歴史的書籍リスト:ボヘミア産のレッド パイロープ ガーネット


チェコ共和国ボヘミア産パイロープ ガーネットを使用したこのアンティークの髪飾りセットは、Smithsonian Institution(スミソニアン協会)の国立宝石コレクションの一部です。提供:Chip Clark、Smithsonian Institution(スミソニアン協会)
Smithsonian Institution(スミソニアン協会)のナショナル ジェム コレクションに展示されているこのアンティークの髪飾りは、チェコ共和国産のボヘミアン パイロープ ガーネットが使用されている。提供:Smithsonian Institution(スミソニアン協会)Chip Clark氏

チェコ共和国の中央ボヘミアの高地Čéske Středohoříは、数百年にわたって宝石品質のレッド パイロープ ガーネットの原産地になっています。  この地域は、プラハの北西約60kmにあります。  この地域におけるガーネットの採掘は16世紀に始まりましたが、その千年前の初期ヨーロッパの宝飾品で、すでにこの素材が使われていたことがわかっています。  このガーネットの母岩は火山の噴火から生じた角礫岩であると考えられています。この角礫岩には(ここで変質そして蛇紋石化した)かんらん岩と呼ばれるマントル岩石の断片が含まれており、それがガーネットの元になったと思われます。  パイロープ結晶は通常、直径約6mmまでの大きさで、一般的には広域に広がる堆積物から分離した小粒として採掘されます。  この堆積物を洗浄することで、ガーネットを取りだします。  過去には、地下のガーネットを含む岩石まで到達するために立坑が掘削されたこともありました。  この国のガーネット生産は、ほとんどこの同じ地域で宝石用として製造されています。  ボヘミアン ガーネットの宝飾品は、特に19世紀で人気が高く、そして今日でも高く評価されています。

この書籍リストの使用方法

この書籍リストは、ボヘミア産のレッド パイロープ ガーネットの歴史についてさらに学ぶことができるように編纂されています。ここの記事は、多くが1800年代から1900年代初期に発行されたものです。この時期には、歴史的重要性が高い有名な宝石鉱床が多く発見され、宝石学や鉱物学が科学と認識されました。このリストは、時代の経過とともに考察が深められていく様子がよく分かるように、年代順に提示されています。このリストは包括的なものではなく、しばしば忘れられたり見過ごされたりしてきた興味深い宝石学的情報をまとめたものです。

記事の多くはすでにパブリック ドメイン(公有)であり、HathitrustInternet Archive、またはその他のデジタル レポジトリなど、オンラインのデジタル ライブラリで閲覧ができます。より最近の発行物の多くは、Richard T. Liddicoat宝石学図書館などの図書館で見ることができます。これらの記事の要約は、通常そのジャーナルや雑誌の出版社のウェブサイトに掲載されており、そして記事全文もほとんどの場合、その出版社で購入できるようになっています。

GIA 図書館の蔵書内容や現地へのアクセス方法については、カールスバッドの GIA 図書館までお問い合わせください。

ボヘミア産のガーネットは、「鉱物学の父」Georgius Agricola(ゲオルギウス アグリコラ)による1546年のDe Natura Fossilisum(鉱物学の教科書)にも記載があります。

Chemische Untersuchung der Böhmischen Granats(ボヘミアン ガーネットの化学検査), F.K. Achard、Neue Philosophische Abhandlungen der Baierschen Akademie der Wissenschaften、第1巻、282~325ページ、(1778).  ボヘミアン ガーネットの化学組成の初期研究です。

Oryctographie der Gegend von Bilin(ビーリナ地域の化石と鉱物)、F.A. Reuss、Abhandlungen der Böhmischen Gesellschaft der Wissenschaften、58~74ページ、(1788).  ボヘミア地域産のパイロープ ガーネットに関する初期の頃の記述です。

Granaten [ガーネット]、J.G. Krünitz, Oekonomische–Technologische Encyclopadie、第19巻、702~708ページ、(1788).  初期の百科事典に記載されたガーネットに関する説明です。

Granaten(ガーネット)、著者不明、Deutsche Encyclopadie、第13巻、221~224ページ、(1788).  初期の百科事典に記載されたガーネットに関する説明です。

Granat-Steine(ガーネット岩)、著者不明、Salzburger Intelligenzblatt、42番、683~685欄、(1792).  ボヘミア産ガーネットについての簡単な説明です。

Chemische Untersuchung der Böhmischen Granats(ボヘミアン ガーネットの化学検査)、M.H. Klaproth、Beiträge zur Chemischen Kenntnis der Mineralkorper、第2巻、16~21ページ、(1797)。  有名な化学者が行ったパイロープの初期研究です。

(ボヘミアの宝石)、J.A. Demian、Darstellung der Oesterreicheischen Monarchie nach den Neuesten Statistischen Beziehungen、62~62ページ、(1804).  この本には、ボヘミア産のガーネットやその他の宝石に関して簡単に説明しているセクションがあります。

Undersökning af Pyropen från Meronitz (Meronitz産パイロープの調査)、H.G.T. Wachtmeister、Kungliga Svenska Vetenskapsakademiens Handlingar、第13巻、216~223ページ、(1825).ボヘミアン パイロープの初期の化学分析です。

Analyse des Pyrop’s vom Stifelberge in Böhmen(ボヘミアのStifelberge産パイロープの分析)、F. von Kobell、Archiv für die Gesammte Naturlehre、第8巻、447~454ページ、(1826).  パイロープの定量的化学分析です。

(ボヘミアン ガーネット)、K.M. von Sternberg、Monatschrift der Gesellschaft des Vaterländischen Museums in Böhmen、第1巻、(5月)、62~67ページ、(1827).  ガーネット鉱床に関する説明です。

Böhmens Edelsteine(ボヘミアの宝石)、F.X.M. Zippe、Abhandlungen der Königlichen Böhmischen Gesellschaft der Wissenschaften、第4巻、21~54ページ、(1837).  パイロープなど、ボヘミアの宝石鉱物の概要説明です。  この記事は、Verhandlungen der Gesellschaft des Vaterländischen Museums in Böhmen、31~47ページ、(1838)、Neues Jahrbuch für Mineralogie, Geognosie, Geologie und Petrefaktenkunde、第12巻、67~69ページ、(1844)およびBerg- und Hüttenmännische Zeitung、第3巻、13番、284~286ページ、(1844)などで、その要約が掲載されています。

Ueber das Vorkommen des Pyrops in Böhmen(ボヘミアにおけるパイロープの産状について)、A.E. Reuss、Archiv für Mineralogie, Geognosie, Bergbau und Hüttenkunde、第11巻、298~314ページ、(1838).  パイロープの産出に関する説明です。  この記事は、Neues Jahrbuch für Mineralogie, Geognosie, Geologie und Petrefaktenkunde、第1巻、97~100ページ、(1839)にその要約が記載されています。

Pyropenlager von Meronitz(Meronitzにおけるパイロープ鉱床)、A.E. Reuss、Geognostische Skizzen aus Böhmen、第1巻、155~161ページ、(1844).  この町の近くのガーネット鉱床に関する記述です。  同じ著者によるこの鉱床に関する別の記事もあります。Der Pyrop von Meronitz und seine Begleiter(Meronitzのパイロープとその仲間)で、掲載はLotos、第1巻、214~223ページ、(1852)です。

Die Granatenindustrie zu Waldkirch(Waldkirchのガーネット産業)、J. Betz、Badisches Centralblatt für Staats- und Gemeinde-Interessen、第5巻、85~87ページ、(1859).Waldkirch町におけるボヘミアン ガーネットの研磨に関する記述です。

Die Bearbeitung der Granaten im Schwarzwald(シュヴァルツヴァルトでのガーネット作業)、F.A. Walchner、Westermann’s Jahrbuch、第1巻、63番、336~342ページ、(1861).  ドイツ南東部とボヘミア産の宝石品質のガーネット製造に関する説明です。

Diamant-Entdeckung in den Böhmischen Pyrop-Lagerstätten(ボヘミアのパイローブ鉱床でのダイヤモンドの発見について)、著者不明、Das Ausland、第1巻、7番、166~167ページ、(1870年).パイロープの産地でのダイヤモンドの発見に関する簡単な報告です。

Ueber das Muttergestein der Böhmischen Pyropen(ボヘミアン パイロープの母岩)、C. Doelter、Tschermak’s Mineralogische Mittheilungen、1番、13~18ページ、(1873).この書では、パイロープ ガーネットの母岩がサーペンティンであると鑑別されています。現在ではその母岩は、地球のマントルに由来するカンラン石を豊富に含んだ岩石であるカンラン岩が変質し蛇紋岩化したものであるとされています。

Die Granatenschleiferei im Breisgau(Breisgauでのガーネット研磨)、O. von Eisengrein、Jahresheft des Breisgau-Geschichtsvereins Schauinsland、第5巻、29~36ページ、(1878).  ドイツのバーデン、Breisgauの町におけるガーネット研磨産業に関する記述です。

O Horninách Pyrop Sprovázejícíh v Čéske Středohoří(中央ボヘミア高地のパイロープと関連鉱物について)、C. Zahálka、Sitzungsberichte der Koniglich-Bohmischen Gesellschaft der Wissenschaften in Prag、461~475ページ、(1884).  パイロープの産状に関する説明です。

Böhmische Granaten(ボヘミアン ガーネット)、T. Gampe、Die Gartenlaube、第41巻、7番、107~110ページ、(1893).  ボヘミアにおけるパイロープ採鉱と製造業に関する論考です。

Bohemian Garnets(ボヘミアン ガーネット)、G.F. Kunz、Transactions of the American Institute of Mining Engineers(米国鉱山技師協会の議事録)、第21巻、241~250ページ、(1893).  プラハ近郊のガーネット生産地区に関する記述です。

Bohemian Garnets(ボヘミアン ガーネット)、J.B. Hawes、Reports from the Consuls of the United States(米国領事のレポート)、第42巻、153番、205~207ページ、(1893).  プラハの領事による、宝石品質のガーネットの採鉱と製造の状況に関する簡単な報告です。  これは、Journal of the Society of Arts(芸術学会誌)、第41巻、第2127号、875~876ページ、(1893)にもその要約が掲載されています。

Edelsteinkunde(貴石)、M. Bauer、C.H. Tauchnitz、Leipzig、(1896).  宝石学の教科書で、405~409ページには、ボヘミアのパイロープについてのセクションがあります。

Die Böhmischen Granatlagerstätten und die Edelsteinseife des Sufzergründels bei Hinterhermsdorf in Sachsen (ボヘミアのガーネット鉱床と、ザクセン州ヒンターヘルムスドルフ近くのSufzergründelの宝石漂砂鉱床)、H. Oehmichen、Zeitschrift für Praktische Geologie、第8巻、(1月)、1~17ページ、(1900).ボヘミアでのガーネットの産状と、隣接するザクセン州の宝石漂砂鉱床に関する詳細な説明です。

Chemische und Mineralogische Studien am Granat(ガーネットの化学的・鉱物学的研究)、M. Seebach、Karl Rössler Buckdruckerei、Heidelberg、(1906).  本書の30~37ページは、ボヘミアン パイロープに関する章になっています。

Die Granatschleiferei in Harmersbach und Waldkirch (ハルマースバッハとヴァルトキルヒのガーネット研磨)、K. Bittmann、Hausindustrie und Heimarbeit im Grossherzogtum Baden zu Aufang des XX Jahrhuderts、7~19ページ(1907).  ボヘミアン ガーネットは、19世紀、ドイツのバーデン地域のこの2つの町など、宝飾品にするためにさまざまな場所で研磨されていました。

Mineralogische Skizzen – Böhmische Granaten(鉱物学概略 – ボヘミアン ガーネット)、W. Peiter、Aus der Heimat、第22巻、第1号、17~18ページ、(1909).ガーネットの産状に関する簡単な説明です。

Die “Böhmischen” Granaten(ボヘミアン ガーネット)、B.R. Müller、Wirtschafts-Geologie der Tschechoslowakischen Republik、(1921).この本にはガーネットに関して簡単に説明しているセクションがあります(142~145ページ)。

Ložiska Pyropů v Čéske Středohoří(中央ボヘミア高地のパイローブ産地)、L. Sýkora、Geotechnica、第14巻、1~16ページ、(1952).パイロープの産地に関する説明です。

Bohemian Garnet – Today(ボヘミアン ガーネット – 現在)、J. Schlüter および W. Weitschat、Gems & Gemology(宝石と宝石学)、第27巻、第3号、168~173ページ、(1991).ボヘミアの丘陵地区でのパイロープ ガーネット採鉱の現状の要約です。

La Bohème、Petr Korbel、Lapidary Journal(ラピダリー ジャーナル)、第46巻、第10号、46~51ページ、(1993).ボヘミアの都市トゥルノフの近くを中心としたガーネット採鉱と製造の歴史について解説しています。

Mineralogy of the Louvres Merovingian Garnet Cloisonné Jewelry: Origins of the Gems of the First Kings of France(ルーブルにあるメロヴィング朝のガーネットを用いた七宝焼宝飾品の鉱物学的考察:フランス最初の王の宝石の起源)、F. Farges、American Mineralogist(アメリカ鉱物学者)、第83巻、第3/4部、323~330ページ、(1998).  ヨーロッパ初期のガーネットのジュエリーの研究や化学分析に基づき、その素材の一部はボヘミアからのものであることがわかった、という内容です。

Mittelalterliche Edelsteinschleifereien in Südwestdeutschland und ihre Rohstoffe(ドイツ南西部における中世の宝石細工とその原材料の原産地)、I. Baranyi、Carolinea、第59巻、15~23ページ、(2001).  ドイツのバーデンの複数の地域における、パイロープや宝石の研磨のための中世の宝石細工施設に関する記述です。

Bohemian Garnet(ボヘミアン ガーネット)、A.V. Seifert および S. Vrána、Bulletin of Geosciences(地球科学会報)、第80巻、第2部、113~124ページ、(2005).ボヘミアン ガーネットの化学分析の結果と、ガーネットの産状の地質的背景に関する論議です。

Mineral inclusions in Pyrope from Garnet Peridotites, Kolín area, central Czech Republic(中央チェコ共和国コリン地域のガーネット含有カンラン岩から産するパイロープにおける鉱物インクルージョン)、S. Vrána、Journal of Geosciences(地球科学ジャーナル)、第53巻、17~30ページ、(2008).  ボヘミアン ガーネットで見られる典型的な鉱物インクルージョンに関する記述です。

The Fiery-Eyed Volcanoes of Bohemia(ボヘミアの炎のような目の火山)、J. Kouřrimský および J. Hyršl、H.A.Gilg その他編集者、Garnet – Great Balls of Fire(ガーネット – 大いなる火の玉)、Lithographie LLC、コネティカット州イーストハンプトン、56~59ページ、(2008).宝飾品のためのボヘミアン パイロープの産状と、その歴史的な採鉱や製造に関する説明です。

The History of Pyrope Extraction and Processing in the Czech Republic and Its Significance for Geotourism(チェコ共和国におけるパイローブの採掘と生産工程の歴史、およびジオツーリズムにとってのその意義)、M. Duraj、M. Marschalko、R. Duda、D. Sitányiová、S. Masarovičová、Procedia Earth and Planetary Science(Procedia・地球と惑星科学)、第15巻、663~668ページ、(2015).ボヘミアにおける宝石用のパイロープ採取と製造の歴史に関する説明です。

James Shigley博士は、カリフォルニア州カールスバッドのGemological Institute of Americaの著名な研究員です。