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海から着想を得たジュエリーと宝石による熱帯の楽園


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この風変わりなタコのブローチで目にとまるのは17mmのバロック タヒチ養殖真珠で、黒メッキの18Kゴールドにセットされている。このブローチにはブラック ダイヤモンド374個、イエロー ダイヤモンド26個、ホワイト ダイヤモンド169個が使われている。提供:Ron GreenidgeおよびEmiko Pearls International(エミコ パールズ インターナショナル) 写真撮影:Robert Weldon/GIA

熱帯の楽園は揺れ動くヤシの木、海の心地良い波の音、うっとりさせるような花の香りのイメージを呼び起こします。このようなバケーションが当面の予定にないのであれば、海で形成された宝石を使って海洋生物から着想を得て作られた、海の雰囲気を漂わせるこれらのジュエリーで、暖かい海の楽園にいる気分を味わいましょう。

海からの宝石

私たちが海の宝石について考えるとき、一番初めに思い浮かべるのは、天然や養殖にかかわらず海はさまざまな真珠、貝殻、サンゴを提供してくれるということです。

ウニのネックレスは、青、ピンク、黄色のサファイア、ツァボライトガーネット、アメジストをアクセントに、Eyrisパール2個より成り立つ。
Evelyn Huang作成のウニのネックレスはEyris®パール2個が特徴であり、カラーサファイア、ガーネット、アメジストがアクセントになっている。Eyris®養殖ブリスターパールは、ニュージーランド原産パウア貝から生まれたものである。写真撮影:Orasa Weldon/GIA

Pantone Color Institute(パントン カラー研究所)は、2019年の色を「リビング コーラル」と名付けました。このことは、サンゴは動物界の生きた一員で、海洋生態系の健全性に貢献していることを思い出させてくれます。サンゴは保護種で、米国では規制の対象となっており、米国魚類野生生物局への申告とライセンス許可が必要です 。ハワイで見つかった黒いサンゴは、米国で合法的に収穫できる唯一のサンゴです。他のすべてのサンゴは、通常、中国から輸入されています。宝石質のサンゴは、主に地中海と日本や台湾沖の太平洋で見られます。

ピンクのトルマリンでできているアマガエルがサンゴの枝に座っており、枝の先には真珠が付いている。
サンゴの枝に座っているピンクのトルマリンでできた「アマガエル」。南海の養殖真珠とエナメル加工を特徴とする。デザイン:Tony DuquetteおよびHutton Wilkinson。提供:個人収集家。写真撮影:Orasa Weldon/GIA

オーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマー(旧ビルマ)の暖かい海は真珠の産地であり、大きな二枚貝である白蝶貝の原産地で、南洋養殖真珠の原産地でもあります。南洋真珠は、真珠層が厚くサテンのような光沢で、サイズが大きく、繊細な色が揃うことで知られています。シルバーリップ シロチョウガイは白から銀色の真珠を、ゴールドリップ シロチョウガイはほとんどが、業界では「ゴールド」と呼ばれる黄色からオレンジがかった黄色の真珠を生成します。

ホワイト サファイアとイエロー サファイア、そして18Kイエロー ゴールドをアクセントにして貝殻をかたどったマザー オブ パールからぶら下がる南洋真珠。イヤリングの上部からは、魚の形をしたものも含むムーンストーンのアクセントも吊り下げられている。
これらのゴールドの南洋真珠イヤリングは、見事なオリエントと光沢の輝きを見せている。サファイアやムーンストーン、マザー オブ パールが一層目を引く組み合わせを作り出している。デザイン:Dilly Kirby、ハーバー スプリングス(Harbor Springs、ミシガン州) 写真撮影:Orasa Weldon/GIA

仏領ポリネシアは亜種のクロチョウガイが生成される唯一の最適条件の地域で、クロチョウガイはタヒチ産黒真珠を養殖するのに使用されるブラックリップ母貝です。歴史的には、黒真珠はコロンブス以前の時代に北米カリフォルニア湾のコルテス海で発見されました。ボリビアのラパスは16世紀に真珠の主要な商業の中心地となりました。

サンゴの上のピンクのヒトデ。


ニュージーランド原産のパウア シェルとも呼ばれるヘリトリアワビ(学名:Haliotis iris)から採れるEyris(アイリス)®養殖ブルー パールは、貝殻の内側にドーム状のこぶ(ブリスター)を形成します。各ブリスター パールを養殖するのに最大3年かかります。全体的な成功率は25%であり、この養殖真珠は別格です。海の波のように虹色の色がきらめくと、真珠は時折珍しい青色に彩られます。その魅惑的な色は青や緑から金やピンクにわたり、赤や紫が点在しているものもあります。

海洋生物から発想を得た彫刻

海洋生物の色や質感、動きには魅了されますが、特にジュエリーや彫刻として描かれている場合はなおさらです。

サンゴの上を泳ぐ魚。
Gerd Dreher氏の刺激的で柔らかい起伏に彫刻されたアゲートがサンゴの魅力を一層引き立てる。半透明のアゲートは魚のひれがきらめく現実味を与えている。提供: William F. Larson家。写真撮影:Robert Weldon/GIA

海洋生物、動植物の複雑なパターンとロマンが、宝石彫刻家Patrick Dreher氏と彼の父、故Gerd Dreher氏によって見事に描写されました。彼らの家系は5世紀、13世代にわたって父から息子に技術を伝授してきました。Dreherの彫刻には、ダイヤモンド焼結ツールが進化したことも要因の一部ですが大部分は彼らのひたむきな被写体性質の観察により、卓越したリアリズムがあります。

バショウカジキの本体はダイヤモンドで、残りは黄色のアクセントが付いた青、緑、黒のエナメルからできている。
ダイヤモンドが散りばめられてエナメル加工が施されたバショウカジキの形をしたブローチはTiffany & Co.(ティファニー アンド カンパニー)製である。スポーツフィッシングがアメリカの富裕層の趣味になった1930年代を彷彿させる。提供:Vartanian & Sons(バータニアン アンド サンズ)。写真撮影:Robert Weldon/GIA

暖かい熱帯の海は、カラフルな海洋生物で知られており、エナメル加工はデザインに色を加える絶好の機会を提供する金属技術です。Louis Comfort Tiffany(ルイス コンフォート ティファニー)は、1900年代初頭にガラスを金属に融合させるジュエリー制作とエナメル加工を探求し始めました。Tiffany & Co(ティファニー&カンパニー)製の緑と青のバショウカジキ ブローチは スポーツ フィッシングがアメリカのエリート達の間で人気であった1930年代を思い出させます。

海を連想させる宝石

海を思い出させる色をした宝石素材がいくつかあり、ジュエリーデザイナーや宝石彫刻家は海を思い起こさせる作品にそのような素材を生かしています。

底部の青色に透明なクォーツが伴い、海の波の様子を模している。
波打つ海の時を止めたかのような、この落ち着いた印象の54ctのブルー パパゴアイト(パパゴ石)のスライスがクォーツの層と重ねられ、海の波を連想させる。提供:Rare Earth Mining Co.(レアアース採掘会社)Bill Heher氏 写真撮影:Robert Weldon/GIA

1960年にアリゾナ州アーホの暑い乾燥した砂漠で発見されたパパゴアイトは希少なシクロケイ酸塩鉱物です。これはその地域に住んでいるサンドパパゴの人々にちなんで命名されました。これは世界的には南アフリカとナミビアでも発見されていますが、米国で知られている唯一の原産地です。その明るい青色は最も顕著な特徴であり、宝石として使用されています。

ラブラドライトの細長い長方形。
研磨されたラブラドライトの作品は素晴らしいラブラドレッセンスを表し、変化する青と灰色の色は海の引き潮と流れをまねている。寄贈:Carol and Larry Greenfield夫妻 写真撮影:Orasa Weldon/GIA

ラブラドライトはジュエリー アーティストによる解釈に役立っています。青からグレーへの色の移り変わりは、潮の満ち引きに似ています。ラブラドライトはプラジオクレーズ フェルスパーであるため、アルバイトと他のプラジオクレーズ フェルスパーによる上質で微細な相互成長層を形成することができます。光がこの層に当たると、光波が互いに干渉し合い、きらめくスペクトル カラーの帯(通常は青色と緑色)が生じます。この現象はそれを示す鉱物にちなんでラブラドレッセンスと命名されました。

ボルダー オパールは地下の鉄鉱石巨礫から採掘されます。これら巨礫の亀裂や裂け目にカラフルなオパールの薄い筋模様が形成されます。この筋模様は非常に薄いので、オパールの宝石カット職人はフルサイズの石を形成するためにオパールの背面に鉄鉱石を残す必要があります。ボルダー オパールの薄いオパール層には、美しい遊色効果としてどの色でも見られる可能性があります。

熱帯の島の休暇は楽しい空想に過ぎないかもしれませんが、海から発想を得たジュエリーでいつでもご自分にご褒美を与えることができます。

Sharon Bohannonは、写真の研究とカタログ化、そして記録を行うメディア編集者であり、GIAよりGGおよびAJPを取得しました。Richard T. Liddicoat 宝石学図書館情報センターに勤務しています。