Gems & Gemology(宝石と宝石学)

フォトルミネッセンスのレビューと珍しいロケールからの宝石素材(G&G 2016年春号)


Gems & Gemology(宝石と宝石学)2016年春号表紙
この号では、2016年のTucson gem and mineral shows(ツーソン・ジェム&ミネラルショー)のG&Gの取材を特集している。 カバー写真は、AGTAスペクトラム賞のファッションフォワード部門で第一位を受賞した、Brian CookのWheel of Lightの超自然的なペンダント。 ペンダントを作成するにあたり、Cook氏は825ctのクォーツディスクの頂点に溝を掘り、パライバトルマリン、アウイナイト、ルビー、およびスペサルティンガーネットの原石がはめ込まれている。 これらの結晶の色は、同心の輪として見えている。 24Kゴールドのセッティング、編みこみレザーストラップ、ルチルクォーツの長さ調節部分、およびファイヤーアゲートビーズで作品が完成されている。 写真: Robert Weldon/GIA、 提供:Brian Cook(Nature’s Geometry、ネイチャーズジオメトリ)

Gems & Gemology(宝石と宝石学)2016年春号では、ダイヤモンド取引におけるフォトルミネッセンスの妥当性を説明、またオーストラリアのクリソベリルについての報告と、イタリア産サーペンタインやタジクバリシア石の生産新興、「ピスタチオ」養殖パールを生成するために使用される加工処理、最近のツーソンジェムショーに関する記事を掲載しています。

ダイヤモンドに対するフォトルミネッセンス分光法の使用と、宝石学におけるその導入概要

この号のトップ記事では、物理学とフォトルミネセンスの方法論について、GIAのChristopher M. BreedingとSally Eaton-Magañaが検討します。 この分析技術は、天然ダイヤモンドと合成石や処理済ダイヤモンドを分離することにおいてますます重要であり、著者はそれが取引時に成長過程や処理についての適切な開示を確保することに、どのような繋がりがあるか説明します。

ダイヤモンドのフォトルミネッセンス
ダイヤモンドには、幅広い色相と蛍光色がある。 GIAはこのようなダイヤモンドの天然起源を確認するために、通常はフォトルミネッセンス分光法を使用している。 フォトルミネッセンスは、ダイヤモンドの成長のフィンガープリントおよび考えられるダイヤモンドの処理の履歴となる原子レベルの格子の欠陥を特徴付けする繊細な技術である。この方法は、観測される蛍光と同様の原理に基づいている。 写真:Aurora Butterfly of Peaceの一部、Robert Weldon

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ニューイングランド砂鉱床で第三紀火山岩に関連するサファイアと共に、クリソベリルを回収

ドイツの研究者Karl Schmetzer氏と共著者らは、オーストラリア、ニューイングランドの宝石フィールドのサファイア砂鉱床からのクリソベリル結晶について調査しています。 4つの特定のサブグループに材料を分割するために、様々な化学的および鉱物学的性質を使用して、著者らは、そのユニークな扇形のカラーゾーニング、多色性、およびシャトヤンシーなどの材料のさまざまな側面について探ります。

オーストラリア産のクリソベリルのカボションカット
ニューイングランドエリアのサファイア砂鉱床で採れたクリソベリルの研究サンプルの一部はファセットカットされているが、他はカボションカットされており、シャトヤンシーを示している。 キャッツアイカボションは1.34ct(6.5×5.9mm)から0.64ct(5.1×4.7mm)の範囲である。 写真:K. Schmetzer

イタリア中央アルプス、ヴァルマレンコからの宝石品質サーペンタイン

ミラノのItalian Gemological Institute(イタリア宝石学会)のIlaria Adamoが率いる研究チームは、イタリアの中央アルプスにある原産地、PizzoTremoggeからを取得したサーペンタインについて調べます。 分光法および化学分析により、サーペンタイン群の主要な段階について確認します。 特に、アンチゴライトの存在は、高温で変成作用を示しており、ヴァルマレンコ地域の地質と岩石の歴史への洞察を提供しています。

Ballerina Pearl Co.(バレリーナパール社)で処理が施された「Pistachio(ピスタチオ)」の鑑別

Chunhui ZhouとGIAの同僚らは、。 分光法および化学分析により、サーペンタイン群の主要な段階について確認します。 特に、アンチゴライトの存在は、高温で変成作用を示しており、ヴァルマレンコ地域の地質と岩石の歴史への洞察を提供しています。

Ballerina Pearl Co.(バレリーナパール社)で処理が施された「Pistachio(ピスタチオ)」の鑑別

Chunhui ZhouとGIAの同僚らは、Ballerina Pearl Co.(バレリーナパール社)が処理したP. margaritifera産の 養殖パールに数々の実験を行い、いくつかの種で発生する自然なピスタチオの色相を再現します。 著者らは自然色と処理された素材を見分けるための指標を探し、処理過程の1つにもある漂白は完全に取り除きます。

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中央タジキスタンからのバリシア石:予備的結果

Andrey Litvinenko(ロシア国立地質探査大学、モスクワ)が率いる研究者チームは、まだあまり知られてないタジキスタンの鉱床からの、カボショングレードのバリシア石生産について調査します。 さらなる研究が必要ですが、初期の結果では近くに比較的高いレベルのヒ素と硫黄が見つかっており、これにより近隣の非アクティブなアンチモン鉱床の発見に繋がるかもしれません。

ラボノート

春号のラボノートには、GIAラボで検査された最大のHPHT合成ブルーダイヤモンド、東京ラボに提出された珍しいエメラルド/エメラルドダブレット、そして初めてGIAによって鑑別されたCVD合成メレーダイヤモンドの報告を掲載しています。

ミクロの世界

ミクロの世界では、引き続き、顕微鏡写真法を通して宝石の内側の謎を明らかにしています。 このセクションでは、ブリティッシュコロンビア産のドロマイトでSvanbergiteインクルージョン、スカポライトでイリデッセンスを作りだすオレンジの板状結晶、およびスリランカのサファイアの位相変化の写真を掲載しています。

ジェムニュース インターナショナル

世界中からの良質なカラーストーンを特集したTucson gem show(ツーソンジェムショー)に関するG&Gの年間恒例の取材は、ジェムニュースインターナショナルのこの号から始まります。 他のエントリーでは、中国からの最大3.5ctの無色の合成ダイヤモンド、ポリマー処理されたヘソナイト、また、マダガスカルのVohitany近くでの新しいサファイアラッシュについて取り上げています。

[Asset Included(Id:1458450527917;Type:GIA_Image)]
この31.34ctのバイカラートルマリンのピンには、サンディエゴ郡のStewart Lithia鉱山からの宝石だけが使われており、アーティストにとっては感情的なニュアンスがある。 写真:Robert Weldon/GIA、提供:Paula Crevoshay

また、この号では、Dr. Edward J. Gübelin最優秀論文賞の受賞者と、2016年のGem & Gemology(宝石と宝石学)チャレンジクイズも掲載されています。 チャレンジの回答カードとオンラインエントリーは2016年8月5日(金曜日)までに提出してください。

Jennifer-Lynn Archuletaは、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の編集者です。