業界分析

銀行、「採算性の悪い」ダイヤモンド原石の信用取引を一時停止


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Rio Tinto(リオ ティント社)は、アーガイル・ピンクダイヤモンドの2019年版「ヒーロー」ストーンを含む64個のダイヤモンドコレクション、アーガイル・ファンシーカラーダイヤモンドの入札を9月に開催する。左から:楕円形、1.37ct ファンシー ビビッド パープリッシュ ピンクのArgyle Verity(アーガイル べリティ);モディファイド ラディアント、1.75ct ファンシー レッドのArgyle Enigma(アーガイル エニグマ);ハートシェイプ、1.48ct ファンシー ビビッド パープリッシュ ピンクのArgyle Amari(アーガイル アマリ);ラウンドシェイプ、2.01ct ファンシーインテンス ピンクのArgyle Opus(アーガイル オーパス);モディファイド クッションシェイプ、1.20ctファンシー ビビッド ピンクのArgyle Elysian(アーガイル エリシアン);楕円形、1.07ct ファンシーレッドのArgyle Avenoir(アーガイル アヴェノワール)。これらのダイヤモンドはすべてGIAによってグレーディングされた。写真:Rio Tinto(リオ ティント)

デビアスとアルロサは今年の第2四半期にダイヤモンド原石の販売を大幅に削減しましたが、ABN AMROが大半のサイズと品質のものを含めカット石として採算の見込めない原石商品の融資をもはや行わないという発表をしたことを受け、今後もさらなる削減が予想されています。

ABN AMRO の制限は厳しいものです。同行は「収益性の高い」販売とは、「信用供与期間を考慮せずに原石を購入した後、できるだけ早い商品の販売による実質販売マージン」を達成できるもの、と定義しています。これは、同行は0.5カラットより大きい中程度品質以上のダイヤモンドを中心に需要のある狭い範囲の商品だけを融資対象とする可能性が高いことを意味します。

また、同行は差し当たり、原石購入の信用枠の使用を希望するクライアントは個別の案件ごとに申請する必要があるとしています。

インドのダイヤモンド製造業者は、生産量が昨年の同時期から約40%減少したにもかかわらず、ここ数週間でこのようなダイヤモンドの価格が10%も下落したと報告しています。

主要なカッティングセンター(特にインド)の原石や研磨されたダイヤモンドの在庫は、差し迫る供給によって研磨石の価格が原石をカットしても採算が取れないレベルまで下がってしまうような事態に近づいています。特にカット石が0.25~0.50カラットになる商品の場合はこれが顕著です。

デビアスは非常に小規模な6月の割り当てに続いて、新たに7月にダイヤモンド原石の小さなサイクル販売を割り当てます。5月と6月における原石の同社の売上高はここ数年で最低となり、ラスベガスや香港での見本市の失望的な結果もダイヤモンド市場の心情にあまり良い影響を与えていません。同社の上半期売上高は昨年に比べて20%近く減少しており、下半期にはさらに減少する可能性が高いと予測されています。

アルロサはダイヤモンド原石の売上高が今年上半期で価格にして33%減少し、6月の割り当ては前年同月に比べて43%減少したと発表しました。ABN AMROの発表後、売上高はさらに落ち込むと見込まれています。

一部の製造会社は、Rio Tinto(リオ ティント社)が2020年末オーストラリアにある大規模のアーガイル ダイヤモンド鉱山を閉鎖すると発表したことから、減少が軽減することを期待しています。リオ社は数年前にも何度か鉱山を閉鎖する可能性を示唆していましたが、原石と研磨石の在庫が累積して両方の価格が軟化する時点まできているので、今回の発表は本当です。

しかし、数百万カラットが低価格の量販品ジュエリー市場向けであるなど、鉱山の生産量の多くが特定の隙間市場を埋めているため、アーガイル産の1,400万カラットを市場から除外することで業界の高い在庫に対する万能薬となる可能性はあまりありません。アーガイルで生産される大半はブラウニッシュの色味を持つ小さい石で、平均価格は1カラットあたり約13ドル(約1400円)です。このような商品を市場から取り除いても、0.20カラットを超える大量のダイヤモンド在庫を軽減することはないでしょう。

鉱山の閉鎖発表を行った直後、アーガイルは9月の年次入札売買で発売されるファンシーカラーダイヤモンドの最新コレクションを発表しました。今年のダイヤモンド64個のコレクションは、重量が合計56.28カラットです。

GIAによりグレーディングされた「ヒーロー」ストーン6個は、次のとおりです。

  • 楕円形、1.37ct ファンシー ビビッド パープリッシュ ピンクのArgyle Verity(アーガイル べリティ)
  • モディファイド ラディアント、1.75ct ファンシー レッドのArgyle Enigma(アーガイル エニグマ)
  • ハート シェイプ、1.48ct ファンシー ビビッド パープリッシュ ピンクのArgyle Amari(アーガイル アマリ)
  • ラウンドシェイプ、2.01ct ファンシーインテンス ピンクのArgyle Opus(アーガイル オーパス)
  • モディファイド クッションシェイプ、1.20ct ファンシー ビビッド ピンクのArgyle Elysian(アーガイル エリシアン)
  • 楕円形、1.07ct ファンシー レッドのArgyle Avenoir(アーガイル アヴェノワール)

これはおそらく、1984年に始まったアーガイル・ファンシーカラーダイヤモンドの入札販売において最後から2番目となるでしょう。

Russell Shorは、GIA カールスバッドのシニア業界アナリストです。