業界分析

アーガイル鉱山のピンクダイヤモンドは終わりを迎えるのでしょうか?


スポットライトを浴びる2.11カラットのラディアントシェイプのファンシーレッドダイヤモンド
2.11カラットのArgyle Everglow(アーガイル・エバーグロー)は、アーガイルが入札で販売したうち、史上最大のファンシーレッドダイヤモンドである。このエバーグローは、合計49.39カラット、58個の宝石が競売にかけられたアーガイルの2017年のピンクダイヤモンド入札で最大の目玉であった。写真提供:Rio Tinto(リオティント)/Argyle(アーガイル)

アーガイル鉱山より産出される商業的な宝石の価格が改善しない場合、同鉱山の素晴らしいファンシーピンクダイヤモンドの供給は2020年で完了する可能性があります。

昨年、アーガイル鉱山からは1710万カラットのダイヤモンドが採鉱され、これは2016年と比べて23%の増加となりました。この大半は、販促用のジュエリー(例えば、299ドルのダイヤモンドをちりばめたブレスレットやペンダントなど)で使用されている0.15カラット以下の低品質のダイヤモンドです。これらのダイヤモンドの価格は、同鉱山の採掘会社が推定10億ドル(約1060億円)と伝えられている地下の再開発事業を完了して以来、5年間でわずかに減少しています。

再開発事業を計画した際、採掘会社は2020年に完了することを目標としていました。当初の計画では、アーガイル鉱山は2002年に閉鉱する予定でしたが、ダイヤモンドの価格が上昇したため、アーガイル鉱山を所有者するRio Tinto(リオティント)がこの鉱山を引き続き稼業し、最終的には地下採掘が行われるよう再開発しました。

アーガイル鉱山が閉鎖されると、この鉱山から産出された原石をカットすることを専門とするインドの都市に経済的な支障をもたらし、特に米国における商業用ジュエリー市場を支える非常に低品質の商品が不足する可能性があります。

しかし、アーガイル鉱山は、100カラット前後のファンシーピンク、レッド、その他の鮮やかな色のダイヤモンドが毎年産出されることで有名であり、高い評価を得ている入札オークションには、これらのカラーダイヤモンドの中でも最高のものが選ばれます。同社は価格を公表しませんが、カラット単価は通常100万ドル(約1億6000万円)以上で入札されます。

昨年の10月に行われたオークションでは、1984年に同社が初めて販売して以来提供された中で最も素晴らしいファンシーカラーダイヤモンドがいくつか入札されました。Argyle Everglow(アーガイル・エバーグロー)と名付けられた2.11カラットのファンシーレッド、1.14カラットのファンシーレッド、2.42カラットのファンシーパープルピンク、1.50カラットのファンシーディープピンク、0.91カラットのファンシーディープグレーバイオレットがその一例です。これらのダイヤモンドはすべてGIAによって鑑定されました。

デビアスの2回目のサイクル(2月29日~3月1日)における売上高は5億5500万ドル(約588億円)となり、市場に対する同社の楽観的な姿勢を反映しています。サイトでの売上げおよび顧客に対する個々の売上げの両方を含む合計は、例年最高の売上げを記録する1月の合計よりも17%下回り、2017年2月の合計をわずかに上回りました。デビアスは、価格水準を維持しました。

デビアスは、2つの最大の消費者市場である米国と中国は、両方とも堅調であると報告しています。

ダイヤモンドの生産量で世界最大を誇るAlrosa(アルロサ)の売上げは、デビアスの2月の原石の売上高とほぼ同じである5億3300万ドル(約565億円)となり、1月の売上高と同じに留まりました。

先日開催されたHong Kong International Diamond, Gem & Pearl Show(香港国際ダイヤモンド、宝石&パールショー)では、昨年から来場者の数が減少しているため、売上げが好調となる新年の商戦の後であったにもかかわらず需要は期待をわずかに下回りました。

消費者の需要は明らかに上昇しているものの、インドの小売業者、Nirav Modiおよび関連するダイヤモンド製造と小売会社のGitanjaliによる約20億ドルの詐欺疑惑が発覚したため、銀行はこの業界の資金調達には引き続き慎重になっています。ModiとGitanjaliの問題のいくつかは、銀行やインドの消費者に対する詐欺疑惑であり、現在でも調査が進行しており、世界中のニュースで取り上げられています。また、同社は、銀行からの与信限度額を増額させて、より優れた与信枠の条件を得るために、同じダイヤモンドのパーセルを輸出入して、貸借対照表を膨らませるという「循環取引」に関与したことでも告訴されています。

GitanjaliとNiravは容疑を否定しており、両社とも破産は申請していません。米国での3つの関連会社、ブライダルジュエリーの製造業者のA. Jaffe(A. ジャフィ)およびジュエリー製造業者のFirestar Diamond Inc.(ファイヤースター・ダイヤモンド社)とFantasy Inc.(ファンタジー社)は、アメリカ合衆国連邦倒産法の第11章に基づき倒産処理手続をしましたが、これら3社は営業を続行する予定です。

インドの宝石ディーラーによると、銀行はすでに与信枠をさらに縮小しています。2月26日にジャイプールで開催されたGemfields(ジェムフィールズ)オークションの入札では、商業用で低品質のエメラルドに対する入札が少なく、これは現在行われている調査のため与信枠が減少したことに起因する、と同社は説明しています。ジェムフィールズは、1080万ドル(約11.4億円)相当のエメラルドの原石を販売し、これは平均カラット単価が3.08ドル(約326円)となりました。入札者が減少していたにもかかわらず、良好な結果が出たことに満足していると同社は述べています。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。