需要が低下していた秋以降の回復の一方で、残された課題


需要は不振だった秋以降は改善の見通し

昨年秋の低迷後、米国でのダイヤモンドや宝石の需要が、部分的には持ち直しているようです。 米国 商務省は、1月のジュエリー販売が2012年同月比で14.7%増加したと報告しました。 また、宝石価格が平均して約3%低下したという事はさらなる励みとなります。 米国経済は株式市場の高騰、(緩やかながらも)成長している雇用市場、住宅市場の復活に支えられています。

アジアでは、先日のHong Kong Watch and Jewellery Show (香港 時計&ジュエリーショー)では、特にダイヤモンドの需要が予想を上回りました。 中国では需要の伸びは緩慢であるものの、日本でのダイヤモンドの需要は改善しており、両国の多くの小売業者では在庫不足となっています。

アジア最大の小売業者である周大福は、年度最初の2ヶ月の同一店舗での販売量が3%、収益にして2%減少したと報告し、香港とマカオでは販売は堅調な伸びを示しているものの、中国本土では販売ペースが緩やかになり続けていることを伝えました。

ダイヤモンド業者全般では、市場のどのような改善も歓迎されるでしょう。 総括すると、2012年は厳しい年でした。原石価格は2011年比で平均12%減少し、ダイヤモンド市場は高い在庫量や信用収縮と主要消費者市場での需要の伸び悩みに悩まされました。

原石と研磨されたダイヤモンド価格は安定しているように見えますが、ダイヤモンド鉱山会社のジレンマは、与信枠と在庫を削減しながらも収益を向上させるという業界の目標にどう対応するかです。

いくつかの鉱山会社は2012年に損失を計上し、Rio Tinto(リオ ティント)、De Beers(デビアス)、Alrosa(アルローサ)を含む他の会社は、非常にコストのかかる開発再事業を展開中です。 De Beers(デビアス)の原石ダイヤモンドの売上高は昨年16%下落し、鉱山産出も大幅に減少しました。

カナダのEkati(エカティ)鉱山への出資分を売却したBHP Billiton(BHP ビリトン)は、エカティでの産出が3分の1以上減少したためダイヤモンドの収益が44%減少したことを報告しました。 Rio Tinto(リオ ティント)の売上高はほぼ横ばいでしたが、Argyle(アーガイル)での坑内操業により2012年度のダイヤモンド事業は4300万ドル(約43億円)の損失となりました。

カラーストーンの大手メーカーであるGemfields plc((株)ジェムフィールズ)は、2012年12月31日までの6ヶ月間の売上高は、2011年と同期比で、2770万ドル(約27億円)となり39%下落したことを報告し、次年度の改善を目指しています。 同社は同期間中に、エメラルドオークションを一度だけ実施し、1カラットあたり29.71ドル(約2900円)で合計93万カラットを販売したことを伝えました。 また、ザンビアでKagem(カゲム)鉱山を運営する同社は、映画スターのMila Kunisを起用した新しいマーケティングプログラムを開始し、今年はより多くのオークションを開催することを発表しました。