バーゼルショー直前の価格上昇が、宝石の販売に影響を与える
5月 15, 2013
今年のショーでは、前年に比べてさらに幅広い上質のファンシーカラーダイヤモンドのセレクションが特徴で、鮮やかかつ力強いピンクとブルー、さらには大きな濃色のグリーンまで取り揃えていましたが、カラット単価100万ドル(1億円)以上を喜んで支払う買い手はほとんどいませんでした。 提示価格は、ちょうどショーの前に複数のファンシーカラーダイヤモンドが広く公に知られたオークションで記録的な価格を達成したという事実を反映していました。 (例えばバーゼルショー開始日にロンドンのボーナムにて5.30カラットのファンシーディープブルーダイヤモンドがカラットあたり950万ドル(9億5000万円)~180万ドル(1億8000万円)で売却されました。)前年には、アジア、中東、ロシアからの超富裕層の個人バイヤーが多数、このような石や大きいカラーレスダイヤモンドを買うために、バーゼルのショーに参加しました。
しっかりとした中・低品質の無色ダイヤモンドとより小さいファンシーイエロー商品を提供したダイヤモンドのディーラーは、かなり売れ行きが好調でした。こうした宝石は通常バーゼルでは、ショーの費用がその他の会場よりもはるかに高額なため、豊富ではありません。
高品質のカラーストーンも販売が困難でした。これは非加熱ビルマ産ルビーとサファイア、コロンビア産エメラルドの価格がショーまでの数ヶ月で20~30%上昇したためです。 しかし、他の産地のエメラルドは、ファッション誌がアクセサリー用に今年最も人気のある色として緑色を売り込んでいたため、強い需要がありました。
中国のバイヤーが少なかったことも、ショーの出足が遅くなったもう一つの要因でした。 これらのバイヤーは昨年、BaselWorld(バーゼルワールド)のメイン出展者である高級時計会社が記録的な売上を達成するのに一役買っていました。 しかし時計会社の幹部は、多くの中国バイヤーが来場しなかったため、売上高は今年は30%以上ダウンしたと述べています。 中国の来場者減は、中国の経済成長の鈍化以上に、国家主席の習近平による腐敗防止キャンペーンの影響があったと彼らは話します。 高級時計、そしてそれほどではないにせよダイヤモンドも、中国政府の潤滑油として好まれる「贈り物」商品であったため、スイス高級時計の輸出のほぼ四分の一が中国向けであったのが実情でした。
宝石ディーラーはまた、案内が行き届いておらず、ショー内部からのアクセスが困難だった宝石のホールの新しいロケーションも、販売の鈍化の一因であったと考えています。
「毎年、何人かの高級時計バイヤーが一見のために宝石ホールを訪問します。 時々、これが売上につながることがあるんです。」と、ある主要なダイヤモンド出展者は話しました。 「それが大きな要因であるとは言いませんが、低迷したショーを少しはまともなものとするに十分な違いをもたらしてくれます。」
別のディーラーは、昨年にかけての研磨済みダイヤモンドの価格変動が、多くの高級時計会社が近年取り揃えていたような多数のダイヤモンド付き腕時計の生産を抑止したのではないかと語りました。
「彼らはすでに金価格の変動に対処しなければならなかったところで、その上ダイヤモンド価格の20%もの変動にも対処する気にはならないでしょう。 両方に同時に対応する気はないのです。」と、あるダイヤモンドサプライヤーは言いました。
買いは、デザイナージュエリーホールの方がやや良好でしたが、これは特に、アメリカの小売業者による出席が(スイスフランの高レートにもかかわらず)近年に比べて多かったためです。 小売業者は、インターネットの競合社を引き離すための商品を探していると述べました。