2014年度初め:不安定な需要
1月 16, 2015
高級宝石の売上は、順調だったものの、大型チェーン店の売上は予想と反し不調と報告されました。 センチュリオンの調査によると、安定した個人経営の高級宝飾店の売上は好調だったようです。 調査対象店舗の90%が2014年の売上が伸び、その半数近くが10%以上の売上増を記録したと報告しました。 このシーズン中に、店舗の41%は売上が二桁の増加、20.6%が6%~10%の売上の伸びをみせました。 一方で、11%近くの店舗は、クリスマス期間の売上が落ち込んだと報告しています。
一部の話では、中間の小売業者間の業績はさまざまで、低品質へのシフト、銀、ビーズ商品への需要の変化が見られたようです。
報告のあったチェーンのうち、Tiffany & Co.(ティファニー·アンド·カンパニー)の米国店の売り上げは1%減少しました。 同社の欧州売上は4%の増加、(欧州経済が低調にもかからず、アジアの観光客の増加の恩恵を受けている模様)、日本は8%減(円ベースで13%減)と下落しました。 中国とシンガポールの売上は7%増加しました。
ティファニー社の会長 Michael Kowalskiはプレスリリースで「残念」な結果と話し、上昇する米ドルが同社の海外事業の「逆風」となるとしている。
Signet Group/Zales(シグネットグループ/ ゼールス)は季節期ごとの売上を計上する初の主要小売店で、同社によると、今季の同社の米国売上は2.5%増、前年比の約半分の増加だったと伝えました。 2014年にSterling(スターリング)が買収したZales(ゼールス)の売上は、3.5%増。同社の買収前の数年間の業績は芳しくなかった。 同社の決算報告書によると、オンラインチャネルの拡大で同社のホリデーシーズンの業績を押し上げる結果となりました。 Signet Group/Zales(シグネットグループ/ ゼールス)全体でみると、連結売上が90%増加したものの、Zales部門を除いたSignet Group(シグネットグループ)でみると20%の伸びにとどまりました。
中国では、多くの労働者が実質的なボーナスを受け取る中国の旧正月の前とあって、売上は足踏み状態だと報告されています。 ダイヤモンドや金の宝石類の在庫は多く、販売が増加しても、市場の成長が鈍化してきています。
Chow Tai Fookによると、同店の売上が2013年の第4四半期比で18%下落し、宝石を含む宝飾品の売上は12減と報告しています。 最も下落が顕著だったのは香港とマカオで、同社の高級品の販売が全体的に弱かったことを示しています。 同社はまた、金属価格が崩壊した後の金製品のラッシュの2013年と比較すると「厳しい」状況だとしました。
ホリデーシーズンのダイヤモンド需要は、昨年にダイヤモンド業界を悩ませた、返品を引き起こす原因の金融引き締め策、それによる利益の圧縮を逃れるには不十分でした。 加工済みダイヤモンドの価格はやわらぎ、原石価格は高止まりしています。
続いて、De Beers(デビアス)は、サイトクライアントの割当分の25%の購入を据え置く条項を復活すると伝えました。 また、1月19日~23日には、ダイヤモンド原石の価格引き下げ(デビアスは「調整」という)が行われるかもしれません。
今のところ、ダイヤモンド原石の唯一で最大の供給源のデビアスは、価格を下げていません。 そして、生産量で世界のダイヤモンドの約3分の1を産出するアルロサは、ルーブルの崩壊と石油収入で大幅な損失によるロシアの国庫の穴を埋めるため、価格を上げるよう非常に大きな圧力がかかっています。
ダイヤモンドメーカーの利益が圧縮して、業界をリードする銀行が信用枠を大幅にカットした際にも、生産者はコストが上昇したことを理由にダイヤモンドの価格を下げることに抵抗してきました。 この状況は数年前から報告されており、2015年にも改善の兆しはありません。
デビアス CEOのPhilippe Mellier は先週、米国のニューヨークの宝石店にて、加工済み、原石価格ともに供給バランスが改善すれば価格も改善すると話しました。
2015年に入り、ダイヤモンドと宝石業界の多くは米国の景気回復、米ドル高により他市場の宝飾品のコスト(養殖真珠と翡翠を除く)が上昇するとして米国市場を注視しています。
商品の米ドル価格が上昇すると、米国外では(香港と中国の通貨の一部を、米ドルベースにしており、変動率は少ない)より割高になります。一方、ユーロと円が20%安くなったことにより、ダイヤモンドと金の価格がその分上がりました。 また、米ドル高効果で購買力が増すために、海外の宝石販売者からはTucson shows (ツーソン宝石ショー)が、魅力的な市場に映るかもしれません。