書評: Making Steampunk Jewellery(スチームパンクジュエリー作り)


書評: Making Steampunk Jewellery(スチームパンクジュエリー作り)
Nikki Druce著、ソフトカバー、128頁、イラスト入り、Crowood Press出版、マールボロ、ウィルトシャー、英国、2016年、US$29.95。

スチームパンクとは、文学のジャンルであり、サブカルチャームーブメントとなって、さらには映画、漫画、音楽、芸術、ファッションへと発展しました。起源は、蒸気で駆動する発明が最先端のテクノロジーであるという未来派をヴィクトリア朝が取り入れた時代に出版されたH.G. WellsやJules Verneの書籍に一部関連しています。「スチームパンク」という用語は、1980年代半ばに作家のK. W. Jeterによって造語されたと伝えられており、このムーブメントは1990年代初頭に人気を博しました。スチームパンクには、クロックパンク、ボイラーパンク、デコパンクなどのサブジャンルがあります。それぞれのジャンルが、異なる時代や社会階級を反映しており、関連する文学やファッションに影響を与えています。色調が暗めでゴシックのジャンル(ディーゼルパンク)や、おとぎ話に出てくるようでこの世のものとは思えないジャンル(ドリームパンク)がありますが、主流となっているスチームパンクのファッションスタイルは、レトロで未来的な装飾品とアクセサリーを取り入れたビクトリア朝時代の衣服に基づいています。ある特定のスタイルの要素はサブジャンルの多くに共通しており、ギア、歯車、ゴーグル、腕時計の部品や光線銃がその一例です。しかし、スチームパンクにはどのように着飾るべきであるかという厳しいルールはなく、なぜなら所詮ファンタジーの世界であるからです。

ロンドンを拠点とするデザイナーであり、自称スチームパンク風のジュエリーの制作者および Devine DelinquentsというオンラインショップのオーナーでもあるNikki Druceは、ジュエリー作りの初心者とスチームパンクに最近魅力を感じ始めた方のためにMaking Steampunk Jewellery(ジュエリー作り)を執筆しました。Druceは、自分の装飾品のために作品を作り始め、独学でジュエリーの作り方を学びました。趣味として始めたことが本格的なビジネスに転じたのです。その結果、彼女が制作したジュエリーやアクセサリーは高い評判を得ました。本書は、彼女の経験とスキルを紹介し、自分の作品を作る方法について読者に指導します。

この本は9つの章で構成されており、スチームパンクについての基本的な情報から始まり、ジュエリーを制作するために必要な装置や材料およびデザインのアイデアが紹介されています。各セクションでは、ネックレス、ブローチ/ピンやリング、頭部に付けるものやその他のアクセサリーなど、25種類以上のプロジェクトのカテゴリに分けられています。その中でも面白くて簡単なプロジェクトは、光線銃のネックレスです。これには、小さな水鉄砲、アクリル絵具、ジュエリーを作る材料、ギアや時計の部品が必要となります。 各プロジェクト(またはDruce曰くチュートリアル)はかなり簡単で、シンプルな作品を作るための手順が記載されています。独自の創造性を築き上げるための最初のステップとして、読者がまずチュートリアルを使用することを奨励しています。各プロジェクトの始まりには、完成した作品の写真があります。また、必要な材料やツールのリストもあり、写真が付いています。それぞれのステップにも、その工程を示す写真が付いています。プロジェクトのほとんどは女性が着用するアクセサリーですが、Druceは、「The Captain of the Airship(飛行船の船長)」と題した男性のスチームパンクプロジェクトの章を設けています。正装したスチームパンクの紳士のワードローブの定番は、シルクハットです。このセクションのプロジェクトの1つとして、帽子を様々な状況で使えるように追加できるシルクハットバンドが紹介されています。弾性のある鉢巻き、リボン、フェルト、羽根、時計の部品やギアのような装飾品を使い、シルクハットの外観を簡単に変られる様々なハットバンドを作ることができます。男性用のプロジェクトとして、シャツの胸元のあたりに取り付ける付け外し可能な装飾品のジャボも紹介されています。ジャボは布地がひだ状になっており、通常はカメオ、ビーズ、レースなどで飾られています。このプロジェクトは上級者向けですが、衣服に雅やかな雰囲気を加えます。

最後の章では、多額の費用をかけることなく、完璧に着飾る仕方についてアドバイスが提供されています。古い衣類を元の状態よりも良いものにするというアップサイクルは、お金を節約する方法の一つです。Druceは、よく使用される布地、ヘアスタイリングのヒントやコルセット、ハーネスやバッスルを使用することなど、本物のように見せる衣装の作り方も説明しています。

本の最後では、Druceは、スチームパンクに関して理解を深めるための詳しい情報およびスチームパンク関連の製品や衣類のサプライヤーのリストを提供しています。記載されているサプライヤーのほとんどは、英国を拠点にしている企業のように思われます。

この本は、非常に良く構成されており、読みやすいものです。また、イラストが本の所々で使われており、完成したアクセサリーを身に付けているスチームパンクの服装をしたモデルの写真も見られます。この本で紹介されているプロジェクトには、基本的なツールや高価でない備品が必要なだけで、高度な技術は必要とされません。スチームパンクの世界に初めて足を踏み入れるのに役立つ素晴らしい本となるでしょう。

Judy Colbertは、カリフォルニア州カールスバッドのGIAでビジュアル資料図書館のマネージャーを務めています。