業界分析

デビアスによる供給の増加、環境に関する主張に対する連邦取引委員会の警告


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1,109カラットのLesedi La Rona(ザ レセディ ラ ロナ)ダイヤモンドの原石からカットおよび研磨された最大の302.37カラットを誇るダイヤモンド。The Graff Lesedi La Rona(ザ グラフ レセディ ラ ロナ)と名付けられたこのダイヤモンドは非常に大きいため、カット職人は原石で作業を進める際に装置を調整する必要があった。写真提供:Graff(グラフ)

ダイヤモンドの割り当てを近い将来減らすことを発表した後、De Beers(デビアス)は突然方針を変更しました。4月のサイクルの売上高は合計5億7500万ドル(約644億円)であり、2月の以前のサイクルと比較して約15%の上昇となりました。その一方、ロシアのAlrosa(アルロサ)は、第1四半期の売上高が前年に比べて37%減少したと発表しました。

デビアスでCEOを務めるBruce Cleaverは、ダイヤモンドの需要が「2019年の第2四半期に突入するに当り安定している」と述べました。

アルロサのCEO、Sergey Ivanovも需要が、下降気味であった時期の後、安定している、と認識し、第2四半期の売上高については、慎重ながらも楽観的である、と語りました。

4月1日~5日に行われた販売の前、デビアスは、カナダのVictor(ビクター)鉱山を閉鎖し、露天掘りから地下採鉱に移行されている南アフリカのVenetia(ベネチア)鉱山の生産が減少したため、割り当てを縮小するとクライアントに報告しました。

これらの変化が生産に影響を与えている一方、原石と研磨済みのダイヤモンド、特に大衆向けの小さめで低品質の商品の在庫が増加しているためダイヤモンド業界全体が問題を抱えており、消費者の需要は在庫を減少させるのに十分ではありません。ダイヤモンドの製造業者に対する与信枠の引き締めは一層悪化し、特定の商品に関しては供給が減少することを望むと述べています。毎年約25億ドル(約2800億円)の収入を計上していた世界最大のアントワープのダイヤモンド企業が破産を発表し、市場の不安心理に拍車をかけました。

しかし、デビアスは売上高を増加させる圧力に直面しており、デビアスの株式の15%を所有しているボツワナ政府との協議を開始し、デビアスとボツワナ政府が50%ずつ出資している鉱山企業、Debswana(デブスワナ)の契約を新たに5年間更新するよう交渉しています。デブスワナは主にJwaneng(ジュワネン)鉱山とOrapa(オラパ)鉱山を操業しており、これら2つの鉱山はデビアスの最大のダイヤモンド産地とされています。過去に行われたボツワナとの契約交渉は難航し、ダイヤモンド製造の拠点を現地で設立したり、デビアスの本社を首都ハボローネに移転させるなど、ボツワナ政府はかなりの譲歩を勝ち取りました。

また、デビアスは、自社の鉱山で生産されたダイヤモンドの識別を可能にするようクライアントなどから多大なプレッシャーを受けています。デビアスのクライアントのほとんどが、以前にアルロサ、Rio Tinto(リオティント)や他の生産者から原石を購入し、カッティング作業の段階でこれらの原石をすべて混合していたため、デビアスは識別を可能にするのを躊躇していました。しかし、この態勢は一転し、クライアントや顧客が消費者レベルに至るまで特定のダイヤモンドをDiamond Trading Company(ダイヤモンドトレーディングカンパニー、DTC)産として識別できるのが可能となりました。デビアスは、同社のダイヤモンドはすべてベストプラクティスおよび持続可能な採鉱作業に基づいて生産されていると主張し、依然として特定の原産地を開示していません。また、デビアスという名称をクライアントが使用することをいまだに許可しておらず、使用を小売業のみに限定し、DTCの名称の使用方法について一定の条件を課しています。

3月28日、GIAは、科学的評価を使用してダイヤモンドの地理的起源を確認するGIAダイヤモンド起源レポートサービスを開始することを発表しました。このレポートは4月30日より発行される予定です。

 

ラボで製造されたダイヤモンド

 

Federal Trade Commission(連邦取引委員会、FTC)は、ダイヤモンド製造会社の8社に対してダイヤモンドが天然ではないと明記する規定を満たしていないと伝える警告書を発行しました。ラボで製造されたダイヤモンドの生産者が天然ダイヤモンドに対して競争する戦略、つまりラボで製造されたダイヤモンドの方が環境に良いと主張することに対しては警告されませんでした。

FTCによる声明:

「自社製品を「環境に優しい」、「環境に配慮した」、「持続可能な」などと表現している企業があります。販売業者は、合理的な根拠に基づいて環境に関する主張を述べる必要があります。さらに、FTCが発行するマーケティング・ガイドライングリーンガイドによると、広告主がこれらの主張に関する合理的な解釈をすべて立証できるとは思えないため、企業は環境にもたらす利点の一般的な主張を明確にする必要があります。」

ラボで製造されダイヤモンドが簡単に入手できるようになってから5年余りの間、「エコフレンドリー(環境に優しい)」や「コンフリクトフリー(紛争とは無縁)」という用語が生産者の主要なセールスポイントとなっています。このような戦略は、これらの生産者が対象としているミレニアル世代の消費者を強く惹きつけます。

JCK(ジュエラーズ・サーキュラー・キーストーン誌)は、FTCから通告された企業は、自社の製品が人工のものであることを明確にするために、オンラインでの宣伝を変更したと報告しています。

 

巨大ダイヤモンド

 

1,109カラットのLesedi La Rona(ザ レセディ ラ ロナ)ダイヤモンド原石は、302.37カラットの隅切りスクエアダイヤモンドにカットされました。このダイヤモンドは、かつて発見された原石で史上二番目に大きい宝石品質の石となりました。史上最大の原石は1905年に発見された3,106カラットのCullinan(カリナン)ダイヤモンドでした。302.37カラットの「ザ グラフ レセディ ラ ロナ」は、研磨されたダイヤモンドとしては6番目、無色のダイヤモンドとしては3番目の大きさを誇ります。その他の大きい研磨されたダイヤモンドは、545.67カラットのGolden Jubilee(ゴールデンジュビリー)イエローダイヤモンド、カリナンから産出された2つの無色のダイヤモンド(520カラットおよび317カラット)、407カラットのファンシーディープブラウニッシュイエローIncomparable(インコンパラブル)ダイヤモンド、312カラットのSpirit of de Grisogono(スピリット・オブ・ドゥ・グリソゴノ)ブラックダイヤモンドです。

2017年に5300万ドル(約59億円)で原石を購入したロンドンのジュエラーLaurence Graffは、この原石をカットするのに18ヶ月かかったと述べました。ダイヤモンドのカット職人が、300カラット以上にも及ぶ有名な研磨済みダイヤモンドをカットするという困難な作業に取り組んでいる中、Graffはこの原石から誕生した1~26カラットの66粒の小さなダイヤモンドを数ヶ月前に公開しました。このダイヤモンドは、従来のスキャナやレーザー装置には大きすぎたため、カットを行った企業はその石に合わせて装置を調整する必要がありました。

Graffは、原石の結晶からできた研磨されたダイヤモンドの総重量を公表していませんが、原石で作業を行った関係者は、インクルージョンや内部の亀裂がいくつかあったため、研磨されたダイヤモンドがこの原石から作り出される比率は低下した、と説明しました。

Lesedi la Rona(ザ レセディ ラ ロナ)は、2015年11月にLucara Diamond Corp.(ルカラ・ダイヤモンド社)が ボツワナにあるKerowe(カロウェ)鉱山で発見しました。この名称は、ツワナ語で「私たちの光」という意味です。

モデルが片手でダイヤモンド、もう片方の手では鳩の卵を持っている。
88.22カラット、Dカラー、フローレス、タイプ IIaのオーバルブリリアントダイヤモンド。春に行われたサザビーズ香港のオークションで1370万ドル超(約15.3億円)で落札された。サイズを比較するために鳩の卵と共に撮影されている。写真提供:サザビーズ

オークション

 

Sotheby’s(サザビーズ)の香港ジュエリーオークションでは、高価格の多数の商品が落札されず、結果がまちまちとなりました。総額4100万ドル(約45.9億円)のうち、およそ1370万ドル(約15.3億円)の商品が最終ロットで落札されました。それは、GIAがグレーディングを行った88カラットのDカラー、フローレス、タイプ IIのオーバルカットのダイヤモンドです。最終的なカラット単価は156,150ドル(約1750万円)となり、このグレードの非常に大きなダイヤモンドにしては平均よりも若干低めとなっています。同様のダイヤモンドは、過去のオークションでカラット単価16万ドル~18万ドル(約1800万円~2000万円)で落札されています。

このダイヤモンドは、日本人の個人コレクターが購入し、彼の娘の名前に因んでManami Star(マナミ・スター)と命名されました。サザビーズは、このダイヤモンドはボツワナにあるデビアスのJwaneng(ジュワネン)鉱山で発見された242カラットの原石からカットされたと説明しました。

13.88カラットのクッションカットのカシミールサファイアは、当初推定されていた落札価格を約10%上回る2500万ドル(約28億円)で落札されました。

ほとんどのファンシーカラーダイヤモンドやクラリティがVVSおよびVSのカラーレスのダイヤモンドなど、ロットの約3分の1が落札されず、その中には推定価格760万ドル(約8.5億円)の3.32カラットのファンシービビッドブルーダイヤモンド、推定価格360万ドル(約4億円)の2.56カラットのファンシービビッドブルーダイヤモンド、推定価格120万ドル(約1.3億円)のルビーとダイヤモンドのブレスレットなどの数多くのルビー商品がありました。これらは両方ともGIAによって鑑定されました。

4月16日にニューヨークで開催されたChristie’s(クリスティーズ)のオークションでは、ファンシービビッドブルーのダイヤモンドのイヤリング(それぞれ3.06カラットと2.61カラット)が最高推定価格を約10%上回る670万ドル(約7.5億円)で未公開の入札者に落札されました。このダイヤモンドのイヤリングは推定価格を上回る高価格で落札されましたが、120万ドル(約1.3億円)というカラット単価は、最近落札された同様のグレードのダイヤモンドよりもはるかに下回る価格でした。

このオークションでは販売額としては88%が落札されましたが、記録を更新すると期待されるようなダイヤモンドやカラーストーンは出品されず、現在のオークション市場における非常に高級な商品に対する懸念が伺えました。

Russell Shor は、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。