ブックレビュー

本:21世紀のジュエリーデザイナー


WN13 BR ジュエリーデザイナー 636x358
Juliet Weir-de La Rochefoucauld著、359頁、イラスト、Antique Collectors Club, Woodbridge, UK, 2013。 95.00米ドル
この本でJuliet Weir-de La Rochefoucauldは、現代の国際的ジュエリーデザイナーを幅広く紹介しています。 この大作は、同出版社の『Celebrating Jewellery』(BennettとMascetti著、2012年)の続編とも言え、今回は宝飾品の将来を見据えて書かれています。

この描写の素晴らしい大型豪華本は、今日の重要デザイナー25人による540点以上のジュエリー作品を特集しています。 短い章でフランス人アーティストJARの最高作品のいくつか取り上げたあと、著者は読者をインスピレーションの旅にいざないます。 20個のセクションで、Kaoru Kay Akihara、Walid Akkad、Lorenz Baumer、Bhagat、Sevan Bicakci、Luz Camino、Wallace Chan、Edmond Chin、Lydia Courteille、Michele Della Valle、Patrice Fabre、James de Givenchy、Vicente Gracia、Hemmerle、Anna Hu, Michelle Ong、Susanne Syz、Nicholas Varney、Stephen Webster、Dickson Yewnの象徴的作品に加え、Rami Abboud、Tomasz Donocik、LaMouche、10 Royaleなどの「新人」の作品を紹介しています。 このアンサンブルの文化的多様性は本当に驚くべきものです。

各セクションには、各デザイナーの簡単​​な経歴やインスピレーションの様々な創造源(お気に入りのテーマやモチーフのリストなど)が含まれています。 数々の詳細な写真がこれらのテーマをどのように宝飾品に変換するかを美しく示しています。 優れた職人技による作品が表と裏の写真に載っています。 Weir-de La Rochefoucauldは、創造的なプロセスに意義深い洞察を与え、ジュエリー作りの技術的側面について詳しく説明します。 最も貴重なコメントの中には、デザイナーが使用する革新的な素材や技術(チタン、セラミック、セメント、レーザー溶接、CAD/CAMなど)に関わるものがあります。 また芸術家たちがお気に入りの宝石やカットについて語り合います。 この本では、代替素材の使用について興味深い解説をしています(木材、皮革、象牙マンモス、動物の歯、古いカメオなど)。つまり印象的な作品を作るための大胆な色や素材選択についてです。

異なる材料源にもかかわらず、写真が表現するものは本全体で一貫しています。 写真の中には、非常にシャープに表現されていて、読者が作品の重さや滑らかさを感じられるようになっているものもあります。 宝石の内包物、特殊な彫刻、宝石の技術(マイクロモザイクやエナメル、特殊なセットなど)が巧みに描かれています。

この本の長所の一つは、デザイナーと作品を芸術的・文化的な文脈に置いていることです。 Sevan BicakciとWallace Chanの2つのセクションには、特に技術的・審美的な観点から心を捕らえます。 前者のセクションでは、エナメル加工やストーンカッティングの貴重な職人技や、Bicakciの母国イスタンブールの豊かな文化遺産を祝福するユニークな指輪の製作作成が特集されています。 後者のセクションでは、「禅哲学者」という愛称を持つChanがチタンの使用をマスターしたことや、ジェダイトをマトリックスにはめ込むために4芯セットに彫る方法を発明したことが描かれています。 彼のジュエリー作品の多くは、仏教の側面や実践を参考にしており、古典的な中国芸術を連想させます。

美的観点から見ると、 Lydia CourteilleとNicholas Varneyは、宝石の素材を利用してユニークな組み合わせを作り出すという点で際立っています。 Courteilleは、気まぐれなマルチカラーのカクテルリングを作るときにクラシックカメオと華やかな宝石彫刻を取り入れました。一方でVarneyは、非対称で大き過ぎる作品に、様々な形の不規則な真珠を組み込むというアートをマスターしました。

ただ残念に思われることは、これらのデザイナーの選択基準について何も説明されていないことです。 デザイナーは、世代や名声、入賞歴、技術革新、それともオークションのアピールのために選ばれたのでしょうか。想像力に欠けるアルファベット順での紹介も欠点だと言えます。 テーマ別に整理されていれば、興味深い比較や有意義な結論を提供できかもしれません。 アルファベット順の配列では、陳腐な展開の繰り返しになります。例えば、完璧の探究や、宝飾品作りの制御の必要性、各アーティストがお気に入りの材料に間違いなく導かれる様子などです。

また、宝石鑑別士は、versubianiteはおそらくvesuvianite(ベスピアナイト)の誤植であると気付くでしょう。 ニューヨーカーは、この本ではラガーディア空港がニュージャージー州にあることにすぐ気付くでしょう。

もっと基本的な批評としては、実際の宝石サイズについて言及がほとんどありません。 ジュエリーデザイナーたちがこの本に資料提供しているので、これらの詳細は入手可能であったはずです。 同様に、ページによって写真の倍率が異なっているのにも関わらず、それについても何の言及もありません。

これらの指摘を差し引いても、この豪華な本は、宝石学者や収集家、専門家全般が、今後の将来の傾向に備えるための大きなインスピレーション源となるでしょう。 そのため、写真の品質は非常に優れた資産になります。

Delphine Leblanc(デルフィーヌ・ルブラン)はニューヨーク市にある Tiffany & Co.(ティファニー社)の評価専門家です。