ダイヤモンド:雑学


ボツワナ産のダイヤモンド原石とカットダイヤモンド

4月の誕生石。 地球上で最も硬い天然物質。 そして何十億年も昔から存在している。

ダイヤモンドは豊かな歴史と知識に包まれています。 人々に愛されるこの宝石はきらびやかかつ魅惑的で見る人の息を呑ませ、また神秘的でもあります。 そしてここに記載されたダイヤモンドに関する雑学を読んだ後には、あなたにとって興味深い石にもなるでしょう。

ご存知でしたか?

  • ダイヤモンドは、紀元前300年のインドで宝石に彫刻を施すために使用されていました。
  • ダイヤモンドは燃焼することがあります。 ダイヤモンドを燃やすには、華氏1290~1650度(摂氏700~900度)で加熱する必要があります。 住宅火災や職人の用いるバーナーなどによりこの温度に達することがあります。
  • 一般的にジュエリーに使われるのはDからZのカラーのダイヤモンドですが、ダイヤモンドにはあらゆる色のものがあります。 天然ダイヤモンドの場合、最も希少なのはブルー、グリーン、オレンジ、レッドダイヤモンドです。一方、最も一般的なのはイエローとブラウンダイヤモンドです。
  • ダイヤモンドの重量はカラット(carat)で表します(ニンジンのキャロットや、金の含有比率を表すカラット karatではありませんよ)。 カラットという言葉の語源は、carob(イナゴマメ)の木を意味するギリシア語のkeration(ケラション)です。イナゴマメの種は、何世紀もの間、宝石の重さを量るために使われてきました。 種はそれぞれ重さが微妙に違うため、1913年にカラットを測定単位とすることとしました。1メトリックカラットは0.2グラム(0.007オンス)に相当します。
  • 歴史上最大のダイヤモンド原石は、1905年に発見された、なんと3,106カラット(ct)もするCullinan(カリナン)ダイヤモンドです。
ファンシーカラーダイヤモンド
提供:Alan BronsteinおよびAurora Gems(オーロラ・ジェムス) 写真:Robert Weldon/GIA

ダイヤモンドはどこから来るのか?

  • ダイヤモンドは、地下約145~193メートルの深さでのとてつもない圧力と華氏1652~2372度(摂氏900~1300度)の高温により、何十億年も前に形成されました。
  • ダイヤモンド結晶は火山活動によって地球表面近くまで運ばれます。
  • ダイヤモンドは、地質学的な活動や河川により結晶がキンバーライトパイプから運ばれ堆積する、浅い漂砂鉱床で見つかります。
  • 世界で採鉱されるダイヤモンドのうち、宝石品質を持つものは約30%です。
  • 18世紀以前は、ダイヤモンドのほとんどはインドから採鉱されていました。
  • 初めて南米でダイヤモンドが発見されたのは1725年でした。 この発見はインドでの産出がちょうど先細りしていた頃に、ブラジルのミナスジェライスで起こりました。
  • 1840年代にはダイヤモンドが北米で発見されましたが、すぐに1860年代後期~1870年代初期のアフリカでのダイヤモンドの発見とそれに続くグレートダイヤモンドラッシュがこれを上回るようになりました。
  • 2014年の時点では、量と価格において最も多くのダイヤモンドを産出しているのはロシアです。
  • 1988年後半に操業を開始したエカティ鉱山を始めとしたカナダの鉱山により、量においては世界の総ダイヤモンド生産の約10%を北米が産出しています。
  • アメリカは商業用のダイヤモンドをほとんど産出しないにも関わらず、世界の宝石品質のダイヤモンドの40%以上を購入しているため、世界最大のダイヤモンド市場となっています。

さて、これでダイヤモンドの雑学と、ダイヤモンドがどこから来るかが分かりましたね。それでは、世界で最も有名なダイヤモンドのいくつかを見ていきましょう。

Hope(ホープ)ダイヤモンド

提供:Chip Clark、Smithsonian Institution(スミソニアン国立自然史博物館) http://geogallery.si.edu/
提供:Chip Clark、Smithsonian Institution(スミソニアン国立自然史博物館) http://geogallery.si.edu/
  • クッション・ブリリアントカットが施されたファンシー・ダークグレイッシュ・ブルー・ダイヤモンドのHope(ホープ)ダイヤモンドは、現在の45.52ctへカットされる前には 元々112ctでした。
  • Hope(ホープ)ダイヤモンドは呪われていると言われています。 その所有者の1人であるエヴァリン・マクリーンは、それが自分の幸運のお守りであると信じていましたが、実際の彼女の人生は幸運とは程遠いものでした。宝石を所有して以後、幼い息子を交通事故で亡くし、夫は彼女と離婚した後に発狂して死に、娘は自殺したのです。
  • おそらく世界で最も伝説的な宝石であるHope(ホープ)ダイヤモンドは、1958年11月に、現在の所有者であるSmithsonian Institution(スミソニアン学術協会)に届きました。書留ではありましたが、なんと郵便で配達されたのです!

Uncle Sam(アンクルサム)ダイヤモンド

The Uncle Sam Diamond
 
  • 1924年に発見されたUncle Sam(アンクルサム)ダイヤモンドは、これまでに米国で発見された最大のダイヤモンドです。
  • 世界で唯一、一般に公開されているダイヤモンド鉱山で発見されました。 アーカンソー州のダイヤモンド クレーター州立公園は、観光客や鉱石収集家のための有料採掘場となっています。
  • 1906年以来、40.23ctのUncle Sam(アンクルサム)ダイヤモンドを含め、7万個以上のダイヤモンドがそこで発見されています。

2015年には、Uncle Sam(アンクルサム)ダイヤモンドが発見されたのと同じ公園で、訪問客が8.52ctの ダイヤモンドを見つけました。

Cullinan(カリナン)ダイヤモンド

写真: Peter Macdiarmid/Getty Images(ゲッティイメージズ)
写真: Peter Macdiarmid/Getty Images(ゲッティイメージズ)
  • 1905年に南アフリカで発見された歴史的ダイヤモンドであるCullinan(カリナン)ダイヤモンドは、驚異的な3,106.75ctもの重量がありました。 これは並外れたカラーとクラリティを持つ、105個ものダイヤモンドへとカットされました。
  • カリナン1世とも呼ばれるGreat Star of Africa(グレート・スター・オブ・アフリカ)は530.2ctの重量を誇り、 カリナン2世、Lesser Star of Africa(レッサー・スター・オブ・アフリカ)は317.4ctの重量があります。 これら2つのダイヤモンドは、英国の戴冠宝器の一部です。
  • カリナン3世から9世、そしてCullinan(カリナン)ダイヤモンドからカットされた他96個のダイヤモンドは個人コレクションで保管されています。
  • 最も大きい2つの石は、英国の王室戴冠宝器にはめ込まれており、他に8つの石がエリザベス女王2世のコレクションにあります。

Wittelsbach-Graff (ヴィッテルスバッハ グラフ)ダイヤモンド

写真:Robert Weldon/GIA
写真:Robert Weldon/GIA
  • 31.06ctの Wittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ・グラフ)は、カットが施された最大の歴史的ブルーダイヤモンドの1つです。
  • ブルーダイヤモンドは非常に希少です。 たいていの場合、ホウ素不純物の存在が天然ブルーダイヤモンドの色を作り出します。 しかし、放射線暴露あるいは水素の影響によりその色が生じることもあります。 放射線にさらされたことで作られた天然のブルーダイヤモンドの色は一般的にグリーンブルーと呼ばれ、水素の影響で生じた色はグレーバイオレットからグレーブルーとされます。
  • Wittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ・グラフ)ダイヤモンドは、ヴィッテルスバッハのバイエルン家に属し、1931年に紛失されるまで、ミュンヘンレジデンスの宝庫に展示されていました。 この宝石は密かに1951年に売却され、1961年に「再発見」されてから、未公表の民間のバイヤーに1964年に再び売却されました。
  • 当時ヴィッテルスバッハ・ブルーと呼ばれていたWittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ・グラフ)は、2008年12月にクリスティーズ・ロンドンで2,430万ドルを少し上回る価格で、宝石商のLawrence Graff氏に売却されました。
  • この石はIFクラリティを持つ、ファンシーディープブルーとグレードされています。
  • Wittelsbach-Graff(ヴィッテルスバッハ・グラフ)ダイヤモンドとHope(ホープ)ダイヤモンドは、同じような色と長く続くリン光があり、また両方ともインドで採鉱されたと考えられているため、同一の結晶から切り出されたという憶測が広まってきました。 しかし、本当にそうでしょうか? Gems & Gemology(宝石と宝石学)の2010年夏号のリサーチでは、2つのダイヤモンドの起源は別であると発表されています。

詳細が気になりますか? GIA宝石百科事典のダイヤモンドの項目で、この人々に愛される宝石にまつわる歴史や言い伝え、科学的な研究結果をご覧ください。