物をするのでレッスンを望んでいたりするようなとき、私の出番です」と彼は言います。 「私の顧客のニーズや情熱に答えるのが一番重要なことなのです。」

Diazは、GIAで過ごした時間と、彼の家族のようになった「献身的」な教職員とスタッフのおかげで、何十年も抱いていたプロになる夢への扉が開かれたと言います。 彼は他の退役軍人たちに宝石や宝飾業界を考えるよう勧め、軍を退役した後の生活を見つける手助けをしています。

「私は幾人かをGIAに勧誘しましたよ」と彼は言います。 「復員軍人援護法を使って GIAの教育を受けれたことは素晴らしいことで、その経験に値段は付けることはできません。」

Manuel Diazがブルースピネルを目の前で見ているようすをクローズアップ。
Manuel Diazは、ベトナムではブルースピネルについて勉強し、GIAでの訓練が顧客と交渉する際に役立ったと言う。 「色をこれまで明確に説明できることは、鑑定に役立つだけでなく、特定の色相や彩度の宝石を探している顧客に説明する際にも有用です」と彼は言う。 写真提供:Lucie Martinez/GIA

Diazの弟Ramonも退役軍人で、彼も30年間海兵隊に務め上級曹長として引退しました。 Ramon Diazは2015年に、GIAからグラジュエイトジュエラー(GJ)のディプロマを取得し、2016年には宝石デザインと技術のディプロマを取得しました。

兄弟は、フィールドにしても、宝石の購入を学ぶ人を助けるにしても、将来一緒に働くことを考えています。 しかし、Diazにとって確かなことがあります。

「私は発見するためにこれをやっているのです」と彼は言います。 「お金や名声ではありません。 発見なのです。」

寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIAアクレディテッドジュエリープロフェッショナルで、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めました。