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人工ダイヤモンド: 質問と回答


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ファセットカットされた天然ダイヤモンド(左)と人工ダイヤモンド(右)。写真提供:GIA

ダイヤモンドのように見えて輝いていれば、それはダイヤモンドでしょうか。

近年、宝石店のカウンターに並んでいる無色の輝いている様々な石の中から天然ダイヤモンドを選び出すのはあまり簡単ではなくなりました。また、合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンドやラボで製造されたダイヤモンドなどとも呼ばれている)や模造石の素材も、世界中で採鉱された天然ダイヤモンドと類似している可能性があります。目に留まったダイヤモンドが天然か人工なのかを区別したり、自分が希望する作品にはどちらが最適であるかを判断するのは困難になることがあります。

天然ダイヤモンドは自然の不思議のひとつです。単一の元素(炭素)から地球深部で強烈な圧力と高温の下で形成され、中には数十億年前に形成されたものもあります。このような強烈な地質条件が、透明度、光学的外観、硬度という物理的特性を生み出し、これらの特性がカットおよび研磨されたダイヤモンドの価値を高めます。

「天然ダイヤモンドとは、本当に稀少なもので地球から授かった宝物です」と、GIAで通学コースおよびラボクラスの宝石学指導マネージャーを務めるBrenda Harwickは述べます。「ただし人工ダイヤモンドでも、消費者が購入しようとする商品について正確に把握する限りにおいて、市場に存在する意味があるのです。合成ルビー、合成エメラルド、合成サファイアなど、市場には他にも合成石があり、宝飾業界では合成石を代替品として使用することは新しいことではありません。」

黒い背景に並んでいる10個の無色の結晶の原石。
中国の山東省にある工場では、宝飾業界のためにHPHT法を用いて無色の人工ダイヤモンドが大量に製造されている。これらの無色の結晶は、最大3.5カラットである。Jinan Zhongwu New Materials Company Ltd. 中国、山東省。写真撮影:Jian Xin Liao/GIA

宝飾業界では、人造物と他の宝石に外観の似た素材に対して、「合成石(または人工、ラボで製造した、ラボで作られた、など)」と「模造石(類似石)」という特定の用語を使っています。

人工ダイヤモンドは、ラボや工場で製造されます。これらは、その成長構造や原子レベルでの欠陥により、GIAなどの設備の整ったラボでは天然ダイヤモンドから簡単に区別することができます。天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドには、物理的特性およびその他の特性の一部は全く同じであるため、熟練した宝石商や研鑽を積んだジェモロジストでさえも目視だけで区別することはできません。決定的な鑑別を行うためには、研鑽を積んだスタッフが宝石ラボで専門的な機器を使用して行う必要があります。

リング、イヤリング、ブレスレットなどのジュエリーにセットされたカラフルなキュービックジルコニアとその裸石。
キュービックジルコニアは、これらの大きなものに見られるように無色または色付きで製造することができる。左から: 44.49カラット、29.86カラット、56.60カラット。写真撮影:Tino Hammid

ダイヤモンドの模造石は天然ダイヤモンドの外観を模倣しただけのものです。類似石としては、無色のサファイア、無色のジルコン、合成キュービックジルコニア(酸化ジルコニウム、CZ)、合成モアッサナイト(炭化ケイ素)が一般的であり、この中でもキュービックジルコニアと合成モアッサナイトが市場で最も重要です。こうした石は天然のものもあればラボで製造されるものもありますが、天然もしくは人工のダイヤモンドと同じ化学組成や物理的特性を有してはいません。類似石はこれらの特性がダイヤモンドとは同じでないため、ジェモロジストにとってはより簡単に区別することができます。

カットおよび研磨された11個のモアッサナイト。1つがエメラルドカットで、それ以外はすべてラウンドブリリアント。
ほぼ無色の合成モアッサナイトは、ダイヤモンドの模造石としてジュエリーに使用するために販売されている。この写真のファセットカットされたモアッサナイトは、重量が0.09~0.57ctであり、この素材の外観をよく表している。写真撮影:Tino Hammid

人工ダイヤモンドがジュエリーに使われる機会が増えてきているため、宝石店では最近よく話題になっています。

「正しく識別されている限り、ジュエリーを購入する方にとっては選択肢になり得ます」と、長年にわたって人工ダイヤモンドを研究し、その研究結果を発表してきたGIAの著名な研究者であるJames Shigley博士は語ります。

購入する前に人工ダイヤモンドに関していくらか基本的な情報を得て、どのような質問をすべきか知っていることが重要となります。

人工ダイヤモンドとは何ですか。それは本物のダイヤモンドですか。

人工ダイヤモンドは、1950年代から産業目的で製造され始め、テレコミュニケーション、レーザー光学、医療品など様々な用途に使用されてきました。1970年、General Electric(ゼネラル・エレクトリック)の研究者が、宝石としてファセットカットが可能な小さい宝石品質の合成ダイヤモンドを初めて製造しました。1980年代半ばまでには、他のメーカーも合成ダイヤモンドを製造することができるようになりました。最初はほとんどのものが小さく、イエローでしたが、品質は着実に改善され、現在は無色および色付きの宝石品質の人工ダイヤモンドがジュエリーで使用できるようになりました。

ピンクのラウンドダイヤモンド、イエローのラウンドダイヤモンド、無色のクッションカットダイヤモンド、ブルーのハート型ダイヤモンド、イエローのハート型ダイヤモンド。
天然ダイヤモンド、人工ダイヤモンド、処理済みのダイヤモンドの鑑定は、60年以上にわたって GIAにおける宝石研究プログラムの主な焦点となっている。これらは、天然のカラーダイヤモンド(0.38~1.04カラット)である。写真撮影:Robert Weldon、合成写真:Kevin Schumacher/GIA

GIAでのダイヤモンドの研究において先駆者の一人であり、1950年以来長年にわたり副社長を務めてきたRobert Crowningshieldは、1970年にGE社の人工ダイヤモンドをいくつか検査しました。1971年、これらの人工ダイヤモンドに関する研究結果が、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の記事『General Electric's Cuttable Synthetic Diamonds(ゼネラル・エレクトリックのカットに向く品質の合成ダイヤモンド)』に 『ゼネラル·エレクトリック社によるカット可能な合成ダイヤモンド』発表されています。

「初めて実験的に製造されたこれらの合成ダイヤモンドをCrowningshield氏が検査した結果、合成ダイヤモンド特有の視覚的な宝石学特性をいくつか認識でき、それらが現在合成ダイヤモンドを識別するのに観察する特徴と同じものであるということには驚きます」とShigley博士は語ります。

「ダイヤモンド」という素材は立方構造の炭素原子であると定義され、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドはどちらともこの素材から作られています。

「天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドが形成される条件は非常に異なるため、成長構造の違いと原子レベルの欠陥が生じます。なので、これらが同一であると言うと誤解を招きます。全く同じだったら、区別することはできません」 と、GIA執行副社長兼ラボ・研究最高責任者のTom Mosesは語ります。

しかし、合成ダイヤモンドは、本質的に天然ダイヤモンドと同じ物理的及び光学的特性を持っているため、人工ダイヤモンドは宝石に加工されたときに天然ダイヤモンドと同じ輝きときらめきを放ちます。

「研磨されたダイヤモンドの美しい特徴の一つとして、光がダイヤモンドと相互に作用することが挙げられます。さらに、モース スケールで優れた硬度があり、研磨された表面が簡単に傷ついたり破損しません。」 とHarwickは説明します。

何と呼ばれていますか。

多くの異なった用語が、人工的に製造されたダイヤモンドを記述するのに使用されており、例として「合成(synthetic)」、「人工(man-made)」、「ラボで製造された(laboratory-grown)」、「ラボで作られた(laboratory-created)」などの用語があります。これらの用語やその他の用語は、ダイヤモンドに関する連邦取引委員会 (FTC) のガイドラインに記載されています。

「業界では合成ダイヤモンドに多くの用語が使用されているので、これらの用語が使われていたら、それは合成ダイヤモンドであると思ってください。ただし、「合成」という名前の使用は避けてくるでしょう」とHarwickは述べます。

左から: 高圧装置とチャンバーの中央にある素材の写真、立方体結晶の表面のイラスト、人工結晶の原石の写真。
高圧高温(HPHT)合成法では、必要な成分が入れられた中央のチャンバーに、プレス装置(左)で非常に高い圧力と温度をかける。これにより、立方体および八面体の面の組み合わせを持つ人工ダイヤモンドの結晶(中央、右)が生成される。イラスト提供:Peter Johnston/GIA教育

どのように製造されるのですか。

人工ダイヤモンドは、次の2つの方法で製造されます。

高圧高温法(HPHT): 人工ダイヤモンドは、ラボまたは工場で、天然ダイヤモンドが地球内で形成される高圧高温の状態を模倣して製造されます。チャンバー内で、炭素の供給源が溶融金属に溶解し、炭素原子が金属を介して小さな人工または天然ダイヤモンドの種結晶に移動し、独特の形をした人工ダイヤモンドの結晶を生成します。

化学蒸着 (CVD): 人工ダイヤモンドは、ラボの真空装置内で炭素が豊富に含まれた気体(メタンなど)を利用して製造されます。CVD法では、メタンガスの分子を炭素と水素の原子に分解し、ダイヤモンドの種結晶に付着させて、四角い平板状の人工ダイヤモンド結晶を生成します。

天然ダイヤモンドと同様に、合成ダイヤモンドは、色を変えたり、フェイスアップの外観やクラリティを向上させるために処理を施すことが可能である、とShigley博士は説明します。

左から: 人工ダイヤモンドの平板状結晶のあるプレートのイラスト、CVD法による立方体結晶のイラスト、CVD結晶の原石の写真。
CVD合成法では、炭素を豊富に含む気体から平らなダイヤモンド種結晶の表面上へ、人工ダイヤモンドが堆積される。人工ダイヤモンドは複数の薄い層に成長し、その最終的な厚さは成長にかけた時間によって決まる(左)。これにより、外側が黒の黒鉛結晶で覆われた平板状結晶(中央、右)が生成される。イラスト提供:Peter Johnston/GIA教育。

ダイヤモンドを製造するのにはどれくらいの時間がかかりますか。

通常、ラボで人工ダイヤモンドを製造するのには数週間かかります。これは、天然ダイヤモンドが地球で何百万年または何十億年もかけて生成されるのと比べるとはるかに短い期間です。

どこで製造されていますか。

「宝飾品に使われる合成ダイヤモンドの商業生産は、中国、ウクライナ、ロシア、日本、アメリカ、そしておそらく他の場所でも行われているでしょう」とShigley博士は説明します。

天然ダイヤモンドとはどう違いますか。

天然ダイヤモンドは、形成する際の成長条件が異なるため、人工ダイヤモンドとは異なる特性を示します。

結晶形: 天然ダイヤモンドの結晶が生成される温度とラボで人工ダイヤモンドを製造する温度はほとんど同じですが、天然ダイヤモンドは八面体(8つの正三角形の面をもつ)結晶となる一方、人工ダイヤモンドは八面体面と立方体(6つの正方形の面を持つ形)面を併せ持った結晶を形成します。

左から:CVD ダイヤモンド、HPHT ダイヤモンド、天然ダイヤモンドの形状のイラスト。
天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドは生成される環境によって、それぞれ独特の形をしたダイヤモンド結晶となる。左から:CVD ダイヤモンド、HPHT ダイヤモンド、天然ダイヤモンドの比較。八面体面は黄色、立方体面は青で表示している。ほとんどの天然ダイヤモンドは八面体として生成される(右)が、HPHT ダイヤモンド(中央)は、通常、立方体面と八面体面を併せ持っている。八面体面は、CVD ダイヤモンド(左)には全く存在しない。結晶成長の方向を矢印で示している。点線は、HPHT ダイヤモンド内の種結晶の位置と、CVD ダイヤモンドの結晶の縁を表している。イラスト提供:Peter Johnston。

「立方体面は、八面体面よりも速く生成します。そのため立方体面は合成ダイヤモンドでは残るのですが、天然ダイヤモンドでは残存しません」とShigley博士は語ります。

ダイヤモンドは、成長環境により異なって生成されます。

  • 天然ダイヤモンドは、八面体面で外側に向けて成長します
  • HPHT合成ダイヤモンドは、八面体面と立方体面で外側に向けて成長します
  • CVD合成ダイヤモンドは、主に上向きで一方向に成長します(立方体面)
隣同士に置かれている天然ダイヤモンドの結晶1つと人工ダイヤモンドの結晶1つ。
ダイヤモンド原石の比較。0.83ctの天然ダイヤモンドの結晶(左)および1.02ctのHPHT法で製造された結晶(右)。これらの結晶はいずれも、GIAの研究コレクションより提供。写真撮影:Orasa Weldon

インクルージョン: 天然および人工のダイヤモンドでは様々なインクルージョン(フラクチャー、破損、他の結晶、空中管など)が見られるため、インクルージョンは必ずしも宝石の鑑別を決定づける手段ではありません、とShigley博士は説明します。

カラー: 通常、人工ダイヤモンドは、無色、ほぼ無色、ライトイエローからダークイエロー、イエローブラウンです。ブルー、ピンクレッド、グリーンであることはめったにありません。天然ダイヤモンドに使用されるのと同じカラー処理を人工ダイヤモンドに施すことができるため、あらゆる色の人工ダイヤモンドが可能となります。

クラリティ: 人工ダイヤモンドは、クラリティが低いものから高いものまであります。

カット: 人工ダイヤモンドのカットは、天然ダイヤモンドのカットと同様にいかなるカットも可能です。ラウンドブリリアントが、無色の人工ダイヤモンドの最も一般的な形およびカットスタイルです。

人工カラーダイヤモンドおよび大きめの人工ダイヤモンドは、元の結晶からより多くの重量を保持するためによくファンシーシェイプにカットされます。また、結晶の形はファセッティングスタイルを選ぶ際にも影響を与えます。

大きさはどれくらいですか。

人工ダイヤモンドは、あらゆるサイズのもので製造されることが可能であり、メレーのように非常に小さいものから最大10カラット以上のものもある、とHarwickは述べます。通常、ほとんどの商業用のサイズは、豊富にあるメレーサイズの場合を除き、2カラット未満です。

Shigley博士によると、研磨された人工ダイヤモンドは3つのサイズ区分に分類されます。

  • 大きいサイズ(およそ5~10カラットまたはそれ以上):これらのカット石はメディアの注目を集めますが、非常に稀少であり、宝石ラボで検査を受け正しく鑑別されている可能性が高いです。
  • 商業用サイズ(およそ0.25~2.5カラット): このサイズのカット石はより豊富にありますが、こちらも査定のために宝石ラボに堤出され合成ダイヤモンドであると認識される可能性が高いです。
  • 小さいまたはメレーサイズ(およそ0.10カラットまたはそれ以下):これらのカット石が最も多く見られ、サイズが小さいため検出するのが困難であり、検査されないこともよくあります。これは、まさしく宝飾業界が直面している鑑別における課題です。
大きなものから汎用サイズ、そしてメレーカットのものなど様々な人工宝石が、市場で流通している。これらのHPHT ダイヤモンドは、左から、0.41ct、0.31ct、0.50ctであり、メレーサイズの3つのダイヤモンドが右にある。
大きなものから汎用サイズ、そしてメレーカットのものなど様々な人工宝石が、市場で流通している。これらのHPHT ダイヤモンドは、左から、0.41ct、0.31ct、0.50ctであり、メレーサイズの3つのダイヤモンドが右にある。写真撮影:Orasa Weldon/GIA

GIAでは人工ダイヤモンドをどのように鑑別してグレーディングするのですか。

宝石学研究者は、30年以上にわたり人工ダイヤモンドについて広範囲に研究を進めてきました。現在、人工ダイヤモンドを製造・鑑別する方法について多くのことが分かっています(数多くの研究結果が出版され広く流通しています)。

「合成ダイヤモンドの鑑別とは、非常に迅速にごく最近作られた合成ダイヤモンドと、長い年月をかけて大昔に生成された天然ダイヤモンドを区別することです」とShigley博士は述べます。

GIAは、10年以上もの間、グレーディングのためにラボに提出されたすべてのダイヤモンドを検査し、天然ダイヤモンド、人工ダイヤモンドの可能性があるもの、または処理が施されているものかを判断してきました。最初のスクリーニング検査の後、人工ダイヤモンドである可能性があるもの、または処理が施されている可能性があるダイヤモンドはすべて、天然か人工であるか、そして処理されている場合はどのような処理かを確認するために、厳格な検査を受けます。

GIAは、HPHT法とCVD法の両方によって製造された人工ダイヤモンドを決定的に鑑別できます。

GIAのダイヤモンドチェックとコンピュータの前に座っている女性。
ダイヤモンド グレーディング サービスのためGIAに提出されたすべての宝石は、GIAダイヤモンド チェック(DiamondCheck™)を使用して、素材が天然ダイヤモンドであるかどうか、処理または人工ダイヤモンドの可能性があるため更なる検査が必要なダイヤモンドか、あるいはダイヤモンドではない素材であるか検査される。写真撮影:Jian Xin Liao/GIA。

GIA グレーディングレポートから何が分かりますか。

GIAは、2006年より合成ダイヤモンドのレポートサービスの発行を始めました。GIAが発行しているこうした合成ダイヤモンドグレーディングレポートは、その外観も記載されている情報もどちらも、天然ダイヤモンドのGIA グレーディングレポートとは異なります。検査したダイヤモンドが、人工またはラボで製造されたことが明確に記載されており、カラーとクラリティのスケールの特定のグレードではなく、説明的な範囲を表す言葉を使用してカラーとクラリティを評価します。

「このレポートが導入されたとき、GIAが合成ダイヤモンドをグレーディングすることについて業界で様々な意見が交わされました。合成ダイヤモンドは依然として稀少であるため、天然ダイヤモンドのグレーディングレポートで報告されているものと区別するために、カラーとクラリティの範囲だけが使用されます」とShigley博士は説明します。

さらに、人工ダイヤモンドのガードルには、レポート番号およびその石がラボで製造された旨がレーザーで刻印されます。GIAでは、ラボで鑑別した人工ダイヤモンドにはすべてレーザー刻印を施します。

「ガードルのこの刻印は、その石の鑑別の鍵となるでしょう」とHarwickは語ります。

また、このレポートでは連邦取引委員会 (FTC) が合成ダイヤモンドに対して承認した他の用語、すなわち「人工(man-made)」や「ラボで製造された(lab-grown)」が使用されています。

宝石商のカウンターでダイヤモンドジュエリーと書類を見ている3人の男性。
宝石商が宝石を販売する際にその宝石に関する情報を開示する必要があるという法的および倫理的な要件がある。これは、消費者が購入しているものに対して信頼を確保するのに役立つ。

人工ダイヤモンドの購入を考えていますが、どのような心づもりが必要ですか。

どのようなダイヤモンドジュエリーでも、購入する際には専門的な教育を受けた宝石鑑別士のいる評判の良い宝飾店に行くことをおすすめします。天然ダイヤモンドと人工ダイヤモンドを比べる際、宝石鑑別士が貴重な情報を提供してくれるでしょう。

「販売員は、お客様にお見せしているものについて明確に説明し、正確な情報を開示するべきです。販売員が宝石を「ダイヤモンド」と呼んでいるならば、それが天然ダイヤモンドだと推測することができます。[その宝石が天然ダイヤモンドではない場合] 彼らは包み隠さずに説明して、その石を、ラボで製造されたダイヤモンド、合成ダイヤモンド、ラボで生成されたダイヤモンドまたはメーカーで作られたダイヤモンドなどと、FTCで定められているように呼ぶ必要があります」と、Harwickは説明します。

販売員に天然ダイヤモンドか人工ダイヤモンドであるかを尋ね、なぜそれが分かるのかを聞いてみましょう。

「宝石商や研修を受けた宝石鑑別士が合成ダイヤモンドを識別することは困難かもしれませんが、GIAでは問題なく識別することができます。合成ダイヤモンドを検査するために宝石商が使える機器は数多くありますが、GIAはそのような機器を使用しないので、我々がその操作や正確さについてコメントするのは不適切です」とShigley博士は語ります。

広く認められている宝石ラボが発行したダイヤモンドのグレーディングレポートをもらえるか尋ねてみましょう。これらのレポートにはダイヤモンドの鑑別結果が明確に記載されています。GIAが発行する天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドのレポートは非常に異なっています。

「ダイヤモンドのように貴重なものに投資する際には、グレーディングレポートを必ずもらいましょう」とHarwickは語ります。

天然ダイヤモンドに比べて人工ダイヤモンドの価格はどれくらいですか。

GIAのシニア業界アナリスト、Russell Shorは、HPHT法またはCVD法のいずれにおいても人工ダイヤモンドを製造することは、かなり高価であると述べます。

「人工ダイヤモンドを天然ダイヤモンドの価格の3分の1もしくはそれ以下で販売できるということから、合成石の本当の市場価格を反映する価格ではなく、天然ダイヤモンドに対応するような価格が設定されることがわかります」とShorは述べます。しかし、ほとんどの技術と同様に、技術革新のため生産コストが低下し、その結果として人工ダイヤモンドの需要が増加するかもしれない、とShorは指摘しています。

黒い背景にある9つのラウンドブリリアントカットの人工ダイヤモンド。
このような(0.22~0.31カラット)無色の宝石品質のCVD成長法による人工ダイヤモンドが市販されており、正しい鑑別が重要となっている。写真撮影:Jian Xin Liao、合成写真:Kevin Schumacher/GIA

人工ダイヤモンドの将来性についてはどうでしょうか。

人工ダイヤモンドが、長期的に消費者の間で人気がでるかどうかは誰にもわかりません。購入する前にそれぞれの購入者が考慮するべき個人的な好みの問題があります。

「天然ダイヤモンドまたは合成ダイヤモンドを購入するかどうかは、消費者の好みによりますが、石の性質について適切な情報を開示することが、最も重要なことです。ダイヤモンドの起源が完全に開示されている限り、消費者と市場が合成ダイヤモンドの将来を決定するでしょう」とGIA研究開発のディレクター、Wuyi Wangは説明します。

Amanda J. LukeはGIAのシニアコミュニケーションマネージャーです。彼女は現在GIA Insider(GIA インサイダー)とAlum Connect(同窓生コネクション)の編集者であり、The Loupe(ルーペ誌)の元編集者でもあります。