3Dプリント:GIAが学生に「テクノロジー革命」に備えるべく指導


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GIAジュエリーデザイン テクノロジープログラムを最近卒業したMichelle Loonが手にするのは、彼女がデザインしたジュエリーの3Dプリンターによる樹脂原形が付いたプラットフォーム。 撮影:Kevin Schumacher
Robert Downey Jr.(ロバート ダウニー ジュニア) は、3Dプリントにより作成されたアイアンマン風の義手を、幼いファンに贈りました。 「パンケーキ ボット」(パンケーキ専用ロボット)は、朝食のごちそうをカスタマイズされた複雑な形で鉄板の上に直接絞り出します。 中国の建設会社WinSun(ウィンサン)は、152m(500フィート)の長さの3Dプリンターを使用し、上海に5階建てアパートを建設します。

3Dプリントの驚くべき可能性は、ニュースやソーシャルメディアなど至るところで紹介されています。 その応用範囲は驚愕的であり、その利点は食品や医学、建築、さらには時間、精度、費用対効果についての評価に重点が置かれるジュエリーのデザインと製造産業において、状況を一変させます。

こうした3Dプリントの応用は大きな潮流の一部であり、現状を既に変化させ始めていると、GIAジュエリーデザイン テクノロジープログラム(JDT)で3Dプリンターを使用するインストラクターのSteve Workmanは述べています。
業界は[3Dプリント]に向かって進んでおり、大手メーカーから零細企業まで、全ての企業が求めています。
Kimberly Overlin、GIAの学生部長
「過去数年の間に、ジュエリーのデザインと製造において注目すべきことが起きました。」と彼は述べます。 「コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアや、3Dプリンターなどのコンピュータ支援製造(CAM​​)ハードウェアによって、テクノロジー革命の影響を受けたのです。」

3Dプリント:いったい何ができる?

3Dプリントはたくさんのメディアの見出しを飾ったものの、多くの人々はまだそれが何であり、どのように作動するかを理解していません。 サブトラクティブ マニュファクチャリングとアディティブ マニュファクチャリングという用語を通して、広い概念から3Dプリントについて考えてみると分かりやすいでしょう。

ルネサンス時代の芸術家が巨大な大理石の石板を見つめ、その原石から芸術を創り出す方法を考えている光景を思い描いてください。 GIAのジュエリーマニュファクチャリング アーツ(JMA)プログラムの管理者であるMike Mageeは、サブトラクティブ マニュファクチャリングについてこのように説明します。

「ミケランジェロが大理石の中に隠されているものを見つけ出すように、何か大きな塊を前に想像することから始め自分の望むものを削り出す手法は、サブトラクティブ(除去)マニュファクチャリングと呼ばれます。」と彼は述べます。

3Dプリントを含むアディティブ(積層)マニュファクチャリングは、まったく何も無いところから始まります。宝飾品、パンケーキ、義手、アパートなどの造形もその中の一つであり、下から少しずつ小さな層を積み上げます。

「これらの層は、一般的に30ミクロンの厚さにまで薄くなります。」とMageeは述べています。 「30ミクロンとは、3/100ミリメートルです。」

CAMのハードウェアの一種である3Dプリンターは、アディティブ テクノロジーを使用し、チェーンやメッシュといったような物体を直接18金で造形します。

「私たちの業界では、まだかなり珍しいのですが。」とMageeは述べます。 「他の産業ではより発展していますが、宝石業界においては非常に新しい技術です。 私たちが3Dプリントを使用するほとんどの場合は、可動部品の少ないリングや大きめの物体といったモデル(後に鋳造される)を作成しています。さらに鋳造プロセスの場合には、ワックスとほぼ同様の働きをする材料を使用します。」

3Dプリンタで作成するための準備として、ジュエリーデザイン・テクノロジープログラムの学生らにCADモデルのサポートの指導を行うGIA講師のSteve Workman。 写真撮影:Kevin Schumacher
効率と精度を高め、無駄を省く

ミケランジェロの有名なダビデ像は紛れもなく芸術的な作品ですが、この芸術家が石を削るたびに、高価なトスカーナの大理石をかなり無駄にしたことも事実です。

3Dプリントすなわちアディティブ マニュファクチャリングを利用する最大の利点の一つとして、材料の無駄使いを省けることが挙げられます。 コンセプトの立証、精密なミラーイメージ、改良、カスタマイズにおいて、CAD技術はより迅速な作業を既に可能にしています。 新しい3Dプリンターは、それを強化するのみです。

「過去には、オリジナル原形モデルの複製を作るために、メーカーはゴム製の金型を使用していました。」とWorkmanは述べます。 「そのモデルのバリエーションが必要となった場合、モデルのメーカーは全く新しいモデルを作成しなければなりませんでした。 CADソフトウェアでは、変更を行うにはマウスをクリックすればよく、新たなモデルは3DプリンターのようなCAMマシン上で必要に応じて造形することができます。 これらのプリンターにより、メーカーが容易に鋳造することができるCADモデルの樹脂試作品を造形することが可能になります。」

3Dプリンターから作成用土台を移動させるMichelle Loon 写真:Kevin Schumacher
GIAの学生部長であり、グラジュエイトジェモロジィおよびグラジュエイトジュエラープログラムの卒業生であるKimberly Overlinは、それが消費者のトレンドである「全てのものをカスタマイズ」したいという要望を可能にしたことを強調します。

「かつてはコスト高であったものが、今は手頃な価格で容易にできるようになりました、」と彼女は述べます。

「スケールメリットにはるかに効果的」であることが、もう一つの大きな利点であることをMageeは加えます。 通常3Dプリンターは一度に複数の物体を造形することができるため、製造業者は6時間から8時間の間に1個のリングしか作れなかったところを16個のリングを造形することも可能です。

アディティブ マニュファクチャリングの一つとしての3Dプリントは、「サブトラクティブ マニュファクチャリングよりもはるかに複雑な形状を作成することができるという利点も持っています。」と彼は述べます。

「空洞部分をはるかに簡単に作成することができます。 多くの3Dプリンターにおいて、作品自体の形状に限界はありません。 空洞部分に工具を入れる必要も、難しい角度からドリルを入れる必要もないのです。」

自身のデザインによる3Dプリントおよび鋳造による試作品の、ビジュアルコミュニケーションを比較するジュエリーデザイン・テクノロジーの学生。 写真撮影:Kevin Schumacher
需要のあるスキルを学生に指導

3Dプリントを用いた26週間のJDTプログラムは、GIAのカールスバッドで開講されています。さらに2016年には、GIAのニューヨークキャンパスでも開講される予定です。 デザイン、工学、ジュエリー製造コンセプトを学習する当プログラムでは、3Dプリントを含むCADソフトウェアとCAMハードウェアを用いたデザインの創作やレンダリング、プロトタイピングにおける、実践的経験を学生に指導します。

Workman、Shaun Peterson、Darla Alvarez、Doug Hall、Kelly Borrelloの講師陣が、基礎から指導を行います。

「最初は非常にシンプルなリングから始めます。」と、Mageeは言います。 「学生は非常にシンプルな形状とそれのサポート材を作成し、徐々に複雑な形状とサポート材の作成、さらに作品のプリントをします。 学生は最終的に自らの作品をデザインし、さらにプログラム終了までには、あらゆる物体を見て正常にプリントおよび鋳造するスキルを身につけることができます。

こうしたテクノロジーを受け入れる新しい市場が常に出現しています、とGIAのJMA研究、開発、生産のマネージャーであるLaurie Bailynは述べます。

「以前はこの市場にはいなかったヒューレットパッカードやAutodesk(オートデスク)といった一部の大企業は、宝飾品の3Dプリントのためのハードウェアまたはソフトウェアの開発に関心を示しています。」と彼女は言います。

Overlinも同意見です。

「3DプリントのようなCAD/CAM技術は、過去数年間の間に宝飾品業界に入ってきました。 これが業界が進んでいる方向であり、大手メーカーから零細企業まで、全ての企業が求めていることなのです。 それらを使用する技能を持つ人々の需要は格段に増えており、 卒業生に知識があればあるほど、就職にもより有利になります。」

進化し続けるデザインおよび製造市場の課題に対応し機会に直面するために、GIAの卒業生が十分なスキルを得ることをMageeは期待しています。

「ジュエリーデザイン テクノロジークラスは、我々の業界で起こっているの驚異的な変化の最前列の座席を提供します。」と彼は言います。 「最新の3Dプリンター、および最新技術を取り扱う経験を提供し、それが市場全体をどのように変化させているかを学びます。」

寄稿者の一人であるJaime Kautskyは、GIA Diamonds Graduate(ダイヤモンド グラジュエイト)およびGIA Accredited Jewelry Professional (AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)であり、The Loupe(ルーペ)誌の副編集長を務めていました。