2018年バーゼル・フェア、小規模になりつつも依然として稀少な宝石を展示する最大のショー
4月 24, 2018
規模が小さくなったバーゼルワールド2018ショー(3月22~27日)では、見事な売上げを収めた宝飾品会社や宝石ディーラーが数人いたものの、その他の者は売上げが伸び悩んだと報告し、ビジネスはまばらでした。
今年のショーは、規模が昨年の半分(650人の出展者)となり、ピークであった2014年の規模と比較すると40%弱でした。不参加であった出展者のほとんどは、ブランド腕時計の製造会社(ショー最大の出展者、Movado[モバード]は今年不参加)、ジュエリーデザイン企業、そしてほぼ全てのジュエリー製造装置の製造業者でした。 一方、宝石ディーラーの人数は、非常にわずかに減少しただけでした。
このショーにかかる費用は他の見本市の2倍以上と非常に高く、開催期間が8日間と長期間にわたり、さらに費用がかさむため、ここ数年間に出展者を失っていました。Baselworld(バーゼルワールド)の運営会社は、今年のショーの開催期間を2日間短縮し、それに応じて価格も下げました。
バーゼルワールドのマネージングディレクターを務めるSylvie Ritterは、来年のフェアは1週間になり、小さな出展者が参加する意義を増やすために「新しい展示形式」を用意している、と述べました。また、この詳細は秋に発表されると述べ、それ以上は詳しく説明しませんでした。
多くの既存の顧客層を持っていたジュエリーブランドエリアの出展者は、高級商品を扱う小売業者がヨーロッパ、米国、中国での高級品市場が依然として回復し続ける見通しのため、好調でした。それらの小売業者多くは、在庫の購入、そして直ちに売れると感じる特徴を持った高価な商品をいくつか追加していました。しかしながら、展示会では新しいビジネスがほとんどなかったため、常連客を持っていなかった出展者は、競合他社の半分が出展していなかったにもかかわらず、活気のない取引でした。
ハイライト
デザイナーの人気を集めていた宝石は、ブラックダイヤモンド(非常に多い数)とエメラルド、トルマリン、ペリドットのような緑色の宝石でした。人気の高いモチーフは、大枝、蝶結び、花でした。
Baselworld(バーゼルワールド)の宝石会場は、おそらくオークション会社以外、世界中のどこよりも非常に高級な宝石を最も多く見れる会場でしょう。主要なファンシーカラーダイヤモンド、10カラット以上のカラーレスダイヤモンドや大きなルビー、サファイア、エメラルド、パライバトルマリン、他の稀少な宝石など、あらゆる種類の宝石が展示されています。今年の展示会では、通常よりもさらに数多くの高級な宝石が出展されていました。
ビジネスはこの会場でもまばらであり、これは他のディーラーが直ちに必要としている主要な石を探していたり、特定の商品の価格が上昇すると信じていた投機筋がいたため起こりました。
ファンシーカラーダイヤモンドが宝石会場では注目を浴び、過去に入札されたアーガイル産ピンクダイヤモンドのうちの少なくとも1ダースのダイヤモンドが人気を博していました。ただし、インテンスおよびビビッドのグレード(色の改良なし)のファンシーブルーダイヤモンドの価格が現在割安であるという市場心理があるため、このような石の需要が最も高くなっていました。
主要なディーラーの一人は、「その噂を聞いたので価格を上げたのですが、それでもディーラーは買っていました」と指摘しました。
また、色が改良されていなければ、ファンシーイエローダイヤモンドの需要は回復した、とディーラーは述べました。
アントワープのダイヤモンド製造業者であるTaché(タッシェ)は、レソトのLetseng(レツェング)鉱山から今年初めに採鉱された910カラットのダイヤモンド原石、Lesotho Legend(レソト・レジェンド)を展示しました。これは、世界で史上5番目に大きいダイヤモンドであり、Tachéはこのショーが開催される2週間前に4000万ドル(約42.8億円)でこのダイヤモンドを購入しました。同社は、切削のプロセスを開始する前に、4〜5ヶ月間ダイヤモンドを検査すると述べました。
Rare Diamond House of Antwerp(レア・ダイアモンド・ハウス・オブ・アントワープ)は、110カラット強、Dカラー、インタ-ナルフローレス、タイプ IIa のムガール時代のペアシェイプダイヤモンドを展示しました。このダイヤモンドは、1970年代および1980年代に売り渡される前に史上最大の宝石のコレクションのひとつを所有していた、ハイデラーバード王国の伝説的な君主ニザームのものであったと報告されています。
Rare Diamond Houseのディレクター、Oded Mansouriは、約18ヶ月前にこのダイヤモンドを購入したと述べました。このダイヤモンドは、1800年代にカットされましたが、完全に対称的ではありませんでした。しかし、リカットしてもらうためにカット職人に渡したところ、あまりにも見事に輝いていたので、この石をカットし直しするくらいならに彼はその場を去る、と言いました。
ロンドンのM. Vainerは、異なる光源で赤と黄色の二次的な色を示す4.25カラットのファンシーディープオレンジブラウンダイヤモンドと1990年代にオークションで入札されたアーガイル産ダイヤモンドをいくつか提供しました。
これらの古めのアーガイル産ダイヤモンドのいくつかは、それ以来数年間で彼らがこれらの石から最高の色を引き出す方法を学んだので、リカットされています、と同社のパートナーであるRichard Vainerが説明しました。
Constantin Wildはデマントイドガーネットでできたネックレスを展示しました。このネックレスには、合計28.54カラットあるデマントイドガーネットの21個のラウンドカットと3.43カラットのセンターストーンが使われています。また、合計15.93カラットある13個のデマントイドと2.5カラット以上の2つのデマントイドがセンターストーンにあるブレスレットも展示しました。
1カラット以上のこのような石は非常に稀です、とWildは述べました。
スイス、Lugano(ルガーノ)市のGem Trade(ジェム・トレード)は、15粒の10~45カラットのメロ真珠コレクション及びめったに見られない宝石を数点展示しました。
Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。