ルビーの品質を決定する要因


11.01カラットルビー
ミャンマー(旧ビルマ)より産出されたこの11.01カラットの石のような上質な色と大きさがあり見た目に透明(目に見えるインクルージョンがない)なルビーは、非常に稀少かつ貴重である。– 写真撮影:Robert Weldon/GIA。提供: Jan Goodman Co

ルビーにはすべてのカラー ストーンの中で最高の価格がつけられることがあります。  上質なルビーのカラット単価は一貫して上昇しており、オークションの記録を何度も更新してきました。

より優れた品質のルビーでは、わずかなカラーの違いが価値に大きな違いをもたらします。また、上質な色のルビーで肉眼で見えるインクルージョンがない場合は価格がさらに上昇します。

ルビーのカラット単価も、特により優れた品質のものでは、サイズが大きくなるほど大幅に上昇します。

ルビーの色


未処理および加熱処理されたルビー
これらの未処理のルビーと加熱処理されたルビーは、暗めの赤から明るい赤までの色の範囲を示している。写真:Robert Weldon/GIA。提供: Tommy Wu、Shire Trading Ltd.(シャイアー トレーディング株式会社)、香港

カラーはルビーの価値に影響を与える最も重要な要因です。最高級のルビーの色は、純粋で鮮やかな赤からわずかに紫がかった赤までの範囲です。ほとんどの市場では、純粋な赤い色のルビーに最高価格が付けられ、オレンジやパープルのオーバートーンを持つルビーは価値が下がります。最高品質とみなされるには、色が暗すぎたり明るすぎてもいけません。色が暗すぎると、石の明るさに悪影響を及ぼします。反対に色があまりにも明るいと、色の強度が高くてもその石はピンク サファイアであると判断される場合があります。とはいえ、ルビーよりもはるかに購入しやすい価格であるピンク サファイアを好む宝石愛好家は後を絶ちません。最終的には、ルビーの最も望ましい色はあなたが最も好む色です。

ピンク サファイアとルビーの違い

宝石ディーラーの間では、ルビーとピンク サファイアの境界についてさまざまな意見があります。歴史的には、ルビーという言葉は赤の色合いを表し、厳密に言えばピンクも含まれていました。また、ピンク サファイアとルビーに対する解釈には、文化による違いがあります。スリランカのような宝石の原産国では、ピンクは常にルビーとみなしていますが、多くの消費国ではこれをピンク サファイアと分類しています。

GIAラボラトリーは、コルンダムがルビーであるかどうかを判断するためにマスターストーンと呼ばれる比較用の石のセットを使用します。ラボラトリーでは、石がルビーであるといえる前に赤が必ずドミナント カラーであるという原理に基づき、マスターストーンをグレーディングしています。しかし宝石業界では、ドミナント カラーの判定は個人の感性に委ねられています。

ビルマ産ピジョン ブラッド ルビー

 歴史的には、「ピジョン ブラッド(ハトの血)」という言葉は、落ち着きがあり、燃えるように輝く、赤い蛍光色を放つ、赤からわずかに紫がかったまたはピンクがかった赤のルビーを表現していました。

このような従来の表現は、専門家がイメージを思い浮かばせて、色に関して説明するのに役立ちます。しかしこれらの表現は、ルビーの実際の色を説明するのに使われると誤解を招くことがあります。

長年にわたる慣習から、ある取引用語が石の原産地に関連付けられた特定の色や品質を連想させることがあります。しかし、その品質はその原産地に典型的に見られる場合もあれば、その原産地における最高級の石の代表的なものである場合もあります。

一つの原産地から色と品質がすべて同じ宝石が一貫して産出されるということはあり得ません。実際にはこのような記述的な用語は、その原産地から採掘される石の割合のわずかな部分のみを表わしているだけかもしれません。 

新しい原産地からは、以前からある産地と非常に類似したルビーが産出されることもあれば、わずかに異なる外観のものが産出されることもありますが、いずれにしても同じように美しいルビーが採鉱されます。 

ルビーのクラリティ

シルク
鉱物のルチルが交差しているニードルは、ルビーによく見られるインクルージョンで、シルクと呼ばれる。シルクが完全な状態である場合、ルビーが高温での加熱処理がされていない証となる。ただし、低温の加熱処理が施された可能性は否定できない。写真:John I. Koivula、GIA。

インクルージョンが全くないルビーは実際には存在しないため、業界の人々はルビーには少なくともある程度のインクルージョンがあると想定しています。ルビーの価値は、インクルージョンが見える程度によって異なります。肉眼で明らかに見えるインクルージョンや、透明度や輝きが損なわれるようなインクルージョンは、ルビーの価値を大幅に下げてしまいます。
 
大きく目立つインクルージョンがテーブル ファセットの下にある場合、透明度、ブリリアンス、石の価値が多大に低下します。また、インクルージョンはルビーの耐久性に影響を与える可能性もあります。表面に達する顕著なフラクチャーは耐久性を脅かします。

典型的なルビーのクラリティ特徴には、ニードルと呼ばれる細い鉱物インクルージョンがあります。鉱物がルチルで、ニードルが互いに交差するグループになっている場合、それをシルクを呼びます。ニードルには短いものや細長いものがあり、それらがしっかりと一緒に織り込まれているように見える場合があります。

ルビーは他の鉱物のニードルや、小さな結晶、カラーゾーニング、または、指紋のようなインクルージョン(フィンガープリント)を含んでいることもあります。

インクルージョンの中には、宝石の外観に実際にプラスの影響を与えるものもあります。ルチルのシルクは、暗すぎてしまうであろうファセット全体に光を散乱させます。このため色に柔らかさが加わり、ルビーのクラウン全体にわたり色がより均一に広がります。

また、交差するニードルは、石の上部を湾曲してカット(カボション カットと呼ばれる)すると、アステリズム(星彩効果)と呼ばれるスター効果を生じることがあります。


スター効果
カボションカットされた石は、交差する長い鉱物の内包物によりスター効果を生み出すことができる。- 写真撮影:Robert Weldon/GIA。提供:Hussain Rezayee、Rare Gems & Minerals(レア ジェムズ&ミネラルズ)

ルビーのカット


ルビーの様々なカット
通常、ルビーはオーバルやクッション シェイプにカットされる。– 写真撮影:Robert Weldon/GIA。原石:William F. Larsonより寄贈。カット石の提供:Edward Boehm。

市場に流通しているルビーのカットやプロポーションに影響を与える要因はいくつかあります。ルビーの結晶の形状によって、どのカットが適しているかが決定します。最も一般的な形状は平らな板状の六角形ですが、いくつかの原産地からのルビー結晶には細長いものもあります。

これらの結晶の形に対応するために、最も一般的なルビーのカット形状はオーバルやクッションで、カイト シェイプとトライアングル ファセットを組み合わせたブリリアント カット クラウンと、長方形またはスクエアのファセットが中心から並んだステップ カットのパビリオンがあるものです。

ラウンド、トライアングル、エメラルド カット、ペア シェイプ、そしてマーキスのルビーもあります。しかし、これらの形は大きなサイズと高い品質のものでは稀少とされています。

ルビーの原石は非常に高価なので、カット職人はできるだけ歩留まりを良くしようとします。このためカット職人は、平らなルビー原石の場合、平らなパビリオンから光が逃げウィンドウと呼ばれる望ましくないシースルーの部分ができるにもかかわらず、浅い石に仕立てることがあります。

結晶の方向によって見える色が異なる多色性も、カットに影響を与えるもうひとつの要因です。ルビーの多色性は一般的に、結晶の一方向から見える赤から紫がかった赤と、別の方向から見えるオレンジがかった赤として現れます。カット職人は、テーブル ファセットを結晶の長手方向に垂直に配置することで、オレンジがかった赤色を最小限に抑えることができます。ただし、重量の損失が大きすぎる可能性のある場合は、理想的なカラーが得られるようにルビーの向きを決定することができるとは限りません。

ルビーのサイズと重量

ミャンマー産ルビー
これらのルビーはすべてミャンマー(旧ビルマ)で採鉱された。ファセット カットされた石は11.55カラット、原石は16.65カラットから278.50カラットである。写真撮影:Robert E. Kane/GIA。

1カラットを超える上質なルビーは非常に稀少ですが、大量生産品質のルビーは、幅広いサイズで通常入手することができます。ルビーのカラット単価は、サイズが大きくなるほど大幅に上昇します。