エメラルド:コロンビアの埋蔵された財宝


コロンビアのCoscuez(コスケス)村の鉱山事務所で、エメラルドを手に持つ抗夫。 写真撮影:Eric Welch/GIA
コロンビアのCoscuez(コスケス)村の鉱山事務所で、抗夫はエメラルドを手に持っています。写真:Eric Welch/GIA

この鉱夫自身ほど、壮大なエメラルドに精通していて大事にする人はいません。労働の長い一日の終わりに、鉱夫はその日の獲得品を照らし、しっかりと手に持っています。

コロンビアの鉱山労働者は、世界で最も求められる、価値のある緑の宝石を発掘してきました。コロンビアのエメラルドに特有の豊かな緑は、歴史的に、地球上の他のどの産地のものよりも高く評価されています。

コロンビアの最高の宝石の「宝の地図」を図化するには、ボゴタの首都から始まります。そこから、コルディエラの山々に、約200キロ(124マイル)真北に線を描きます。そして、90°真東にアーチ線を引きます。

この四分の一の円内に、世界でも最高級のエメラルドが見つかります。何千年もそれに覆いかぶさってきた熱帯雨林、山や谷のように緑で、何世紀も探し求められている石です。この有名な色付きの宝石の産地であるMuzo(ムソ)、Coscuez(コスケス)とLa Pita(ラピタ)は北に続き、Chivor(チボル)は東へと続きます。

チボルの120キロ(75マイル)西に位置するグアタビータ湖は、真実の断片があしらわれた伝説や伝承が深く染み入った湖です。ムイスカの時代からのエルドラド(黄金の男)のいかだは、神聖な湖でのセレモニーを示しています。伝説のエルドラドはいつも砂金に覆われ、グアタビータ湖の水を浴びると言われています。

16世紀と17世紀にスペインと英国の征服者は、儀式に使われた砂金と湖に投げ込まれた貴重な宝石を夢中になって探しました。
 

エルドラドのいかだは、ボゴタのMuseo del Oro(黄金博物館)所蔵です。 写真:Robert Weldon/GIA

上記のギャラリーに見られるコロンブス以前のエメラルドと金の宝飾品は、これらの儀式で使用され、またエルドラドの金や宝石を探し求めたヨーロッパの征服者の探求に拍車をかけたエメラルド宝飾品の類いの非常によい例であると言えます。

もう1つの有名なエメラルド鉱山産地であるLa Pitaは、女王フラとその夫テナの息子の名前が付いた神話上の山、Itoco(イトコ)のある場所です。伝説によると、フラとテナの悲劇的な愛の物語で流した涙が美しい緑の石となり、地下にうずめられたと言われています。

エメラルドだけがコロンビアの緑豊かな土地に埋蔵された財宝ではありません。もっと稀ではありますが、ルビー、サファイア、ダイヤモンドも見つかっています。コロンビアの土地奥深くから見つかる財宝、ルビーの赤、サファイアのブルー、ダイヤモンドのイエローなど、宝石の虹の色に目を楽しませてください。

 

Sharon Bohannon、研究、カタログ化、記録写真撮影を行うメディア編集者。GIA GGおよびGIA AJP。Richard T. Liddicoat 宝石学図書館情報センターに勤務しています。