作業ヒント#8:熱伝導を利用したロウ付け技術の用法
伝導ロウ付け技術
ジュエリーの製造および修理のあらゆる部分で広く使用されるはんだ付けプロセス。この2つ以上の金属を結合する作業が上手くいくと, 継ぎ目がまったく目立たなくなります。 ロウ付け工程をより深く理解することで、特定のロウ付け作業に対するアプローチの仕方をより効果的に判断することができるようになります。ロウは通常、作業する元の金属(母材)と非常に類似した金属で、母材より若干低い温度で溶融します。 ロウは接着剤のようなものとして考えると良く、加熱して2つの部分を接着します。 しかし、単純に接着剤と考えると問題につながることもあります。ロウ付け用トーチを直接ロウに向け溶融しようとすると、ロウは過熱し沸騰して酸化してしまうのです。 多くの場合、いくら熱をかけてもロウが溶融して接合部分へ入ってくれることはありません。
そこで、「熱導電を利用したロウ付け」と呼ばれる技法を用いて貴金属をロウ付けすることができます。この工程では、母材をその溶融温度に近い点まで加熱します。 その熱がロウに伝わると、「毛細管現象」と呼ばれるプロセスによってロウが接合部に流れます。これにより適切に金属が接着し、強力なロウ付けができます。
上手くロウ付けを行うために、以下の重要な手順に従ってください。
接合部を準備してください。 接合すべき2つの金属を、しっかり接触させる必要があります。 それぞれの金属が互いに完全に接触している場合に、ロウ付けが最も効果的に仕上がります。 ロウは隙間を埋めるために使用してはいけません。接合は弱くなり継ぎ目が目立ってしまいます。
トーチを直接ロウに向けてはいけません。 リングの内側から、接合部の下で炎をゆっくりと前後に動かします。 熱が上方向に伝導し、接合部が適切な温度に達すると、ロウが流れます。
「Firecoat(ファイアコート)」とフラックスを使用してください。 ファイアコートは、表面酸化を防止するためにジュエリーの表面に施す保護コーティングです。 ファイアコートを使わないでロウ付けすると多くの場合変色し(火ムラが残る)、除去するのが非常に難しい場合があります。
ロウ付けする前に、フラックスを直接接合部に塗布します。 フラックスは金属表面を化学的にクリーニングし、ロウが母材と結合できるようにします。
接合部の下側から熱を加えることでロウが流れ込み、母材(リングの腕)と結合します。 下の図はロウ付けの完了したリングで、ロウの継ぎ目は目に見えません。
接合部の準備が整ったら、上記で説明したように熱導電を利用したロウ付け技術を使用して、作業するジュエリーを加熱します。 ロウが溶けたらすぐに熱を外します。加熱しすぎるとロウが沸騰する可能性があり、小さい穴ができたり接合部が弱くなったりするからです。
練習すれば、ご自分が作業する貴金属ジュエリーに強力かつ魅力的なロウ付けを行うことができます。