合成ダイヤモンド:品質の向上と鑑別の課題


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Gemesis(ジェメシス社)が製造したCVD合成ダイヤモンド。0.39ctの ラウンドブリリアント(左)は、カラーF、クラリティVVS2、また、0.83ctのサンプル(右)は、カラーJ、クラリティVVS2とグレーディングされた。画像提供 © GIA

化学蒸着 (CVD)によって生成された無色の合成ダイヤモンドは、市場でより一般的になりつつあります。CVD法で生成された石は、地質学的な力によって生まれた天然ダイヤモンドとは大きく異なっています。それはまた、1950年代半ばより生産されている高圧高温(HPHT)合成ダイヤモンドとも大きく異なっています。
 
CVD合成ダイヤモンドは、10年ほど前に宝石ダイヤモンド市場に登場し始めました。生成過程では、メタンなどのガスを真空チャンバ内に注入し、マイクロ波でガスの分子を活性化および分解します。これにより、雪が降り積もるように、基板(通常はHPHT合成石の平らなダ​​イヤモンド種結晶を含む小さな台)上に炭素原子が蓄積していきます。
 
1954年にゼネラル・エレクトリック社が最初に成功したダイヤモンドの成長に使用したHPHT法は、基本的に自然のプロセス-地中深くの強烈な熱と圧力によって炭素がダイヤモンドとして結晶化する-を模倣しています。必要とされるエネルギーや設備を考えるとHPHT法は非常に高価であり、また主に黄色や茶色がかった黄色のダイヤモンドを生成します。
 
CVD法は中程度の温度および低い圧力で動作するため、より小型で安価な装置ですみ、はるかに低コストで済みます。また真空チャンバには炭素といくらかの水素しか含まれていないため、無色の結晶を成長させることができます。窒素又はホウ素をチャンバ内に入れると、黄色または青色の合成ダイヤモンドができます。
 
CVDダイヤモンドの考案者は当初、迅速かつ安価にダイヤモンドを生成することができるだろうと思っていました。しかし、品質は一定でなく、出来上がった石に典型的な茶色は好ましくないものであったので、その期待は外れてしまいました。
 
過去10年間でCVDの生産者は、成長チャンバ内のガスを変えて種結晶として純粋なタイプ II合成ダイヤモンドを使用することで、出来上がる合成ダイヤモンドのカラーを改善し、成長速度を速めることができることを発見しました。多くの初期のCVD合成ダイヤモンドは茶色がかっていたことから、この素材を高温高圧で処理することで茶色を取り除いて無色にすることができることも生産者は発見しました。この処理工程により特徴的な要素の一部は隠されてしまうので、これらの合成ダイヤモンドの鑑別がより困難になりました。
 
フロリダ州サラソタのGemesis(ジェメシス社)は、HPHT法で初期の合成ダイヤモンドを製造していましたが、2012年3月に無色のCVD合成ダイヤモンドの販売を開始しました。また、CVD合成ダイヤモンドを販売する会社は他にもいくつかあります。
 
GIAの研究者は、ジェメシス社から16個のCVDダイヤモンドを購入しました。そのうちの15個は、0.24〜0.86カラットのラウンドブリリアントにカットされました。大半は、GIA 4CスケールでF〜Gという非常に高品質のカラーでした。I〜Jも3つありました。最大の0.90カラットのものは、長方形のカットで、わずかに黄色を示したことから、カラーグレードはLでした。
 
GIAの研究開発ディレクターの Wuyi Wang博士が率いる研究チームは、これらの合成ダイヤモンドに対して様々な検査を行いました。この検査には、CVD法によって製造されたサンプルの証拠となる「特徴」を得るための高度なスペクトル分析も含まれていました。高度な計測機器を使用して、ダイヤモンドのスペクトル特徴を読み取りその組成を分析したり、天然か研究室で作られたものかという起源を判定したりすることができます。GIAの研究者はまた、グレイニングのパターンや紫外線蛍光反応など、他の合成ダイヤモンドの診断方法として知られている特徴のチェックを含む、標準的な宝石検査も実施しました。ダイヤモンドには木目のようなグレインが結晶化の過程で生まれます。しかし自然界と研究室では成長が異なるため、合成ダイヤモンドのグレインのパターンは天然のものと異なります。
 
GIAの検査によって、無色からほぼ無色のCVDダイヤモンドの品質は、それらが市場に出てから10年間で大幅に改善されたことが分かりました。過去のCVD合成石は、天然ダイヤモンドには見られないグレイニングパターンだけでなく、特徴的な蛍光反応を示しました。今回のサンプルは、天然ダイヤモンドからそのような石を識別するには高度な分光技術が必要であることを示しました。加えて、これらの合成石は、その証拠となる例えばグレイニングなどの特徴を取り除いたり隠したりするために、高温処理が行われていることが明らかでした。処理後のグレイニングは非常に見えにくくなります。
 
従来の手段によってこれらの石を見分けることは困難であるものの、GIAの研究者は固有の分光特徴を発見しました。合成ダイヤモンドを検出するために宝石学ラボで使用されるDiamondView™という最新の機器で、フォトルミネッセンスや紫外線蛍光反応を測定することで、その特徴は発見されたのです。
 
GIAは引き続き合成ダイヤモンドの研究を最優先課題とし、これらの研究室で生成された石を鑑別し最新の開発状況を報告できるようにしていきます。