特集

極寒の輝き:北極地方近辺の宝石や鉱物

Sharon Bohannon
3月 17, 2017
マルチカラーの宝石を、氷河の山頂の画像と重ね合わせました。
この見事にカラフルな宝石の数々は、北極近辺の僻地で発見されている。 氷河の写真:Brendan Laurs / GIA。 フォトイラスト: Robert Weldon / GIA

北極地方の氷河の山頂が、私たちの宝石探究の舞台です - 地球の面積8%以下の地域です(グリーンランドから北ヨーロッパ、ロシアそしてカナダまで) - そんなところへ、珍しい宝石を探しに出かけます。

A flat map of the arctic region
グリーンランドから出発し、ノルウェー、フィンランド、ロシア、カナダと東に移動しながら、北極地方産の宝石について学びます。

この旅は、グリーンランドから始まります。おそらく、カラーストーンと聞いて、思い浮かべる場所ではないでしょうが、でもそこは、真っ赤なルビーが発見されている場所なのです。 グリーンランドの宝石は、そのほとんどが南西部の海岸160キロの地域で発見されています。 この地域は、200年以上も前にここの地質を研究するために訪れたヨーロッパの科学者たちの目にとまりました。 グリーンランド先住民のイヌイットは、すでにルビーの存在を知っていましたが、もうひとつの赤い宝石であるタグトゥパイトは、南グリーンランドのTunugdliarfikフィヨルド北部の沿岸、Tugtup Agtakôrfia で1957年に発見されました。 タグトゥパイトは、その数が限られているため、希少な宝石としてコレクターが好むアイテムとなっています。 サファイアラピスラズリ、アマゾナイト、ペリドット、クォーツ、スピネルトパーズトルマリンも、商業的数量や品質ではないものの、グリーンランドで発見されています。

 

タグトゥパイトは、コレクターが好むグリーンランド産の石です。発見された場所、Tugtup Agtakôrfiaにちなんで命名されています。 Tugtupはイヌイットでトナカイを意味します。 提供: Ice Cold Gems、William Rohtert。 写真撮影:Robert Weldon / GIA
タグトゥパイトは、コレクターが好むグリーンランド産の石です。発見された場所、Tugtup Agtakôrfiaにちなんで命名されています。 Tugtupはイヌイットでトナカイを意味します。 提供: Ice Cold Gems、William Rohtert。 写真撮影:Robert Weldon / GIA

グリーンランドの首都ヌークから東に3200キロほど進むと、今度は1600年代初頭に銀が発見された、ノルウェー南部、ブスケルー郡のコングスベルグ鉱山に到着します。 この鉱山は、330年以上にわたり稼働していました。 ここは1958年に閉鎖しましたが、この一帯を産地とする石は、コレクター向けの鉱物となっています。 現在、コングスベルの町にはノルウェー鉱業博物館があります。銀の標本のほか、鉱山労働者、技師、医師などによって使用される器具や機械などが集められています。 1899年から1909年までの間は、エメラルドが採掘されました。また、かなりの量のグリーンベリルが19世紀後半から20世紀初頭まで、ノルウェーのByrudの農場で採掘されました。 そのうちのいくつかは、ファセッティングが可能なほど透明でした。現在でも農場の所有者が、小額の手数料で採集をさせてくれます。

主に青のこの宝石には、左上に大きなオレンジ色の斑点と、他の場所に緑とオレンジ色の大きな斑点があります。
フィンランドのスペクトロライトは、その幅広く強い色彩の輝きで知られています。 提供:True North Gems(トゥルー・ノース・ジェムス)、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー。 写真撮影:Robert Weldon / GIA

ノルウェーから東に1400キロのフィンランドでは、南東部の小さな領域で、格別のラブラドライト(業界ではスペクトロライトと言います)が見つかります。 スペクトロライトのその強烈で広範囲にわたる色は、フィンランドで半年以上見ることができる、カラフルで劇的なオーロラを連想させます。 フィンランドの名産はラブラドライトですが、しかしその宝石は、もともとは最初に発見されたカナダのラブラドールにちなんで名付けられたものです。

さらに東方向に進むと、ロシアのウラル山脈にたどり着きます。ここは、豊富なカラーストーンの供給源として、長い間ロシア帝国の宝飾品に使用されるため、ロシアの貴族によって利用されてきました。 ここには、多種多様の宝石があります:エメラルド、アメシストアクアマリン、デマントイドガーネットジェダイト、イエローベリル、マラカイト、ジャスパー、アレキサンドライトなどです。 ロシアは昔から、その皇帝アレクサンドル2世にちなんで名付けられたアレキサンドライトの産地です。 

槍のようなベスビアナイトが、星状に中心から突き出ています。
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そして次の目的地は、北極圏から20キロ南、凍結したシベリアのツンドラにある、ヤクーツクです。 ここは、冬になると太陽が何日も輝くことのない、極夜の地です。 世界最大の露天掘りダイヤモンド鉱山のミール鉱山は、1955年にソ連の地質学者によって発見されました。 ここは、数兆カラットのダイヤモンドを含有する火道に位置しています。 ミール鉱山は、2011年まで散発的に稼働した後、現在は閉鎖されています。 1960年代の最盛期では、宝石品質のダイヤモンドが毎年数百万カラット生産されていました。 1980年、342.57カラットのファンシーレモンイエローのダイヤモンドが、ミール鉱山で発見されました。 それは現在、モスクワ・クレムリンのダイヤモンド庫に保管されています。

そして、この北極の宝石の旅の最終目的地は、カナダです。 ブリティッシュコロンビア州の地質学的条件は、ジェダイトの2大産地であるミャンマーそして中国のそれと似ています。 ブリティッシュコロンビア州のポーラージェイド鉱山で、18トンのネフライトの巨礫、ポーラープライドが発見されています。 ポーラープライド巨礫の半分は、タイで2年間かけて、世界平和のために有名な4.65トンの玉仏に彫刻されました。 高さ約2.5メートルで、宝石品質のネフライトから彫られた仏像としては、世界最大です。 このジェードの仏像は、平和を求める人々のために、2009年から世界15カ国以上で展示されています。

茶色の石の中に、オウムガイの殻の形をしたアンモナイトの化石が見えます。
カナダのアルバータ州カルガリーで見つかったこの収集家向けの標本は、マトリックスに覆われた絶滅したアンモナイトの殻の化石です。 これと同様の原石は、ジュエリー用としてカボションに加工され、アンモライトとして販売されます。 寄贈:Korite International 写真:Kevin Schumacher

また、アルバータ南部は、イカ、タコやオウムガイなどの現代の頭足類と関係があり、今は絶滅した海洋動物の化石群であるアンモナイトの産地でもあります。 2億年前から6500万年前まで生息していましたが、恐竜と一緒に絶滅しました。 ほとんどのアンモナイト化石は、安定性向上のために、無色の硬化剤で処理されます。 研磨すると、とても鮮やかなイリデッセンスを発するものもあります。 そういったものは、「アンモライト」としてジュエリーに加工されます。

北極圏に近いカナダのノースウエスト準州の東部地方は、ロシアのシベリアにあるミール鉱山と共通した気候になっています。 イエローナイフから300キロに位置する、ラック・デ・グラス地域にある比較的新しいダイヤモンド鉱山のエカティとダイアヴィクは、高品質のダイヤモンドの産地として有名で、それはしばしば「紛争フリー」のダイヤモンドとして販売されます。 また、カナダでは、様々なカラーストーンや結晶も産出されます。

北の大陸の極地のこの旅では、豊富な宝石や鉱物を発見することができます。きっと、皆さんの心も温まることでしょう。 

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