記者発表

大型で稀少なダイヤモンドが、地球のマントルの内部の仕組みの謎を解く


ご厚意:Gem Diamonds Ltd.(ジェムダイヤモンズ社) 写真:Robert Weldon; © GIA
レソトにあるレツェング鉱山で産出された未カットのタイプIIaの大型ダイヤモンド。

サイエンス誌に掲載された、GIA博士研究員が率いる画期的な研究

ニューヨーク – 2016年12月15日 –GIAの博士研究員Evan Smithが率いる画期的な研究では、並外れた大きさと品質のダイヤモンドを検査し、地球の地質学に関する謎を解明しています。 研究者たちは、大陸プレート下部に潜んでいるため手が届かず観察することができない地球のマントル深部の理解を深めるため、Cullinan(カリナン)やConstellation(コンステレーション)、Koh-i-Noor(コ・イ・ヌール)のような有名な石に似た特性を持つダイヤモンド独特の特性を研究しました。 この研究は、サイエンス 誌の最新号に掲載されています。 

「カリナンやLesotho Promise(レソトプロミス)のような世界最大で最も価値のあるダイヤモンドのいくつかは、他の一般的なダイヤモンドとは一線を画すような物理学的特徴を示します。 しかし、これらのダイヤモンドがどのように形成され、これらから地球に関して我々がどのようなことを学べるかは今まで謎のままでした」とGIA研究開発のディレクターおよびこの研究の著者、Wuyi Wang博士が説明します。

カリナンのような大型の宝石質のダイヤモンドは、他の種類のダイヤモンドとは異なる物理学的特徴を有しています。 新しい研究によると、カリナンのようなこれらの宝石には小さな金属様のインクルージョンつまり内部特性が時折その中に閉じ込められていることが発見されています。 こうした金属インクルージョンは、わずかな液体のメタンや水素と共存しています。 金属インクルージョンに加えて、これらの例外的なダイヤモンドのなかには、ダイヤモンドがおそらく対流マントルで360〜750キロ(約224〜466マイル)内という非常に深い場所で形成されたことを示す鉱物インクルージョンを含むものもあります。 これは、他の多くの宝石質のダイヤモンドが成長する深さ150-200キロ(およそ93–124マイル)の大陸プレート下部よりもさらに深いところです。 

「このような大型のタイプIIaのダイヤモンドに関する新しい解釈によって、ダイヤモンド形成の研究における重要な謎の一つ、つまりどのように最も価値がある世界最大のダイヤモンドができたのかが解明されました」とSmithは語ります。 「ただし、その物語をもたらしてくれるのは、インクルージョンの組成です。」

金属インクルージョンは、鉄、ニッケル、炭素、硫黄の混合物が固まったものであり、金属相とそれを包み込むダイヤモンドの間の薄く小さな空間にわずかな液体のメタンや水素を含んでいます。 純粋な炭素が地球のマントル深部で溶けたこの混合物で結晶化し、ダイヤモンドが形成されました。 金属液体の小さな飛沫は、時折ダイヤモンドが成長する際にダイヤモンド中に閉じ込められます。 カットや研磨の過程で、傷が最小限の非常に美しい研磨された宝石を作り上げるために、インクルージョンを含んだ部分はしばしば切り取られたり削り取られたりします。 それらのダイヤモンドの切れ端を研究に利用することは通常できませんが、GIAは独立した非営利組織であるため、Smith博士と共同著者が本研究のためにインクルージョンを検査することが可能となりました。 

「先行実験や理論は長い間、250キロより深いマントルの一部は少量の金属鉄を含んでおり、酸素濃度は制限されていると予測してきました。 今回のこれらのダイヤモンド中の金属インクルージョンとそれを取り囲むメタンと水素の発見は、この予測を裏付ける矛盾のない系統的な物的証拠です」とSmithは説明します。 

金属の分布範囲はまだ明らかになっていませんが、今回の重要な発見は、マントル対流における表層の岩石の再循環や地質年代間のマントル中の炭素と水素の貯蔵や循環を含む地球深部の挙動に関して広範囲にわたる示唆を与えてくれます。

Smithが率いた研究チームには、GIAのWuyi Wang、Carnegie Institution for Science(カーネギー研究所)のSteven Shirey、Emma BullockおよびJianhua Wang、University of Padova(パドヴァ大学)地球科学部のFabrizio Nestola、University of Cape Town(ケープタウン大学)地質科学部のStephen Richardsonが参加しました。

ダイヤモンド地質学の研究を専門とするSmithは、2015年にGIAで博士研究員として研究を開始しました。 彼の研究は、稀少な種類のダイヤモンドで観察されるインクルージョンの特徴を体系的に分類化し、どのようにダイヤモンドが形成されて、それが地球の進化にどのような意味をもたらすかを理解するのに役立つ情報を発見することに重点を置いています。 彼は University of British Columbia(ブリティッシュコロンビア大学)で地質学博士号およびオンタリオ州キングストンの Queen’s University(クイーンズ大学)で応用科学学士号および工学修士号を取得しています。
 


GIA について

1931年設立の独立非営利組織であるGIA(Gemological Institute of America)は、宝石学における世界有数の権威として認められています。 1950年代初頭、GIAはカラー、クラリティ、カット、カラット重量で有名な 4C を考案しました。さらに1953年にはインターナショナルダイヤモンドグレーディングシステム™を開発し、これは現在世界中のほぼすべての宝石専門家や宝石商により認識されています。
 
研究、教育、宝石学ラボサービス、機器の開発を通じて GIA は、最高基準の完全性、学問、科学およびプロフェッショナリズムを維持しながら、宝石・宝飾品に対する公共の信頼を確保することに専念しています。