サファイアの品質を決定する要因


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このカシミール産サファイアは、強烈なビロードのようなブルーを呈している。提供:George C. Hartmann, Jr.
サファイアは、ルビーとエメラルドに並ぶ、ジュエリー向けの三大カラーストーンのひとつです。9月の誕生石とされる耐久性の高いこの石は、その実用性とロマンスのオーラがジュエリーバイヤーを捕らえます。
 
カラー
サファイアのカラー範囲は幅広く、各色のクオリティも様々です。一般的に、色味が強いほど、そして魅力のないムラになったカラーゾーンが少ないほど、石の価値が高まります。
 
ブルー サファイアの価値に最も重要な影響を与えているのは、色です。最も価値が高いとされるブルー サファイアは、ミディアム~ミディアムダークの色調で、ベルベットのように滑らかなブルーからすみれ色がかったブルーです。強い〜鮮やかな彩度をもったサファイアは、より好まれています。色が暗くなったり輝きを失なったりすることなく、可能な限り強い彩度でなければなりません。これらの資質を持ったサファイアは、カラット単価が最も高くなります。

強力な色のブルーサファイア
主要なサファイアの原産地としては比較的新しいマダガスカルだが、その石は、伝統的な産地から産出された最上級品に匹敵する、強烈なブルーを呈している。© GIA & Tino Hammid
価格帯の反対側には、グリーニッシュ ブルーや強いグリーニッシュ ブルーの多色性をもつ量販品質のサファイアがあります。多色性は、結晶を見る方向によって見える色が異なることです。価値の低いブルー サファイアは、灰色がかっており、明るすぎる、または暗すぎる場合があります。
 
ファンシー サファイアの主なカラー分類は、パパラチャ、ピンク、パープル、オレンジ、イエロー、グリーン、無色、そしてブラックです。それぞれの分類にそれぞれのカラー範囲、色の原因、そして市場があります。
 
業界に携わる人々がパパラチャと呼ぶファンシー サファイアは、とても美しいものです。一般的にカラット単価も高く、その他のファンシー サファイアよりもずっと高価です。
 
その色の描写はとても複雑です。パパラチャ サファイアの色をサーモンやサンセットと呼ぶべきだと言う人もいれば、熟したグアバの果肉に色を喩える人もいます。
 
色の表現はこのように異なっていても、業界の人々は通常、パパラチャ サファイアの色は彩度が非常に高く、ライトからミディアムのピンキッシュ オレンジからオレンジ‐ピンクであることで一致します。
 
ピンク サファイアの範囲は、弱い彩度から鮮やかな彩度でより明るい色調のレッドからパープルとされています。パープル サファイアは色は似ていますが、より暗く、パープルが支配的な色となっています。これらは弱い彩度から鮮やかな彩度の、ミディアムからダークのレディッシュ パープルからバイオレティッシュ パープルです。

強力な色のピンクサファイア
ピンク サファイアには、彩度の非常に高い色を示すものがある。提供:John Dyer、宝石提供:John Dyer & Co.
コランダムは、鮮やかなレモン色、柔らかなピーチ色、鮮やかなタンジェリン色を含む一連のイエローとオレンジの色相を呈します。
 
カラー用語では、イエロー サファイアのカラー範囲は、ライトからダークのグリーニッシュ イエローからオレンジィ イエロー、彩度は弱〜強です。最高級のイエロー サファイアは、鮮やかな彩度のイエローからオレンジィ イエローです。
 
オレンジ サファイアの範囲は、イエローイッシュ オレンジからレディッシュ オレンジです。最高級のオレンジ サファイアは、強い純粋なオレンジからレッド‐オレンジの範囲で、ミディアムの色調、鮮やかな彩度をもっています。
 
サファイア
これらのサファイアは、イエローないしゴールデンと呼ばれる深みのあるイエロー‐オレンジの色から、高彩度のレディッシュ オレンジ色まである。© GIA & Tino Hammid、提供:Varujan Arslanyan
グリーン サファイアはライトからダークのブルーイッシュ グリーンからイエローイッシュ グリーンで、通常は低彩度です。グリーン サファイアは容易に入手可能ですが、色にはあまり市場性がありません。その色は、時折カーキやオリーブと表現されています。彩度が低かったり魅力のないカラー ゾーニングを持つ傾向があるためです。
 
業界の人々は、最も純粋な結晶のコランダムを、カラーレス サファイアあるいはホワイト サファイアと呼びます。コランダムが無色に近ければ近いほど、カラーレス サファイアとして価値が高くなります。極めて明るいグレー、イエロー、ブラウン、ブルーが微かにみられる石は一般的で、価値は下がります。カラーレス サファイアは、ジュエリーの小さなアクセント ストーンとして人気があります。
 
カラーチェンジ サファイアはコランダムのカメレオン、つまり照明を変えると色が変わる石です。昼光に相当する光(蛍光灯)の下での典型的なカラーチェンジ サファイアの基本色の範囲は、ブルーからバイオレットです。白熱灯の下では、バイオレティッシュ パープルから強いレディッシュ パープルです。まれに、カラーチェンジ サファイアは、昼光下でのグリーンから、白熱灯下でのレディッシュ ブラウンに変わるものがあります。
 
宝石専門家がカラーチェンジ サファイアを判断するとき、色の変化について、弱い(weak)、中程度(moderate)、強い(strong)、と表現します。石のカラーチェンジの強さは、石の価値に影響を与える最も重要な品質要素であり、次に石の実際の色も重要です。
 
すべてのカラーストーンと同じように、スター コランダムの色はその価値に大きな影響を与えます。最高級のスター コランダムは、彩度の高い色相を背景にくっきりと明瞭なスターを呈します。色が明るすぎる場合はスターの線条とのコントラストが十分に得られないため、スターが見えにくくなります。
 
スター コランダムには、レッド、ブルー、ブラック、グレー、パープル、イエローなど、あらゆる色があります。「スター サファイア」という用語は、レッドを除くすべての色のスターコランダムに使われ、レッドだけはスタールビーと呼ばれます。
 
当然のことながら、スターコ ランダムの中でも他のものよりも高く評価される色がいくつかあります。一般的に、最も評価されている色は、特殊効果を示さないコランダムで評価の高い色と同じで、ブルーとレッドです。
 
産地に基づいた業界用語が、石の産地に関連付けられている特定の色や品質を代表することがあります。品質がその原産地の典型であったり、原産地からの最高級の石を代表している場合があります。しかし、単一の原産地が、すべて同じ色と品質の宝石を一貫して産出することはありません。実際には、このような記述用語は、その原産地から採掘される石の割合のわずかな部分のみを表わしているのかもしれません。特定の産地で採掘される石の外観は、多くの場合、時代の経過とともに変化するので、その産地に関連づけられた元々の品質は現在産出する素材と一致しない場合があります。
 
新しい産地は、以前の産地と非常に類似した素材を産することもあるし、あるいは僅かに異なるが同じように美しい外観を持つものを産出する場合もあります。

クラリティ
一般的に、ブルー サファイアには内包物がいくらかありますが、クラリティは通常、ルビーよりも優れています。極度に高いクラリティを持つブルー サファイアはまれであり、非常に価値があります。
 
サファイアに見られる内包物には、いくつかのタイプがあります。そのうちのひとつは、ニードル(針)と呼ばれる細長い鉱物インクルージョンです。細いニードルが交差した集団の鉱物ルチルとして生じている場合、それをシルクを呼びます。サファイアのその他のクラリティ特性には、含有された鉱物結晶や、フィンガープリント(指紋)の様に見える部分的に修復されたひび割れ、カラーゾーニング、カラーバンディング(色相の縞)などがあります。

サファイアのシルクインクルージョン
これらの長くて細く、交差する鉱物ルチルの内包物は、シルクと呼ばれる。このように配列していると、コランダムにスター効果を生み出すことができる。
一般的に内包物は石の価値を下げてしまいます。内容物が石の耐久性を損ねる恐れのある場合には、価格は大幅に低下する場合があります。そうであっても実際に、内包物がサファイアの価値を高めることもあります。最も価値のあるカシミール産サファイアの多くには、ビロードのような滑らかな外観を与える微小な内包物が含まれています。これらは光を散乱させ、宝石の透明度を損なうことなく、切望されるその視覚的な効果を発します。
スター ルビーとスター サファイアは、特殊効果を示すコランダムに分類されます。スター効果はアステリズム(星彩効果)と呼ばれます。これは、複数の特定方向に配列された小さな針状インクルージョンからの反射によって起こります。スターは通常、2つ、3つまたは6つの交差する帯から成り、その結果4本、6本、または12本の光の線条を発します。

Tiny inclusions create magnificent reflections of light known as the star effect. - © GIA & Tino Hammid, courtesy Benjamin Zucker
Tiny inclusions create magnificent reflections of light known as the star effect. - © GIA & Tino Hammid, courtesy Benjamin Zucker
6条のスターが最も一般的で、12条のスターは非常に稀です。わずかに異なる方向を向いたルチルとヘマタイトの2組のインクルージョンが12条のスターを生みだすことがあります。
 
ヘマタイト インクルージョンはブラック スター サファイアにアステリズムを生じさせます。サファイアの色は、実際にはイエロー、グリーン、ブルーなどですが、内包物が石をダーク ブラウンや黒に見せているのです。
 
最高級のスターは、明瞭で石の頂上の中央にあり、腕の長さのほどのある程度の離れたところからも見ることができます。スターの質は、どの方向から見ても同じでなければなりません。
 
線条は均一の強さで、端から端まで達し、石の頂上で交差していなければいけません。線条は直線であるべきで、ぼやけていたり、波打っていたり、途切れていてはいけません。また背景の色に対して強いコントラストを呈していなければいけません。スターにはまた、エレガントな「動き」がなければいけません。すなわち、石を揺り動かしたときに、スターは表面全体で、滑らかに、途切れる事なく移動しなければなりません。
 
最高級の最も高価なスター コランダムは、はっきりとしたスターを生じるのに必要充分なシルクを伴っており亜透明です。シルクが多すぎると、透明度を損なうとともに色も貧弱になり、石の価値を大きく下げてしまいます。

カット

楕円形カットのサファイア
宝石のクラウン(トップ部)には三角形とカイト シェイプのファセット、パビリオン(下部)には平行に並んだ長方形のファセットを施したオーバル シェイプは、すべての色のコランダムによく見られます。
サファイアの原石結晶の形状は、石の研磨加工後の形状とサイズに影響します。サファイア原石の最も一般的な結晶形は、バレル(樽形)型またはスピンドル(紡錘形)型の六角錐状です。従って、研磨加工後のサファイアは多くの場合、深さがあります。

全体の色を最高にし、最高のプロポーションを維持し、可能な限り重量を保持するために、宝石カット職人はカラーゾーニング、多色性、石の明るさや暗さなどの要素に注目します。
 
様々なカラーサファイア
これらのサファイアは、熟練のカスタム デザインにカットされたミニチュアのアート作品
である。提供:Mark Gronlund、ウマティラ、フロリダ州
カラーゾーニング(ひとつの石で見られる異なる色の領域)は、サファイアによく見られる特徴です。ブルー サファイアは、多くの場合ブルーとライト ブルーの角度のあるゾーンを有しています。一部のサファイアでは、カラーゾーンを扱う際にカット職人はカット石となった時に最も良い色が見えるように、色が集中している部分をどこに配置するかを決定します。
 
スリランカ産サファイアでは、色は多くの場合、結晶の表面近くに集中しています。カット職人が色の集中しているエリア内にキューレットを配置することができれば、その石はフェイスアップからは全体的にブルーに見えます。
 
多色性は、結晶を見る方向によって見える色が異なることです。ブルーサファイアは、多くの場合グリーニッシュ ブルーとバイオレティッシュ ブルーの多色性を示します。その石がジュエリーにセットされたときに、バイオレティッシュ ブルーを呈するようにカットの方向を定めることが最も望ましいのです。

サファイアの様々なカットと色
コランダムにはあらゆる色があるばかりでなく、カットスタイルも様々である。Jeff Scovil、提供:Ballerina Gems(バレリーナ ジェムズ)
スター コランダムは、アステリズムを示すにはカボション カットする必要があります。研磨加工された石の魅力は、スターの向きとカボションの対称性、プロポーション、そして仕上げにかかっています。
 
カボションは、宝石を底面を下にして置いたときにスターが中央にあることで魅力的な外観をしていなければなりません。石の輪郭はシンメトリーでなければなりません。
 
ほとんどの石について、スターが明瞭に現れるためにはドームは石の幅の約3分の2ほどの高さが必要となります。高すぎると、石を傾けたときにスターの優雅な動きが失なわれてしまいます。また、高さが余分にあると石をマウントしにくくなってしまいます。
 
ドームのカットが浅すぎると、スターは真上からしか見えなくなってしまいます。ただし、ブラック スター サファイアは平行に割れる傾向があるので、通常は損傷のリスクを低減するために非常に平たくカットされます。
 
石のガードルより下は、光学効果や色の強調に貢献しないので余分な重さがあってはいけません。

カラット ウエイト(重量)
ブルー サファイアのサイズは数ポイントから何百カラットまでにわたり、大きなブルー サファイアは、大きなルビーよりも入手し易いです。しかし、ほとんどの量販品質のブルー サファイアの重量は5カラット未満です。

Vagabonde Bleue リング
大きなサイズの上質なブルー サファイアはまれですが、まだルビーよりも入手可能です。このリングの中央にある、見事に美しいブルー サファイアは重量が18.79カラットある。Vagabonde Bleue Ring © 2011 Fabergé Ltd (ファベルジェ社)
大きなサイズの上質なブルー サファイアよりも、サイズの大きい量販品質のものの方が一般的です。したがって、上質なサファイアの価格は、サイズによって違いがより大きくなります。上質な5カラットのブルー サファイアは、同じ品質の1カラットの石よりも、カラット単価が5倍ほど高く販売されています。
 
量販品質の5カラットの石は、同じ品質の1カラットのブルー サファイアのカラット単価のわずか2倍程度で販売されています。

これらの例が正確な価格ガイドラインという訳ではありませんが、サイズと品質が上がるとカラット単価がどのくらい上がるかを示しています。

111.96 カラットのビルマ産スターサファイア
このブルー スター サファイアは重量が119.96カラットもあり、サイズと品質の両面で壮麗な宝石である。提供: Treasured Gems and Jewels LLC/Benjamin Zucker
サファイア各種
サファイアは、あらゆるサイズ、シェイプ、カラーのものが手に入ります。