記者発表

GIA、サファイアの珍しいカラー チェンジを観察


Unstable-Sapphire
GIAラボラトリーに提出されたパパラチャ サファイア(3.54 ct)は、カラーの安定性検査の間にオレンジの色味が増した。暗い場所に長時間放置すると、石の色はオレンジが弱まったり、純粋なピンクになったりすることがある。このサファイアを強力なLEDライトにさらす事でも同じ事が起こる。この石は、安定性試験後のピンク オレンジの色が許容範囲内であるため、パパラチャ サファイアとして分類される。写真撮影:Diego Sanchez。

サファイアのカラーの安定性試験の間に観察された色の強まり

カリフォルニア州カールスバッド– 2022年12月13日 – ピンク サファイアについて通常業務としているカラーの安定性検査において、珍しいことにオレンジまたはイエローの色味が増し、パパラチャのような色、さらには純粋なオレンジになったことをGIAの専門家が観察しました。

サファイアのカラーは不安定なことがあるため、GIAは、パパラチャ カラーとして分類されているものも含め、数時間にわたって強力な白熱灯にさらして安定性を日常的に検査しています。この検査により、不安定なオレンジの色の成分は褪せて、石がピンク色に戻ります。最近観察された検査では、一部のサファイアがカラーの安定性検査に反応を示し、オレンジまたはイエローの色が増しました。ピンク サファイアでは、パパラチャ カラーまたは純粋なオレンジに変化するものもあります。

この手のカラー チェンジの反応は、このカラー チェンジを示すサファイアのカラーの判定および報告について重要な疑問を提起します。GIAの実験では、カラーの安定性検査後に観察された色は、日光にさらされた後に観察される色(例えばジュエリーにセットされており頻繁に着用した場合)と非常によく似ています。この反応、および、一貫性があり利用しやすい規準の必要性を考慮し、白熱灯を使用した安定性検査後のカラーが、これらのサファイアのレポートにGIAが記載するカラーとなります。この規準は、検査中にサファイアのカラーにおいて、イエローまたはオレンジが少なくなるか増すかに関係なく、適用されます。

この重要な問題に関するGIAの初期の観察および研究は、GIAの宝石鑑別士であるAaron C. Palke博士、Shane F. McClure、Nathan R. RenfroによるGIAラボ ノート「An Update on Sapphires with Unstable Color(色が不安定なサファイアの最新情報)」で最近発表されました。この問題に関してGIAが行った研究の全ての結果は、GIAの季刊専門誌「Gems & Gemology(宝石と宝石学)」に今後掲載される予定です。

「Gems & Gemology(宝石と宝石学)」の最新号および既刊号はすべてGIA.edu で入手できます。


GIAについて

1931年設立の独立非営利組織であるGIA(Gemological Institute of America)は、宝石学における世界有数の権威として認められています。GIAはカラー、クラリティ、カット、カラット ウェイトからなる有名な4Cを考案し、さらに1953年にはダイヤモンドの品質の基準として世界中で認知されているインターナショナル ダイヤモンド グレーディング システム™を開発しました。
 
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