サファイアシリーズ第3部:
現代の合成サファイア用途


前回私たちは、サファイアを一つの宝石として、また多くの合成結晶成長技術の進歩を促した主要工業用素材として紹介しました。 合成サファイアは日常生活でも一般的なものになっています。それはサファイアの光学的、機械的、熱的、化学的、構造的の特性が理想的で、様々な素晴らしい用途を生み出すからです。

図 1。 過去25年間、
ハイパワーレーザーは熱交換法を使用して進化してきた。 写真提供:GT
Advanced Technologies(GT アドバンスト・テクノロジーズ)
合成サファイアの転機は1960年のレーザーの発明でした。 Theodore Maimanが棒状に作られたベルヌーイ成長ルビー結晶を使用して世界初の光レーザーを発明しました。 火炎溶融成長によるルビーの品質は産業用レーザーには不十分であったため、チョクラルスキー法を使用してサファイア合成を促進していました。 今日でも、様々な組成物のレーザー結晶はこの方法で育てられています。 ルビー結晶は、軍用距離計やタトゥー除去や脱毛などの美容用途を目的として作られてきましたが、今は他のレーザー素材に大体的に置き換えられています。 ルビーレーザーは現在、主にホログラフィック画像を生成したり、ダイヤモンドに小孔を穿孔するために使用されています。

もう一つの重要なレーザー結晶はチタンサファイアです。これはチョクラルスキー法や熱交換方式で生成されることが多いです(図 1)。 チタンサファイアレーザーは、非常に高いエネルギーや超短パルス(ピコ秒、フェムト秒、アト秒でさえも)を生成する能力を持つため、基礎研究を進めるのに役立ったきました。また将来、核融合エネルギーを実現するための鍵になるかもしれません。

図 2。 サファイアの窓は航空宇宙産業で広く使用されている。 写真提供:GT
Advanced Technologies(GT アドバンスト・テクノロジーズ)
クロムをドープした大きなルビー結晶を成長させる能力が確立されたあと、科学者たちは、耐久性を持つ透明性の高い素材として、ドープされていない合成サファイア(通称「ホワイトサファイア」または「リューコサファイア」)の開発を始めました。 1960年代には軍用保護レーザー被覆や、航空宇宙用の窓(図 2)、防弾装甲、様々な傷防止表面に使用する、高化学純度の低欠陥結晶が現れました。 サファイアは、理想的な断熱および構造の特性を持つため、シリコン(1963年)と窒化ガリウム(1969年)などの単結晶半導体に適切な基板材料でした。 これによってさらに多くの市場機会が生まれました。1970年代に開発されたヒューレット・パッカード41シリーズの計算機などの、より速くエネルギー効率の高い回路がその例です。 そのテクノロジーにより、青色、紫色、白色の短波長発光ダイオード(LED)も可能になりました。 サファイア基板はより大きくなり、直径10インチまで成長しました。( 図 3)。 最終的には消費者向けに合成ホワイトサファイアの応用が始まりました。

図 3。 Monocrystalの10インチのサファイア基板が、2インチのサファイア
基板のとなりに並ぶ。 提供:Monocrystal
レジの横にあるスキャナウィンドウに商品をかざすと鳴る「ビープ音」を誰でも聞いたことがあるはずです。 そのウィンドウの表面は一枚の非常に薄いサファイアで作られています。このおげでガラスに傷が付かず、ガラスを交換する必要もなく、何度でも商品をかざすことができるのです。 1978年に初めて開発された(図4)この用途は、現在、世界中の小売店で見られます。 サファイアのウィンドウは生体指紋センサーの保護にも使用できます。 スマートフォン製造会社がこの技術に興味を持っており、その業界で合成サファイアが様々な用途に使用される可能性が予想されています。

図 4。 サファイアを使用した最初の販売情報管理プロトタイプの写真。 提供:Frank Bruni このプロトタイプの詳細情報に関しては、http://frankbruni.com/uncategorized/the-birth-of-the-sapphire-pos-terminal-windowをご覧ください。
サファイアは、携帯電話のカメラレンズのカバーとして使用されてきました。またスマートフォンや電子タブレットメーカーも耐破損性の高いディスプレイ用にサファイアを試験しています(図 5)。 最高級のスマートフォンには、すでにサファイアのタッチスクリーンを使用するものもあります。 来年製造されるすべてのスマートフォンにサファイアスクリーンが使用されるとすれば、約10億個のサファイアスクリーンが生産されるでしょう。 耐傷性・耐亀裂性の高いスクリーンを求める消費者は多いです。様々な市場関係者や業界アナリストたちは、消費者がこの機能に30~50ドルの追加料金を支払う意思があることを明らかにしました。 もしそうだとしても、現在の合成サファイアの生産量では、需要を満たすことができない可能性があります。

図 5。 スマートフォンのディスプレイスクリーン生産に使用される合成サファイアのブロック。 写真提供:GT Advanced Technologies(GT アドバンスト テクノロジーズ)。
サファイア基板は、次世代の周囲照明である白色LEDの製造に使用されています。 白色LEDは、実際は黄色発光蛍光体で青色LEDを覆って生成した白色光です(図 6)。 LED照明の将来は明るいと言えます。世界はより効率的なエネルギーを求め、水銀などの有毒物質に依存しないように努めているからです。 サファイア基板の需要は非常に大きいです。それは年間に数百万単位であり、成長を続けています。そして多くの合成サファイアメーカーが様々な用途のために資源を取り合っています。

図 6. 一般的に、青色、紫色、白色のLEDが合成サファイア基板で生成されるのが
一般的である。 白色LEDは、セリウムイットリウムアルミニウムガーネットのような
燐光体コーティングを青色LEDに適用して作られる。 写真提供:GT Advanced Technologies(GT アドバンスト テクノロジーズ)。
さて、宝石学はこれのどこに適用されのでしょうか。サファイアは合成宝石の市場でかなりの割合を占めています。 しかし合成宝石コランダムの需要が増加しても、宝石素材に使用するために工業製造されるサファイア結晶の割合は減っています。 サファイアの技術的応用が高まる一方で、合成宝石業界は、製品の品質、供給、価格設定への影響を感じています。このトピックはこのシリーズの第4部と最終回でさらに探求します。

Jennifer Stone-Sundbergは、Cry​​stal Solutions, LLC のマネージングディレクターで「Gems & Gemology(宝石& 宝石学)」の技術編集者を務めています。 彼女は結晶成長と特性評価技術を専門としています。