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12月のブルー: 喜びをもたらす誕生石のギフト


楕円形のバイカラーのタンザナイトは、両側が紫色であり、中央が青と緑である。
この30.5カラットのバイカラーのタンザナイトに見られる青と緑のカラーゾーニングは、特に顕著で見やすい。提供:Kobi Sevdermish、Advanced Quality, Ltd.(アドバンストクオリティ社) 写真撮影:Robert Weldon/GIA

大切な方に贈るギフトをお探しでしたら、3つの12月のブルーの誕生石が、その方が12月生まれでなくても、すべての方の好み、スタイル、個性にピッタリ合ったギフトとなります。楽しく学ぶために、それぞれの宝石には個性があるとしましょう。トルコ石ジルコンタンザナイトの特徴を理解し、完璧なギフトを贈るためにそれぞれの方に合う宝石を探してみます。 

トルコ石: 自然、素朴、伝統的

トルコ石の個性は、自然で素朴そして伝統的です。多くの文化において記録として残っている文明化の最も早い時代で宝飾品で使用されていました。

エジプト人は、シナイ半島で発見される緑がかった青のトルコ石を好んでいました。このトルコ石は、運が良いことに太陽や水にさらされても退色に耐久性があります。トルコ石を特徴とする良好な状態で保存されたブレスレット、胸部に飾る装飾品やスカラベは、紀元前3100年も前に古代エジプトの発掘調査で発見されました。また、考古学者は中央アメリカのマヤの貴族が永眠する遺跡でトルコ石でできた儀式用の工芸品も発見しました。

細長い楕円形のトルコ石が、ダイヤモンドに縁取りされており、ターコイズ、緑、黄色とオレンジの色のエナメル加工したシャンクで囲まれている。
重量13.48カラットを誇る、Sleeping Beauty(スリーピングビューティー)鉱山産トルコ石のカボションは、ダイヤモンドとプリカジュールが周りに飾られており、18Kゴールドにセットされている。提供:Andrew Sarosi 写真撮影:Robert Weldon/GIA

トルコ石は、ペルシャの鉱山からトルコのバザールへとシルクロードを通って旅をし、16世紀にヨーロッパで紹介されるようになりました。トルコ石の素材は、その色のため命名されたと思われがちですが、この鉱物が最初にトルコを通じてヨーロッパにもたらされたため、ペルシャの歴史的なホラーサーン州から産出されるコマドリの卵のブルーの素材が"トルコの"という意味を持つフランス語のturquoisからその名前を導きました。元来からある原産地は掘り尽くされてしまいましたが、上質のブルーのトルコ石は今日の取引において依然としてペルシアンブルーとして表記されています。

アメリカ先住民の文化では、地球が生きていると信じており、トルコ石は命のある癒しの宝石であると確信しています。アリゾナ州のスリーピングビューティ鉱山は、蜘蛛の巣のようなマトリックスのあるトルコ石を産出することで知られており、これは南西部のアメリカ先住民の宝飾品でよく見られる特徴です。
 
中国は、上質のスカイブルーのトルコ石を産出する世界の主な産出地です。トルコ石はリン酸銅を含む鉱物であり、色が不透明なブルーからグリーンであるのはこれが原因です。  シナイ半島、トルコ、中国および北米で発見されます。

マトリックスが頭部となっているトルコ石がイエローゴールドの上に置かれている。

ジルコン: 聡明、カラフルな色の変化、時には暗め

ジルコンの明るい性格は、屈折率が高いため生まれます。その結果、ジルコンは優れた輝き、光沢、ファイアーを放ちます。その特徴はダイヤモンドに似ているので、19世紀にはダイヤモンドの代わりに使用されていました。

不純物のないジルコンは無色です。この宝石に微量の鉱物があると、色が黄色、オレンジ、青、赤、茶色、緑になります。ほとんどのジルコンの原石は茶色ですが、加熱処理によって無色および青に変えることが可能です。

ブルージルコンがセットされたラウンドベゼルからぶら下がる白いドロップ型の真珠。
ブルージルコンとオーストラリア産養殖真珠が、この古典的なコンバーチブルイヤリングに飾られている。真珠をぶら下げたくない場合、取り外せるようにIlka Bahnが特別にデザインした。提供:Orasa Weldon 写真撮影:Emily Lane/GIA

ジルコンは、密度、硬度、屈折率により、ハイタイプおよびロータイプに分類されます。ロータイプ(メタミクト)のジルコンは、ウラニウムとトリウムを含有するため内部の放射線による損傷によって変造します。時間が経過するとともにジルコンの密度は減少します。また、結晶構造が損なわれるため、光沢がなくなり、沈んだ雰囲気になり、色が変化します。
 
ブルージルコンは1880年代に英国のエステートジュエリーで人気がありました。現在でも消費者の間で最も人気のある色とされています。ジルコンは、身に着ける方に知恵、名誉、富をもたらすと考えられています。

タンザナイト: 人気者、モダン、魅力的

タンザナイトは、1960年代に唯一の原産地であるアフリカのキリマンジャロ山の麓で発見された近代的な宝石です。この宝石は数々の個性を持っています。タンザナイトはその多色性により、カットする方向がその石を正面から見た時の全体の色を決定することになります。タンザナイトをある角度から見ると青く見えますが、違う角度から見ると紫色に見えることがあります。または、もっとよく見てみると、運が良ければレッドグリーン、オレンジまたは茶色などの3番目の色が見えるかもしれません。カッティングはタンザナイトが見せる色に重要な影響を与えます。これと同様に、茶色がかったゾイサイトをタンザナイトとして知られている望ましいバイオレットやブルーの色に変造するために最近行われている低熱を用いた加熱処理も色に影響を及ぼします

タンザナイトのセンターストーンは、八角形を成すダイヤモンドに囲まれている。
このタンザナイトとダイヤモンドのリングは、Michelle Loon、GIA GG より提供された。写真撮影:Kevin Schumacher/GIA

上質のタンザナイトには、「ビロードのような」と評される色の豊かさと深みがあります。ルビーエメラルドサファイアに匹敵するほど世界で最も人気のある宝石の一つとなっています。鉱物のコレクターは、色相が青、紫、緑、黄、ピンクの天然ゾイサイトの美しい結晶の標本を求め続けています。

これらの12月の誕生石について詳しく学んでいただいたので、12月もしくは年間を通していつでもギフトを選ぶのに必要な情報に基づいて誕生石をご購入していただけるでしょう。

Sharon Bohannonは、写真の研究とカタログ化、そして記録を行うメディア編集者であり、GIAよりGGおよびAJPを取得しました。Richard T. Liddicoat 宝石学図書館情報センターに勤務しています。