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信頼を保護する手段:GIAの革新的な研究、機器、サービス


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GIAの研究者は、急速に変化を遂げる宝石の処理および合成石の製造技術に最先端の技術を用いて対応し、既知の場所から産出された宝石を分析する。彼らの研究により、宝石の形成、採鉱、製造、販売方法に関して理解を深めることが可能となる。2018年GIA研究チームのミーティングでの集合写真。写真撮影:Eric Welch/GIA

GIAは、ダイヤモンド、カラーストーン、真珠の鑑別および処理の検出と鑑別において、これまで業界を先導してきました。宝石商のシンボルともされているルーペから画期的な21世紀の技術に至るまで、GIAが開発するツールや製品は、「宝石を売買するすべての人々を保護する」というたったひとつの目的を達成するのに貢献しています。

消費者は、購入の際に情報に基づいて意思決定を行い、その宝石やジュエリーを信頼できるように、宝石に関する情報を入手そして要求するべきです。宝石がどこから産出され、どのような要因がその宝石の品質と価値に影響を与えるかに興味を示しています。また、宝石が天然または人工(ラボラトリー グロウンとも呼ばれる)であるか、または外観を改良するために処理されたかどうかを知りたいと思っているのです。つまり、消費者は保護されることを望んでいるのです。

約90年の歴史を通じて、GIAは宝石や宝飾品に対する国民の信頼を守るという使命を果たすために、サービスおよび機器を制作してきました。研究に基づいて行われるこの取り組みは、新しい宝石の処理やラボで製造された宝石が市場に参入するにつれて、ますます重要視され、影響を及ぼすようになりました。

このすべてが、イノベーションを遂行するGIAの遺産に基づいて構築されています。

宝石学におけるイノベーション:GIAの使命の中核

Robert M. Shipley Sr.が1931年にGIAを設立したとき、宝石学は比較的新しい科学の分野でした。宝石の詳しい検査を行うことができる適切な機器がほとんどなかったほど宝石学は新しい分野だったのです。

灰色を背景にして置かれている10倍ルーペ。
Robert Shipley Jr.は、ジュエラーのシンボルともされているこの10倍ルーペなど、現在も使用されている重要な宝石鑑別用機器を開発した。写真提供:GIA

それにもかかわらず、Shipleyの息子、Robert Jr.は断念することなく、詳細にわたる検査ができるような機器を改良および開発しました。それから数年後、現在に至っても使用されている重要な機器をいくつか開発しました。1934年、GIAは、すべての宝石ディーラーや宝石商が首の周りにかけて現在使用しており、彼らのシンボルとされている10倍ルーペを紹介しました。また、Shipley Jr.は、宝石を鑑別する上で非常に重要な要素である石の単屈折性および複屈折性を判断するために、宝石検査用偏光器を開発しました。暗視野照明付きの双眼顕微鏡は、宝石の検査を行うすべてのラボで今もなお標準的な装置とされています。

これらの機器は、類似した外観を持つ鉱物を選別する際に行われる宝石鑑別の作業において非常に貴重であり、これからも重要な機器として引き続き利用されるでしょう。例えば、英国の王冠に飾られている宝石の「ルビー」は、後にレッドスピネルであることが判明しました。これらの技術革新にもかかわらず、さらなる宝石検査の装置が引き続き必要とされました。

顕微鏡の周りに集まる男性2人と女性1人。
GIAは、その長い歴史において、宝石のデータ収集ならびに分析のために幅広い科学的研究を進めている。宝石学の課題に対して現実的な解決策を特定し、研究成果を公開している。左から、GIAのニューヨークラボで長年ディレクターを務めていたRobert Crowningshield、現取締役副社長兼ラボ・研究主任責任者のThomas Moses、シニアプロジェクトマネージャーのIlene Reinitz(写真撮影日は不明)。

1940年代初頭、Shipley, Sr. およびGIAの2代目社長に就任したRichard T. Liddicoatは、ダイヤモンドのグレーディングを標準化するための科学的プロセスを考案しました。このプロセスのため、当時市場で広く普及していた主観性と多様性の多くを取り除くことに成功しました。10年後、Liddicoatと他の研究者たちは、Shipleyが開発したダイヤモンドの品質を示す4C(カラー、クラリティ、カット、カラット ウエイト)に基づいて、これらの基準をD から Zのダイヤモンドの国際ダイヤモンドグレーディングシステムに組み込み、ダイヤモンドの色とクラリティを記述するために共通する基準および言語を確立しました。このシステムは、世界的に認められ、受け入れられている基準とされています。また、何十年もの間、ダイヤモンドの取引を促進し、消費者が購入する商品について理解を深めるのに役立っています。

1900年代半ばに養殖真珠が出現し始め、これらを天然真珠から正確に選別する方法が必要であると判断されました。GIAの科学者は、確実な判断を提供する低価格の特殊なX線装置を開発しました。1950年代には、放射線で処理されたダイヤモンドが市場に登場しました。GIAニューヨークのラボの副社長であり、多くの宝石鑑別技術を開拓したRobert Crowningshieldは、宝石学での使用のために改良した分光器を用いて、このようなダイヤモンドのほとんどを識別する方法を判断しました。

宝石の処理および鑑別に焦点を当てる研究チーム

1970年代半ばまでに、加熱処理されたサファイアダイヤモンドのレーザー ドリリング、より多くの変種の養殖真珠、ラボで製造されたルビーの流入など、宝石の処理やラボで製造された宝石が市場で著しく増加しました。消費者の需要が急増するにつれて、これらの石を鑑別する必要性も高まりました。このため、GIAは研究に常時注力する研究部門を創設しました。当時は小規模であったこの研究チームは、これらの処理を判断するために、カラーストーン、真珠、ダイヤモンドの鑑別方法と技術を開発するのに貢献し、これらをGIAの季刊専門誌『Gems & Gemology(宝石と宝石学)』を通じて業界に報告していました。

ペアシェイプのダイヤモンドとラウンドシェイプのパライバ トルマリンがアクセントとして飾られたブラックオパールペンダントが、ハーレクイン模様またはモザイク模様として知られている遊色効果の広くて角度のあるフラッシュを示している、オーストラリアのライトニングリッジから産出されたブラックオパールの顕微鏡写真の前に置かれている。
Gems & Gemology(宝石と宝石学)2019年夏号は、天然、処理済、合成および模倣品のオパールにのインクルージョンに関する掛図を特集した。表紙を飾ったプラチナ製ペンダントは、9.39カラットのブラックオパールを特徴としており、0.25カラットのペアシェイプのダイヤモンドと0.90カラットのラウンドのパライバ トルマリンがアクセントとして飾られている。デザイン:Niveet Nagpal 提供:Omi Privé(オミ・プリヴェ) オーストラリア、Lightning Ridge(ライトニングリッジ)から産出されたブラックオパールの顕微鏡写真が背景画像として使用されている。ハーレクイン模様またはモザイク模様として知られている遊色効果の広くて角度のあるフラッシュを示している。拡散反射光、垂直視野 約12mm。顕微鏡写真:Nathan Renfro

1990年代後半、ダイヤモンドの色が高温と圧力の下で改善するという新しい処理が発見されました。その数ヶ月以内に、GIAの研究チームは、利用が可能であり改良された様々な技術を駆使し、処理を特定する方法を判断することに成功しまいた。この結果、消費者の信頼が将来損なわれる危機を防止することにもつながりました。

デジタル時代に突入し、GIAはダイヤモンドのカットの研究プロジェクトの一環として、ダイヤモンドのカットの品質を正確に評価するシステムを開発しました。この広範囲にわたるダイヤモンドの研究に基づき、Facetware(ファセットウェア)はラウンドブリリアントカットのダイヤモンドのカットグレードを推定します。このシステムは、GIAが何十年にもわたって行った研究を解明する基礎によって支えられ、GIAによって検査された数百万個のダイヤモンドのプロポーションをモデル化し、モデル化された結果を検証するためにその他のダイヤモンドを研磨する結果を使用しています。その後、Facetware(ファセットウェア)のソフトウェアは、計測器メーカーが非接触測定器に組み込めるよう利用できるようになりました。

小型の卓上機器
GIAのiD100®は、ラボで製造されたダイヤモンドおよび類似石を天然石から選別する。写真提供:GIA

ラボラトリー グロウン ダイヤモンドの選別

GIAで行われた最新の進展の一つは、ダイヤモンドが天然であるか、またはラボで製造されたのものであるかどうかを判断することに関する懸念が高まったため生じました。

メレーサイズのダイヤモンドの大半は、グレーディングおよび鑑別のために宝石鑑別ラボに提出されないため、GIAはラボで製造されたダイヤモンドや類似石を選別するためにiD100®装置を開発しました。卓上型のこの装置は、販売したり宝飾品にセットする素材について小売業者やジュエリー製造業者が確認する必要がある際に非常に役立ちます。分光技術を使用することで、この装置は、ラボで製造されたすべてのダイヤモンド(HPHTおよびCVDの両方)およびすべての類似石(キュービックジルコニアおよびモアッサナイト)を天然ダイヤモンドから確実に選別することができます。ひとつの石を選別するのには2秒もかからず、0.9mmのような小さいルースまたはセットされたダイヤモンドを選別することができます。

透明性、トレーサビリティ、信頼性の確保

ますます多くの消費者が、原産国など宝石がどこから産出されたかを知りたいと思っており、その品質と信憑性を確信したいと考えています。

GIAは長年にわたり、いくつかのカラーストーンに対して原産地レポートを提供してきました。科学者は、世界中の採鉱現場でGIAフィールド宝石学者が収集したサンプルから集めた科学的データに基づいて、これらの判断を行うことができます。これらのレポートは、ルビー、サファイア、エメラルド、パライバトルマリン、レッドスピネルとアレキサンドライトに対して提供されます。

ダイヤモンドの原石および研磨されたダイヤモンドの写真があるGIAダイヤモンド起源レポートの表紙。
GIAのダイヤモンド起源レポートサービスでは、研磨されたダイヤモンドの原産地を確認できる。

2019年3月、GIAは、研磨されたダイヤモンドの原産地を確認できるGIAダイヤモンド起源レポートを導入しました。ファセットカットおよび研磨される前にGIAに提出されたダイヤモンドの原石は、鑑別情報を記録するために検査されます。それぞれのダイヤモンドの原石には、固有の鑑別番号が割り当てられます。次に、研磨されたダイヤモンドがグレーディングのためにGIAに提出されると、その研磨された宝石を元の原石と照合させるためにその同じ情報が使用されます。この科学的に照合するプロセスを通じて、GIAは参加している採掘会社から提供された原産地に関する情報を確認することができます。

GIAダイヤモンド起源レポートには、原産地、それぞれのダイヤモンドの4Cに関する完全な品質分析、刻印されるレポート番号が記載されます。消費者は、GIA 起源アプリおよびオンラインで閲覧可能なGIAレポートチェックサービスでダイヤモンドの完全なグレーディング情報にアクセスすることができます。また、原石および研磨されたダイヤモンドのビデオや写真、対応する元の原石、原産地に関する詳しい情報も確認することができます。カナダ産ダイヤモンドのレポートのサンプルを見るには、こちらをクリックしてください。

2018年、GIAは、新しいブロックチェーン技術によって安全性が確保されているデジタルダイヤモンドグレーディングレポートを小売業者Chow Tai Fook(周大福)と共に立ち上げ、宝石の原産地に関する顧客の知識をさらに高めることに成功しました。

GIAによるダイヤモンドのグレーディング情報は、周大福のT-MARKアプリに追加され、顧客は自分のダイヤモンドがGIAレポートと一致することを確認できます。ブロックチェーン技術により安全性が確保されているレポートは、消費者に自信を与え、製造業者から消費者へと旅をしたダイヤモンドの透明性、信頼性、検証可能性を確保することにより、GIAレポートの完全性を保護します。

ブロックチェーン ダイヤモンド グレーディング レポートの情報の画像。
ブロックチェーン ダイヤモンド グレーディング レポートには、カラー、クラリティ(透明度)、カット、カラット重量、形、カッティングスタイルというGIAのグレーディングにおける重要なデータおよび信憑性に関するGIAの声明が記載されている。左:GIA ブロックチェーン ダイヤモンド グレーディング レポート。右:ブロックチェーン対応のレポート番号を表示するGIA レポート チェックのアイコン。

今後のサービスを見据えて

GIAのリーダーは、ダイヤモンドのグレーディングやその他のレポートおよびサービスをGIAとそのクライアントが将来管理する方法に対して、ブロックチェーン技術をより広範な用途に使用することができると考えています。

GIAはIBMと協力して、人工知能などのテクノロジーを使用してダイヤモンドをスキャンし、ブロックチェーンを介して、そのダイヤモンドのGIAグレーディングレポートにリンクする方法を開発する研究に取り組んでいます。ブロックチェーン技術は、研磨されたダイヤモンドを元の原石に照合させてダイヤモンドの原産地を確認できるダイヤモンドの起源サービスの一部としても使用される可能性があります。

どちらの用途も、ダイヤモンドの歴史を記録に残し、その透明性を確認するというGIAの取り組みを表しています、とGIA取締役副社長兼ラボ・研究主任責任者のTom Mosesは説明します。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。