業界分析

デビアス、
原石価格を値下げ:十分でないとの見方も


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5 月のサイトでデビアスはダイヤモンドの原石価格を下げたものの、その下げ率に関して議論がなお続いている。より一層の値下げが必要だという意見がある一方、そのような動きが在庫ダイヤモンドの価値を落とすのではという主張も出ている。 提供:デビアス
デビアスはサイトホルダーの声に耳を傾けたと見え、5 月 4 日 ~ 8 日に行われたサイトでは、提示するダイヤモンド原石の価格を下げ、その数量を減らしました。 値下げの対象は主に高品質の石で、下げ幅は平均 3 %でしたが、米国の量販向けの商品原価にはさほど変化がありませんでした。

報告によると、5 月のサイトの総額はおよそ 4.5 億ドル(約 538 億円)で、 3 月のサイトの 6.9 億ドル(約 824 億円)よりも大幅に減っています(4 月にはサイトはありませんでした)。3 月には、サイトホルダーが原石割り当ての 30 〜 40 % を購入拒否していますが、カットしても採算が合わず、資金繰りが高額となり厳しいというのが理由でした。 今期 30 ヶ月の最初の月である 5 月のサイトでの拒否率は、10 %以下であったと伝えられています。

5 月のサイトに対するダイヤモンド製造業者の見解は分かれています。 年度初め以降、研磨石の価格下落が 3 %をはるかに超えていることから、デビアスの価格調整は十分でないという見方があります。 研磨石の価格は 1 月以降、さらに下落しており、ひっ迫した状態が続いています。 その一方、原石の価格を下げ過ぎると、今ある在庫原石の価値を損なうことになり、サイトホルダーの借入枠をさらに下げるのではないかと指摘する意見もあります。

Alrosa(アルロサ)社も、5 月下旬の次期販売では同程度の値下げを実施すると伝えられています。

広がり続けるダイヤモンド処理

GIA は、市場に出回ってから高圧/高温 (HPHT) 処理による色改善が行われた天然ダイヤモンドの検出を可能にする、集中研究プログラムを 1999 年に開始しました。 GIA は 5 月 12 日、イスラエルのラマト・ガンにあるグレーディングラボに提出された無色〜ほぼ無色の約 500 個のダイヤモンドに、未開示の一時的な処理が施されている可能性があることを業界に向けて発表しました。 GIA では宝石業界の関係機関に通知を行ったほか、問題の石を提出したダイヤモンド会社数社との取引契約を打ち切り、処理された可能性のある石のレポート番号を発表しました。

処理された石や合成石である旨を意図的に開示せずにダイヤモンド販売を行うディーラーに対しては、World Federation of Diamond Bourses(世界ダイヤモンド取引所連盟、WFDB)や他の業界団体が、罰金を課したり、参加しているダイヤモンド取引所からの除名などの制裁を課すことがあります。

その他のダイヤモンド関連ニュース

ダイヤモンドのオンライン販売大手の Blue Nile(ブルーナイル)社は、第一四半期のダイヤモンド売上高が目標を下回り、前年同期比わずか 2.6 %増に留まったことを報告しました。 同社は創業から現在までの 15 年間殆ど毎年、2 桁成長を報告してきていました。 特に 5 万ドル(620 万円)以上する高額商品の急激な売上げ減が、目標達成に至らなかった要因であると同社は伝えています。 また第一四半期に関して、Blue Nile 社は、主力ビジネスである婚約指輪の売り上げは横ばいだったものの、ファッションジュエリーや海外向けの売上は好転したとしています。

オークション

5 月 12 日、ジュネーブで開催されたサザビーズの Magnificent Jewelry オークションの売上総額は 1 億 6090 万ドル(約 193 億円)でジュエリー販売としては史上最高額となり、また売り値の記録が塗り替えられました。 注目すべきはカルティエの 25.59 カラットの「Sunrise Ruby(サンライズルビー)」で、 3038 万ドル(約 36 億円)、つまりカラットあたり 120 万ドル(約 1 億 4 千万円)で落札され、出品前の推定価格のおよそ 2 倍を記録しました。 Sunrise Ruby は、加熱処理されていないビルマ産ルビーで、オークションで落札されたルビーとしては史上最高値がつきました。

その他、5 月 12 日のサザビーズのオークションで注目すべき値がついた品には、以下がありました。

  • 8.72 カラットの ナポレオン・ボナパルトの姪、マチルド・ボナパルトが所有していたとされるファンシービビッドピンク(GIA グレーディング)のダイヤモンドが、1 カラットあたり約 180 万ドル(約 2 億 1600 万円)の、1600 万ドル(約 19 億円)強で落札されました。
  • 78 個の天然真珠と、4.39 カラットの マーキス形のダイヤモンドが付いたストランドが、700 万ドル弱(約 8 億 4 千万円)で落札されました。
  • 30.23 カラットの カシミール産サファイアに 42.35 カラットのダイヤモンドがあしらわれたカルティエの作品は、610 万ドル(約 7 億 3 千万円)の最高値で落札されました。
翌日、同じジュネーブで開催されたクリスティーズのオークションの売り上げは、9700 万ドル(約 11 億 6 千万円)を記録しました。 最高額で落札されたのは、5.18 カラット ファンシービビッドピンク(GIA グレーディング)のダイヤモンドで、カラットあたり 200 万ドル強(約 2 億 4 千万円)の 1070万ドル(約 12 億 8 万円)で落札されました。 また、35.09 カラットの クッションシェイプのカシミール産サファイアが、カラットあたり 20 万 9,689ドル(約 2500 万円)である735 万ドル(約 8 億 8 千万円)で落札され、カシミール産宝石としては史上最高価格を記録しました。

GIA により D カラーでIF(インターナリーフローレス)と鑑定された 55.52 カラットの ペアシェイプダイヤモンドは、アジア人のバイヤーがカラットあたり 16 万 2 千ドル(約 1900 万円)となる 900 万ドル(約 10 億 8 千万円)で購入したほか、19 世紀のシングルストランドの天然真珠ネックレスが 390 万ドル(約 4 億 7 千万円)でディーラーに落札されました。 その真珠の大きさは、直径 7.8 mm から 11 mm でした。

ニューヨークで行われた 4 月 21 日のサザビーズのオークションでは、 GIA のグレーディングで IIa 型 D カラー、IF(インターナリーフローレス)の隅切り長方形ダイヤモンドが、カラットあたり 22 万ドル(約 2600 万円)となる2200 万ドル(約 26 億 3 千万円)で落札され注目を集め、出品前推定(最大/最低)額のちょうど中程の価格となりました。 これは、最高品質の宝石や他の高級品売り上げが低迷していることを踏まえると、高価格であったといえます。 また、IIa 型 22.3 ctの D カラー インターナリーフローレスのマーキスカットダイヤモンドは、カラットあたり約 15 万ドル(約 1800 万円)の330 万ドル(約 4 億円弱)で落札されました。



Russell Shor は、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。