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モザンビーク産ルビーの低温加熱処理に関するGIAラボレポート


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伝統的な方法と現代的な方法に豊富な経験を織り込んで、スリランカの多くの「バーナー」と呼ばれる加熱職人はモザンビーク産ルビーの低温加熱処理に熟達していく。 写真撮影:Vincent Pardieu/GIA
モザンビークは2009年以来、商業用および宝石品質のルビーの世界有数の産地となっています。 この国の宝石の多くは「従来型」の高温加熱(1,300°C、または2,372°F)が施されますが、宝石業界では多くのルビーがスリランカでかなり低い温度で処理されているという噂が広まっています。 赤色からピンク色のコランダムでは、低温処理されることによって宝石から青色成分が除去され色が向上します。

スリランカの加熱職人たちは過去30年の間、Lakminiを含む地元製の加熱炉の改良を続け、加熱処理の様々な専門的知識を得てきました。 スリランカの職人技術は、特にコランダムの低温加熱処理に関してはタイの技術に匹敵します。

2015年はじめ、業界の懸念を受けGIAの研究者はモザンビーク産ルビーの低温加熱処理の実験を2度ほど、1度目はスリランカの加熱職人、2度目はバンコクの職人との共同で、行いました。 後者の場合、到達温度は約550o~750oC(1,022o~1,382oF)の範囲でした。 研究者は、多くの試料において処理により青色成分が明らかに減少したことを確認しました。

この実験の目的は、低温加熱処理によって処理された宝石のインクルージョン、IRスペクトル、化学組成に検出可能な変化が生じるかどうかを判定することでした。 結果は研究名「‘Low-Temperature’ Heat Treatment of Mozambique Ruby - Results Report」に報告されています。

GIAの研究者は光ファイバー照明を使用した高倍率拡大検査で、全てではないけれども多くの試料において、インクルージョンが低温加熱の影響を受けていることを示すことができました。 結晶の周りにフラクチャーが生じているものが多く、結晶が大きければその影響も大きく表れています。 雲母、長石、黄銅鉱といったインクルージョンはその変化を最も示しており、角閃石の結晶はほとんど変化が見られませんでした。 褐鉄鉱または鉄によるシミのついたフラクチャーも低温加熱処理の後、色が濃くなる場合がありました。

処理により、3009および3161cm-1にFTIR分光分析で検出される控えめながら観察可能なピークが生じました。 レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置を使った微量元素の分析では、処理後の大きな変化は見られませんでした。

この研究から、特にインクルージョンやIRスペクトルの特定ピークを注意深く観察することにより、宝石ラボラトリーでモザンビーク産ルビーの低温加熱処理を検出することが可能であることが確認されます。