書籍:Gemstones of the World(世界の宝石)


Gemstones of the World(世界の宝石)
Walter Schumann著、272頁、ハードカバー、イラスト入り、 Sterling Publishing(スターリング出版)、ニューヨーク州ニューヨーク、2013年。 米国24.95ドル(2,495円)
Walter Schumann著Gemstones of the World(世界の宝石)は1976年に英語版の初版が出版され、どのレベルのジェモロジストにも便利なリファレンスガイドとなりました。 最新の第5版も例外ではありません。

本文は基本的な結晶学および結晶系、硬度、屈折率、および宝石材料の他の関連する機能などの項目に焦点を当て、簡単な鉱物学や宝石学研究の紹介からはじまります。 Schumann氏は主に鉱物に焦点を当てていますが、有機物および合成材料にも適切な説明も加えています。 冒頭の3項は、導入部、復習、基本的な概念、と識別を容易にするよう構成されています。 宝石学の科学に少なくともある程度理解している者に解り易い内容であり、初心者向けにも上手く概念を説明しています。 宝石学が初心者の方には、専門用語が難しいかもしれませんが、Schumann氏は本の冒頭に専門用語の索引を提供しその点を補っています。

ダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルドなどの最もよく知られ経済的にも重要な宝石に殆どのページを割いて論理的に解説しています。 しかし、あまり認知されない希少な宝石を無視することなく、色、硬度、密度、屈折率、結晶系、化学組成を有す宝石に関してかなり徹底的なリストにまとめています。

2009年の第4版からの改定は一見少なく、参照部分と基本情報の殆どが変わっていないように思われます。 写真も鮮やかで解りやすいのも変わらないですが、多少の改定されるも良いでしょう。 最新版で新しくなったのは、様々な宝石材料の象徴と薬用利用の重要性について議論する章です。 著者は、科学者として懐疑的にこのテーマを取り上げており、プラシーボ効果以外に宝石の病気を改善する有効性があるものは立証されていないと何度も述べています。 より多くの神秘的なホメオパシー療法のような内容で宝石の歴史と現在の重要性を簡単に述べており面白いですが、恐らく買い直す価値はありません。

今回は第五版であるため誤記はないことを期待しましたが、 残念ながら、宝石名称の脱字と文法間違いが数カ所ありました(グラフの一部で「peridot」を「peridote」と記載)​​。 コランダムでの拡散処理の簡単な説明が正しくありません。 石の処理について、バッキングフォイルのように薄い金属層が形成されると記述しています。 拡散処理は、一般的に金属元素のチタンを利用するが、彼の説明と実際の拡散処理接点はここで終わっています。 他の処理法では詳しく説明されていますが、コランダムの拡散処理の検出方法の説明はされていません。 それでも、間違いはごくまれで、この本は難なく情報を参照し、基本情報を探すことができます。

Gemstones of the World(世界の宝石)は、ジェモロジストの中級者から上級者向けの便利なサイズで良く整理された参考書です。 コンパクトな大きさなので、探索にも持ち運べる便利なガイドです。 宝石素材の詳しいリストには、一般的な宝石や珍しい宝石に関する重要な特徴が書かれており、識別に有効的です。 以前の版を所有している方は、最新バージョンから得るものは少ないと思われます。 初めての購入者の方は、賢明な投資でしょう。

Tara Allenはカリフォルニア州カールスバッドのGIAの研究室での宝石鑑別部門のジェモロジストです。