エメラルドの歴史と伝承


Placeholder Alt Text
この75.47カラットのHooker(フッカー)エメラルドは、オスマン帝国最後のスルタンであったアブドゥル·ハミド2世が着用したもの。 - Chip Clark、提供:Smithsonian Institution, National Museum of Natural History(スミソニアン国立自然史博物館)
エメラルドの豊かな緑色は、古代より、人々の魂を癒し想像力を掻き立ててきました。 その名は、緑色を表す古代ギリシャの言葉「smaragdus」に由来します。ローマの大プリニウスは紀元1世紀に完成した著書Natural History(「博物誌」)のなかでエメラルドについて、「···この緑色以上に緑色のものはない」と書き記しました。 また彼は、初期の宝石職人が、「エメラルドを見ること以上に目の回復に良い方法はない。その柔らかなグリーンが疲労や倦怠感を和らげ取り除いてくれるのだ。」というふうにしてエメラルドを利用していたことを記述しました。現代でもなお、緑はストレスや目の疲れを癒す色として知られています。

トルマリンやペリドットのように緑色の宝石は他にもありますが、エメラルドは常に瑞々しい風景や豊かな緑を思い出させるものです。 アイルランドは別名エメラルド島と呼ばれます。 米国のワシントン州シアトルは、エメラルドの都とも呼ばれます。 タイの最も神聖な宗教的象徴は、グリーンジェダイトの彫刻であるにもかかわらず、エメラルド仏と呼ばれています。

エメラルド鉱山として最も始めに知られたものはエジプトにいくつかあり、少なくとも紀元前330から古くは紀元前1700年代にさかのぼります。 クレオパトラはそのエメラルドへの情熱で有名で、装飾品としてこれを使いました。

16世紀スペインの探検家が新世界を侵略した際に略奪されたものの中に、現在コロンビアとされている地域で産出されたエメラルドがありました。 インカ 族は、既に500年もの間、ジュエリーや宗教儀式にエメラルドを使用していました。 また金と銀に対して宝石よりもはるかに価値を置いていたスペイン人は、エメラルドを貴金属に交換しました。 こうした取引により、欧州やアジアの王族たちはエメラルドの壮麗さに目を向けるようになりました。

エメラルドはベリル族の中で最も有名な種類です。 伝説では、着用者がエメラルドを舌の下に置くと未来を予見するだけでなく、真実を明らかにし、悪の呪文から身を守ることができるという言い伝えが残っています。 またかつては、エメラルドがコレラやマラリアのような病気を治癒するとも信じられていました。 エメラルドを身に着けていると、恋人の誓いの真偽を明らかにしたり、あるいは雄弁になるとも考えられていました。

エメラルドはさらに、神がソロモン王に与えた4つの貴重な石の一つであったと言う伝説があります。 これらの4つの石は、すべての創造物に対する支配力を持つ王が授かるものと言われました。

エメラルドの色は新春の緑の繁栄を表し、その色から5月の誕生石に最適な選択肢となっています。 また、結婚20周年及び35周年(日本では55周年)記念の宝石でもあります。