ブックレビュー

書籍: The Collector's Guide to the Minerals of New York State(ニューヨーク州の鉱物コレクターズ ガイド)


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Steven C. Chamberlain、George W. Robinson 共著、96頁、ソフトカバー、イラスト入り、 Schiffer Publishing 出版、アットグレン、ペンシルバニア州、2013年 19.99ドル(約2000円)
著者Steven ChamberlainとGeorge Robinsonは、彼らの目標は、当初からフィールドガイドではなく、鉱物標本鑑賞であるとしています。 全体的に本書はその目的を達成しており、エンパイアステート(すなわちニューヨーク州)の鉱物に関心を寄せる人々には、そのお求めやすい価格からも購入価値があると言えます。

全4章のうち第1章の導入部では、ChamberianとRobinsonは、ニューヨーク州の鉱物産地の簡単な位置付けを行っています。 カナダやニュージャージー州フランクリン近くの Mont Saint-Hilaireほどに重要な地域はありませんが、1838年のwarwickiteに始まり、12の新しい鉱物種がニューヨークで発見されていることは注目に値します。 ハーキマーダイヤモンドのように、その美しさから世界的に有名になった鉱物もあります。ハーキマーダイヤモンドはその後すぐに、州公式の鉱物として指定されました。

著者らは、19世紀初頭以降のニューヨークの鉱物の重要なコレクションやコレクターについて、全1ページを割いて書いていますが、ニューヨーク州の地質学には、1ページ分のテキスト(と10の参考文献)のみです。 サブセクションの他のページでは、美しい写真が含まれていますが、内容の説明にはあまり効果的とは言えません。 最も重要な地質学的な示唆は、鉱物学的に興味深い産出は殆どすべて、堆積岩または結晶岩及びこれらの岩石内のフラクチャーに見つかるという点でしょう。

続く章では、鉱物の産出に関する説明に割かれています。 通常、地理別に編成されている従来のフィールドガイドとは対照的に、この本では母岩の地質に応じて産地を分類しています。堆積岩中、結晶岩石中、フラクチャー内という分類です。 これはおそらく、この本の中で最も独特な特徴でしょう。 各産地について、同じ側面から説明されています。その側面とは、標本鉱物学にとっての重要性、場所と歴史、地質学的背景と起源、コレクターにとってのその産地の鉱物の妥当性です。 各章には、同様の鉱物産出が起こる場所のリスト(GPS座標付き)と参照リストが最後に添付されています。

両著者はニューヨーク鉱物の専門家として知られており、特に本書では最新の研究成果と現代の鉱物の術語体系に重要性が置かれていることから(例えば、ブッシュファーム産のブラウントルマリンは現在、fluoruviteと識別される)、全章が情報の宝庫であると言えます。

著者は、このガイドの構成が「同じような地域間の関係、に一貫性をもたらす新しいアプローチ」であると主張しています。この主張はいかにももっともらしく、同様の産出関係性がより明らかになるため、ある程度は正しいと言えます。 しかし、私の全体的な印象は、このアプローチの利点が、著者がおそらく望んだほどには効果が及んでいないというものです。

小さな批判(コレクションやコレクターについて多くを列挙したことの面白みはどこにあるのだろうか?特に、本書の基本的アプローチが地質学に基づいていることを考慮すれば、地質学のセクションにより多くが割かれるべきではないのか、という点)は置いておき、すぐ頭に浮かんだ質問が一つあります。州全体の鉱物がたったの96ページ(美しいと言えるものだが、その4分の1が写真で占められている)で満足に説明できるのだろうか?ということです。明らかに、著者はこのことを認識し、最も重要な鉱物発生にのみ内容を限っています。この本は、同州で使える包括的な鉱物テキストとして、またはフィールドガイドとして機能させるには不完全ですが、その利点は、新しいアプローチを試みた点、よく書かれた最新の文書である点、真に美しい写真が掲載されている点にあると言えるでしょう。 

Rolf Tatjeは、アマチュア宝石鑑別士であり、英語とフランス語の教師をしている。 ドイツの デュースブルクにある Gerhard Mercator University (現デュースブルク=エッセン大学)で対照言語学の博士を取得。フリーランス翻訳者として活躍中。