業界分析

JCK ラスベガス 2018: 需要が改善したものの、参加者は減少


登録ブースに集まるショーの参加者。
バイヤーは依然として若干慎重であったものの、今年のJCKラスベガスショーでのビジネスは予想通りの結果となった。写真:JCK。

6月1~4日に開催されたJCKラスベガスショーでの需要は、参加者が減少したにもかかわらず、業界が予想した通りの結果となりました。

ショーの出展者の大半を占めるジュエリーデザイナー、製造業者、ダイヤモンドのディーラーは、依然として若干慎重であったにもかかわらず、ビジネスは概して安定していたことを確認しました。しかし、ショー開催中に会話を交わしたほとんどの方は、デビアスが新たに発表した合成ダイヤモンドのジュエリーコレクション、Lightbox(ライトボックス)に関して懸念を示していました。

Mandalay Bay(マンダレー・ベイ)の会場でジュエリーを出展していた業者は、ある商品においては昨年と比較して注文がわずかに良い結果となりましたが、ショーに参加する目的は販売を上げることよりも新しい関係者と会って交流を深めることである、と報告しました。

「重要な商品を探しているバイヤーは、大抵ここで注文せずに来るだけで、私達と話すだけです。ビジネスはその後に全部済ませるのです」 と、Luxury Pavilion(ラグジュアリー・パビリオン)のデザイナーは語りました。

より商業向けの商品を製造している業者は、商品はすべてオンラインで注文できるため、ショーはクライアントの懸念に耳を傾けたり、提案を考慮に入れる機会となっています。

ここ数年の間、様々な価格でデザインする宝飾品製造業者がますます増えてきました。今年はその傾向が顕著であり、宝石とロッククリスタル(水晶)および製造された結晶ガラスの組み合わせを14Kと18Kのゴールドやプラチナの代わりにヴェルメイユと純銀にセットした宝飾品まで登場しました。ショーで見られたジュエリーデザインは、渦巻く細めのラインを使う傾向にあり、手頃な価格を維持するために多くの方が貴金属と非貴金属の素材を混ぜて使用していました。
 
女性が自分で購入する商品は、宝飾品メーカーにとって非常に重要なニッチとなっているため、衝動的に宝飾品を購入する可能性のある女性にアピールするため、そして高級ジュエリーをその他のアクセサリーと競争力のあるカテゴリに入れるために、500~1000ドル(約5万5千円~11万円) の価格帯の商品を製造するメーカーが数多く出てきました。

「女性はデザイナーハンドバッグに750~1000ドル(約8万3千円~11万円)も使うのを躊躇しません。それと競うにはファッション指向の高級ジュエリーがたくさんないといけません」と、ある展示者は説明しました。

JCKショーへの入り口
過去と比べて、JCKショーへの出席者は減少したと報告されている。写真:JCK。

最も有名な数多くのデザイナーによるデザイナージュエリーに焦点を置き、JCKショーと同時期に開催されていたCouture Show(クチュールショー)でも同様のことが確認されました。このショーに参加していたダイヤモンドディーラーは、需要は安定していたものの、小売業者は慎重であったと報告しました。

「大手チェーン店や独立した業者が来ていました。ほとんどの方はすぐに必要なものだけ購入したり、お客様の注文があった場合のみ大きめの商品(通常、3カラット以上)を買い付けていました」と、ある出展者は語りました。

より高級なファンシーピンクとブルーのカラーダイヤモンドに関心が寄せられましたが、このような商品は少なく、需要は0.5カラット以下のものに限定されました。

American Gem Trade Association(アメリカ宝石取引協会)のショーでは、カラーストーンの需要は、その週の間、常に低迷していました。バイヤーは、非加熱のルビーおよびサファイア、ファンシーカラーサファイア、色のアクセントがある小さめの石を探していたとディーラーは報告しました。

バイヤーの正式な参加人数はショーが終了するまで発表されませんでしたが、ほとんどの出展者は過去のJCKラスベガスショーと比較して大幅に減少したと確信していました。Jewelers Board of Trade(宝石商取引委員会)によると、米国の小売宝石店の数は、過去3年間でおよそ2000件減少しました。また、ショーの出席者としてかつて重要な位置を占めていた世界各国のバイヤーは、非常に拡大した香港ショーなど、その他のショーに出展を希望する傾向にあります。

さらに、多くのクライアントはショーには全く参加せずに、オンラインで注文していると指摘した出展者もいました。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。