ダイヤモンドとして持ち込まれたスピネル
1月 31, 2014


図2. トライゴンに加え、このスピネルはダイヤモンドには見られない貝殻状断口(矢印参照)を示した。 顕微鏡写真:Martha Altobelli(マーサ アルトベーリ)、©GIA。 40倍に拡大。
高分解能のUV-Visスペクトルは、天然ダイヤモンドでは見られない発光バンドと吸収ピークを示しました。 フォトルミネッセンススペクトルを詳細に検査した結果、クロムのピークが685、687、689、700nmにおいて確認されました。 クロムは、スピネルにおいては赤/桃色の原因となりますが、ダイヤモンド中には存在しません。 685 nmピークの狭いバンド幅およびUV-Visスペクトル中の~533nmのバンドから、これが未処理の石であることが証明されました(S.Saeseaw他、 “Distinguishing heated spinels from unheated natural spinels and from synthetic spinels: A short review of on-going research,” 「非加熱の天然スピネルと合成スピネルから加熱スピネルを区別する:現在進行中の研究報告」、www.giathai.net/pdf/Heated_spinel_Identification_at_May_25_2009.pdf)。 この他の観察として、スピネルと一致する比重3.45-3.48、さらに長波および短波紫外線での中程度から強度の赤色反応も見られました。 ダイヤモンドレポートのために持ち込まれた石ですが、実際は天然のピンクスピネルでした。
この一件は、宝石素材の同定において、標準的な宝石学技法と高度な分光法の両方が重要であることを再認識させるものです。
著者について
Martha Altobelli、Paul Johnson、Kyaw Soe MoeはGIAのニューヨークラボの研究者です。