ベルモント鉱山と、鉱山から市場へのエメラルドの旅


鉱山から市場に出る指輪
この指輪のエメラルドは、ブラジルのベルモント鉱山の大地からタイのオーダーメードジュエリーの製造業者や小売業者へと、まさに鉱山から市場へという全てのバリューチェーンを次々と辿っていった。写真:M. Suradej Joaillerie

はじめに:ブラジル

ブラジルは、1500年代初めより支配されていたポルトガルから1822年に独立しました。現在ブラジルは南米で一番大きく最も人口の多い国で、経済的にも最強を誇っています。ブラジルの総面積は8514877平方キロメートルで、豊富な天然資源を持つ世界で5番目に大きな国です。その経済力につながっているのは、貴金属、鉄鉱石、マンガン、ニッケル、リン、スズ、希土類元素、ウラン、石油などの採鉱です。

ブラジル経済を支えるもう一つの供給源は、コーヒー、大豆、小麦、米、トウモロコシ、サトウキビ、カカオ、柑橘類、牛肉などの農作物です。産業で最も大きい分野としては、繊維製品、靴、化学薬品、セメント、木材、スズ、鋼、航空機、自動車、機械類などが挙げられます。ブラジルは1億730万人以上の労働者人口を持ち、これは世界の労働力の中で6番目の大きさです。年間輸出額は2448億ドルに上り、世界で23となっています。中国はその主な貿易相手国で、次に米国が続いています。

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素晴らしいブラジル
ブラジルの人々は国の天然資源と同様に多種多様です。ヨーロッパ系人口には、ポルトガル系、ドイツ系、イタリア系の人々がいます。奴隷貿易の時代からの大勢のアフリカ系の人口だけでなく、先住民族や混合民族も大変多くいます。このような多様性が、国の非常に豊かな文化を生み出しています。

ブラジルは、宝石やジュエリー業界という観点においても豊かです。何十年もの間ブラジルは、エメラルド、アメシスト、シトリン、アゲート、トルマリン、トパーズ、アレキサンドライト、キャッツアイクリソベリル、オパール、アイオライト、ガーネット、その他多くのカラーストーンの供給をリードしてきました。

ミナスジェライス州

ポルトガル語のミナスジェライスを英語に翻訳すると、それは文字通り「ジェネラルマインズ(一般的な鉱山)」を意味します。鉱山業は、この大きなブラジルの州の中で最も重要な産業の一つでです。州の北西部は、トルマリンや他の色石宝石を生産する巨大なペグマタイト鉱床で知られています。鉱山ビジネスの中心となっているのは、ゴベルナドール バラダレスです。この都市では宝石のカッティング、取引、業界向け展示会などが行われています。ディアマンティーナの町の周辺では、ダイヤモンドも生産されています。

州の南部には巨大な鉄鉱石鉱山と、海岸へ鉱石を輸送する鉄道があります。ユネスコ世界遺産のオウロ プレトの近くは、世界で唯一のインペリアルトパーズの商業的な産出地でありピンクトパーズの有名な産地です。オウロ プレトという名前は「黒い黄金」を意味し、地域の金採掘の歴史的重要性を表しています。

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ミナスジェライス州の州都ベロオリゾンテは、人口400万人を超える都市です。ブラジルの宝石とジュエリー産業の中心地です。著名な宝石カット職人、ジュエリーデザイナー、ジュエリーメーカーの数多くがその街に存在します。

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ベロオリゾンテの宝石とジュエリー

イタビラ

ミナスジェライス州の南東部に位置するイタビラは、人口10万人以上の街です。街の最も重要な産業は鉄鉱石採掘で、その最も重要な会社は鉄鉱石鉱山の巨大企業であるVale(ヴァーレ)です。Vale社は世界第3位の鉱山企業で、鉄鉱石の最大の生産を誇り、ニッケルでは第二位となっています。イタビラ近郊の最大の鉄鉱石鉱山は、Cauê(カウェ)とConceição(コンセイソン)です。鉱石は、ミナスジェライス州の州全体を横切るヴィトーリア ミナス鉄道でエスピリトサント州ヴィトーリアのトゥバラン港へ輸送されます。鉄鉱石採掘が町の経済を支えているなか、エメラルドの採掘は世界の色石宝石業界にとって重要なものとなっています。

南米の概略地図
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イタビラの街がその鉄鉱石採掘で良く知られている一方で、ベルモント鉱山は
エメラルドで宝石業界で有名になった。
国内で最もエメラルドの生産性の高い地域であるイタビラは、大きなエメラルドの鉱山企業がある唯一の場所でもあります。その中でもベルモントが最大です。ベルモントはまた、世界で最も最先端かつ重要なエメラルド鉱山の一つです。1978年に設立され、現在このファミリービジネスは三世代目に入っています。

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ベルモント鉱山の歴史

私たちのチームは、エメラルドが初めて発見された最初のピットの採掘場で、ベルモント鉱山マネージャーでファミリーメンバーであるMarcelo Ribeiroにインタビューをしました。彼は、このエリアが世界でも最先端の色石宝石採掘事業の1つとなっていった驚くべき物語の全容を語ってくれました。

ベルモント鉱山の立地
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この産出源は、敷地のある農場の所有者だったMauro Ribeiroによって1978年に発見されました。Ribeiro氏は農場で生まれ、イタビラに移り建設事業に携わるまでそこに住んでました。イタビラで数百人の従業員を持つ鉄鉱石鉱山会社を起業後、過労から来るストレスで苦しむようになり、医者から休暇を取るよう言われました。

彼は旅行するよりも田舎を好む人で、体を休めるために一ヶ月ほど家族の農場に戻りました。Ribeiro氏は両親から農場を相続していました。その後、彼の他の家族の分割分も購入し、趣味として農場を維持し牛を育てていました。

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農場に帰ってきた後、Ribeiro氏はフロントローダーを使って敷地内の南にある小川の近くに、牛の給水地にするための小さなダムを作りました。その場所を掘削し、小さな湖に水が溜まり始めると、側面からいくつかの緑の石が洗われ出てきました。Ribeiro氏は知らないうちに、エメラルドが形成されたエリアを掘っていたのです。

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自分で作った小さな池に大変満足し、リラックスした気分で自分の会社の運営に戻りました。自分が見た緑の石が何なのか知らず、大して気にもとめませんでした。

近隣にある巨大炭鉱の石炭をイタビラから港に輸送するのに、ベルモントの敷地境界線の近くにある線路を使います。手動レバーで操作される鉄道の線路の交差点が、Ribeiro’s氏の新しい人工湖の近くにありました。レバーの操作を行う担当者は、バイア州産のエメラルドの多くをカットしたり取引する中心地となっていたミナスジェライス州のテオフィロ オトニの出身でした。テオフィロ オトニでエメラルドのカッティングや取引を見てきたその鉄道労働者は、エメラルドとその原石に関してある程度の知識を持っていました。

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ある日、その鉄道労働者はフェンスを乗り越えて、新たに作られた湖に水を汲みに行きました。湖周辺を歩いていると、エメラルドだと分かる緑の石を見つました。彼はRibeiro氏を見つけて、自分ができるだけ多くの石を集めテオフィロ オトニにそれを持って行くので、収入を半々に分けないかと、提案しました。その時点でエメラルドのことを何も知らなかったRibeiro氏はそれに同意しました。鉄道労働者がRibeiro氏に分け前を持ってきたとき、彼は大変驚きました。手で拾ったわずか一週間分の石で労働者が持ってきた分け前は、Ribeiro氏が鉄鉱石事業で1ヶ月で得る収入よりも多くのお金だったのです。

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Ribeiro氏は、ベロオリゾンテに住んでいた鉄鉱石業界の友人で鉱山技師でもあったPedroに連絡しました。Ribeiro氏がPedroに敷地内にエメラルドがあることを告げましたが、イタビラ周辺ではエメラルドはないのでそんなわけはないとPedroは言いました。Pedroは石がアクアマリンかもしれないと考え、Ribeiro氏にしばらくの間炎の中で石を加熱し、色が変加するかどうか確かめるように言いました。Ribeiro氏はそれに従い、色に変化がなかったことをPedroに報告しました。そしてPedroが実際に来て見て、その石がエメラルドであることを確認しました。

Ribeiro氏は、鉄鉱石の採掘での経験が豊かでしたから、ブラジルでの鉱物や採掘権に関する法令に関して熟知していました。世界の他の地域と同様に、土地の所有権を持っているからといって採掘権を所有していることにはなりません。所有している敷地での鉱業権の資格を取得するには様々な基準が関わってきます。Ribeiro氏は、彼の敷地での採掘免許を申請するためにブラジル政府の鉱山部に出かけて行きました。

免許は通常、最初に申請した人あるいは企業に付与されます。Ribeiro氏が申請書を提出した直後にニュースが素早く広がり、他の多くの人が彼の敷地内での採掘権を申請しました。1978年から1979年の間、500以上の個人のガリンペイロ(garimpeiros)と呼ばれる鉱山労働者が、エメラルドの埋まっている敷地内に侵入しテントを張り採掘を始めました。

採掘権の申請がゆっくりとブラジルの官僚により処理されていく間、Ribeiro氏はガリンペイロ達と契約を結びました。彼は全体を組織化し、敷地内では銃、アルコール、女性を禁止するというルールを定めました。また、採掘された全てを一つにまとめ販売する、という取り決めを設定しました。収入は皆の間で分割することとしました。彼はまた、鉱区の周りにフェンスを建て、フェンス外は彼の農場、牛、そして彼の家族の生活でありそれらを尊重するよう伝えました。

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当時、ブラジル政府には多くの不正行為が行われていたので、Ribeiro氏は採掘権の申請が承認されるのに時間がかかることを予想していました。何らかの細則により却下された場合、次の人の申請が賄賂により承認されはしないかと気がかりでした。Ribeiro氏は、長年付き合いがあり選挙を支援してきた政治家の所に行き、申請についてや敷地内を侵入している多数のガリンペイロに関しての懸念を話しました。

その政治家は、採掘権の申請を手助けするために金を要求し、Ribeiro氏に不快感を与えることになります。政府がすべき仕事であるのに、そして特に友人と思って見返りも求めず過去に支援してきた人が、賄賂を求めることに憤慨しました。それがやり方なのだと政治家は言いましたが、Ribeiro氏は考えてみると返事をしました。

Ribeiro氏は首都ブラジリアに行くと妻に言い、採掘権が自分の物になった時に戻ると約束しました。鉱山局の建物の前に立ち、申請が承認されるにはどうしたら良いか、そもそも申請が今の時点でどこに留まっているのかを考え始めました。人々の出入り見ながら、中に入ろうとする正直そうに見える男に、そこで働いているのか、何をしているのか尋ねてみました。男は、すべての執務室の掃除係の一人だと答えました。Ribeiro氏は男に状況を説明し、申請書がどこにあるのか、誰と話をしたら良いのかを見つけるために手伝ってくれるよう頼みました。

清掃作業員はそれを承諾し、その後、申請書は鉱山庁大臣の机の上に他の多数の書類と一緒に置かれていて、全てが非常にずさんで放置されているとRibeiro氏に伝えてくれました。大臣の注意をその書類に向ける良い方法は何かないだろうかと清掃員に尋ねました。結局のところ、彼の申請書は、非常に長い間机に置きっ放しにされていたわけです。

清掃員は大臣と話す事を引き受けてくれ、彼は大臣にこう言いました。「大臣、ここにある書類は署名が必要なのですが、間違った所に置かれていました。一番古いものを上にしてきちんとまとめておきました。」大臣は雑然としていた書類の山を整理してくれた清掃員に感謝し、Ribeiro氏の申請書は翌日までに署名がされました。Ribeiro氏は大変喜び、新しい車を買うのに十分なお金を清掃員に渡しました。署名された採掘権を手にして帰宅し、このことは新聞で公式に発表されました。

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Ribeiro氏は鉄鉱石業界で働くの止め、組織的な方法でエリアを採掘するために会社を設立しました。専門的な採掘運営の進行中に関わる多くの作業、そして窃盗や侵入などに対処するセキュリティ問題もあったので家族全員を事業に引き入れました。

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1979年後半から1980年には、洪水が鉱区を襲いました。作業は停止し、水を汲み出すためにポンプを持ってきて、採掘技術を改善する手段や方式を見直しました。同時に、ガリンペイロ達はゴイアス州のサンタテレジーニャでのエメラルド鉱山に興味が移り、彼らの多くはその地域に移動しました。これによってしばらくの間、ベルモントでの盗難や侵入問題が軽減されましたが、鉱山での労働力は限られていきました。

このような状況になったことで、鉱床の適切な採掘計画を確立するために時間を割くことができました。鉱山エンジニアが雇われ、オープンピットが切り拓かれ、1980年にベルトコンベア手選別システムを使った選鉱工場が建てられ、それまでより良い体制で生産が再開しました。

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ところが以前に敷地内で働いていたガリンペイロたちがその地区に戻れるよう弁護士を雇うという、もう一つの面倒な事態が生じました。サンタテレジーニャでのエメラルドの収穫が思ったよりも高くないことが判明したのです。彼らの弁護士は政府に行き、Ribeiro氏が支払うべき税金を支払っていないと、主張しました。それから政府は彼の銀行口座を監査しました。

Ribeiro氏の問題は、彼が他の鉱山労働者達のためにエメラルドを販売していたとき、すべての収入が彼の口座を介していたということでした。鉱山労働者に現金で分け前を渡していましたが、彼は自分の分け前である20%分の税金しか払っていませんでした。これで彼が十分に税金を払っていなかったかのように見受けられたのです。政府と税金に関して争って成功する方法はありませんでしたから、税金を支払うための十分な金を調達して採掘の所有を維持するためには、生涯に相当する財産を売らなければなりませんでした。幸いなことに、採掘権は資産とはみなされず、その苦しい期間でもそれを守ることができました。

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1982年までには、家族の抱える法的な問題は過去のものとなりまた。彼らはまだ採掘権を所有していたので、採掘を再開し、大規模な機械化の方法を実施しました。当時は、ドラグラインでの露天掘り手法を利用しました。泥、表土、および鉱石をすべて一緒にしてバケツに積み込み、選鉱工場に送りました。こうした大量の素材は、選鉱が困難でした。

1985年には、最初の油圧ショベルを購入しました。当時のブラジルでのカラーストーンの採掘のために使用されることは珍しい、高価な機器でした。エメラルドの採掘のためにもっと小さいものを提案した営業担当者の警告に反して、機器代の返済は1ヶ月以内で終えました。それ以降、石を表面近くに持って来ることができるようになり抽出が容易になったので、採掘コストを減らすことができました。

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1990年代半ばまで作業は完全に露天掘りで進められてきましたが、ピットが大きく深くなるにつれより多くの廃石(ズリ)の除去が必要となり作業は困難になっていきました。その頃、調査やコアサンプリングは、より洗練された採掘手法と共に一層重要になってきていました。ベルモントの地質学者の1人が、地質学をより理解するだけでなく、坑内採掘の将来的生産性と潜在性を判定するために、立坑を作ることを提案しました。エメラルドに到達するために除去する必要のある表土が大量にある場所では、坑内採掘は実用的で経済的にも利益があるだろうと考えたからです。坑内採掘の視点で鉱床を研究することは、将来の鉱区を計画するためにも役立つと思われました。最初の立坑はオリジナルのピットの場所で35mの深さで作られ、そして予想通り、採掘計画のために役立つ情報をもたらしてくれました。

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コアサンプリングは1970年代後半に始まり、1990年代にさらに進められました。最初は、独自の地質学者ではなくボーリング調査の請負業者を雇いました。ところが、請負業者はベルモントのデータを近隣の地区の調査にも利用しようとしたので、ベルモントは1990年代後半までには独自のボーリング調査チームを結成しました。2001年、ベルモントの将来の採掘計画を綿密に立てている頃、Ribeiro氏の孫であるMarcelo Ribeiroが鉱山工学の学位を取得し大学を卒業しました。

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当時決定を迫られていた重要な決断事項は、露天掘り採掘は長期的に可能であるかどうか、そして経済的収益があるかどうか、といういうことでした。Marceloもその決断プロセスに関与することとなり、そして家族は露天掘り作業にさらに多くを投資することを決めました。より深い所を採掘するために水位を下げる目的で、水を除去する複数のポンプを設置しました。

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このような出来事を通して開発は進み、今では世界で最高の技術を持つ色石宝石鉱山の一つとなりました。鉱床に関する知識への絶え間ない探求は、新技術によって支えられ、継続的な開発へとつながっています。ベルモントの運営では、詳細な鉱床の地図を作成し、エメラルドの所在に精通し、最良の採掘法と最も効率的な技術を採用するためにたゆまぬ労力を注いでいます。こうした努力により、鉱山が現在の状態に到達することができたのです。

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ベルモントの地質学

従来からある地域的フィールドマッピングでは、イタビラ、サンタマリア デ イタビラ、ノバエラの地中に横たわる4つの主要地質学的ユニットを示しています。(1)片麻岩と花崗岩で構成される始生代クラトンの基盤、(2)始生代グリーンストーンベルト(沈み込み時に大陸の端に付着した苦鉄質岩の海洋地殻)、(3)ミナス スーパーグループ(超層群)に属する後期原生代変堆積岩、(4)基本的に珪岩である中間原生代変堆積岩、の4つです。古原生代(〜21億年前)のアマゾンを横断する造山運動と、新原生代ブラジル造山運動(〜6億年前)の2つの主な地殻変動作用が、この地域に影響を与えました。後者は、地球規模のパンアフリカ造山運動に属します。

イタビラでは、原生代初期のミナス スーパーグループ(超層群)には、下から上の順に、堆積岩の変成作用によって形成された準片麻岩、緑色片岩、雲母状珪岩といくつかのフィライト(千枚岩)からできているCaraca層群、経済的に最も重要なイタビライトとヘマタイト(赤鉄鉱)を含むイタビラ層群、主に珪岩、セリサイト、フィライトから構成されるピラシカバ層群などが含まれています。この全体の層は、地域的変成作用を受けることとなります。

広域地質学
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この図では、ベルモント鉱山の周辺地域の地質概要を説明している。Hanni et al., 1987
を修正。
ベルモントでのエメラルドの形成は、ベリリウムの豊富なペグマタイトとクロムの豊富な超苦鉄質岩の交代作用の結果です。ベルモントでは、激しく風化した始生代グリーンストーンベルト(緑色岩帯)が、Borrachudu超花崗岩質とフルオライトが埋まっている葉状超花崗岩質に接触しています。苦鉄質岩の形成は、変成作用を受け黒雲母のタルククロライトの片岩となりました。幅750から1000メートルで北東から南西に通っているこの片岩が、ベルモント鉱区を占めています。

多数のペグマタイトがこの片岩に貫入しました。強烈な風化によってペグマタイトの多くをカオリンへと変換させ、クォーツのポケットが超花崗岩質と片岩の間に散らばりました。エメラルドは、クロライトの片岩と黒雲母片岩内の交代反応帯、または非常に変化したペグマタイト体のみで見つかっています。

ペグマタイトの起源はまだ議論されています。一部の研究者は、それらがブラジル造山運動(約5億年前)に関連していると唱え、また、後期ブラジル地殻熱作用によって活発になった黒雲母のような低温度鉱物のいくつかと一緒に、初期トランスアマゾン造山運動(約19から21億年前)に生成されたと考えている研究者もいます。

鉱区の断面
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ビジネスモデル

採掘率は多くの経済的な要因によるので、実際の採掘の寿命を予測することは難しいです。需要が高い場合には採掘事業が増え、景気後退時などで需要が減った場合には採掘事業が減ります。Marceloはエメラルドが枯渇することを恐れていません、が、景気後退によりエメラルドのカラットあたりの価格が下がったり、現在のレートの変動、さらには燃料費などの経済的要因により採掘費用が高価になるかもしれないという懸念はあります。

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このような背景から、バリューチェーンにおける事業価値を高めようと、ベルモントを推し進めることにつながりました。彼らは継続的に選別工程、宝石パーセルの作成作業、および顧客基盤を向上させる一方で、数年前、原石採掘だけではなくカット石の製造と販売にも移行しました。採掘したエメラルドの収益を増やすだけでなく、採掘を継続するため経済性を高め、鉱山の寿命を延ばせることを期待しています。

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バリューチェーンにおける事業価値を高めるため、ベルモントは今、社内で原石生産物の大部分を
カットしている。- 写真:Andrew Lucas/GIA
ベルモントは今、生産したファセットグレードの原石の大部分(価値にして約70%、量にして約60%)をカットしています。どの原石をカットするために残し、どの原石を売るかを決めるとき、ベルモントは市場需要と費用対効果という要因をまず見ます。現在、ファセットグレードの原石はブラジルですべてカットしています。しかし人件費は、世界の他の地域ほどに安くありません。ですから、ブラジルで成形加工した石を世界で競合できるレベルに価格設定できるかどうかを見極めなければなりません。彫刻用、ビーズ、カボショングレードの素材のほとんどは、インドのジャイプールに送られます。

特定の石の追跡

GIAフィールドジェモロジストはしばしば鉱山を訪れ、鉱山から市場への一貫したバリューチェーンを調査しますが、鉱山から最終的な消費者に届くまで特定の石を追うことはそうそうありません。ところがわれわれはベルモント鉱山で産した29.8グラムの原石について、その機会を得ることができました。この原石は、海抜654メートル、地下100メートルの地下鉱床から出てきました。坑内採掘とピット採掘のどちらの場合でもそうですが、この石は採掘プロセス自体の間には発見されていませんでした。発破をかけ、抽出プロセスが完了した後、石はまだ片岩内にありました。

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ベルモントの洗練された光学式選別機がこの石を「見た」第一号でした。人間が最初にそれを目にしたのは、光学式選別後すぐ、エメラルドを含んでいる鉱石が保管されている「セーフルーム」においてでした。しかし、イタビラの選別およびグレード分けをする施設に来て鉱山マネージャーのMarceloのデスクに置かれるまで、誰もその価値を気にとめませんでした。実際それに気づいたのはMarceloの母親でした。「特別の特別よ」と、彼女はそれを見せるためにMarceloを呼びました。

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Ribeiroファミリーは、常に最初にすべての生産をチェックします。Marceloに、こんなに大きくて高質の結晶を見つける頻度は、と尋ねたところ、こんなふうに答えてくれました。「運の問題です。ですが、私はハードワークが幸運をもたらしてくれると信じています。神は情熱を持って働く人々を助けてくれるのですよ。ベルモント鉱山は素晴らしいです。すべての生産物が驚きをもたしてくれるはずです。年に1つから3つほど、その位の大きさや品質の石がありますね。」

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Marceloはカット職人にその石を見せ、カッティング方法を議論しました。Marceloはカット職人にカッティングをまだ始めないように指示をし、GIAチームが準備を整えてカッティングプロセスを記録できるようにしてくれました。カット職人のリーダーであるDonizeteにこう言いました。「明日、私のGIAの友人がビデオ撮影するから、エメラルドを38年間カットしてきて学んだことを見せてください」と。

Donizeteは石を回転させながら全ての角度から検証すると、目をキラリと光らせ、こう言いました。「さて、これが私の生きがいで、この仕事が大好きですから、あなたの友人が会いに来てくださって大変光栄です。最善を尽くしましょう。うまくいけば、この原石からカットしたいくつもの石のうち、15カラット以上になる美しい石が一つ取れると思います。」Marceloが冗談交じりに「今晩この石と一緒に寝たい?」と聞くと、「是非そうしたいけどね、ワイフが焼きもちをやくから。」と、Donizeteが笑って答えました。

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その夜この石を金庫にしまう前に、Marceloとカット職人は、石を仕上げていく計画と初めの切断をどこに入れるかに関してもう少し議論していました。Marceloは、エメラルドのカッティングの計画についてより詳しく取り決めていきたいとDonizeteに話しましたが、Donizeteの答えは「心配いりませんよ、石が何をすべきか私たちに教えてくれますから。」でした。

オープンピットマイニング(露天掘り)

採掘権が確立してから4、5年間は、元からあった場所のピット1で露天掘り採掘を続けました。しかし、ピットが深くなり、水の問題が作業の妨げになり始めました。ピットは、敷地内で地下水の水位にたいへん近い低地にあり、雨による洪水が定期的に繰り返されることが問題となりました。これを補うため、いくつかの採掘作業を北へ移動させました。

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また、ピット1での採掘を続行することを決め、ピットの寿命を何年も延ばせるように水を取り除くポンプをさらに設置するために投資しました。ベルモントの人たちが「古いピット」と呼ぶピット1を私たちが訪れた際には、まだ採掘されてはいましたが、コストが高くなってきていて、生産寿命の終わりに近づいていました。Marceloは、この古いピットの採掘はあと2年間ほどだろうと推定しています。

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私たちが訪問した際には、ピット1の底にはいくらか雨水がたまっていた。水面に、
トラックに採掘土砂を積み込んでいる油圧ショベルが映し出されていた。- 写真:Andrew Lucas/GIA
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現在、オリジナルのピットでは1台の機械化ショベルが深く掘り進め、もう1台は高い壁の上でプッシュバックを続けています。過去5年間で、ベルモントは、約幅150メートル長さ100メートルの大きさのオリジナルのピットの中へ深さ約35メートル進みました。私たちがそこにいる間、油圧ショベルが廃石(ズリ)を除去し、反応帯を露出するという作業が絶えず行われていました。激しく風化した白い花崗岩の表土を除去し、その下の黒っぽい金雲母反応帯の鉱石を表に出します。先の採掘の段階では、風化した金雲母片岩は金色で除去が容易でした。現在の深さでは、金雲母片岩の反応帯は地下鉱床にあるものと同様の黒っぽく硬い岩です。

私たちは、シリカが豊富な片岩の別のタイプを観察しました。この片岩はエメラルドが含まれていないので、「フールズゴールド(愚か者の金)」になぞらえて「フールズシスト(愚か者の片岩)」と呼ばれているのだと、Marceloは教えてくれました。また採掘が始まったとき、エメラルドの精鉱がオリジナルのピットにあり、これがピットの丘の斜面からピット周辺まで水で流され、採掘するのに容易で利益性の高いこの残積層のエメラルド鉱床となりました。エメラルドの沖積河川の砂利底は非常に稀ですが、これらは風化されてなく、また遠くから流れて来ていないので無傷のままでした。

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ベルモントは、鉄鉱石鉱山や金鉱山と同様の正確な価値の推定をすることができませんが、平均的に、まずまずな良い予測があると、感じています。Marceloはベルモントでの露天掘りは少なくとも後10年から15年はあるだろうと推定しています。選鉱工場からのすべての尾鉱および他の採掘作業からの全ての廃石(ズリ)に対応することができるので、ピット1は今後数年間にわたっても非常に有用であることを証明しています。尾鉱や廃石を遠くに輸送する必要がないことで、鉱山事業者はかなりのコストを節約することができます。このコスト削減は、鉱山の寿命を延ばすのに貢献する要因の一つとなります。

現在および将来の採掘活動
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ベルモントでは、南から北へと進行が移動している他の2つオープンピットが開発されています。それらはピット2とピット3となっています。ピット3は、オリジナルのピットから500mの所にあり、ピット2はその中間にあります。ピット2大きさは約200メートル x 約80メートルで、300メートル x 100メートルにまで達すると予想されます。ピット3は、100メートル x 100メートルと予想されます。

ボーリング調査と分析

ベルモントでの露天掘りは、承認されている北部エリアにまで続いていて、まだ長い潜在的な寿命があります。過去15年間のボーリング調査への投資は、この先年間にもわたる露天掘り事業を計画するうえで精算されてきています。

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ベルモントでは15000m以上がボーリング調査され、1メートル当たり平均コストは約200USドル(約24020円)です。ベルモントの地質学者は、金雲母片岩のボーリング調査の岩相学を読む専門家となっています。地質学者は化学分析のためコアを送り、そこから得た情報を、エメラルドの濃度だけでなく鉱石中のエメラルドの品質を予測するためにベルモントが開発している数学的モデルにインプットします。コアサンプリングは標準的な採掘ブロックモデルに従って行い、そこから3次元コンピュータモデル化によって鉱石を立方体のブロックに分割します。各ブロックには、そのブロックを採掘することによって回収することができる収益の推定値が割り当てられます。

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データは、コアサンプリングや採掘作業から集められています。推定される収益は、ブロック内のエメラルドの量、そしてある程度の品質と価値を数学的に推測することによって決定されます。こうした情報の組み合わせが必要であるため、分析は他の商業鉱物の場合より難しくなります。

品質の推定というのは実際には、ブロック内のエメラルドの色品質の推定となります。学者らの数学化学モデルを通して、緑色の潜在的な品質を理解するのに役立つクロムの存在量を測定することができます。また鉄及びバナジウム含有量を測定することによって、青または黄色の色相の影響による色変化の度合いの可能性を、分析することができます。

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結晶化やクラリティについて正確に推定することはまだできません。しかしながら、ベリリウム、クロム、鉄、または可能性としてその他の元素が、結晶化とどのように関係しているかを解明すべく取り組んでいます。これにより力学的な亀裂が存在しているかどうかを知ることはできませんが、結晶が乳白色であるかまたは透明であるかといった予測ができることを期待しています。

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コアサンプルからの3Dモデル
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坑内採鉱

1994年には、現在の斜道による坑内採掘が始まり、ギャラリー(坑道)と呼ばれる水平方向のトンネルから3本の小さな立坑(垂直シャフト)を掘りました。硬質な金雲母片岩の中のエメラルド形成についてより理解することが目標でした。当時、ベルモントではピット鉱山の中の風化した金雲母片岩だけを採掘していました。片岩の地下でのエメラルドを観察することで、エメラルドの形成および反応帯の方向と共に、岩石に対するエメラルドの割合について、より深く知識を得ることができました。立坑は、坑内採掘に移行する可能性を調査し研究するために、作られました。

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2004年にGIAがベルモント鉱山を訪れたとき、坑内トンネルへのアクセスは
立坑だけだった。- 写真:Andrew Lucas/GIA
全体的な鉱区
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数年後、ベルモントは、斜道による坑内採掘を開発するために多額の投資をする準備が十分に整いました。斜道は、フロントローダーとトラックが採掘場に入り、作業をし、採掘した鉱石を搬出するのに十分な大きさを確保する必要がありました。オリジナルの立坑は、斜道採掘のための換気シャフトになりました。排気用パイプは、立坑を介して塵埃を除去するのに役立てるために使用されています。シャフトは、非常口としての役割も持っています。坑内採掘の重要なことの一つは、換気です。立坑の他に、採掘場じゅうに空気を供給する配管システムがあります。

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最大生産時には、地下採掘場からトラック30から40台分の載積量を取り除くことができ、1日で合計約400から500トン分の鉱石となります。私たちの訪れている間は、1日にトラック約15台分、合計約200トンの鉱石が運び出されていました。2から3キロメートルの地下トンネルがある地下鉱山の現在の状態が、非常に印象的でした。主要斜道は、表面から鉱山の最も深い地点まで約500メートルの長さがあります。この斜道は採掘場への主要道路であり、サイズは4×5メートルです。フロントローダーがトラックに積載したり、トラックが採掘場へ自由に出入りできるのに十分なスペースです。

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宝石用原石の採掘では、複数の場所で採掘することが有利なことがあります。ベルモントの現在の生産は、坑内採掘と露天掘りと半々です。どの場所の、どの生産地点でも、得られる産物の質を予想するのは難しいことです。坑内採掘とピット採掘の両方を行うことによって、ベルモントはパーセル用に適した範囲の素材を手に入れています。しかし、20年後には坑内採掘ははるかに高い割合の鉱石を生産しなければならなくなるでしょう。そのため、ベルモントは現在の生産レートを倍増することを目標に、坑内採掘場を設計したのです。

露天掘りを採掘する方が簡単ですが、坑内採掘では採掘が金雲母片岩に直接行われるので、より少ない廃石(ズリ)の除去ですみます。現在の坑内採掘を露天掘りにする場合、ベルモントの鉱山作業員はまず、片岩に達するために表土70m分を除去しなければならなくなります。ですから彼らは、坑内採掘でこのエリアを採掘するのが、経済的により賢明だと判断したのです。

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坑内採掘プロセスは、金雲母片岩を除去するための発破をかけることから始まります。爆破された片岩を主要斜道までスクレーパーで降ろします。そこで、トラックに積み込み選鉱工場まで運びます。発破をかけると、ベルモントでは採鉱パネルと呼んでいる岩石の部分が露出します。私たちが見たパネルは、約1.5メートルの厚みのある反応帯でした。ベルモントはこの反応帯を追っていて、爆破して崩しスクレーパーで落として集めていました。ウインチを搭載しているスクレーパーは、採鉱パネルから落とし集めたバケツ何杯分もの素材をトンネルを通って搬出し、その後素材はフロントローダーによって拾い上げられ、トラックに積まれます。トラックは、主要斜道を通って採掘場の外に運びます。

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坑内採掘の3次元地図
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露天掘りから採掘された風化した金雲母の中の石は、坑内採掘の硬質金雲母岩の石よりも小さめの傾向があります。ですが、露天掘りの風化した金雲母の採取には発破を必要としないので、エメラルド結晶への損傷は少なくてすみます。結果的には、どちらの種類の採掘による石も、多くの場合同じサイズと品質になります。またオリジナルのピットは、今では非常に深くまで到達しているため、硬質の金雲母片岩のレベルに達しています。

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最先端の選鉱

現時点では、ピット採掘作業からの鉱石のほとんどは、坑内採掘作業からのものと同じに見えます。これは実際のところ、ピット採掘で生産されるもののほとんどがピット1からのものであるからであり、つまり露天採鉱であってもほとんどが坑内採掘における硬質岩石に類似した金雲母片岩から採れるということを意味しているのです。金色の風化した金雲母片岩は、ほとんどピット1から採掘され、この時点では、硬質な片岩に入っていっています。このため選鉱工場では、以前はほとんど風化した片岩の処理を対象としていましたが、硬質な片岩の処理を主にしていくことになります。ピット2も硬質な金雲母片岩に達したので、硬質な岩石を処理する方法が必要となってきました。

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選鉱は、トラックが選鉱工場に片岩を運んで来て、第1の格子にそれを下ろすことから始まります。500ミリメートルよりも小さい片岩は、格子を通って、最初のジョークラッシャー(粉砕機)に落ちていきます。第1の格子を通り抜けられるよう、油圧ハンマーが片岩の大きな物を割っていきます。一連のクラッシャーとふるいで、全ての片岩が40ミリメートルのサイズまで小さくされます。40ミリメートル未満のサイズの片岩はハイドロクリーン(hydro-clean)に送られます。高水圧で徹底的に洗浄し、光学式選別機でエメラルドがより良く見えるようにするためです。

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以前は、放水砲を使って風化した金雲母片岩を粉砕、洗浄していました。しかしそれらはベルモントが現在採掘している硬質の金雲母岩に対しては効果がなく、クラッシャーやハイドロ クリーン システムが取って代わりました。ハイドロ クリーンの技術はドイツ製で、より少ない水とエネルギーしか使用せず、処理能力が高いので、放水砲よりはるかに効果的です。

ハイドロ クリーン工程の後すぐに、ふるいでサイズごとに片岩を分けます。3つのサイズに分類されます。小は10ミリメートル以下のもの、中は10から20ミリメートルの間のもの、大は20から40ミリメートルのものです。ベルモントでは2台の光学式選別機を使っています。1台は10ミリメートル以下の片岩用で、もう1台は中と大の素材用です。

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選鉱工場
風化した金雲母片岩鉱石のために設計された以前の選鉱工場は、1981年に建設され、2013年10月まで稼働していました。硬質の金雲母片岩を選鉱する工場にするには、多額の投資が必要とされました。新しい選鉱工場が以前のと同じくらい長い期間稼働することを期待しています。投資はかなりの額でしたが、今採掘されているタイプの鉱石の選鉱が効果的に行われ、かつ将来予測される生産能力に対応できるようになっています。現在の工場では、以前の工場に比べ、半分の人員で3倍以上の処理能力があります。生産能力を高め運用コストを下げた選鉱工場は、ベルモントが鉱山の生産寿命を延ばすために策定した対策の一つです。

生産

現在、ベルモントは、露天掘りからの反応帯鉱石よりも、平均で8から10倍以上の廃石(ズリ)を移動する必要があります。つまり、1トンの金雲母片岩反応帯を回収するには、ベルモント社は8から10トンの廃石を移動する必要があるわけです。ベルモントでは反応帯の鉱石の1トンから平均2グラムのエメラルド原石を回収し、その中から平均2カラットのカット石がもたらされます。全体的に見るとベルモントは、カットされたエメラルド2カラット当たりに対し、その露天掘りから11トンの岩石を採掘します。

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坑内採掘では、岩石の処理や廃石がもっと少なくてすみます。坑内採掘では、反応帯鉱石の1トンに対して廃石1トンを採掘しますので、平均すると2カラットのカットされたエメラルドに対して2トンの岩石を採掘することになります。ベルモントの生産の50%が露天掘りからで、50%が坑内採掘からです。今の時点では、露天掘り生産の大部分は、ピット1からのものです。2年くらいでそれが変わり、ピット2と3が露天掘りの生産を占めるようになるでしょう。

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環境保護

ベルモントでは、環境の保護と回復を最優先しています。その理由は次のとおりです。
  • 当然すべきことだと考えているから。
  • 彼らの牧場がまだ存在しており、家族が土地へのつながりがあるので、鉱山は彼らの家であるから。
  • ブラジルでの環境規制は、特に採掘運営が大規模になるにつれ非常に厳しくなってきたから。
  • 道徳的に採掘された宝石を提供するだけでなく、エメラルドのようなグリーンの色の石のため環境に優しい「グリーン」な活動を促進することに対し、マーケティングにおける利点が高まっていると感じているから。

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どんな採掘操業においても主な心配事の一つは、水質汚染です。宝石採掘、特に鉱石の選鉱中や宝石を回収する段階で、水が不可欠です。宝石の採掘の主要な環境問題は、宝石を露出させるために水で流された表土の泥や砂利(この場合は片岩も含む)からの​​粒子で水が汚染されることです。

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ベルモントでは、粒子を除去しさらに採掘作業や鉱石選鉱中に使用される水を浄化するために、7つの池濾過システムを使用しています。池は高さがわずかに異なるため、重力で1つの池から他の池に水が流れ、それが進むにつれてよりきれいになっていきます。水がこのシステムを通ってろ過されるにつれ、パルプ(0.06mm未満の固形物が含まれる水)は池をゆっくり通過して、固体粒子が池に沈殿していきます。ベルモントでは定期的に粒子の堆積物を除去して池をきれいに、埋め戻しとして使用する鉱区にそれらを持って行きます。

水が川に戻される頃には、池の濾過プロセスによってすべての粒子の99.5パーセントが除去され、また水に酸素を取り入れます。プロセスの終わりには、水は人間が消費するのに適する基準値をクリアし、戻されていく川の水よりもきれいになります。このプロセスで、1時間に200立方メートルの水が洗浄されます。ベルモントでは、水からの粒子の100パーセントが除去できるようにプロセスの改良に取り組んでいます。

水再生のほか、「グリーン」採掘のもう一つの目標は、ピットとその他の採掘エリアの埋め戻し、およびそれらのエリアを植林することです。採掘の工程で鉱化帯に達するために、エメラルドを含まない物質を除去していきます。ベルモントではエメラルドを含まない岩を穿孔したり爆破し、油圧ショベルでそれらの物質をトラックに積み込み廃石(ズリ)の山へ持って行き落とします。廃石の山はその後平坦にされ、植林されます。私たちが訪れている問、ピット1の廃石の山が平坦にされているのを見ました。

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ベルモントでは現在、年間90万トンの廃石を移動しており、これまでに50ヘクタール(約123エーカー)を植林しています。ピット1はまだ採掘されていますが、エメラルド含有物質が完全に掘り尽くされたら、他のピットからの廃石で埋め戻されます。ピット1が完全に埋め戻されると、植林されます。約10年で完了することが期待されています。

ベルモントには、独自の森林再生のチームがあります。そのマネージャーは、環境工学​​の学位を持っています。ベルモントには森林再生のための木を育てる苗木畑があります。ベルモントは、採掘前とまったく同じ状態に森林を再生するために、その土地特有のさまざまな樹木を十分に揃えることが絶対必要だと考えています。ベルモントのスタッフは、もともとあった森林再生エリアに住むために戻ってくる動物が、以前と同数になることを確認することを含め、自然の生息地を再構築するためのすべての責任を取ります。

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その手法は、健全な採掘経済学と環境回復を兼ね備えています。ベルモントでは各ピットを近くに配置し同じ鉱脈を採掘することで、廃石(ズリ)を輸送する距離を縮めています。また他のピットからの廃石でピット1を埋め戻すことで、輸送コストが低減されます。こうすることで、廃石を除去し、すでに採掘されている場所に置くことができます。ですから開拓されていない土地を削り取る必要がありません。ベルモントが採掘計画を立てるとき、最初から森林再生などの環境保護も計画します。2つの作業は密接に関連しているのです。今日の採掘での最大のコスト要因の一つは、環境保護です。ですから、環境の劣化を最小限に抑えるために当初から計画することは、正しいことであるだけでなく、経済的見地からの効果もあります。

選別

選別は、選鉱工場で光学式選別機がエメラルドの入っていない片岩と入っている片岩を分別するところから始まります。ベルモントは、2004年から光学式選別機を使用しています。以前は、作業者がコンベアベルトからエメラルドの入った片岩を手で拾っていました。1980年代にも、より自動化された選別方法を探していましたが、2004年になってようやく適切な技術を見つけることができました。

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光学的選別機は、人間による選別よりももっと一貫してエメラルドを見つけられることが証明されています。オリジナルの光学式選別機は、新しいCCDカメラ、コンピューター、ソフトウェアなどで最新のものになりました。更なる光学式選別機も追加しました。オリジナルの光学式選別機は2から10ミリメートルの大きさの片岩の選別に適していて、2台目の光学式選別機は10から40ミリメートルの大きさを選別します。どちらの光学式選別機も、鉱山鉱石からのエメラルド含有片岩を選別する正確率が95%あり、日々、時間ごと、いつも一貫しています。工程にさらなる改良を幾つかすることで、97から98%の精度を達成できると感じています。

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基本的に、光学式選別機を通ってくるコンベアベルト上の片岩を、CCDカメラがスキャンしエメラルドを探します。エメラルドが埋まっている片岩を識別すると、エアジェットがもう1つのコンベアベルトにそれを吹き飛ばします。新しい方の光学式選別機は、第2のコンベヤベルトにエメラルドの埋まっているより大きな石を吹き飛ばせる、より強いエアジェットを持っています。

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流れて来る素材の大きさにもよりますが、大きな片岩を扱う光学的選別機の能力は、毎時5から15トンです。小さいサイズの片岩を扱う光学的選別機の能力は、毎時2トン程度です。ベルモントでは、より小さな片岩の処理容量を高めるために、将来的にもう1台の光学式選別機を追加する準備をしています。カメラがエメラルドの存在を認識するためには、素材が重ならず単層になっている必要があります。小さめの片岩は軽いので、選別できるトン数は毎時あたり低くなります。

選別後、エメラルドの埋まっている片岩は、イタビラにあるベルモントの最終選別およびカッティング施設に送られます。最初のステップは、エメラルド結晶だけを取り出すために、金雲母、そしてしばしばクォーツも、割ります。作業員は、やっとこを使って母岩を崩しながらエメラルドから外し、それからコビング(cobbing、小割り)と呼ばれるプロセスでインクルージョンの多い領域を削り取ります。これで、原石を選別して分類してパーセルにする用意ができました。

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ベルモントではエメラルドの原石を、大きさ、形、色、結晶化またはクラリティのカテゴリで選別します。大きさの分類は5つあり、そのから各サイズの中で更に10の分類があります。原石が平らでマーキスやバゲットなどのために使用される場合、形状が重要になります。これらは更なる分類を行うために別のグループに入れられます。

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カッティングセンター

ベルモントには、従来のジャムペグ装置に近代的改良を加えた、イスラエル製の切断機を使用している小さなカッティング施設があります。原石をドップにつけ、ファセットごとにカッティング角度を素早く調整できる目印にドップを挿入するというものです。従来のジャムペグは、アジア全域で長い間使用されてきました。近代的に改良されたイスラエル製の機械は、精度が改善されたのと共にドップを素早く配置することができます。

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ベルモントの、ガードル付けとキャリブレーション(規格サイズ用にカットする)用の機械は全て手動ですが、この機器も精確なキャリブレーション測定が可能です。私たちが訪れているあいだ、特定の宝石にセットするために様々な規格サイズにするよう、非常に多くのエメラルドがカットされていました。ブラジルではカッティングは、世界の他の地域のように安価ではありませんので、精度が高く高品質のものである必要があります。ファセットカットを施している間、ベルモントのカット職人は対称性と研磨の質を見るために常に石を確認します。

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ベルモント産エメラルドのファセット付け
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鉱山から市場へと追跡している原石のカット

もちろんこれは、私たちが鉱山から市場までを追跡しようと計画していた、ほぼ150カラットの原石からカットされる大きな石に使われた工程ではありません。この石は、美しさと重量を最大限にするカットが施されるような大きくて上質なエメラルドでした。美しさと重量を考慮するならば、石枠は石に合わせて特注で作られるもので、石を特定のサイズでカットする意味はありませんでした。

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カッティング工程の最初のステップは、石をソーイングすることでした。Marceloは、重要な石のソーイングはギャンブルと同じだと考えています。非常に刺激的で、「アドレナリンが高まる瞬間。」「中毒になりますよ。」と言い、さらにソーイングの工程については「一回のソーイングで天国から地獄に、あるいはその逆にもなるんです。」と、話してくれました。

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この原石が「驚くほど美しい」ことを確認すると、MarceloとDonizeteの期待は大変大きくなりました。「誤った判断で自然が丁寧に作り上げたものを傷つけてしまうという大きな恐怖がありました。」ともMarceloは言いました。

最初のソーイングの後、「上手いこと行った」と、Marceloは語り、初めのプレッシャーから少し解放された気分になりました。彼らはすぐに次のソーイングステップのために興奮を取り戻しました。

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特別なエメラルドのソーイング
オリジナルの原石は重さ29.8グラムでした。ベルモントの熟練カット職人は石のクリーニングから始め、そしてソーイングをどこから始めるかの決定をするのに役立てるために、研磨回転盤で宝石にウィンドウと呼ばれる面を作りました。ステップを追うごとに内部がよく見えるようになり、その先のカッティングの決定につながっていきました。このソーイング過程で、総重量ほぼ134カラット、カッティング可能な原石39個の素材ができました。

原石から切り分けられた最大のものは40.68カラットで、望ましいクラリティと品質に到達するまでに何度かソーイングされました。その形状は重量保持には非常に都合がよく、質も良好でしたから、ソーイングされた原石の重量の50%に近いカット石が期待されました。これは、色石の特に鮮やかな色のものに対しては良好な割合です。

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ソーイングの結果
ソーイング工程中、この40.68カラット原石にインクルージョンで問題となる部分が明らかになりました。その部分は除去されました。暗くて非常に目立つインクルージョンを除去した後、最後のソーイングによって、テーブル方向を2つのうちどちらにするかという問題は、解決されました。ソーイングでは予定外の重量ロスとなりましたが、上質なカット石を得るためには暗色インクルージョンは除去しなければならず、難しい選択でした。熟練カット職人は、重量損失を最小限に抑えるよう紙のように非常に薄い鋸刃に変えました。

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予備成形前にソーイングで切り落とすこともできるインクルージョンのある部分がもう1箇所ありましたが、熟練職人はグラインダーで少しづつその部分を取り除く方が良いと判断しました。エメラルドの原石の中には、脆くて予備成形するには難しい内部特徴を有するものもあります。この原石は良質で、危険な予備成形の段階でも非常に安定していました。また、結晶がすでにパビリオンのような形状とテーブルの形状の部分を持ち合わせており、原石自体が部分的に自然に予備成形されていました。ソーイング工程では、ソーイングされた石のうちの幾つかはこのような利点が除去されてしまうこともありましたが、私たちが鉱山から市場へと追跡しているこの最大の石には、まだいくらか役立つ天然の形状が残っていました。

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ソーイングと予備成形の段階が、著しく価値を低下させるインクルージョンの除去だけでなく、テーブルの方向づけとカッティング方向を導くのに役立ちました。ファセット付けの工程では、パビリオンの角度、クラウンの角度、テーブルのパーセンテージ、その他のファセットの配置についての正確なプロポーションが決定されるため、石の輝きに大きな影響を与えます。やはり高価な原石には、目に見えるいかなるインクルージョンも更に減らして最高の色と輝きをもたらすことと、満足のいく対称性を生み出しつつできるだけ可能な価値ある重量を保持することの間での妥協が、常に存在します。長年の経験を経て、ベルモントのカット職人は、顧客が外観やカラットあたりのコストという観点でどういったものを探しているのかを知っています。

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鉱山から市場へと追跡している石のファセッティング
ファセット付け工程では、石から戻ってくる光が最大になるよう、そして魅力的なプロポーションと対称性が得られるよう、さらに最大の歩留まりを得るという目標も加えながら、石はカットされました。目標の組み合わせはいつでも難しいものです。見る者の目に美しい緑色が届くようにするため、幾つかの重量損失を余儀なくされました。色の強度が失われることとなる見栄えの悪いウィンドウ(光の抜け道)がないようにし、一方で、削るごとに価値が失われるためにコストが高くなることも考慮しつつ、石のパビリオンを適切な角度にしなければなりませんでした。ファセッティングが終了した後、完成した石は19.70カラット重量となりました。

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石の外観の改善

最高級のエメラルドも含め、市場でのエメラルドの大部分は、クラリティのエンハンスメント(改良)がなされます。表面に達する亀裂があまり見えないようにするために、無色からほぼ無色の素材で充填します。宝石の亀裂は空気で充填されており、石の中ではっきりと見えます。宝石素材と似たような光学的特性を持つ外来の素材を用いて亀裂を充填すると、あまり目立たなくなります。一般的に、無色からほぼ無色の充填材の屈折率がエメラルドの屈折率により近いほど、亀裂をよりうまく隠すことができます。種々の油、樹脂、エポキシ樹脂、ポリマーなどが、エメラルドの亀裂充填に使用されます。

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鉱山から市場へと追跡しているこの特別なエメラルドについて、Marceloが思いつく顧客たちは、亀裂充填にシダーウッドオイル(スギの木の精油)を好むことを彼は教えてくれました。イタビラにあるベルモントの選別およびカッティング施設で、私たちはエンハンスメント工程の全てを見学しました。

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溶剤で亀裂を洗浄後この石は、たっぷりとシダーウッドオイルが入ったビーカーに、同じ原石からの他のいくつかの石と一緒に漬けられました。加熱することでエメラルドにオイルが良く浸透するようになります。少々の熱と圧力により亀裂の中に十分にオイルを流し込むようなエンハンスメント工程というのは、通常に行われていることです。

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石のエンハンスメント(改良)
エンハンスメント(改良)前に、エメラルドを検査するベルモントの専門家に合流しました。専門家たちはエンハンスメント後に亀裂が見えにくくなることを期待していると、指摘していました。宝石をカットすることは、常に妥協を伴います。より高価な素材では特にこれが言えます。カッティングの際に亀裂を除去すれば、経済的収益があるはずの原石からあまりに多くの重量損失をすることとなるでしょう。再度石を調べた後、シダーウッドオイルのビーカーに入れ、一晩漬け置きしました。

翌日、エメラルドをビーカーから取り出し、表面からオイルを拭き取り、別の検査の前に水で薄めたベビーシャンプーで洗浄しました。亀裂は見えにくくなりましたが期待していたほどではなかったため、エメラルドを再びシーダーオイルのビーカーに戻し、さらなるエンハンスメントのためにもう一晩漬けることにしました。最良の結果を達成するために、このようなプロセスが数日間続くこともあります。

石の再カット

エンハンスメントの後、パビリオンにある1つの亀裂がまだ目立つことについて、Marceloは満足しませんでした。ほんの少し石を再研磨し、見えにくくなるよう亀裂の一部を除去することに決めました。高価な素材を再カットあるいは再研磨することは、常に経験と計画を要する決断です。安価な素材では人件費が考慮の対象となることがありますが、高価な素材では、美しさを増加させてカラットあたりの単価を引き上げることにより、重量損失の影響を補償できるかどうかが問題となります。また、石を再度カットすることには常にリスク要素がついています。

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特にエメラルドは、他の石に比べて、再カットの際に破損や欠けが生じやすい石です。今回のケースでは、パビリオンを再研磨している際に欠けが生じ、19.70カラット重量が18.17カラットに減少する結果となりました。石は、再度エンハンスメント工程を経て、世界市場へ旅する準備ができました。

原石からの一番大きな石が、最終的にMarceloの当初からの期待通りになったかどうかを尋ねると、「はい、それは大きくて美しい素晴らしい石でした。良い仕事ができて嬉しいです。あのような高品質の石は滅多に見られるものではないので、自分の子供を持ったように、嫉妬深く独占欲が強くなってしまいますね。」と、答えました。

グローバル市場への登場

Marceloと18.17カラットのエメラルドがニューヨークに到着したのは4月25日(金曜日)、午前8時ごろでした。ホテルにチェックインした後、レポートを取得するためにニューヨークのGIAラボラトリーに石を持って行きました。Marceloは、大きくて高品質のエメラルドを販売する際に、宝石学レポートが大きな付加価値となることを感じていました。Marceloはまた、ニューヨークの2、3の高級宝石商にも石を見せました。

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エメラルドレポート
エメラルドの次の立ち寄り先は、香港で6月に開催されるGem and Jewelry Show(宝石宝飾品展示会)でした。その展示会でこのエメラルドは、タイからのジュエリーメーカー兼小売業者に売却されました。その宝石商は、バンコクに2件の小売店を持っており、最初の店舗は2009年に開業されました。彼は22年間宝石商をしてきましたが、13歳の頃からジュエリーを作り始めていました。彼のクライアントのほとんどは、カスタムデザインで独特な高級宝石素材を使ったジュエリーを求める個人のコレクターです。同社には2店舗で合計35名の従業員がいて、一か所のジュエリー製造工場も含めて、すべてバンコク市内にあります。オーナーが全てのジュエリーデザインをし、全ての生産を監督しています。彼の製品の大部分は手で製作されますが、デザインによってはワックス彫刻と鋳造を必要とするものもあります。

彼のジュエリーデザインはカラーストーンを際立たせるのが特徴で、ルビー、サファイア、エメラルド、ファンシーカラーダイヤモンド、パパラチャサファイア、アレキサンドライト、それにメロ真珠のようなさらに希少な素材なども含まれています。ファンシーダイヤモンドの色には、イエロー、ブルー、ピンクがあり、センターストーンあるいはアクセントストーンとして使われます。無色のダイヤモンドは通常、アクセントストーンとして使用されます。そうした作品に使われる貴金属には、18金のイエローおよびホワイトゴールドや、22金のイエローゴールド、18金のローズゴールド、プラチナなどがあります。

この宝石商は私たちが鉱山から市場へ追跡してきたエメラルドを、22金の指輪に金線の爪でセットしました。マイクロパべセッティングで6個のオレンジダイヤモンド、5個のイエローダイヤモンド、94個のピンクダイヤモンド、19個の無色のダイヤモンドをあしらいました。エメラルドの深くビロードのような草緑色から着想を得て、フローラルデザインとなりました。ファンシーカラーダイヤモンドがコントラストを添え、花の中に見られるさまざまな色を反映しています。金線にセットされたピンクダイヤモンドは茎や枝を表すと同時に、イエロー、オレンジ、無色のダイヤモンドは、花びらを表現しています。このエメラルドは、より生命感あふれる外観をかもし出すように角度をつけてセットされました。

指輪の購入者は、独特なデザインのジュエリーに上質なカラーストーンがあしらわれたものを集めるのが好きな、お得意様でした。自然で自由な流動形で、フローラルデザインが中心になっているものが、彼女の好みです。彼女はまた、このエメラルドがブラジル産であることや、ベルモント鉱山の環境活動にも引き付けられました。

ブラジルのイタビラ近郊のベルモント鉱山のオリジナルピットから採掘されたこのエメラルドは、ニューヨークの宝石鑑別ラボラトリーのレポートを受け、ニューヨーク市場周辺で展示され、香港に渡り、展示会でタイからの宝石商に購入されました。石はその後、カスタムデザインの指輪にセットされ、宝石商の小売店に置かれ、比類のない上質ジュエリーを高く評価する顧客に買われていきました。このようにして、鉱山から市場への世界規模の旅を終え、ようやく、消費者が楽しむための宝物となりました。

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Andrew Lucasは、カリフォルニア州カールスバッドのGIAフィールドジェモロジィのマネージャーです。Duncan Payは、カールスバッドのGIAのGems & Gemology(宝石と宝石学)の編集長兼コンテンツ戦略のディレクターです。Shane McClureは、西海岸鑑別部門のディレクターです。Marcelo Ribeiroは、ベルモント鉱山のゼネラルマネージャーです。Tao Hsuは、Gems & Gemology(宝石と宝石学)のテクニカル編集者です。Pedro PaduaはカールスバッドのGIAのビデオプロデューサーです。

免責事項

GIAスタッフはリサーチおよび市場への見識を深めることを目的に、鉱山、製造業者、小売業者の他、宝石およびジュエリー産業に関わる場所や企業を頻繁に訪ねております。GIAは訪問中にスタッフを受入れて貴重な情報を提供してくださった皆様のご厚恩に心から感謝いたします。これらの訪問やそれを基にした記事または出版物のいかなる内容も、保証するものではありません。

筆者は、ベルモント鉱山とそのスタッフのご協力とご支援に対し心より感謝しております。


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