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夏のように燃える赤い宝石


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「クリムゾン・プリンス・ルビー」は、ビルマ(ミャンマー)のモゴックで産出された3.22ctの非加熱ルビーである。提供:バンコク Primagem(プリマジェム)のJeffery Bergman  写真撮影:Robert Weldon/GIA

赤ほど多くのエネルギー、動き、感情、興奮を思い起こさせる色はありません。赤という色は、速いスピードで走る車の動力、真紅のバラの情熱や夏の夕日の誘惑を連想させます。 

威厳がある赤い宝石

初期の文明では、命の源である血液の色に似ているためルビーは貴重な宝石とされていました。宝石・ジュエリー業界において「鳩の血」と呼ばれる、時にはわずかに紫色を伴う真紅は、ルビーで最も貴重とされる色です。ルビーほど国王、女王、支配者、権力者、上流階級によって財宝として大事に扱われてきたカラー宝石は、他にはないでしょう。今日でも、上質なルビーは依然として数少ない贅沢品の一つです。

私たちはなぜルビーに惹かれるのでしょうか。初期の文明で考えらていたようにルビーには神秘的な素質またはパワーがあるのでしょうか。科学的に説明すると、クロムが多くそして鉄分が少なく含まれており、それが赤い色を作り、ルビーの控えめな魅力を生み出します。クロムは、紫外線の下で見たときに宝石が蛍光を発する原因でもあります。自然光の下では、高品質のルビーが発する蛍光は、まるで砂漠の高速道路に見られる陽炎を彷彿させるように、非常に魅惑的で奥に潜んだ輝きを作り出します。

国王や皇帝が愛した赤いスピネルには長く輝かしい歴史があります。実際のところ、多くの有名な「ルビー」は赤いスピネルでした。これら2つの宝石の外観がいかによく似ているかということを表しています。1000年から1900年までの時代の宝飾品に見られる赤い宝石の多くが、現在アフガニスタンとして知られている場所で採鉱されたスピネルです。これらは、宝石が発見されたアフガニスタンのBadhakhshan(バダフシャーン)地域で使われているアラビア語でルビーを意味するbalakhshにちなんで「バラスルビー」と呼ばれるようになりました。天然スピネルの品質は、近年、注目を浴び出し貴重なものとなりつつあるため、市場での価値も上昇しています。

明るめのグリーンをしたストッパーが付いているルベライト(ピンク)の瓶(左)とピンクのストッパーと金のコードが付いたグリーントルマリンの瓶(右)。
これらのルベライト (ピンク) とグリーントルマリンでできた瓶は、中国の皇太后であった西太后の時代から20世紀への変わり目に中国で彫刻された。 彼女は、トルマリン、特にサンディエゴのPala(パラ)地区から産出されたピンクトルマリンをこよなく愛していた。 冷めた色調と温かみのある色調がもたらすさわやかな印象がうかがえる。 提供:Bill Larsonコレクション  写真撮影:Robert Weldon/GIA

数千年前、赤いガーネットのネックレスはエジプトのファラオの首を飾り、来世で使用される珍重の財産として死体とともに埋葬されていました。古代ローマでは、彫刻が施されたガーネットがあるシグネットリングを使って、ワックスにスタンプをして重要な書類を封印していました。また、中世(475年–1450年)の聖職者や貴族も赤いガーネットを好んでいました。この赤いガーネットは、1500年頃に中央ヨーロッパでガーネット鉱床が発見されたため、入手しやくすくなりました。「ボヘミアン ガーネット」として知られているこれらのガーネットの産出地は、1800年代後半にピークを迎えることとなった、この地域の宝石産業の中心となりました。 

ルベライトやピンク・トルマリンは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて中国の皇太后であった西太后がこよなく愛していた宝石でした。サンディエゴ郡の有名なトルマリン鉱山(トルマリン・クイーン、トルマリン・キング、スチュワート、パラ・チーフ、ヒマラヤ)で当時採鉱されたピンクからレッドのトルマリンのほとんどは中国に輸送されていました。そのうちの多くが嗅ぎ煙草入れやその他の美術品になりましたが、最高級の品質のものは宝飾品にセットされました。 

明るい灰色の背景に展示されたステップカットが施された四角形の明るいオレンジ色のサンストーン(日長石)。
このオレゴン産サンストーン(日長石)に見られる色は燃えるように輝いており、アベンチュレッセンスまたはシラーと呼ばれる激しい火花を披露している。 提供:GIAのEduard J. Gübelin博士コレクション  写真撮影:Robert Weldon/GIA

燃えるように赤い宝石

オレゴン東部に位置する暑くて乾燥した高地にある砂漠には、ポンデローサ鉱山、ダストデビル鉱山、サンストーン・ビュート鉱山などサンストーンの主要な産地があります。アメリカ先住民の伝説によると、矢で負傷した偉大な戦士から流れ出た血がオレゴン産サンストーンに落ちたと語られています。その血は石に彼の戦士としての精神を染みこませ、色を赤く染め、聖なる力を与えました。オレゴン州の鉱山からは、大量市場のほかに彫刻や高級ジュエリーのデザイナーに供給するのに十分なほどの原石が産出されます。

サンストーンではアベンチュレッセンスと呼ばれる現象がよく見られることがあります。アベンチュレッセンスは、平らで反射するインクルージョンによって引き起こされるきらきらする金属っぽい光沢のことで、サンストーン愛好家はこれを「シラー」と呼ぶことがよくあります。サンストーンは、地色がオレンジまたはブラウンである、マイクロクライン(微斜長石)またはオリゴクレーズ(灰曹長石)のフェルスパー(長石)のどちらかの変種です。含まれている銅の小片がオレゴン産サンストーンの色を生み出し、輝きを放つきらめきを与えています。

灰色の背景に展示された楕円形の明るいオレンジ色のファイアーオパール。

ファイアー・オパールは、地色が黄色やオレンジから赤までのくすぶった色相である、透明から半透明のオパールです(無色のファイアーオパールも発見されることがあります)。メキシコはファイアー・オパールの主要産地であり、ここで発見されたファイアー・オパールは通常強い遊色効果を示しますが、まれに遊色効果が全くないものも発見されます。産出量は少ないですが、オーストラリア、ブラジル、エチオピア、ホンジュラス、グアテマラ、ネバダ州、オレゴン州でもファイアー・オパールは産出されています。

珍しい赤い宝石

1873年に銀の産出のために発見されたコロラド州アルマにあるスウィートホーム鉱山では、世界で最高級のロードクロサイトが産出されます。ある程度の成功を収めた後、この鉱山は1967年に閉鎖しましたが、1991年から2005年に再開し、この時期には推定1億ドル(約110億円)相当のロードクロサイトを産出しました。これらの宝石は、世界中の著名な鉱物博物館や個人コレクションで所蔵されています。これまで知られる中で最大のロードクロサイト結晶であるアルマ・キングは Denver Museum of Nature and Science(デンバー自然科学博物館)、アルマ・クイーンは Houston Museum of Natural Science(ヒューストン自然科学博物館)で展示されています。 

5つの大きなチェリーレッドのロードクロサイト結晶がある鉱物標本が木製の土台に置かれている。
コロラド州アルマにあるスウィートホーム鉱山は、所有者が「チェリーレッド」と称える5つの大きいロードクロサイト結晶から成る鉱物標本、アルマ・ローズの原産地である。提供:Rice Northwest Museum of Rocks and Mineral(ライス・ノースウエスト岩石・鉱物博物館)、オレゴン州ヒルズボロ。 写真撮影:Kevin Schumacher/GIA

ビクスバイトとしても知られているレッド・ベリルは、ユタ州中央西部のワーワー山脈でのみ発見される北アメリカ産の宝石です。カットされるほとんどの試料は、1カラット未満です。このレッドべリルは現在では採鉱されていないため、稀少で歴史的な素材になりました。

ロードナイトは、ブラジルのミナスジェライス州の蒸し暑い地域や、オーストラリア、ペルー、ロシア、アメリカ合衆国で発見されます。透明なロードナイト結晶は稀少であり、1グラムを超えることはめったにありませんが、硬度が優れているため素晴らしいカット宝石を生み出すことが可能となります。ロードナイトという名称は、バラという意味のギリシャ語rhodon(ロードン)に由来します。 

明るい灰色の背景に展示された三角形のブリリアント カット ダイヤモンド。
Moussaieff Red(ムサイエフ レッド)は有名な5.11カラットのファンシーレッドダイヤモンドである。 修正が全くないレッドダイヤモンドは稀少である。 Moussaieff Red(ムサイエフ レッド)に見られる純粋な赤色と大きさが、この宝石を比類のないものとする。 提供:William Goldberg Diamond Corp. (ウィリアム・ゴールドバーグ・ダイヤモンド社) 写真撮影:Elizabeth Schrader/GIA

ターフェアイトは、1945年にアイルランドのダブリンにある宝石店でこの宝石を発見したRichard Taaffe(リチャード・ターフェ)にちなんで命名されました。これはカットおよび研磨された石から鑑定されている唯一の宝石です。ターフェが発見する以前は、その結晶の形状が似ているためほとんどのターフェアイトがスピネルとして間違えて鑑別されました。ターフェアイトは世界で最も稀少な宝石鉱物の一つです。

当初は盾に似たその形から赤い盾と呼ばれていたMoussaieff Red(ムサイエフ レッド)はコレクターにとって究極の赤い宝石です。インタ-ナルフローレスであり、息を呑むほど美しい5.11ctのファンシーレッドの天然カラーダイヤモンドです。1990年代にブラジルの農夫によって発見された13.90ctの原石は、William Goldberg Diamond Corp.(ウィリアム・ゴールドバーグ・ダイヤモンド社)によってカットされました。この稀少な赤いダイヤモンドは、Smithsonian Institution(スミソニアン協会)の展示会「The Splendor of Diamonds(ダイヤモンドの素晴らしさ)」の一部として2003年に展示されました。

これらの赤い宝石は暑い夏によく関連付けられますが、これらに対する私たちの情熱と欲望は季節を問わず絶つことはありません。

Sharon Bohannon、写真の研究とカタログ化、そして記録を行うメディア編集者。GIA GGおよびGIA AJP。Richard T. Liddicoat 宝石学図書館情報センターに勤務しています。