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GIA図書館の電子書籍トップ10


希少本の前に置かれた宝石素材。
何千年もの間、このアゲート(中国の観音菩薩の彫刻)、コロンビア産エメラルドの標本、真珠、貝殻のカメオ、アメシスト、ガーネット、ターコイズのような宝石素材は、世界中で珍重されてきた。宝石だけでなく、地質学、採鉱技術、宝石の国際取引に関する書籍は、長い間愛好家の興味を掻き立てている。多くの書籍が、GIAにあるカルティエ希少本書庫および資料室に保管されており、宝石に関する古代および現代の著述が所蔵されている。これらの数多くの書籍(それ自体が財宝である)は、インターネット アーカイブを通じて、無料で閲覧することができる。写真撮影:Robert Weldon/GIA

ラテン語を勉強し直して、古代の宝石学の基礎とされている17世紀の書籍、プリニウスの『Natural History(博物史)』を読んでみませんか?朝のコーヒーを飲みながら、1817年に出版されたサワビーの『British Mineralogy(英国の鉱物学)』をじっくりと読んでみるのはいかがでしょうか。それとも、ロシアのロマノフ王朝のレガリアと王冠の宝石に関する1925年~1926年の非常に希少なカタログを1ページずつめくりながら目で楽しむのはどうでしょう。
 
これらは、非営利のデジタル図書館インターネット アーカイブを通じて無料で閲覧できる、GIAのカルティエ希少本書庫および資料室に保存されている650作のデジタル化された希少本のうちのわずか3作です。GIAのRichard T. Liddicoat(RTL)宝石学図書館および情報センターの司書たちは、宝石学、鉱物学、宝飾品に関する最も希少で価値のある数千冊の書籍を簡単に閲覧していただけるよう、この活動に数年にわたり取り組んできました。
 
これらの書籍の多くは、1988年にGIAが取得したSinkankas図書館のものです。著名な作家で宝石細工のアーティストであるジョン シンカンカスと妻のマージョリーは、宝石や宝飾品の研究に関連するほぼすべての主要な著述を含む、約14,000点の書籍などを40年以上もかけて収集しました。
 
「GIAデジタル図書館は、何世紀にもわたる歴史、芸術、科学、宝石学、鉱物学を記録に残した写本や書籍の総合的なコレクションとして成長を遂げています。宝石や宝飾品の国際的な世界は多くの国や言語で構成されていることを考慮し、オンライン アーカイブはジェモロジストや研究員がどこにいてもすぐに利用できる優れたリソースです」とRTL図書館でディレクターを務めるRobert Weldonは語ります。
 

デジタル化された書籍のトップ10

図書館のスタッフが選んだおすすめの書籍をこちらに紹介します。

  1. Fersman, A.E. Russia’s Treasure of Diamonds and Precious Stones(ロシア至宝のダイヤモンドおよび貴石)、1925年
    この希少なカタログは、1917年にロシア帝政が崩壊した当時のロシアのレガリアと王冠の宝石を記録に残しています。ピョートル1世(1689年~1725年)からニコライ2世(1894年~1917年)までの皇帝が統治していた時代の宝石がこのカタログで紹介されており、ロシア皇帝の財宝の写真が100枚ほど掲載されています。

  2. Kozminsky, Isidore。The Magic and Science of Jewels and Stones(宝石と石の魔法と科学)、1922年
    古代の神話から現代科学に至るまで、この本は(序文より引用)「…現代科学を古代および地球の石の神秘的な哲学と融合させることを…見事に試みています。」 シンカンカスは、自著の『Gemology: An Annotated Bibliography(宝石学:注釈付きの参考文献)』においてこの本を、「情報の真正性と正確さに関してはKunz著『The Curious Lore of Precious Stones(貴石の興味深い伝説)』に匹敵する優れた作品」と称賛しています。

  3. Hendley, Thomas Holbein。Indian Jewellery(インドの宝飾品) 、1909年
    この希少な書籍は、インド各地の宝飾品、衣装、宝石の用語を記述したコレクションです。シンカンカスは、この書籍を「この主題に関しては史上最大かつ最も詳しい、豪華に描かれたモノグラフ」と表現しています。

  4. Vever, Henri。La Bijouterie Francaise au XIXe Siecle(1800-1900)〔19世紀のフランスの宝飾品(1800~1900年)〕、1908年
    3巻から成るこの作品は、有名な宝石、人物、作品など、フランスのジュエリーの歴史を描いています。シンカンカスは、「驚くほど詳しく」および「数多くの高品質の写真やその他のイラストのある素晴らしい」書籍として称賛しています。

  5. Winter, Albert Andrew。A Course in Fundamental Principles of Designing and Engraving(デザインおよび彫刻の基礎コース)、1915年
    Winter’s School of Jewelry Engraving(ウィンターズ スクール オブ ジュエリー エングレービング)により1915年に出版されたこの教科書は、モノグラムのデザイン、文字の形成、適切なツールと技法、金属の種類、用語などについての説明を含む基本的な彫刻に関する実用的な手引きです。説明には詳しいイラストと図が添えられています。

  6. Tagore, Sourindro Mohun。Mani-mala: or, A Treatise On Gems(マニ-マラ:宝石に関する論文)、1881年
    英語とサンスクリット語で出版されており、2巻で構成されているTagore著『Mani-Málá(マニ-マーラ)』は、ダイヤモンドとカラーストーン、伝説、宝飾品、王室の宝石などに関する東洋および西洋の情報を紹介しています。シンカンカスは、特にインド文化における宝石の歴史の情報源として、この書籍を「これまでに出版された宝石に関する書籍のなかで最も素晴らしく重要な作品の一つ」と称えています。

  7. クンツ、ジョージ フレデリック The Curious Lore of Precious Stones(貴石の興味深い伝説)、1913年
    この書籍は、宝石のフォークロアと癒しの特性に関する情報の重要かつ包括的な集大成です。今日に至っても宝石に属する多くの神秘的な特性について学ぶことができます。

  8. Lacroix, Alfred。Mineralogie de la France et de Ses Colonies […](フランスとその植民地の鉱物学 […]) 、1913年
    鉱物学に夢中ですか?フランス語を読めますか?この5巻の書籍は「フランスとその植民地の鉱物を記述しています。」 シンカンカスは、「[...]他に類を見ないほど全く完璧であり、重要な面を全く見落とさず、華麗に描かれている」と表現しています。

  9. The Bishop Collection: Investigations and Studies in Jade(Bishopコレクション:ジェードの調査と研究)、1900年
    1902年にニューヨークのMetropolitan Museum of Art(メトロポリタン美術館)に寄贈されたHeber Reginald Bishopによるジェードのコレクションを記述するために彼自身が依頼したジェードに関する記事の希少なコレクション。

  10. Pliny, the Elder(大プリニウス)。C. Plynius Secundus De naturali hystoria diligentissime castigatus 、1496年
    この1496年のラテン語版は、GIAのコレクションの中で最古の書籍です。37章で構成されているこの書籍は、プリニウスが自然について発見したすべてを編集しており、最後の5巻は金属や宝石について説明しています。宝石鑑別士および作家のSydney Ballが説明しているように、この書籍はルネッサンスまではすべての科学の基礎であり、また、ローマ帝国時代から現代に至るまで現存する最大の作品の一つとされています。

GIA が希少本のコレクションをどのようにデジタル化しているかに関する詳細は、こちらをご覧ください。