チタンコーティングされたタンザナイト


これら5つのタンザナイトのサンプル(0.39から0.82カラット)は、チタンでカラーコーティングされていることが判明した。 写真:Don Mengason
これら5つのタンザナイトの試料(0.39~0.82カラット)は、チタンでカラーコーティングされていることが判明した。 写真提供:Don Mengason(ドン メンガソン)。
0.39~0.82カラットの、ファセットカットされた5つの帯紫青色石(図1)が、最近、鑑別サービスのためにカールスバッドラボに送られてきました。 標準的な宝石学検査によると、5つの試料はすべて、屈折率1.689-1.70を示しました。 偏光検査では、各試料は中程度の多色性を示しました。 静水法を用いて測定した比重は3.37でした。 これらの特性は、タンザナイトと一致しました。

反射光で検査したパビリオンファセットのこの上部は、下部のコーティングされていない部分よりもはるかに高い光沢を示している。 顕微鏡写真:Nathan Renfro ;視野1.22ミリメートル。
図 2. 反射光で観察したこのパビリオンファセットの上部は、下部のコーティングされていない部分よりもはるかに高い光沢を示す。 顕微鏡写真提供:Nathan Renfro(ネイサン レンフロ);視野1.22mm。
顕微鏡検査によると、インクルージョンは比較的少ないのですが、パビリオンファセットの端に沿って摩耗された領域(アブレージョン)が見られました。 反射光を用いて観察すると、それぞれの石のパビリオンは、クラウンよりもはるかに高い光沢を示しました。 カラーコーティングが均一でないため、ファセットごとに光沢の違いが見られることもありました(図 2)。 サンプルを拡散透過光を用いて検査したところ、ファセットの境界部といくつかの欠けた箇所にははるかに彩度の低い色が観察され、これはカラーコーティングと判明しました( 図 3)。

下:拡散処理が、ガードルとファセットの接合部分に沿った色の濃度ではっきりと確認できます。 ネイサンレンフロによる顕微鏡写真。視野2.90ミリメートル。
図 3. このタンザナイトのパビリオン部分のコーティングは、ファセット境界部やいくつかの小さな欠けた箇所に沿って摩耗しており、その下にあるタンザナイトのより彩度の低い紫色があらわになっている。 顕微鏡写真提供:Nathan Renfro(ネイサン レンフロ);視野2.90mm。
コバルトコーティングを施されたタンザナイトが 以前に報告されているので、通常、ラボに提出されたすべてのタンザナイトは、エネルギー分散型蛍光X線(EDXRF)及び顕微鏡検査によって検査されます。 これらの5つの石もEDXRFによって検査しましたが、コバルトは検出されませんでした。しかし、5つの試料すべてがパビリオンにチタンがあることを明らかに示しました。 クラウンにはチタンは検出されませんでした。 また、コーティングされた箇所が相当量のチタンを含有することを確認するために、LA-ICP-MSも使用しました。

タンザナイトで色のエンハンスメントをするコーティングは、GIAのラボで時々見られますが、チタンでカラーコーティングされたタンザナイトを検査したのはこれが初めてでした。

Amy Cooper(エイミー クーパー)はカリフォルニア州カールスバッドにあるGIAのラボのスタッフ ジェモロジスト、Nathan Renfro(ネイサン レンフロ)は宝石鑑別の主任分析専門家です。