Pardieuがルビーラッシュに活気を与える、マダガスカルの話とアップデート
3月 11, 2016
宝石「フィンガープリント」
GIAバンコクのフィールドジェモロジィのシニアマネージャーであるVincent Pardieuら6人のチームは、ラボで長時間働きながらも、世界各地で、GIAのカラーストーン鑑別と起源レポートの参考文献コレクション用となるカラーストーンを発見、分析、そして目録化するために探しています。
Pardieuのチームが2015年7月にマダガスカルの北東にある新しく発見されたルビー鉱床について知った時、彼らはフィールド遠征を計画し、この島のザハメナ国立公園のルビーを調査して記録する仕事にかかりました。 旅のたった1ヶ月後の11月4日、PardieuとフィールドアシスタントのManuel Diazは、研究結果とつらい経験について生徒とスタッフと共有するために、GIAのカールスバッドキャンパスを訪れました。
「参考文献のコレクションを持つには、あなたがそれを作り上げる必要があります。 そしてそれを構築する最善の方法は・・・誰かをフィールドに送り、知られている全ての宝石鉱山を訪れ、サンプルを集めることです」と、Pardieuは言いました。
宝石学の研究員、ツアーガイド、そして宝石学関連のライターとして長いキャリアを持つ、GIAのグラジュエイトジェモロジスト(GG)であるPardieuは、最近の発見の前は、マダガスカルは主にサファイアが多い鉱山として知られていた、と言いました。「石がどの場所から来ているかを識別するために、私達がラボで持っている2つの最も強力なツールは、インクルージョンと微量元素化学成分です。 しかし石がきれい(または加熱処理されている)な場合は、インクルージョンは役に立ちません・・・私達は宝石からいつでも化学成分のデータを取ることができるため、化学成分はインクルージョンよりも強力です。」
2000年の東アンディラメナの「熱帯雨林の奥深く」での発見により、「ルビーを探すための地図上にマダガスカルが載りました」と、Pardieuは言いました。 鉱山夫が石があふれるほど入った袋を運んでいても(彼は「こんなにたくさんルビーのある場所をはじめて見た」と言いました)、ほとんどのものは処理なしでジュエリーとして使用するにはあまりにもフラクチャーがありすぎます。 この鉱床は2004年のリードガラス処理の発見後に、実際に活動に入りました。 この地域は、2012年に、Didy(ディディ)と呼ばれる小さな離村でサファイアとルビーが発見されるまで、石の低品質さで知られていました。
Didy(ディディ)の石は比較的きれいで、美しく、大きな物でした(「20カラット以上のルビーがあったとも聞きました」とPardieuは言いました)。 宝石ラッシュが起こりましたが、アンディラメナ付近の鉱床と違って、この鉱床は3つの国立公園の近くの保護された地域に位置していたため、採鉱は数ヶ月で停止しました。
「生産される石の品質のために、この発見が宝石取引で注目を得たとしたら、それは保護団体も気付きます。団体この国の保護された地域での採鉱に対して非常に懸念しはじめました」と、Pardieuは言いました。
彼は夏にザハメナ地域のルビーの写真をFacebookメッセージで受け取ると、すぐに遠征の計画を始めました。 このグループはPardieu、カメラマンのDidier Gruel、そしてGIAの最近の卒業生で、30年の海軍生活でジャングルでの経験を味わったことのあるDiazから成っていました。 挑戦と危険な条件もあったこの2週間の旅は、Pardieuが観客に示した劇的なビデオでご覧いただけます。
「私達はジャングルの中を歩いて、寝て、食べて、鉱山夫のいる地域に着くまで、5日間歩かなければなりませんでした」と、Pardieuは言いました。 「それから、この地域には盗賊がたくさんいるという情報を得たので、私達は警備員を一緒に連れて行かなければなりませんでした。 もし誰も一緒にいないで外国人としてそこに行っていたら、おそらく途中で襲われていたでしょう。 多くの新しい採鉱地域は、ワイルド・ワイルド・ウェストのようなものです。」
彼らが最終的にその現場に到着すると、採鉱が違法であるザハメナ国立公園の中であることに気付きました。 彼らはそこで、500から1000人の非公式の鉱山夫がハンドツールを使って探鉱しているのを目撃しました。 このような多数の人々が公園内に到着することは、マダガスカルの保護担当者たちにとって明らかに深刻な問題でした、とPardieuは言います。
「[なぜなら] 特に森林の多くが残っていないため、ザハメナなどの場所を安全に保つことは(保護団体)にとって非常に重要です」と、彼は言いました。 「島の5%以下にはまだ森林がありますが、そこの植物や動物は地球の他の場所では見られない種のため、非常にユニークです。」
彼らが見たサンプルのほとんどは暗くて不透明なものでした。
「いくつかの見栄えが良く明るい色の石もあり、そのいくつかはとても素晴らしいものでした」と、彼は言いました。 「これは少数で、おそらくこの地域での生産の1%以下でしょう。それでも非公式な鉱山夫にとっては、街で外国の商人たちが提示する値段に魅力があるため、このような遠く離れた場所に来ることも、努力の賜物でした。 私達はきれいな10カラット以上の石がいくつかあると聞きました。 この種類の石は、いつかGIAに提出される可能性があります。将来的にこれらを認識できるよう、私達は参考用サンプルを取りに行く必要がありました。」
地元のライセンスのある宝石商の助けを借りて、GIAチームは非公式な鉱山夫達から広範囲のサンプルを得ることが出来ました。 バンコクに戻り、彼らは時間を無駄にせずに、写真を撮り、目録を作り、データを集め、サンプルのための作業を始めました。
彼らはザハメナルビーの宝石フィンガープリントの検索を始めました。
「石がどの場所から来ているかを識別するために、私達がラボで持っている2つの最も強力なツールは、インクルージョンと微量元素化学成分です」と、Pardieuは言いました。 「しかし石がきれい(または加熱処理されている)な場合は、インクルージョンは役に立ちません・・・私達は宝石からいつでも化学成分のデータを取ることができるため、化学成分はインクルージョンよりも強力です。」
「それでもなお、最善の方法は、全ての技術のコンビネーションがあって、インクルージョン、化学成分、そして分光法によって同じ結果が得られた時です。 すべてがひとつの方向を指したとき、その石の起源について、かなりの自信を得られるでしょう」と、彼は言いました。
Pardieuは、15サンプルに渡る一般的なインクルージョン(未修復のフラクチャー; 長く薄い絹; ジルコン結晶; ルチルとアパタイトを含む)と微量元素化学成分の分析を終えると、将来的にラボに石が来ても、ルビーの起源を特定するラボの能力に関して気が楽になりました。
インクルージョンがその鉱床の「際立った特徴」だったと彼は言いました。 「ザハメナ地域からのルビーは識別するには非常に良い場所にあるでしょう。」
Pardieuは、アフリカでの宝石の採鉱には数々の課題と機会が見える、と言いました。
「取引で考えなければならない質問のひとつは、人々がどこへでも採鉱に行くべきか、です。明らかに、責任のあるビジネス慣行を促進することは取引に利点を与えます。」
「宝石と宝石ビジネスを良い人達と関連付けることには大きな可能性があります」と彼は言い、透明性と金融保護の努力に取り組む企業の例を挙げました。
「しかし、危険なことは、取引が何もしない時、もし違法探鉱が国立公園などの場所を脅かす場合、それは悪い人達と関連付けられます・・・それは、敵よりも味方が必要な私達の業界にとって良い知らせではありません」と彼は言いました。 「宝石が採鉱される場所を訪れるフィールドジェモロジストとして、石が採鉱される場所で何が起こっているかが重要になることは私達にとって明らかです。 このメッセージを伝えることは、この原産地からの宝石を識別できるようにサンプルを持ち帰るのと同じぐらい重要な、私達の義務だと信じています。」
筆者について
寄稿者のJaime Kautskyは、GIAダイヤモンドグラジュエイトおよびGIAアクレディテッドジュエリープロフェッショナルであり、The Loupe(ルーペ)誌の副編集長を務めていました。