消費者の信頼・宝飾品の売上ともに上昇
2月 12, 2018
米国経済が順調に回復し、雇用が引き続き成長しているため、米国の消費者の購買意欲は高まりつつあります。アジアでは、中国の消費者市場は、大手の小売業者が強い売上高を報告したのを受けて復活が期待されています。
米民間調査機関コンファレンスボードが毎月行う消費者信頼感の調査によると、今年初めに適用された税制法案の長期的な効果のためおそらく多くの米国民が相反する感情を抱いているにもかかわらず、1月の米消費者信頼感指数は予想以上に上昇しました。
「しかし、消費者は全体的に2017年後半に見られた堅調なペースの成長が2018年にも継続するとかなり確信しています」とコンファレンスボードは述べました。
Tiffany & Co(ティファニー アンド カンパニー)は、同一店舗売上高が米国で6%およびアジアで7%上昇し、ホリデーシーズンの売上高は全体的に8%上昇したと報告しており、「素晴らしいハイジュエリー作品」が売上増加に貢献したと述べています。同社は売上高が「一桁半ば」で推移し続けると予想していますが、この成長を支えるためには、「新製品を紹介し、新たな顧客サービスを提供する」必要があると報告しています。
また、Cartier(カルティエ)、Bulgari(ブルガリ)および一流ブランド時計事業を保有する高級品のコングロマリットであるLVMHは、宝飾品と時計部門で12%の同一店舗売上高の増加を報告しました。すべての市場で売上高は好調であった、と同社は述べています。
中国の宝飾品の売上高は12月に総計ほぼ50億ドル(約5650億円)と急上昇し、ここ6ヶ月の各月より10億ドル(約1130億円)ほど上回る結果となったと政府が発表しました。中国の主要な宝飾小売店は、売上高がほぼ2年間減少していたものの、第3四半期の同一店舗売上高が5%~12%上昇したと報告しました。これらの結果は、年末の結果が発表される際に一致または超過すると予想されています。
今年のデビアスの最初のサイクルは合計6億6500万ドル(約751億円)となり、これにはサイトやその他の売上げが含まれています。前年の秋に原石および研磨された宝石の在庫がいくらか減少し、キャッシュフローの改善により銀行からの圧力が緩和した後、1月には例年のごとく大部分の商品が市場に吸収されました。2017年1月のサイクルの7億2900万ドル(約824億円)と比較して合計額は大幅にダウンしましたが、デビアスのCEO、Bruce Cleaverは、昨年の数字は、インドルピーの高額紙幣の廃止により延期されていた商品の受け入れのため上昇したと説明しました。
カナダ北部のガーチョ・クエ(Gahcho Kue)鉱山を開業し、ボツワナのオラパでの生産をフル稼働した後、デビアスの去年のダイヤモンド生産高は、22%増加の3350万カラット (約57億ドル相当、約6441億円)となりました。デビアスは2016年から延期された商品を販売したため、原石の売上高は合計3510万カラットとなりました。デビアスは他の鉱業会社によって引き渡されたダイヤモンド原石を競売にかけると発表したため、今年の原石の生産高と売上高の間に不一致が生じる可能性があります。
Alrosa(アルロサ)は、3960万カラットを採鉱し、依然として世界最大のダイヤモンド生産者であり、デビアス同様、以前に在庫として残っていた約150万カラットを販売しました。洪水のためミール鉱山で8人の作業員が亡くなり、閉鎖することになったにもかかわらず、昨年の生産高は6%上昇しました。高めの価値があるダイヤモンドがミール鉱山から産出されていたため、この鉱山の閉鎖により今年アルロサが生産するダイヤモンドの平均カラット単価は低下する可能性があります。また、この水没事故によりアルロサを民営化する計画が延期され、政府の所有権は43.9%から29%へ削減されました。
ツーソンショー
ツーソンで行われたジェムショーでは、高品質の宝石、特に未処理の宝石、そして一般価格の宝石の需要が堅調であり、中程度の商品の市場は引き続き弱めであると報告されています。
供給が増加したため価格が低下したにもかかわらず、ルビー、サファイア、エメラルドの需要は良好であったと業界の報道関係者は述べています。
市場では手頃な価格のユニークなジュエリーに対する人気が高まっているため、アメシスト(紫水晶)、シトリン(黄水晶)、ブルートパーズやその他のあまり高価でない宝石の需要が増加しています。また、限定品や特殊な作品を制作するデザイナーの珍しい宝石の市場が堅調です。
スコッツデール近郊で開催されたCenturion Show(センチュリオンショー)では、出席者の数が減少しましたが、売上高は昨年よりもはるかに上回りました。このショーで小売業者は今年が良い年になると非常に自信を持っているように見えたと出展者は指摘しています。
Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。