ビーズ:世界で最初のジュエリー


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ビーズと世界的な装飾品の専門家であり、GIA同窓会のメトロ・フェニックス支部会長、GIAのGGであるSindi Schlossは、最近、『エステートエキゾチック:人々の宝石 - コレクター向けビーズ』と題した講義をGIAのカールスバッド・キャンパスで行いました。写真撮影:Jaime Kautsky/GIA

ビーズは世界中の個人的な装飾品の中でも、至る所にある紛れもない主要製品です。その使用は世代だけでなく、何千年にもわたり、政治的、社会経済的、文化的境界を超越します。

ひとつは、雑誌の表紙を飾るスーパースターのリアーナとフィリピンの水田で働くボントック族の女性の両者の首には成形されたガラス製の「スネークビーズ」が美しく飾られているのが分かります。音楽の象徴、スティングは紀元前2500年の女性たちが身に着けたものと同様で、大変価値のある古代に扱われたカルセドニーの九眼天珠を身に着けて写されています。

ビーズの材料、象徴、価値は、アメリカの子どもたちが身に着けるパステルカラーのキャンディのようなネックレスから2014年の香港オークションで最終価格が2,700万ドル以上にも上る豊かなジェードのストランドまで広範囲に及びます。

「ビーズは人々の宝石だ」と、宝石鑑定士、歴史家であり、GIA GGのSindi Schlossは言います。

女性がさまざまなタイプのビーズの複数の写真のスライドの横に立つ。
Schlossは『ビーズ:参考文献と価格ガイド』を執筆した理由のひとつは、「世界」のビーズとジュエリーデザインの間の知識のギャップを橋渡しをするためだと言う。写真撮影:Jaime Kautsky/GIA

だからこそ、アリゾナ州Scottsdale(スコットデール)のInternational Gemological Servicesの社長であり、GIA 同窓会のメトロフェニックス支部長を2回経験したSchlossはジュエリーデザインとビーズの世界に大きなずれがあることにがっかりします。

ファセットカットされた宝石に最も親しみを感じる宝石商たちはビーズの世界は広範囲過ぎてひるんでしまうことがあり、反対にビーズの世界にかかわっている人々も宝石に対して同じような感情を抱いていることがよくあります、とSchlossは最近、同機関のカールスバッド本部で行われたGIAのサンディエゴ同窓会支部に対する講義で言いました。
 
そこには浸透していない接点があります。その接点は単なる知識の欠如です。いくつかの重複はありますが、それぞれには克服する独自の言語と学習曲線があり、知識と実践的な経験が必要です、と彼女は語ります。

Schlossが新書『ビーズ:参考文献と価格ガイド』の執筆を決断した理由はたくさんありますが、そのひとつにクライアントのカスタムビーズジュエリーに対する要求にどのように進めていいのか迷い、困っているジュエリーデザイナーを助けることがあります。

ビーズの研究は人類の移動、通商貿易、アイデンティティと文化背景、霊性や祖先とのつながり、コミュニケーション、表現と芸術形式の研究であると述べ、ビーズは岩壁画よりも古く、そして世界最古のジュエリーであると研究者たちが注目することをも語りました。

Schlossは、ビーズの特定の分野で使う定義のひとつに「ぶらさげて身に着けることができるオブジェクト」とするものがありますが、「人類の進化をたどることができ、言語のつながりの役目を果たすオブジェクト」ということに同意を含む定義の方を好みます。

ウィスコンシン大学マディソン校教授、文化人類学者J. Mark Kenoyer博士からの引用も紹介されました。

ビーズは実際、古代の貿易・交流ネットワーク、古代の技術的発展、および古代の信仰と儀式に関して最も古い形態の情報のひとつであることが分かりました、と博士は書いています。 

スネークビーズと天珠のクローズアップ。
ピンクのストランド、成形されたガラス製蛇骨ビーズ、天然蛇骨チョーカー(背景)、琥珀の模造石および模造天珠のストリング(前景)は複数の文化や時代で人気を博したスタイルです。写真撮影:Jaime Kautsky/GIA

 

ビーズの多くの機能

ビーズは多くの宗教的伝統や信仰体系の中で神聖で宗教的な意味合いがあるとSchlossは言います。ビーズをロザリオのように、祈りの一部とすることもあります。チャームなどのお守りは魔除けとして、護符は幸運を呼ぶ込むものとして信じられており、これらは長い間、世界中で特別な意味を持ちます。しばしば有機質の素材で作られるシャーマンネックレスが、どのようにして宗教指導者を特定するために使用されるかについても語られました。

インドネシアの地域では、ビーズには保護霊があると信じられている、とアンティークの青色ガラス製ビーズが人々を守ると信じられているボルネオ島への旅行の写真を見せながら語りました。部族長の妻が、村のコメがどのようにして古代の施釉陶器のつぼに保管されているかを見せてくれました。ビーズは生活必需品を保護するために内部に埋められていました。

ビーズは、ケニアのマサイ族やサンブル族の人々、ビルマのナガ族やインドの首狩り、または個人のアイデンティティや性別、年齢、配偶者の有無など民族的アイデンティティーや部族交流を含む、多くの文化で社会的なマーカーとして使用されてきたと言います。

ビーズは歴史の中で、通貨や物々交換としても使用されてきました。Schlossは、ビーズが「史上最高の交換品」と呼ばれ、時には金、そしてまた時には利便性や生存性の為に要する品に交換されてきたことにも注目しました。   

考古学者は当初、昔の人々がお互いの知らなかったと思ったことを語り、期待しなかった場所でビーズが見つかり、別のことが示唆されました、と彼女は続けました。

Schlossは、1684年のテキサス沖難破船の1990年代後半発掘により、フランス人探検家たちがアメリカ先住民たちと貿易をするために使おうとしていた何万個もの青、赤、白の小さなガラス製ビーズが見つかったことを話しました。

成形されたウランガラスビーズと手描きのガラスビーズのクローズアップ。
ボヘミアのネックレス、成形されたウランガラスビーズ(背景)、西アフリカの現代的な手描きの粉末ガラスビーズ (前景)はSchlossが講演後に参加者のために展示したビーズで飾った宝物である。写真撮影:Jaime Kautsky/GIA

先史時代から未来へ

ビーズの最古の出現は100,000~130,000年前と考えられていると、Schlossは語ります。ネアンデルタール人は岩壁画よりもさらに前に、ビーズやあらゆる装飾品を作り、使った最初の人類でした。初期人類が自己を自覚し、複雑で表象的思考を実証できるようになり、人類の発達によって初期人類は「現生人類」と呼ばれるようになると、生存のためだけでなく象徴のためのオブジェクトが使用されるようになったと、言います。
 
このようなオブジェクトは思いつきではなく、象徴的だった、と言うことです。ビーズは象徴的な思考を暗示していました、とSchlossは語ります。

旧石器時代には、火で貝や骨を含む、ビーズを強化しようという初めての試みが見られました。したがって、ビーズの熱処理への最初の実験は2万年前にさかのぼると、Schlossは述べます。この時代には「ヒシ」と呼ばれる技巧が紹介され、すりつぶして形作りがされました。

Schlossは参加者の中を歩きながら、人類とビーズの歴史の中で大きな節目になる先史時代からヨーロッパの探検時代を通して、石やガラス製ビーズの高まりが広がりました、と説明します。

ガラスの最初の目的は石のビーズを模倣することであり、と言い、そしてダイヤモンドの最初の目的は大変望まれ、切望されたビーズ用のドリルビットとして使用されることだった、と続けました。

Schlossは講義の参加者にウラニウムビーズのストリングを照らして見せる。
講演の参加者(左)とGG、GIA 同窓会サンディエゴ支部長 Rebecca Buysが紫外線で照射されたウラニウムビーズ Schloss のストリング(右側)を賞賛する。Schlossは支部のリーダーとして、「同じ意思を持つファンたちと宝石学への情熱を共有し、継続的な教育に向けた地域のフラットフォームを確保することを喜びとしています」と言う。写真撮影:Jaime Kautsky/GIA

 
Schlossは色や、年齢などの特徴や一般的なテクニックなどを復習しました。そうすることで、参加者がビーズの特定をするときに役立ち、展示会で買い物をしたり、クライアントの仕事をしたり、エステートセールを見て回ったりするときなどに、ビーズの評価の仕方をより良く理解できるようにしました。

さらに知識を修得すると、一緒に仕事をするのがさらに楽しくなります。そしてお客様にも詳細情報を提供することができます、と語りました。

Schlossは、香港のオークションでジェードのストランドが2700万ドル(ビーズあたり100万ドル)で、スティングの天珠が100万ドルで売れるなど、驚くほどの値段がつく非常に価値のあるビーズがあると言いました。

Schlossは、ビーズの査定が健全になっていることに喜び、ビーズの中に芸術性と創造性の可能性を見出すデザイナーが増えることを望んでいます。2018年ツーソン宝石鉱物ショーで「高級デザイナーによるジュエリーの中に、面白い使い方のビーズや物語で名高いビーズ、古代やアンティークのビーズが多く使われていた」ことを嬉しく思いました。

[ビーズジュエリー]は最初にジュエリーとして存在したものであり、未だに重要なものです、と語ります。ビーズは先史時代から存在し, 現在にも継続し、将来にも続くものと思われます、と続けました。

寄稿者Jaime KautskyはGIAダイヤモンドグラジュエイト、またGIA Accredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)で、The Loupe(ザ・ルーペ)誌の共同編集者を務めていました。