博物館とラボが学生とコラボするデザインプロジェクト

Kristin A. Aldridge

GIA博物館のトルマリンを使用し、JDTクラスでTyler Abe(タイラー・アベ)がデザインしたゴールドリングのコンピュータレンダリング。
JDTの学生は最近、GIA博物館からのトルマリンを題材としたデザインプロジェクトを完了した。 このデジタルレンダリングにあるのは、Tyler Abeが3-DスキャンおよびCAD(コンピュータ支援設計)技術​​を使用して作成したゴールドの指輪。 ©GIA

芸術家は、使用するその素材の美しさにインスピレーションを受けることがよくあります。 彫刻家は石のブロックに形を感じることがあり、画家はキャンバスの質感にイメージを感じることがあります。 芸術家がキャンバスや石を変身させるのと同じ方法で、宝飾品デザイナーは生の素材からインスピレーションを得て、宝石や金属を芸術作品へと変身させます。 しかしそのインスピレーションは、それぞれの芸術家やデザイナーによって異なります。
先日GIAの博物館とラボのスタッフは、学生たちに宝石からインスピレーションを見つけ出してもらおうと、GIA初のジュエリーデザイン&テクノロジー(JDT)クラスの学生と共同作業を行いました。 彼らの努力が、博物館の持つ豊かな歴史と知識、ラボの持つ分析研究ツールを活用することとなりました。
「JDTの学生は、GIAの博物館の美しい宝石や宝飾品を見る機会が多くありますが、コレクションの宝石で独自のデザインを作成する機会はこれまでありませんでした」と、GIA博物館の展示開発者、McKenzie Santimerは語ります。 GIA博物館学芸員のTerri OttawayとSantimerは、博物館からのトルマリン5石をあしらったリングのデザインを学生達の課題にしました。
トルマリンのサイズは8~11カラットまでで、さまざまな色のものです。 そのうちの4つは、宝石学の世界の先駆者であり、世界で最も大規模な個人所蔵の宝石コレクションを収集したEdward J. Gübelin(エドワード・グベリン)が所有していたものを、GIAが2005年に博物館のために取得したものです。
学生は、このプロジェクトで独自のデザインスタイルを自由に探求する機会が与えられました。 GIA博物館のスタッフは、クライアントとして、学生デザイナーに詳細な要件を与えました。 5つのトルマリンの各石は、デザインを向上させるために最大1カラットまでの脇石のダイヤモンドをあしらって、サイズ7のイエローゴールドリングに組み込まれなければなりませんでした。 それぞれの石の美しさに対するインスピレーションをかきたてるために、OttawayとSantimerは、それぞれのトルマリンの産地について説明しました。産地は、ブラジル(8.15カラット クッションシェイプ レッドと、11.96カラット クッションシェイプ グリーン)、ナミビア(9.89カラット エメラルドカット レッドとブルーのバイカラー)、ナイジェリア(9.4カラット オーバルシェイプ ブルー)、モザンビーク(9.15カラット ラウンド オレンジ)です。
ペンシルベニア州フィラデルフィア出身のHannah Beckerは、「大きくてきらきらとした」トルマリンを強調するコレクションをデザインする機会を楽しみました。 彼女は、自分のスタイルにマッチした作品を作るために、彼女自身のアイデアを使って作業する機会を堪能したのです。 彼女はグリーントルマリンがバロック様式の教会で知られるブラジルの町、ミナスジェライス産であることを学ぶと、美術史を勉強した際に学んだ建築を連想させるリングをデザインしました。
「みんなのプロジェクトは本当に異なっていたし、それぞれが興味を持っているものを実証しました」と、彼女は語りました。 「一人一人がそれぞれの石に取り組む方法を見るのはとても興味深いことでした。」
カリフォルニア州サンフランシスコ出身のJosh Whiteは、トルマリンを見たとき、すぐにインスピレーションが湧きました。 「エレガントなものをデザインしたいと思いました」と、彼は言います。 彼のデザインは、爪留めと覆輪留めなどの伝統的な技法を取り入れたものでした。

Gemological Institute of America(米国宝石学会)博物館からのトルマリンを使用して、JDTクラスでJosh Whiteがデザインしたコンピュータレンダリング。
Josh Whiteが設計したこのCADレンダリングは、爪留めと覆輪留めのセッティングを表す。 ©GIA

GIAのラボでは、各トルマリンの表情を作成するために、ステレオリソグラフィファイル(STLファイル)と呼ばれる3Dスキャニング技術を用いました。 その後ファイルはCAD(コンピュータ支援設計)システムにインポートされ、学生たちは石の正確な仕様にマッチした自分たちのデザインのレンダリングを作成することができました。
「3DスキャニングマシンのようなGIAラボの技術は、学生たちが宝飾業界で使用される最新のツールを使いこなせるよう手助けします」と、GIAのジュエリー マニュファクチャリング アートのマネージャーであるMark Maxwellは話します。 「このようにして学生たちは、私たちのラボで行われている仕事の恩恵を受けることができます。」
Whiteは最近、3Dスキャンの経験があるかどうかを就職の面接の際に尋ねられ、この技術がいかに重要であるかを直に学びました。 彼はこのプロジェクトでのデザインなど、具体的な例を示すことができました。
「型にはめたように同じ石は、現実世界には存在しません」と、彼は話します。 カスタムジュエリー分野で働くことを考えている場合、3Dスキャンを使用してデザインする方法を知っておく必要があると、彼は付け加えました。
また、学生たちは3DレンダリングとCAM(コンピュータ支援製造)ツールを使って、自分たちのデザインの即席の原型を作りました。 原型は、複雑な美的詳細から正確にトルマリンと一致する寸法まで、彼らのデザインを正確に表現したものです。 Maxwellは、専用にデザインされたプラスチック製の原型の枠に、トルマリンの1つを配置して見せ、完璧なフィット感を示してくれました。
「私たちの目標は、学生のために現実世界の経験を作り出すことです」と、彼は述べます。 「このプロジェクトは、彼らが宝飾業界で遭遇するであろう状況に対する準備のほんの一例です。」

JDTクラスにて、Alyssa BrownellがデザインしたComputer-aided design(コンピュータ支援設計)レンダリング(インセット)からComputer-aided manufacture(コンピュータ支援製造)を使用して作成したプラスチックの試作品。
このプラスチックの原型は、Alyssa Brownellが自らのデザインのCADデータレンダリング(右写真)を作成した後、CAM(コンピュータ支援製造)ツールを使用して作製したもの。 ©GIA

学生たちは、クラスメート、講師陣、OttawayとSantimerに、自らのプロジェクトを発表しました。 講師陣は彼らのデザインに実用面からのフィードバックを与え、OttawayとSantimerは芸術的観点から、リングがどのように石を際立たせているか、およびデザインの品質についてコメントしました。
Santimerは、学生たちが宝飾品をアートとして探索する過程を彼らとともに楽しんだと語ります。
「一部の学生は、着用するのは難しそうな前衛的な作品をデザインしましたが、博物館の展示用には向いています」と、Santimerは言いました。 「アートならば、ルールを破ることができます。」
Beckerにとっては、最終的にはそれはすべて宝石に関することでした。 「美しく歴史ある宝石を所蔵する博物館は、非常に貴重なリソースです」と、彼女は話します。 「このプロジェクトでは、石が私たちのデザインを決めました。」
インスピレーションとはまさにこのことです。

JDTクラスでHannah Beckerがデザインしたレンダリング。
Hannah Beckerは、トルマリンが採鉱された産地からデザインのインスピレーションを得た。 ©GIA

GIAのライターKristin A. Aldridgeは、GIAのAccredited Jewelry Professional(AJP アクレディテッドジュエリープロフェッショナル)の卒業生です。

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