QVCのホストがGGを取得、全国放送で宝石の専門知識を提供


ゲストであるジュエリーデザイナーのCarolyn Pollackと共に出演中のNancy Hornback(左)。 写真:©QVC
ゲストであるジュエリーデザイナーのCarolyn Pollackと共に出演中のNancy Hornback(左)。 写真:©QVC

ほとんどのジェモロジストは、宝石に関しての飛び交う質問に答えることには慣れていますが、全国に流れる生放送の明るい光の下でそれを行なう人は、そう多くはありません。

QVCで宝石とジュエリーを専門にした番組の人気司会者であるNancy Hornbackにとっては、毎日がテレビ放映される宝石知識の抜き打ちテストです。

GIAのグラジュエイトジェモロジストで、2009年からQVCに属しているHornbackは、次のように話しています。「私の友人や同僚は、いつも宝石についての質問を投げかけてくるし、生放送中も視聴者から多くの興味深い質問が送られてくるんですよ。 多種多様な質問を受けますね。宝石の特性や色、耐久性、歴史やフォークロア、そしてお手入れ方法などね。」

Hornbackは、QVCで司会をする各番組やビデオ、そして米国だけで1億世帯以上にリーチする電子商取引業者に関し、何時間もかけてプランニングやリサーチをします。 これらのプログラムの間、彼女は宝石やジュエリーデザインに精通した特別ゲストと放送中に話をしたり、視聴者からの質問や個人的なストーリーを電話で受け付けるということが多々あります。

「私は宝石について他の人に何か教えることができたり、たくさんの幅広い質問に答えるのがとても楽しいのです。」と彼女は言います。

「パフォーマンスするために生まれてきた」と自分を称するHornbackは、何をするにしても自分自身の準備を整えたい性格で、2014年にニューヨークのGIAでディプロマを取得してからは、カメラの前でのプレゼンテーションを支える知識ができたことにとても安心感があると語ります。

「GIAで教育を受けたことで、自信が持てるのです。 私は、同じ系統で違う特性を持つ宝石のことや、石を貴重なものに仕立てるのは何かという”ちょっとした塊”のような情報、また石の中に起きる様々に違った現象などを説明することができるのです。」

学び続けることの重要性はいくら強調しても足りないくらいです。新鮮な知識を保ち続けてください。 宝石やジュエリーに対して情熱があるなら、とにかくやってみるべきです。
Nancy Hornback

HornbackがGGの資格を取得したのは最近のことですが、彼女の宝石に対する恋物語はインディアナポリスでの子供時代にさかのぼります。 彼女の家族は、南インディアナ州付近の森や渓流でキャンプをするのが大好きで、毎年コロラド州にスキーにも出かけていました。 アウトドアで過ごすバケーションに、宝石が影響を与えることもよくありました。

「私は、ジオードを見つけて感動し、結晶化したミネラルが作り出す神秘的な色やデザインに喜びを感じたことを覚えています。」と彼女は話します。 「最初は、ただのくすんだ茶色の石だと思っても、割ってみるとカラフルなデザインが突然現れるのだから、まるでマジックみたいだった。成長しても、その感動が続いたんです。 それに、特別な時や大切な日に、私の父が母に特別な宝石のジュエリーをあげていたことも、とてもロマンティックだと思い出します。」

Hornbackは、キャリアとして音楽の道をたどり、インディアナ大学にて音楽の学士号と修士号を取得しました。 ナッシュビルにあるオプリ-ランドで歌っていた彼女はオペラ歌手を目指し、オフ・ブロードウェーの作品、ウォルトディズニーワールドの作品である「美女と野獣」のBelle役としても出演していましたが、その時声帯ポリープが見つかり、オペラ歌手になるという彼女の夢はかなわぬものとなりました。
 

「私は、ジュエリーを贈るということはとてもパーソナルな行為だと思います。そのジュエリーには意味があり、なぜそれを選んだのかというストーリーが背景にある場合は、特にそう思います。」と、両親に初めてもらったトルコ石をまだ持っているNancy Hornbackは語る。 「『このトパーズの色は君の瞳を思い出すよ』というようなシンプルな言葉を誰かが言ってくれたことで、それを身につけるたびに、その大切さや贈ってくれた人のことを思い出すでしょう。」写真:©QVC
「私は、ジュエリーを贈るということはとてもパーソナルな行為だと思います。そのジュエリーには意味があり、なぜそれを選んだのかというストーリーが背景にある場合は、特にそう思います。」と、両親に初めてもらったトルコ石をまだ持っているNancy Hornbackは語る。 「『このトパーズの色は君の瞳を思い出すよ』というようなシンプルな言葉を誰かが言ってくれたことで、それを身につけるたびに、その大切さや贈ってくれた人のことを思い出すでしょう。」写真:©QVC


彼女の次の役はミュージカルではありませんでしたが、彼女の活躍を証明するものとなりました。それは、テレビ放映にて小売販売を行なうGems TV(宝石TV)のポジションでした。まもなく、彼女は良くあるものから珍しいものまで、1日に60種類もの宝石を紹介するということを行なっていました。 彼女はすっかり宝石学の世界に熱中していました。 さらに多くを学びたいと考えたHornbackは、GIAの通信教育を利用し、Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)プログラムに入学しました。

「それによって、仕事に大きな自信を与えてくれたけれど、まさか自分が宝石学のグラジュエイトディプロマを取るなんて思ってもみなかったですね。」と彼女は語ります。

2012年のある夜にすべてが変わりました。QVCに移っていたHornbackはその日、テレビ放映に特別ゲストを招いており、そのゲストが彼女に飛び込む勇気を与えたのです。

「私はSmithsonian National Museum of Natural History(スミソニアン自然史博物館)の天然宝石コレクションにある、1万個の宝石と35万個のミネラルから刺激を受けたというジュエリーを特集するQVCの特別番組で、司会をしていました。 私のゲストは、博物館の宝石とミネラル部門におけるベテランであり、宝石鑑定士のChristine Webbでした。 ショーの後、私たちはおしゃべりをして、彼女の知識に敬服したことや、自分も宝石についてもっと深く学びたいと思ったことを話したのです。 すると彼女は、私にGGを取るように強く勧めました。 彼女は、私の中に信条があると確信して、私なら必ずできると思っていたと話してくれました。」とHornbackは語ります。

Webbの励ましに触発され、家に帰ったHornbackは午前3時に自分のコンピュータを開き、 選択肢について調べ始めました。 当初、彼女は多忙な仕事と家庭のスケジュールの中で、どうやって勉強すればいいのか悩みましたが、3つのラボクラス以外は、全て自宅で勉強すればよいことに気づき、またそのラボクラスもニューヨークのキャンパスで受講できるというものでした。

「私はすぐに行動に起こしました。」と彼女は言います。 「私は、宝石やジュエリーデザインの業界、そして採鉱の工程はどのように始まるのかといったことについて深く掘り下げて学習することが大好きでした。 私は、石がどのように形成されるのか、そして特定の色や特性を示す微量元素について学び、魅了されました。 それは本当に楽しかったです。また、天然石から合成石を見分ける方法を学んだときは、この業界で高い倫理基準を保つためにとても重要なことだと気づきました。」

知識と経験の偉大なる源として講師のRichard Greeneを挙げるHornbackは、GIAの教育における選択肢によって、仕事や家族とのバランスを保ちながら誰でも勉強することが可能であると信じています。

「学び続けることの重要性はいくら強調しても足りないくらいです。新鮮な知識を持ち続けてください。」と彼女は話します。 「自分自身の時間の枠組みのなかで、学習を達成することは可能です。 集中し、継続的にクラスを取り続けましょう。 宝石やジュエリーに対して情熱があるなら、とにかくやってみるべきです!」

執筆者であるJaime Kautskyは、GIA Diamonds修了およびGIA Accredited Jewelry Professional (AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)であり、The Loupe(ザ・ループ)誌の副編集長も務めていました。