業界分析

ホリデー前の「好調な」宝石の注文、オークションのまちまちの結果


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2.11カラットのArgyle Everglow(アーガイルエバーグロー)は、毎年行われる入札でアーガイルが販売したうち、史上最大のファンシーレッドダイヤモンドである。このエバーグローは、合計49.39カラット、58個の宝石が競売にかけられたアーガイルの2017年のピンクダイヤモンド入札で最大の目玉であった。写真提供:Rio Tinto(リオ・ティント)/Argyle(アーガイル)

ダイヤモンドと宝石のディーラーは、米国と中国の小売業者からのホリデー前の注文が好調であり、手頃な価格の品質の高級宝石に対する需要が順調であると報告しています。また、「パンとバター」と呼ばれている品質が中程度の商品に対する需要は、ここ数年間伸び悩んでいたものの改善されつつあります。

米国のダイヤモンド業者は、小売店がクリスマス商戦に自信を得たため、注文数が11月下旬に上昇し始めたと報告しました。0.5~2カラットのダイヤモンドでは、品質が中程度のものの売上げが伸びており、ファッショナブルなセッティングで手頃な価格のカラー宝石に人気が集まっています。第3四半期の売上高でわずかな増加を報告したTiffany & Co.(ティファニー アンド カンパニー)は、今季の売上高は1桁増にとどまると予測しています。しかしながら、消費者がショッピングモールであまり買い物をしない傾向があるため、Signet Group(シグネット・グループ)は売上高が1桁減になると予測しています。

一般的に、ブラックフライデーの週末およびサイバーマンデーのオンラインでの売上げは、小売店で堅調でした。National Retail Federation(全米小売業協会)は、平均支出が15%増であると報告しており、アナリストは、オンラインでの購入が記録を更新したと述べています。しかし、ほとんどの小売宝石店では、クリスマスの前の週に売上げが偏る傾向にあります。

ダイヤモンドと宝石の市場としては世界で第2位を占める中国では、小売店は過去2年間で初めて売上高が上昇傾向にあることを報告し、Chow Tai Fook(周大福)およびLuk Fook(六福集団)が多大な利益を上げました。

ピンクダイヤモンドの入札

アーガイルは、58個の研磨されたレッド、ピンク、バイオレット、ブルーのダイヤモンドが競売にかけられた、毎年恒例のピンクダイヤモンドの入札においてダイヤモンドが史上最高値(未公開)で売却されたことを報告しました。2.11カラットのファンシーレッドダイヤモンド、Argyle Everglow(アーガイルエバーグロー)は、このコレクションの最大の目玉となり、ニューヨークのOptimum Diamonds(オプティマム・ダイアモンズ)のDavid Shara氏が購入しました。また、Graff (グラフ)は、最大の宝石である2.42カラットのピンクのAvaline(アヴァリン)ダイヤモンドを購入しました。

2017年の入札価格は堅調であったものの、2015年および2016年のアーガイルの入札で販売されたダイヤモンドの多くが元のバイヤーの手元に依然としてとどまっています。
 

14.93 カラットの楕円形ピンクダイヤモンドは無色ダイヤモンドのハローに囲まれ、リングにマウントされています。
「Pink Promise(ピンク・プロミス)」と名付けられた14.93カラットのファンシービビッドピンクダイヤモンドは、11月28日に香港で行われたChristie’s(クリスティ―ズ)のオークションにて3216万ドル(約35.7億円)で落札された。これは、1カラット当り215万ドル(約2.4億円)であり、このカラット単価は過去最高の記録となった。写真提供: Christie's Images(クリスティーズ・イメージズ)

オークション

この秋で最初に行われた主要なオークションでの売却は明らかにばらつきがありました。

11月15日にジュネーブで開催されたSotheby's(サザビーズ)のオークションでは、最高級の宝石で売れ残ったものがいくつかありました。37.3カラットの「Raj Pink(ラジ ピンク)」は、オークション史上最大のピンクダイヤモンドでしたが、買い手はほとんど関心を示さず、入札額は推定最高額2900万ドル(約32.8億円)の半分以下となり、落札されませんでした。また、7.41カラットのファンシービビッドブルーダイヤモンド、そしてヨーロッパ王室に由来するファンシーインテンスイエローダイヤモンドのセットであるDonnersmarck (ドナースマルク)ダイヤモンドも売却が不成立に終わりました。

サザビーズで注目を浴びた2つの宝石は、1280万ドル(約14.5億円)という高額の入札を招いたウィンストンの33.63カラットのファンシーライトピンクダイヤモンドと500万ドル(約5.6億円)で売却された18.86カラットのビルマ産ルビーのリングでした。

前日の11月14日に行われたChristie’s(クリスティ―ズ)のオークションではかなり異なる結果となりました。トップのロットは、非常に有名な「De Grisogono Creation 1(ドゥ グリソゴノ クリエーション 1)」であり、163.41カラットのDカラーでフローレスの長方形にカットされたダイヤモンドのペンダントを特徴とするエメラルドとダイヤモンドのこのネックレスは、3370万ドル(約38億円)で売却されました。クリスティーズの副社長、Francois Curiel氏によると、これは、かつてオークションで落札された中で最も高価なDカラー、フローレスのダイヤモンドでした。

このダイヤモンドは、2016年にアンゴラのルロ鉱山で発見された 「February 4(2月4日)」という名称の404カラットの原石よりカットされました。この最高落札価格では、1カラット当りの価格が209,000ドル(約2400万円)となります。このカラット単価は、過去1年間で販売された大きなDカラーのフローレスのほとんどのダイヤモンドよりもはるかに高価ですが、1カラット当りの最高記録には及びません。通常、非常に高額の入札は楕円形やラウンドのようなファセットカットされたシェイプの宝石に集中するため、高額のカラット単価は注目に値するべきことでした。

また、クリスティーズのオークションでは、19.07カラットのファンシーライトピンクダイヤモンド、「Le Grand Mazarin(ル グラン マザラン)」が1446万ドル(約16.3億円)で落札されました。このダイヤモンドは、フランスの王冠の宝石の一部となっていました。

もう一つの主要なファンシーピンクダイヤモンドで、GIAがグレーディングを行った14.93カラットのファンシービビッドピンクの「Pink Promise(ピンク・プロミス)」は、11月28日に香港で開催されたクリスティ―ズのオークションで3216万ドル(約35.7億円)で落札されました。これは、1カラット当り215万ドル(約2.4億円)であり、このカラット単価は過去最高の記録となりました。また、このオークションでは、ジェダイトルビー、ダイヤモンドをあしらったネックレスが1230万ドル(約13.7億円)、そして8.8カラットのファンシーインテンスピンクダイヤモンドが970万ドル(約10.8億円)で売却されました。

12月5日、5.69カラットのファンシービビッドブルーダイヤモンドは、ニューヨークで行われたサザビーズのオークションで1510万ドル(約17億円)、1カラット当り270万ドル(約3億円)で落札しました。110カラット、L カラー、VS1のクラリティ(透明度)であり、サザビーズによるとこれまでにオークションで出品された中で最大のラウンドブリリアントカットのダイヤモンドは、売却が不成立となりました。

鉱山からの産出

100カラット以上のダイヤモンドが、この1~2か月間で採鉱され、良好な結果を収めました。

Alrosa(アルロサ)のジュビリーパイプからは 108.34カラットの黄色がかったダイヤモンドと163.11カラットのカラーレスの宝石が産出されました。また、同じく黄色がかった82.8カラットの宝石も発見されました。

シエラレオネでは、小さな鉱山会社が、同国の主要ダイヤモンド産地であるコーノ地域で476カラットの宝石を採掘しました。今年初めに、採掘者は、709カラットのブラウニッシュダイヤモンドを発見し、Rapaport (ラパポート)が、12月4日にこのダイヤモンドをニューヨークで650万ドル(約7.3億円)、1カラット当り9,167ドル(約100万円)で競売にかけました。このダイヤモンドを落札したロンドンの宝石商、Laurence Graff氏は、この宝石から得る収入は、世界で最も貧しい人々を支援するために使用されると述べました。この売却額のうち約110万ドル(約1.2億円)が、ダイヤモンドが発見された地区の地元のダイヤモンド採掘者に配給されます。

アンゴラのLucapa Mining(ルカパ鉱業)は、11月初めに129.58カラットのダイヤモンドを発見したことを報告し、レソトのLetseng(レツェング)鉱山の主な所有者であるGem Diamonds(ジェム ダイヤモンズ)は、年初の9ヶ月で100カラット以上のダイヤモンドを6個発見しました。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。