HPHT成長法による大型の合成ダイヤモンドをGIA香港ラボが検査


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ロシアのNew Diamond Technology(ニュー・ダイヤモンド・テクノロジー)社がHPHT成長法により作製した、2つの大きな合成ダイヤモンド。 左の試料は、4.30ct、Dカラーで、クラリティはSI1。 右の試料は5.11ct、Kカラーで、クラリティはI1。 写真: Wuyi Wang
過去10年以上において、ジュエリー業界ではCVD(化学蒸着)法により成長させた合成ダイヤモンドの急速な品質の向上が見られました。 3.00ctよりもわずかに大きなサイズの無色、ほぼ無色のCVD合成石の 報告がされています。 最近GIAの香港ラボにおいて、HPHT(高圧高温)法を用いて作製された2つの大型合成ダイヤモンドの検査が行なわれ、これら2つの成長技術において類似する進歩が例証されました。 上の写真にあるサンプルは、ロシアのNew Diamond Technology(ニュー・ダイヤモンド・テクノロジー)社によって作製されました。

最初のサンプルは、クッションシェイプの4.30ct、Dカラーで、クラリティグレードは3カ所の小さな金属インクルージョンの塊が基でSI1となっています。 もうひとつは、5.11ctの隅切り長角変形ブリリアントでした。 こちらはKカラー、クラリティグレードはガードルエリアの少数の金属インクルージョンと2つの小さなフラクチャーがあるためにl1でした。 どちらも長波紫外線照射には反応を示しませんでした。 短波紫外線下では、どちらも中程度から強い黄緑色の蛍光色が見られました。 どちらの石も20秒以上持続する、強い黄緑色のリン光を示しました。 注目すべきひとつの特徴は、HPHT合成ダイヤモンドの多くに共通して見られる、結晶全体に分散されているピンポイントインクルージョンが無かったことです。

赤外領域の吸収スペクトルにより、これらはタイプ II ダイヤモンドであることが明らかであり、窒素不純物が発生する1フォノン領域(約1350〜1000 cm-1)における吸収バンドは検出されていません。 非常に弱い2800cm-1バンドは、微量の置換ホウ素に起因するものでした。 Dカラーの合成ダイヤモンドでは、より高いホウ素濃度が記録されました(1.2 ± 0.2 ppbと比較して、7 ± 1 ppb)。 様々なレーザー励起を使用した液体窒素温度で集められたフォトルミネッセンススペクトルにより、シリコン空孔点欠陥から736.6 / 736.9 nmの発光ダブレット、よく知られているニッケル関連の欠陥から882.7 / 884.4 nmのダブレットが明らかになりました。 Kカラーのサンプルのみ、NV中心(nitrogen-vacancy center)から575.0と637.0 nm の非常に弱い発光が検出されました。 金属インクルージョンの他に、HPHT合成石の鑑別で重要となる特徴は蛍光です。 複数の成長領域を示す典型的な蛍光パターンが、両方のサンプルに見られました。

これら2つのダイヤモンドは、検査に提出される際にHPHT合成石であることが開示されていました。 検査にはGIAのDiamondCheck(ダイヤモンドチェック)装置が用いられ、どちらの石もさらなる検査の必要があるとの判定が出されました。 宝石学的観察と分光特徴から、それらはHPHT合成石であることが確証されました。

これらの改良されたHPHT合成ダイヤモンドは、これまでにGIAが検査を行ってきた中で最も大きなHPHT合成ダイヤモンドであり、この成長技術における著しい進歩が例証されました。 宝石素材としての利用に加え、この大きさの結晶には多くの潜在的な産業用途が見込まれます。

Ping Yu Poon、Shun Yan Wong、Carmen Loは、GIA香港ラボのダイヤモンド鑑別スペシャリストです。