2019年にGems & Gemology(宝石と宝石学)で紹介された最も珍しい7つの宝石
12月 13, 2019

毎年、GIAのラボラトリーにはグレーディングや鑑別レポート、起源レポートのために様々な種類のダイヤモンドやカラー ストーンが提出されます。希少であったり、注目を浴びたり、珍しい特徴を示す試料は、季刊誌Gems & Gemology(宝石と宝石学)に掲載される記事「ラボノート」でご覧いただけます。こちらの記事では、2019年にG&Gで掲載された最も興味深く珍しい7つの宝石を紹介します。
1. ダイヤモンドの上のダイヤモンド:天然ダイヤモンド上に成長させたCVD層
0.64カラットのファンシー グレイッシュ グリーニッシュ ブルーのクッション モディファイド ブリリアント カットのダイヤモンドは、2つの蛍光パターンをはっきりと示すだけでなく、タイプIaおよびタイプIIbのダイヤモンドの両方の特徴を呈しました。この試料は、天然ダイヤモンドの上にCVD合成ダイヤモンドの薄膜が合成されたものであることが判明しました。このような組み合わせの宝石がGIAで検査されるのは2回目となりますが、新しいタイプの商品が市場に参入している可能性があります。

2. 大きな空、大きなルビー:大きなモンタナ産ルビー
モンタナ州の二次鉱床では、主にパステルカラーの広範囲にわたる色のサファイアが産出されます。モンタナ産ピンク サファイアは希少であり、ルビーと呼ぶに値する十分な色の深みを持つコランダムは現在でもさらに希少とされています。1.70カラットの紫がかった赤のオクタゴナル モディファイド ブリリアントが検査されました。その色と大きなサイズのため非常に見事な試料であり、モンタナ産ルビーに対してラボより発行されたわずかに2例目のレポートとなりました。

3. バナジウムのV:多量のバナジウムを含有するビルマ産カラー チェンジ サファイア
5.68カラットのクッション ミクスト カットの透明なサファイアは、蛍光灯下ではグレイッシュ バイオレット、白熱灯下ではパープル-ピンクという強い変色を示しました。化学分析の結果、異常に高いレベルのバナジウムが発見され、カールスバッドのラボがこのような化学成分を持つカラー チェンジ サファイアを検査したのは今回が初めてのこととなりました。

4. 模造のネオン色:パライバのような合成サファイア
それぞれが7.78カラットと4.90カラットある2つの宝石は、パライバ トルマリンと同様のネオン グリーン-ブルーからブルー-グリーンの色を呈していました。湾曲したカラー バンディングとプラトー線により、これらは火炎溶融法による合成サファイアと鑑別されました。GIAのカールスバッド ラボが、パライバのような色を示す火炎溶融法による合成サファイアを検査したのはこの宝石が初めてでした。

5. 手ごわいグリーン:偽造のグリーンのコーティングが施されたダイヤモンド原石
天然のグリーン ダイヤモンドは非常に希少です。その色は通常、放射性の鉱物や液体にさらされることにより生じ、「放射線のシミ」と呼ばれる緑色または茶色の斑点を伴います。6.49カラットの緑色の結晶は、酸化クロム粉末でコーティングされており、その後のアニーリングによりその粉末が放射線のシミに似た表面を作り出したものであることが分かりました。拡大して観察した結果、コーティングが簡単に検出されましたが、これは天然グリーン ダイヤモンドの特徴を模倣するのを試みた重要な事案です。

6. 輝かしい星形:見事な星状のクラウドのあるダイヤモンド
3.70カラットのファセット カットされたファンシー ブラウニッシュ グリーニッシュ イエロー ダイヤモンドは、それぞれが研磨された八面体の頂点に向かって放射している6条から成る星状のクラウドをはっきりと示していました。この星形を示すダイヤモンドは、非常に明瞭な星形が、長波紫外線の下で強い黄色がかった緑色を示すために印象的でした。ファセット カットされた八面体のカッティング スタイルは伝統的ではないものの、このダイヤモンドに含まれているインクルージョンの様態を示すのに一役買っています。

7. 巨大なスター:ラボで製造された大きいスター ルビーとスター サファイア
アステリズムを有する珍しく大きい2つの裸石、直径約76.96mmの4,759カラットの赤い球体および約52.04×42.29×20.89mmの467.2カラットのブルーのカボションは、合成ルビーと合成サファイアと鑑別されました。合成スター コランダムは特に希少であるというわけではありませんが、GIAに提出されたラボで製造されたスター ルビーとスター サファイアの中でこれらは最大のものの一つでした。

Gems & Gemology(宝石と宝石学)では、さらに興味深く、珍しい宝石などに関するラボノートが毎回掲載されていますので、是非ご覧ください。
Stuart Overlinは、Gems & Gemology(宝石と宝石学)の編集幹事です。Brooke Goedertは、GIAでジェモロジィ コンテンツ戦略のライター兼編集者を務めています。Kellie Giordanoは、GIAのデジタル コミュニケーション マネージャーです。